作成日: 2025/1/17 更新日:2025/1/17
文学部で学ぶことは?主な学科・専攻で学ぶ内容や就職先、向いている人の特徴も解説!

文学部の存在は知っていても、何を学ぶ学部なの?と疑問に思いますよね。
そこで、このページでは、文学部の特徴や各学科・専攻で学ぶこと、取得できる資格などについて解説していきます。
また、自分に合った大学・文学部の選び方や、文学部生がよく選ぶ就職先・職種、文学部に向いている人についての解説に加え、文学部は就職率が悪いって本当?という疑問や不安にもお答えしています。
文学部への進学をお考えの場合は、ぜひ目を通してみてください。
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年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
文学部の特徴

文学部は、人間の文化や歴史、思想などのあらゆる営みを深く掘り下げ、教養を深められる学部です。学部の特徴としては、主に次の4つが挙げられます。
特徴 | 詳細 |
学科・専攻が幅広く、扱う学問領域が幅広い | ・文学、語学、哲学、史学、考古学、地理学、心理学、社会学、教育学など、文学部の中に10以上の専攻がある大学も珍しくありません。 |
授業数が多く、種類が幅広い | ・自分の興味や関心に合わせて学びたい分野を選択できます。 ・教養科目として専攻以外の講義も受けられることが多く、興味がある学問を好きなだけ学べるのも魅力です。 |
ゼミが充実している | ・少人数の学生と教授で議論したりフィールドワークに行ったりするゼミナール(ゼミ)形式の授業があります。 ・教授が多い大学では、ゼミの種類も幅広く、様々な分野を専門的に学べます。 |
本好きで落ち着いている人が多い | ・比較的落ち着いた人が多く、教室も静かなことが多いです。 ・自分のペースで好きな分野の学びをじっくり深めたい方に最適です。 |
文学部では何を学ぶ?文学部生が主に4年間で学ぶことを紹介

ここからは、文学部での4年間の学びについて簡単に流れを解説します。ぜひ目を通して何を学ぶのかイメージを掴んでください。
1年次は主に語学・教養・基礎科目・論文の書き方を学ぶ

1年次は、語学や一般教養、基礎科目に加え、2年次以降の専門科目学習や就職活動にも大いに役立つ論文の書き方を学ぶことが主軸になります。
学ぶこと | 内容 |
語学 | 英語や他の外国語を学びます。 |
一般教養 | 世界の様々な文化や思想、歴史などを学ぶ一般教養科目を履修します。 |
基礎科目 | 2年次以降の専攻が決まっている場合は、その専攻の基礎となる科目を学びます。 |
論文の書き方 | 自分の考えを論理的かつ学術的に表現する力を身につけます。 |
例えば、早稲田大学の文学部では、文学部と文化構想学部が開講する約1,000の外国語科目と講義科目から好きな科目を履修できます。
人文科学、文化科学の古典から新領域分野まで幅広く揃っており、様々な学問分野の基礎が学べるのが特徴です。
参照元:早稲田大学 文学部 カリキュラム
2年次から学ぶことは大学・学科・専攻によって異なる
2年次からは、大学・学科・専攻により学ぶ内容が大きく異なります。一部の大学では、1年次に全学共通の教養科目を学んだ後、2年次から専門的な学問分野に進みます。
例えば、明治大学文学部の日本史学専攻は次のようなカリキュラムになっています。
年次 | 内容 |
1年次 | 基礎演習で調査の方法やレポートの書き方などを学ぶ |
2年次 | 各時代の史料講読や分析、研究文献の集め方や読み方に関する講義などが行われる |
3年次 | さらに専門的な史料分析の手法に関する講義や研究論文の分析などが行われる |
4年次 | 卒業論文を執筆する |
参照元:明治大学 文学部 史学地理学科 日本史学専攻 カリキュラム
なお、どの大学や学科にも「ゼミ」という講義形式があり、各専門のゼミに分かれて少人数での演習を通して探究を進めます。
また、同じ学科・専攻名でも、大学によって学年ごとに学ぶ内容や専門とする分野は異なる場合があります。
そのため、様々な大学のカリキュラムを比較検討し、自分の興味・関心に合いそうな大学を見つけるのが重要です。
主な学科・専攻と学べる内容

ここからは、文学部の主な学科や専攻と学べる内容について紹介します。主な分野は次の11分野です。
- 文学
- 言語学
- 哲学
- 史学
- 考古学
- 地理学
- 社会学
- 心理学
- 教育学
- 文化人類学
- 芸術学
文学

文学専攻では、人間の思想や感情、歴史や文化を深く理解するために、様々な文学作品を読み解き、自分自身の言葉で考えをまとめ、論理的に表現する力を養います。
日本文学や英米文学、フランス文学、ドイツ文学、中国文学、ロシア文学など、大学ごとに世界の様々な文学を取り上げて専攻を設置しているのが特徴です。
文学専攻で扱う史料は、主に小説、詩、戯曲などです。時代や地域を超えた多様な文学表現を通じ、人間の存在と社会のあり方を探究します。
シェイクスピアから村上春樹まで、国内外の文学者の作品を研究することで、広い視野を持ち、多角的な視点から物事を考える能力を身につけられるのが文学専攻の魅力です。
なお、比較文学科では各国の文学を学際的に学べるので、各国の文学を横断的に学びたい場合は比較文学科がおすすめです。学科・専攻例は次のとおりです。
言語学
言語学専攻では、英語、フランス語、ドイツ語などの西洋言語から、中国語、韓国語などの東洋言語まで、多彩な言語を学習します。
専門的な語学力を身につけることで、その言語を使う国や文化の理解を深めることが主な目的です。
また、言語学の学習だけでなく、その国の歴史や文化、思想にもアプローチできる「〜文学〜語学」というタイプの専攻もあります。
資格取得や海外留学に力を入れている大学が多く、翻訳家や通訳士、海外の企業で働くなど、幅広いキャリアパスが開かれるのも言語学専攻の大きな特徴です。学科・専攻例は次のとおりです。
哲学

哲学専攻では、古代ギリシャの思想家から現代の著名な哲学者まで、様々な時代と文化の哲学に触れ、自分自身と世界をより深く理解する手段を学びます。
「考える」ことがメインの学問のため、論理的思考力や批判的思考力が鍛えられ、社会や文化、倫理などの幅広い視点から問題を解く能力を身につけられます。
哲学の学習では、人間の行動や意識、価値観についての洞察を深めることもでき、どの職業においても役立つ万能なスキルと言えます。学科・専攻例は次のとおりです。
- 慶應義塾大学 文学部 哲学専攻/倫理学専攻
- 専修大学 文学部 哲学科
史学
史学は、歴史を深く理解し、歴史が現代社会にどのように影響を与えているかを学ぶ学問分野です。特に、時系列に沿って出来事を解析する力を養い、解析結果を明確に伝えるスキルも身につけます。
史学専攻では、古代から現代までの歴史、地域別の歴史、特定のテーマ(例えば戦争、宗教、文化、美術)に焦点を当てた歴史など、多岐にわたる視点から歴史を学びます。
また、歴史資料や当時の文献などの一次資料の扱い方や集め方、解釈の方法といった実践的な研究スキルも磨かれます。
学んだ知識とスキルは、教育、学術研究、学芸員としての文化資源管理など、様々なキャリアパスにおいて有用です。学科・専攻例は次のとおりです。
- 國學院大学 文学部 史学科 日本史学コース
- 立教大学 文学部 史学科 世界史学専修/日本史学専修/超域文化学専修
考古学

考古学専攻では、遺跡調査や遺物分析を通じ、過去の人々の生活や文化を探究します。講義では、石器や土器、遺構などの遺物や遺跡から得られる情報を読み解く力を養い、歴史の謎を解き明かす技術を学びます。
現地調査や発掘の実習など、大学で学んだ知識を実際の遺跡で活かす機会も多いのが特徴です。考古学は、歴史や文化への理解を深めるだけでなく、遺産保護や地域振興にも大きく貢献します。
卒業生の中には、専門知識を活かして文化財専門職や教育者、研究者などとして活躍する人も多いです。学科・専攻例は次のとおりです。
地理学
地理学は、自然環境と人間社会との関係性を解明する学問です。
地球上の自然現象という大きなスケールの課題から、地域における人間の生活形態、文化、経済活動などの小さな課題までを多様な手法で調査・分析します。
地図作成の技術や地理情報システム(GIS)などの情報技術を学ぶだけでなく、統計学・社会学・経済学・文化人類学・気候学・生態学など、人文科学から自然科学まで特に幅広い分野を学べるのが特徴です。
また、地理学で身につけた知識は、地域計画、環境保全、災害対策など、社会の多様な課題解決に役立てられます。地域や地球全体の環境問題を理解し、解決策を提案する視点を身につけられるのも魅力です。
卒業生は、学んだ知識やスキルを活かし、地理の教員、都市計画者、環境コンサルタント、地理情報システムの専門家など、多岐にわたる職業に就いています。学科・専攻例は次のとおりです。
心理学

心理学専攻では、人間の思考、感情、行動のメカニズムを学びます。例えば、早稲田大学 文学部 心理学コースでは、次の分野などを学べます。
- 社会心理学
- 知覚心理学
- 認知心理学
- 神経心理学
- 臨床心理学
- 生理心理学
- 犯罪心理学
- ストレス心理学
- 健康心理学
- 言語心理学
- 心理統計学
参照元:早稲田大学 文学部 心理学コース
上記の知識を活用し、心理学の問題や現代社会の課題に関する実験を行い、データの収集・分析と結果の考察などの手法を学びます。
心理学の専門知識は、教育、福祉、ビジネス、広告、マーケティングなど、様々な分野で活用できるのが特徴です。
また、さらに専門的に心理学を学びたい場合は、臨床心理士や公認心理士を目指して大学院へ進むこともあります。学科・専攻例は次のとおりです。
社会学
社会学とは、社会現象を科学的に解析し、理解する学問です。人間の行動、思想、文化、制度など、社会を構成する要素を研究し、人と人の関係や社会が直面する課題について理解を深めます。
また、社会学は多様な分野に関連しており、他の専攻と組み合わせることで広範な知識を獲得できます。
例えば、心理学と組み合わせれば人間の行動を深く探究することができ(社会心理学)、歴史学と組み合わせれば社会の変遷を理解することができます(歴史社会学)。
社会学を専攻すると、公務員、NGO/NPO、企業の人事やマーケティング部門、研究機関など、多岐にわたるフィールドで活躍できます。学科・専攻例は次のとおりです。
教育学

教育学専攻では、教育の理論や方法はもちろん、多角的な視点から現代における教育について考えます。
特に、子どもの心理や発達、教育の現場で役立つ教育方法や教育方針、教育問題の解決策などについて深く掘り下げます。
文学部に設置された教育学専攻では、学校教育の枠組みに収まらない社会の中の様々な「教育」について考える機会があるのが特徴です。
具体的には、社会教育やジェンダーの問題、心理学、国際教育、海外の教育制度などの幅広い分野を学びます。
教育学専攻の卒業生は、教師や学校のカウンセラー、教育研究者などの進路を選ぶ場合もありますが、民間の教育系企業や一般企業に就職するケースも多いです。学科・専攻例は次のとおりです。
文化人類学
文化人類学専攻では、人間の生活様式や文化の側面を研究します。特に、世界の様々な民族や文化圏の衣食住や家族、言語、自然環境、社会・政治・経済の仕組みなどについて深く掘り下げます。
文化人類学の特徴は、単に講義や本を通して学ぶだけでなく、実際に現地に赴いて観察し、体験的に学ぶという手法を取ることです。フィールドワークなどを通じて人類の文化の共通性や異質性、多様性などを探究します。
また、文化人類学を学ぶことで、異文化理解力、国際的な対応力、他者とは違うものを発見できる視点、 取材力などを身につけられます。
そのため、文化人類学を学んだ後は、ホテルや旅行会社、商社、国際機関や新聞・テレビ、出版といったマスコミ系などに就職するケースも多いです。学科・専攻例は次のとおりです。
芸術学

芸術学専攻では、音、形、言葉などの人間が創り出す芸術的表現についての理論や技術、歴史を研究します。
特に、音楽、絵画や彫刻、写真、演劇、テレビ、映画、詩、小説、漫画やアニメーションなどについて深く掘り下げます。
芸術学の役目は、芸術体験の意義を探究し、社会に伝えていくことです。そのため、芸術学では、芸術を純粋に味わい楽しむと同時に、芸術を通して私たちを取り巻く現実や生きることの意味について考えます。
芸術学を学んだ後は、画廊や劇場といった芸術関連の事業などに携わったり、大学や美術館職員などの教育研究職に就いたりするケースも多いです。学科・専攻例は次のとおりです。
文学部で学ぶことで取得できる資格

文学部では、学部または特定の学科・専攻で学ぶことで様々な資格を取得できます。文学部で資格課程を履修できる主な資格は次の4つです。
- 教員免許
- 学芸員資格
- 図書館司書
- 臨床心理士・公認心理士(※大学院修了)
教員免許

教員免許は学校教員になるために必要な資格です。文学部の学生は、主に中学校・高等学校の教員免許を取得できますが、大学によっては、教育学専攻の場合に小学校の教員免許を取得することもできます。
取得できる教員免許の科目は専攻によって異なり、例としては以下のようになります。
取得できる教員免許の科目 | 学科・専攻の例 |
国語 | 国文学科、教育学専攻 |
英語 | 英文学科、外国語文化学科 |
地歴・公民・社会 | 日本史学専攻、西洋史学専攻、考古学専攻、社会学専攻、心理社会学科、地理学専攻、教育学専攻 |
教員免許を取得するためには、教職課程と呼ばれる免許取得に必要な教育科目を履修し、教育実習を経験することが求められます。
各大学・学部の方針によって取得できる免許の種類が異なるため、教員免許の取得を考えている場合は、教職課程の内容や取得できる資格をしっかり確認しましょう。
学芸員資格
学芸員資格は、博物館や美術館、科学館などの施設において展示物の選定や解説、教育プログラムの企画などを行う専門職を目指すためのものです。
資格課程は文学部のほとんどの学科・専攻で履修可能ですが、特に史学や考古学、美術史などを学ぶと、学芸員としての幅広い知識を身につけられます。
また、大学によっては学芸員になるための専門的なカリキュラムを設けて資格取得をサポートしているところもあります。
興味のある分野を深く学び、専門的な知識と技術を身につけることで、社会に貢献する文化施設で働くための道が開けます。
そのため、学芸員資格は、文化と教育の両面から社会に貢献したいと考える文学部生にとって、大いに価値のある資格と言えるでしょう。
図書館司書

図書館司書は、図書館の管理や運営、利用者へのサポートなどを行う専門職です。文学部のほとんどの学科・専攻で資格課程を履修できます。
図書館司書を目指す学生は、図書館学、情報学、教育学など幅広い分野を学びますが、これらの講義の多くは進級や卒業に必要な講義とは別に履修する必要があるため、一般的な文学部生よりも多くの講義を履修する必要があります。
また、図書館司書の資格を取得する際に教員免許を取得していると、学校図書館司書(司書教諭)の資格を取得できるケースもあります。
図書館司書は、図書館の舞台裏で働くことで、人々が知識を得るためのサポートを行い、文化の発展に貢献します。
そのため、文学部で学んだ知識を活かして社会貢献を目指すなら、図書館司書は魅力的な選択肢です。
臨床心理士・公認心理士(※大学院修了が必要)
文学部で心理学を専攻し、さらに大学院を修了することで、臨床心理士・公認心理士の受験資格が取得できます。
臨床心理士・公認心理士は、心理的な問題を抱える人々を支援するための専門的な知識と技術を持つことを証明する資格であり、心理療法やカウンセリングの現場で活躍することが期待されます。
ちなみに、臨床心理士になるためには、大学院での2年間の専門教育が必要ですが、国家資格である公認心理士の受験資格を得るためには、大学と大学院の計6年間で心理学を学ぶことが必要です。
心理士の資格を持つことで、一般的な心理カウンセラーや学校のカウンセラー、企業内のメンタルヘルス担当など、多岐にわたるフィールドで活躍する道が開かれます。
文学部で学びたい受験生が大学を選ぶ時のポイント

ここからは、文学部を志望する受験生が大学を選ぶ際のポイントについて解説します。
文学部は大学によって特色が異なるため、これから紹介するポイントを参考にして気になる大学をいくつか比較してみてください。
- 興味のある学科・専攻・ゼミがある大学を選ぶ
- 専攻が決まらない場合は2年次から専攻が分かれる大学がおすすめ
- 4年間のカリキュラムを見て選ぶ
- 教授陣や研究施設を見て選ぶ
- 就職先や進学実績が豊富な大学を選ぶ
興味のある学科・専攻・ゼミがある大学を選ぶ

大学を選ぶ際に最重要なのは、興味関心があり研究したい分野を学べる大学を選ぶことです。
例えば、イギリス文学が好きなら英米学科や英米文学専攻、日本の言語に興味があるなら日本語学専攻、人間の心理に興味があるなら心理学専攻など、自分の学びたい分野に合った学科・専攻がある大学を選びましょう。
また、ゼミでは同じ専攻の学生や教授と1つのテーマについて議論したり、調査・研究やフィールドワークで実際に自分の目で調べて課題への理解を深めたりします。
そのため、自分の興味に合った研究をしているゼミがある大学を選ぶことも大切です。
ゼミについて詳しく調べたい場合は、学部発行のパンフレットや学科・専攻の公式サイトを見たり、オープンキャンパスで学生や教授に相談してみたりしましょう。
専攻が決まらない場合は2年次から専攻が分かれる大学がおすすめ
文学部には、他学部ではあまり見られないほどの多岐にわたる学科・専攻が設置されています。専攻がかなり幅広いため、入学時には専攻を選択せずに2年次から各専攻に分かれて学ぶ大学も存在します。
例えば、早稲田大学や慶應義塾大学、関西大学の文学部では、1年次は全学生が共通の基礎教養や文学部に設置された様々な教養科目を学び、2年次から自分の興味・関心に合わせて専攻を選ぶというカリキュラムが採用されています。
2年次から専攻に分かれる大学に入ると、入学後の1年間で自分自身を見つめ直したり興味関心を深めたりできるので、専攻選びに迷っている受験生におすすめです。
幅広い視野を持ちながら自分に最適な学問をじっくり見つけたいなら、専攻が2年次から始まる大学を選択することも1つの手段です。
4年間のカリキュラムを見て選ぶ

カリキュラムは大学や学科、専攻ごとに大きく異なり、それぞれの学問がどのような流れで深まっていくのかを知る道しるべとなります。
例えば、中央大学の英語文学文化専攻では、次のようなカリキュラムになっています。
年次 | 内容 |
1・2年次 | イギリス文学やアメリカ文学、英語学などの基礎講義・演習を履修する |
3年次 | 各専攻に分かれてゼミ形式の演習を行う |
4年次 | 卒業論文やゼミ論文を執筆する |
専門的な学びの内容は大学や学科、専攻によって大きく異なります。
そのため、各大学のカリキュラムを見比べることで、自分が興味を持つ分野や就きたい職業に繋がる学びがどのように構成されているのかを知れます。
また、カリキュラムを通して各専攻に所属する教授の研究方針や大学・学部の特色も感じられます。以上の内容を総合的に考慮し、自分の学びたいことと最もマッチする大学を選びましょう。
教授陣や研究施設を見て選ぶ
大学選びにおいて、教授陣や研究施設の質は重要なポイントです。興味のある研究をしている教授に師事することで、学びをより充実したものにできます。
なぜなら、自分の研究したい学問分野を深めるためには、その道のプロである教授陣から直接学べる環境に身を置くのが理想だからです。
多くの大学の公式サイトでは、教授陣の研究内容や執筆書籍、各教授のゼミで学ぶことなどが公開されています。
そのため、各学科・専攻に所属する教授が何名いて、それぞれどのような分野を専門としているのかチェックしてみるといいでしょう。
なお、大学でより専門的な研究に取り組みたいなら、専門書籍や資料の充実した図書館、最新の研究設備が整った研究室などの学びを深める環境があるかも重要なチェックポイントです。
大学のオープンキャンパスや学部説明会を活用し、ぜひ直接自分の目で確かめてみてください。
就職先や進学実績が豊富な大学を選ぶ

大学を選ぶ際は、卒業生の進路に着目することも重要です。なぜなら、就職先が豊富な大学を選ぶと、就職活動時に、就職しやすい企業の選択肢が増えるからです。
同様に、進学実績が豊富な大学を選ぶと、大学院へ進学する際に、進学しやすい大学院の選択肢が増えます。なお、就職や進学の実績は各大学のウェブサイトやパンフレットなどに掲載されています。
そのため、各大学のウェブサイトやパンフレットなどを参照しながら就職先や進学実績も比較検討することをお勧めします。
卒業後の主な進路・就職先とは?

文学部卒業生の就職先は、出版業界、マスコミ、広告業界、教育業界、官公庁など多岐にわたります。
就職先・職種 | 概要 |
出版業界 | 深い読解力と豊かな表現力が求められ、編集者やライターとして活躍する道があります。 |
マスコミ業界 | 取材力や記事作成能力が評価され、新聞記者やテレビ番組制作スタッフとして働くこともできます。 |
広告業界 | クリエイティブな思考力と広告文の作成能力が重要であり、クリエイティブディレクターやコピーライターとしての道も開かれています。 |
中高の教員や博物館・美術館の学芸員、図書館司書 | 教員免許や学芸員資格、図書館司書資格などが取得できるカリキュラムとなっています。 |
官公庁 | 公務員として文化行政や教育行政に携わることもできます。 |
例えば、慶應義塾大学 文学部の卒業生の主な進路は次のようになっており、幅広い選択肢があることが分かります。
業種 | 就職者の割合 |
情報通信業 | 21.1% |
学術研究、専門技術サービス業 | 15.3% |
金融、保険業 | 15.2% |
サービス業 | 10.8% |
製造業 | 10.3% |
卸売、小売業 | 10.2% |
参照元:慶應義塾大学 文学部 進路「2022年度の就職・進学データ」
「文学部は就職に不利」は過去の話

続いて、「文学部は就職に不利って聞くけど、本当のところどうなの?」というよくある疑問について詳しく解説していきます。
実際には、「文学部は就職に不利」というのは、もはや過去の話と言えます。大学通信ONLINEが発表している学部系統別実就職率ランキングでも、文学部の就職率は他学部並みになっています。
参照元:大学通信ONLINE 2024年 学部系統別実就職率ランキング
かつて、文学部は就職率が悪く就職に不利と言われていたのは、主に次のような理由からです。
- 女子学生が多い(=就職する人が少なそう)
- 主に教養を学ぶ文学部出身では即戦力にならなそう
しかし現在では、次のように情勢が変わり、考えが大きく変わっています。
- 多くの女子学生が卒業後に就職する
- 学部を問わない形で求人を出す企業も多い
- 文学部の学生が身につける論理的思考力・語学力・文章力などのスキルは多くの企業から求められる
情報が溢れる現代社会において、特に、情報を読み解き、理解し、適切に表現する力は、どの職種でも必要とされています。
そのため、文学部に就職面での不安を持っているなら、不安は捨て、安心して文学部で好きな分野を学んでください。
学部と適性がある人の特徴とは?
最後に、文学部に向いている人の特徴を4つ紹介します。1つでも当てはまるものがあれば、ぜひ文学部への進学を検討してみてください。
興味のある分野を幅広く学びたい人

文学部では、文学、語学、哲学、史学、考古学、地理学、心理学、社会学、教育学などの幅広い学問分野を学び、そのうえで専攻・ゼミと分かれて専門的な研究を行うのが特徴です。
そのため、興味が幅広い人には最適と言えます。文学部では、興味がある分野をそれぞれ学ぶことができ、専攻・ゼミを通して専門分野の知識や学びを深められます。
本を読むのが好きな人
文学部では、書籍や論文、公的資料などを読む機会が多いので、本が好きな人や文章を読むのが好きな人にとって理想的な学部と言えます。
逆に、本や文章を読むのが極端に苦手な場合は、文学部はあまりおすすめできません。
また、文学部では1つの文学作品を読んで議論したり、公的資料や研究論文を読んでレポートや論文を書いたりすることが多いです。
そのため、様々な視点や価値観を理解する力や多角的な視点で考える力、自分の言葉で主張を表現する力も身につけられます。
したがって、教養のある人間としての資質を高め、社会に出てからも自己研鑽を続ける基盤を作りたい方にぴったりです。
落ち着いた雰囲気の学部を選びたい人

文学部には、静かに本を読んだり1人で好きなことに没頭したりしている学生が多く、全体的に落ち着いた雰囲気があるのが特徴と言えます。
そのため、大学生ならではの賑やかな雰囲気よりも静かで落ち着いた雰囲気の方が好きな人には最適です。
ただし、文学部と一口に言っても学科や専攻によって学生の雰囲気が大きく異なる場合もあります。そのため、積極的にオープンキャンパスなどに参加して学部・学科や専攻の雰囲気を掴んでおくと安心です。
知的好奇心が旺盛な人
文学部は、的好奇心が旺盛で、物事を深く掘り下げて理解することに喜びを感じる人に最適です。
なぜなら、文学部では、言葉や思考、文化や歴史、人間の心理など、人間の存在と社会の構造を多角的に探究するのが特徴だからです。
例えば、古代の遺跡や歴史資料を読み解いてその時代の人々の生活や思考を理解したり、現代の社会問題を文学の視点から分析したりするなど、あらゆる事象が研究対象となります。
また、文学部では専門的な研究だけでなく、教養科目として様々な分野の研究に触れられます。そのため、文学・語学・歴史・社会学・心理学・教育学など幅広い学問に興味がある方におすすめです。
今回の内容のまとめ

今回は、大学の文学部の特徴や4年間の学びの流れ、各専攻で学ぶことなどについて解説してきました。中でも特に重要な点は次のとおりです。
- 文学部は、文学だけでなく、哲学や歴史、地理学、心理学、社会学など、人文科学から自然科学まで非常に幅広い学問分野を扱う珍しい学部です。
- 様々な学科・専攻に分かれていて、それぞれ専門性の高い研究を行っているのが特徴です。
- 大学ごとに強い特色があるので、公式サイトを見るなどして興味のある分野が学べるかを比較検討しましょう。
- 文学部の卒業生の就職先は幅広く、出版業界、マスコミ業界、広告業界、教育業界、官公庁などがあります。
ここまでの内容を参考にし、文学部への理解を深めていただけますと幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。