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作成日: 2025/2/21 更新日:2025/2/21

哲学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を解説

哲学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を解説

この記事で学べること

  • 哲学とはどんな学問なのかが分かる
  • 専攻すると何を学ぶのかが明確になる
  • 学べる大学
  • 学んだ後の進路や就職先
  • 向いている人の特徴

哲学とは何を学ぶのか気になっている方、キャリア選択の参考にしたい方はぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

哲学とは何かをわかりやすく簡単に解説​

哲学とは何かをわかりやすく解説

哲学とは、「人間や世界についての根本的な問いを追求する学問」です。この学問は、私たちの存在や認識、倫理、社会などについての基本的な問題を掘り下げ、深く考えることを目的としています。哲学は、特定の答えを求めるのではなく、疑問を投げかけ、思考を通じてその本質に迫ることを重視します。そのため、定義や結論が一概に決まらないことが多く、問い続けること自体が重要とされています。

哲学は古代ギリシャで始まり、言葉の意味を直訳すると「知を愛する」という意味です。これは、知識を得ること自体を追求する姿勢を表しています。哲学の分野は非常に広範で、例えば倫理学では道徳や正義の問題を、認識論では知識の本質や限界を、形而上学では存在そのものや世界の成り立ちを扱います。

また、哲学は論理的な思考を重視し、議論を通じて真理に近づこうとします。そのため、他の学問と異なり、実践的な結果よりも思考過程が重要視されることが多いです。結論に至る過程で自己と向き合わせたり、社会の問題を再評価する機会を提供するため、私たちの思考の枠組みや価値観を深める役割を果たします。

分野・種類を紹介

分野・種類を紹介

哲学では何を学ぶのでしょうか。以下に哲学で学ぶ内容・テーマについてまとめます。

​​哲学の専門分野

学問分野

主なテーマ

説明

倫理学(エティックス)

善悪、正義、道徳、義務、自由意志、最大多数の最大幸福、道徳的責任、義務論、功利主義、徳倫理学など。

道徳的な価値や行動が正しいかどうかを問う。例えば、「何が正しい行動か?」や「善とは何か?」を探求する。

形而上学(メタフィジックス)

実在、存在、物質と精神、普遍と個物、時間と空間、因果関係、物理的世界と非物理的世界の関係、宇宙の成り立ちなど。

宇宙や物質、精神の最も基本的な性質を探る。例えば、「物質は実在するのか?」や「時間はどう存在するのか?」を問う。

認識論(エピステモロジー)

知識の源、知識の正当性、真理、信念、証拠、感覚と理性、認識の限界、懐疑主義、経験論と合理論など。

知識を得る方法やその正当性を考える。「我々はどうして知っていると言えるのか?」を問う。

存在論(オントロジー)

存在の本質、物事が存在する理由、物質的存在と精神的存在の違い、存在するもののカテゴリー、存在の階層など。

「存在するとはどういうことか?」を問い、物質と精神の違いや、物事が存在する本質について探求する。

政治哲学(ポリティカル・フィロソフィー)

正義、自由、平等、権力、国家の正当性、民主主義、社会契約、個人と集団の利益、政治的権利、社会的義務など。

どのような社会や政治体制が公正で正義を実現するかを考える。「正義とは何か?」「自由と平等のバランスは?」など。

論理学(ロジック)

推論の方法、命題論理、三段論法、演繹法、帰納法、証明と反証、論理的誤謬、論理的結論の導出など。

正しい論理的推論を導く方法を学ぶ。推論の誤りを避け、論理的に正しい議論の構築法を理解する。

美学(アートフィロソフィー)

美とは何か、芸術とは何か、芸術の目的、芸術と感情、美的評価、芸と倫理の関係など。

美や芸術に関する哲学的探求。芸術が感情や思想をどう表現し、何を目的とするのかを問う。

宗教哲学(フィロソフィー・オブ・リリジョン)

神の存在証明、宗教的経験、信仰と理性、宗教と倫理、宗教と科学の関係、宗教的真理、宗教的多様性など。

宗教的信念や神の存在を理論的に考察する。信仰と理性、宗教と倫理がどのように関係するかを探る。

社会哲学(ソシアル・フィロソフィー)

社会契約、社会的正義、平等と自由、貧困と格差、権利と義務、社会の構造と機能、個人と社会の関係、文化と社会など。

社会の仕組みや問題を考える。平等や自由、貧困、格差の問題をどう解決するかを問う。

言語哲学(フィロソフィー・オブ・ランゲージ)

言語と意味、言語の構造、言葉の使い方、言語の限界、コミュニケーション、意味論、言語と現実の関係、言語の解釈など。

言葉と意味、言語が現実世界をどう表現するかを考える。言語の限界や解釈方法を深く探る。

それぞれ見ていきましょう。

倫理学

倫理学は、「善」「悪」「正義」「義務」などの道徳的価値を考える学問です。私たちの行動がどのように道徳的に評価されるべきか、何が正しい行動で、何が不正義かを問います。

主なテーマ

解説

善悪、正義、道徳、義務

善い行動と悪い行動、正義や義務に関する問いを考察します。社会や個人の行動を評価し、道徳的な判断を導きます。

自由意志、最大多数の最大幸福

人々の自由や選択、社会全体の幸福を最大化するための方法について議論します。功利主義といった理論も含まれます。

道徳的責任、義務論、功利主義

人間がどのような義務を果たすべきか、または最大多数の幸福を優先するべきかという倫理的選択肢について検討します。

形而上学

形而上学は、「存在」「実在」「宇宙」などの最も基本的な性質を探求する学問です。物事がどのようにして存在し、なぜ存在するのか、またその存在の仕組みを考えます。

主なテーマ

解説

実在、存在、物質と精神

実際の世界とその本質、物質と精神がどのように関係しているかを探求します。

普遍と個物、因果関係

普遍的な存在(普遍)と個別の物事(個物)の違いや因果関係について考察します。

時間と空間、宇宙の成り立ち

時間や空間がどのように実在するのか、または認識されるのかについて議論します。宇宙がどのように成り立っているかも重要なテーマです。

形而上学の歴史は古く、アリストテレスが「第一哲学」と称したことから始まりました。現代では、量子力学や人工知能などの新たな問題にも取り組んでいます。

形而上学を学ぶことで、世界や自己の存在に対する深い理解を得ることができます。この知識は、他の学問分野や実社会においても有用です。

​​認識論

認識論は、「知識」や「真理」についての理論的な考察を行う学問です。私たちがどのようにして知識を得、正しい認識をするかを問います。

主なテーマ

解説

知識の源、正当性、真理

知識がどのように得られるのか、またその知識が正当化されるための条件について議論します。

信念、証拠、懐疑主義

知識や信念の間にどのような関係があるのか、またどのような証拠が有効かを探ります。懐疑的な立場も取り上げられます。

経験論と合理論

経験による知識(経験論)と理性に基づく知識(合理論)の違いを考えます。

存在論

存在論は、「存在とは何か?」という根本的な問いを探求する哲学の一分野です。物質と精神、現実と虚構、可能性と実在といったテーマを扱います。主な分野は以下の通りです。

分野
内容
実在論
世界には人間の認識とは独立した客観的な実在があると考える立場です。プラトンのイデア論やアリストテレスの形相因が代表的です。
観念論
現実は人間の意識や観念に依存して存在すると考える立場です。ジョージ・バークリーやイマヌエル・カントの理論が有名です。
存在論的二元論
物質と精神の二つの異なる実体が存在すると考える立場です。デカルトの心身二元論が代表例です。
存在論的一元論
物質または精神のいずれか一方のみが実在すると考える立場です。スピノザの汎神論や唯物論が含まれます。

存在論を学ぶことで、世界や自己の本質を深く理解し、科学や宗教、芸術といった他分野との関連を考える視点を得ることができます。

政治哲学

政治哲学は、社会の統治や政治制度の正当性を探求する学問です。正義、権力、自由、平等といった基本概念を扱います。主な分野は以下の通りです。

主なテーマ
解説
社会契約論
国家の正当性は個人の合意に基づくとする立場です。ホッブズ、ロック、ルソーが代表的です。
功利主義
最大多数の最大幸福を基準に政治を評価する立場です。ジェレミー・ベンサムやジョン・スチュアート・ミルが唱えました。
リバタリアニズム
個人の自由と市場経済を最大限尊重する立場です。ロバート・ノージックやミルトン・フリードマンが影響を与えました。
平等主義
経済的・社会的格差を是正し、公正な社会の実現を目指す立場です。ジョン・ロールズの「正義論」が代表例です。

政治哲学を学ぶことで、現代の政治問題をより深く理解し、社会制度や政策の是非を批判的に考察する力を養うことができます。

​​論理学

主なテーマ

解説

推論の方法、命題論理

推論を正しく行うための論理的手法(命題論理、三段論法など)について学びます。

演繹法、帰納法

演繹法(一般から特定を導く方法)と帰納法(特定の事実から一般的な法則を導く方法)の違いを学びます。

論理的誤謬、証明と反証

論理的な誤り(誤謬)を識別し、論理的に正しい証明と反証の方法を学びます。

論理学は、論理的な推論とその構造を分析する学問です。議論や証明を行う際に、正しい論理的手順を守ることが重要です。

美学

美学は、美、芸術、創造性についての理論的な考察を行う学問です。美とは何か、芸術とは何か、どのように美を感じるかを問います。

主なテーマ

解説

美とは何か、芸術の目的

美しさとは何か、芸術がなぜ存在するのかを探求します。

芸術と感情、美的評価

芸術作品がどのように感情を表現し、どのように評価されるのかについて考察します。

芸と倫理の関係

芸術作品と倫理がどう関係しているのか、道徳的に問題がある作品が受け入れられるかという問題も含まれます。

宗教哲学

宗教哲学は、宗教的な信念、神、信仰の本質について考える学問です。宗教的な問いに対して理論的にアプローチします。

主なテーマ

解説

神の存在証明、信仰と理性

神の存在をどう証明するか、信仰と理性がどのように調和するかを考えます。

宗教と倫理、宗教的多様性

宗教が倫理とどう関わるか、また異なる宗教がどう共存できるかを探求します。


社会哲学

社会哲学は、社会の構造や人間関係についての深い洞察を提供する学問です。個人と社会、個人と集団の関係について探求します。

主なテーマ

解説

社会契約、社会的正義

社会における正義や公平を実現するためにはどのような制度が必要か、社会契約について考えます。

平等、自由、貧困と格差

社会の不平等や貧困を解消するためにはどのようなアプローチが必要かを考えます。


言語哲学

言語哲学は、言語がどのようにして意味を持つのか、または言語の構造が現実世界との関係をどう構築するのかを考える学問です。

主なテーマ

解説

言語と意味、言語の構造

言語がどのように意味を伝えるのか、言葉の意味や言語構造を探求します。

言語の限界、言語と現実の関係

言語が現実をどのように表現し、限界を持つのか、言葉と現実の関係を考えます。

時代や地域による分類

時代/地域

主要な特徴

代表的な哲学者

主なテーマや問題

古代哲学

哲学の起源、理性と道徳、形而上学の基礎が築かれる時代。

ソクラテス、プラトン、アリストテレス

存在、倫理、政治、知識、自然界の法則

東洋哲学

宇宙、道徳、自己の本質、精神的成長が強調される。

孔子、老子、仏陀、ガンディ、井上円了

自己、自然、道徳、倫理、無常、解脱、瞑想

西洋近代哲学

理性と論理、個人主義、科学と合理性の発展が特徴。

デカルト、カント、ニーチェ、ヘーゲル

知識、倫理、政治、認識、存在、自由意志、理性

現代哲学

科学技術の進展と共に多様な思想が現れる。

ニーチェ、サルトル、ウィトゲンシュタイン

実存、言語、社会、論理、認識、個人と集団、倫理問題

古代哲学(紀元前6世紀~紀元後5世紀頃)

哲学の基礎的な枠組みが作られ、存在や倫理、政治、知識に関する根本的な問いが提出されました。特に、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどが理性や道徳、存在について論じました。

東洋哲学

インド、中国、そして日本などの東洋の思想に基づき、個人の精神的成長や道徳、自然との調和が強調されます。仏教や道教、儒教が主要な流派として、解脱、瞑想、倫理的な生き方に関する考え方を提示しました。

西洋近代哲学

理性と論理を重視し、個人主義、自由、科学と合理性の発展が特徴です。デカルトやカント、ニーチェ、ヘーゲルなどの哲学者は、認識論、倫理学、存在論、自由意志といったテーマについて深く探求しました。

現代哲学

20世紀以降の多様な思想的潮流を指し、特に実存主義や言語哲学、社会哲学が発展しました。ニーチェやサルトル、ウィトゲンシュタインなどが、人間の自由、存在の意味、社会の構造、言語と現実の関係を論じました。

学ぶメリットとデメリット

学ぶメリットとデメリット

ここでは哲学を学ぶことに関するメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

​メリット

メリット

解説

批判的思考能力の向上

物事を深く考え、異なる視点から問題を検討する能力が養われます。

自己認識の深化

自分の価値観や信念、行動の根拠を考えることで、自己理解が深まります。

多様な視点から物事を考える能力向上

異なる思想や理論を学び、柔軟で広い視野を持つことができます。

倫理的判断力の強化

複雑な社会的問題に対して、道徳的・倫理的な観点からの判断力が養われます。

論理的な問題解決力の向上

明確で合理的な議論を行う方法を学ぶことができ、意思決定に役立ちます。

深い人生の意味の追求

人生や存在の意味について考えることで、より豊かな人生観を育むことができます。

デメリット

デメリット

解説

実用性の欠如

抽象的で理論的な内容が多く、実生活で直接的に役立つ場面は少ないことがあります。

時間と労力のかかる学問

多くの抽象的な概念や複雑な理論を理解するには、長期間の学習が必要です。

答えが見つからないことが多い

明確な答えを得るのが難しく、問い続けることが求められます。

現実的な成果が見えづらい

実際的な問題解決には時間がかかり、成果が見えづらい場合があります。

哲学的な議論が難解になることがある

初学者にとっては、専門用語や抽象的な概念が難しく感じられることがあります。

精神的なストレスを引き起こす可能性

人生や存在、倫理などの深い問題に直面することで、精神的な負担や不安を感じることがあります。

学べる学校は?大学の一例

学べる大学を紹介

哲学を学べる大学は多くありますが、今回は以下の8校を紹介します。

これ以外の大学でも哲学を学ぶことは可能です。ぜひ自分に合った大学を探してみてください。

大学名

特徴

東京大学

日本のトップ大学で、古代から現代まで幅広い哲学の分野をカバー。特に倫理学、形而上学、現象学に強み。

京都大学

哲学的思想の歴史や西洋哲学を深く学べ、現代哲学や東洋哲学にも焦点を当てている。学際的な研究も盛ん。

大阪大学

西洋哲学、東洋哲学、現代哲学を横断的に学び、哲学的な問題を社会的視点からアプローチする。

名古屋大学

哲学の深い学問的探究に加えて、心理学や社会学との関連を意識した学びが特色。

東北大学

形而上学や認識論、倫理学などに強みを持ち、国内外の哲学者と連携して研究を行う。

早稲田大学
社会哲学、実存主義、倫理学など、多彩な哲学的アプローチが学べる。国際的な哲学者を招いた講義もある。

明治大学

実存主義や現代哲学、倫理学を中心に、多様な思想を学ぶことができ、社会哲学にも力を入れている。

上智大学

特に西洋哲学に強みを持ち、聖書学やキリスト教哲学を学べる。国際的な視野を持った哲学教育が行われている。

学べる学部・学科一覧

学べる学部・学科一覧

哲学を学ぶことができる学部・学科は多岐にわたります。以下は各学部や学科で学べる哲学に関連する分野です。

学部・学科

主に学べる哲学分野

文学部

哲学、倫理学、思想史、宗教学、文化哲学、近現代哲学、東洋哲学、西洋哲学など

教養学部

一般教養としての哲学、倫理学、社会思想、思想文化

総合人間学部

哲学、倫理学、社会学、人文学、思想文化など

法学部(法哲学)

法哲学、倫理学、法律理論、社会契約論など

医学部(医療哲学)

医療倫理学、医療哲学、生命倫理学

この表に示したように、哲学を学ぶことができる分野は学部ごとに異なりますが、特に「倫理学」「思想文化」「法哲学」「医療哲学」などが各学部で提供されていることが多いです。哲学の学びは、単なる理論的な知識だけでなく、実社会での倫理的問題や法的問題にどう対応するかにも関わってきます。興味のある分野や将来の進路に合わせて、学部や学科を選択するのが良いでしょう。

​​哲学を学ぶ大学を選ぶポイント

哲学を学ぶ大学を選ぶポイント

以下に、哲学を学ぶ大学の選び方を簡潔にまとめた表を作成しました。西洋哲学と東洋哲学の選択、教授陣の専門分野、卒業後の進路サポートに焦点を当てています。

選び方のポイント

具体的な内容

確認すること

西洋哲学・東洋哲学の選択

西洋哲学: 近現代哲学、倫理学、論理学、存在論など-

東洋哲学: 仏教、道教、儒教、インド哲学など

自分が学びたい哲学の分野を決める。どちらに強みがある大学か確認。

教授陣の専門分野

各教授がどの哲学分野を専門としているか

論文や研究成果を調べ、興味のある分野に特化した教授がいるか確認

教授陣の研究テーマや専門分野が自分の興味に合っているか調べる。

卒業後の進路サポート

就職支援の充実度(キャリアセンター、インターンシップなど)

大学院進学率、進学支援の有無

卒業後の就職サポートや大学院進学サポートが充実しているか確認する。

この表を参考に、自分の興味や目標に合った大学選びを進めることができます。各ポイントをしっかりと確認することで、より満足できる学びの環境を見つけやすくなります。

哲学を学ぶのに向いている人・向いていない人の特徴は?

哲学を学ぶのに向いている人・向いていない人の特徴

向いている人の特徴

哲学に向いている人の特徴は次の通りです。

特徴

説明

論理的思考が得意な人

複雑な問題を分析し、論理的に解決する能力がある。哲学はしばしば論理的な一貫性と精密さを要求するため、この能力は重要です。

抽象的な概念や理論に興味がある人

理論や概念を深く掘り下げることに興味を持ち、具体的な事象よりも抽象的な問題に魅力を感じる人に向いています。

批判的な視点で物事を考えることが好きな人

既存の考え方を批判的に評価し、新しい視点を見つけることを楽しむ。哲学は多くの前提や常識を疑い、新しい理解を模索します。

持続的に考え抜く力がある人

一つのテーマについて長時間考察し続ける忍耐力がある。哲学的な問題はしばしば複雑で解決に時間がかかるため、持続的な探究心が必要です。

オープンマインドな人

新しい視点や考え方を受け入れる柔軟性があり、多様な意見や理論に対してオープンである。

上記のような特徴がある人は、哲学が学べる大学に進学すると良いでしょう。

向いていない人の特徴

特徴

説明

表面的な思考に固執する

哲学は深い問題を探求し、表面的な解答では満足しないため、表面的な理解で満足してしまうと難しく感じることが多い。

抽象的な思考が苦手

哲学では具体的な事実にとらわれず、抽象的な理論や概念について考えることが重要。抽象的な思考が苦手だと学びが難しくなる。

結論をすぐに求める

哲学では答えが明確でない場合が多く、結論を急ぐことなくじっくりと考え続ける姿勢が求められる。結論を急ぎすぎる人には向かない。

自分の意見に固執する

哲学は他者の意見を尊重し、さまざまな視点を受け入れる柔軟性が必要。自分の意見に固執し、他の視点を受け入れないと理解が深まらない。

感情的に反応しやすい

哲学では理性的な議論が求められるため、感情的に反応しすぎると冷静な思考ができなくなり、議論を進めることが難しくなる。

簡単な解決策を求める

哲学はしばしば複雑で多義的な問題を扱うため、単純な解決策を求める姿勢では理解が浅くなる。問題を深く掘り下げる姿勢が必要。

決められた方法論に頼る

哲学は一つの方法論に従うわけではなく、柔軟にさまざまなアプローチを試みる必要がある。決められた方法に頼りすぎると新たな視点を得ることができない。

短期間での成果を期待する

哲学の学びは時間がかかり、成果がすぐに見えるわけではない。短期間で成果を求める人には向かない。

疑問を抱かない

哲学は疑問を持ち続けることが大切で、常に「なぜ?」と問い続ける姿勢が必要。疑問を持たない、または疑問を避ける人には向かない。

現実的な問題にしか興味がない

哲学は現実の枠を超えた抽象的な問題にも深く関わる。現実的な問題にしか関心がないと、哲学の深遠な問いに興味を持ちにくい。

哲学を学ぶためには、柔軟で探求心を持ち、答えが見つからなくても忍耐強く考え続ける姿勢が大切です。また、複雑で多面的な問題に取り組むことができることが求められます。上記の特徴に当てはまる場合、哲学の学びが難しいかもしれませんが、成長するために意識的に考え方を改めることで、哲学を深く学ぶことができるようになります。

哲学を学んだ後に取得できる資格

哲学を学んだ後に取得できる資格

大学で哲学を学んだ後に取得できる資格についてを表にまとめました。哲学を学ぶことで、直接的な資格に結びつくことは少ないですが、哲学の学問が幅広い分野に役立つため、以下のような資格に関連することがあります。

資格名

説明

関連分野

教員免許(中・高)

哲学を学び、教員免許を取得することで、中学校や高等学校で哲学(倫理学、社会科など)を教えることができる。

教育学、倫理学

社会福祉士

社会福祉の分野で人々を支援する資格。倫理学や人間理解を学んだ哲学の知識が役立つ。

倫理学、社会福祉学

公認心理師

心理学の専門知識を生かして、心理的なサポートを提供する資格。哲学的なアプローチが心理学と連携することが多い。

心理学、倫理学、認識論

カウンセラー資格

相談支援を行う専門家として、心理的アプローチを学ぶ資格。哲学的思索を通じて人間理解が深まる。

心理学、倫理学、社会福祉学、教育学

宗教者(牧師・神父など)

宗教的な価値観や倫理を基盤にした仕事。宗教哲学や倫理学の理解が求められる。

宗教哲学、倫理学、神学

哲学の勉強が活かせる業界・職種を紹介

哲学の勉強が活かせる業界・職種

哲学を学んだ後の就職先を業界ごとにまとめた表を以下に作成しました。哲学を学んだ学生は、主に論理的思考、倫理的判断力、コミュニケーション能力を活かせる業界で多くの活躍の場があります。各業界ごとの代表的な職業も紹介します。

業界

代表的な職業

詳細

教育

教員(中高の社会科、倫理学、大学教授)

哲学を学ぶことで、教育機関で哲学や倫理学を教える教師、大学教授として活躍することができます。

IT・コンサル

ITエンジニア、経営コンサルタント、マーケティング職

論理的思考や問題解決能力が重視されるIT業界やコンサルティング業界で活躍することが可能です。

法律

弁護士、法務職、パラリーガル

哲学的思考力を活かして法的問題に対処する弁護士や法務担当者として働く道があります。

社会福祉・NGO

社会福祉士、NGOスタッフ、ボランティアコーディネーター

人間理解や倫理的視点を活かして、福祉、NGO、ボランティア組織で社会貢献活動を行うことが可能です。

心理学・カウンセリング

心理カウンセラー、臨床心理士、学校カウンセラー

哲学で培った人間理解や倫理的判断力を生かして、心理的なサポートを提供する職業に就くことができます。

宗教・哲学

牧師、神父、僧侶、宗教研究者

宗教哲学や倫理学を学んだ学生は、宗教関連の職業に就くことが多く、信者の指導や宗教施設で働きます。

研究職

研究者(大学、シンクタンク、リサーチ機関)

哲学的探究心を活かして、学術研究やリサーチ機関で哲学の研究を続ける道があります。

広告・広報

広告プランナー、PR担当者、メディアコーディネーター

創造的思考や倫理的観点を活かして、広告や広報業界で人々にメッセージを伝える仕事に就くことができます。

哲学に関して大学受験生が抱くよくある質問

哲学に関して大学受験生が抱くよくある質問

哲学に興味がある人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。よく抱く疑問とその回答を記載していきます。

​​倫理学と哲学の違いは?

倫理と哲学は密接に関連していますが、アプローチや焦点が異なります。以下にそれぞれの特徴を表にまとめます。

項目

倫理学

哲学

目的

善悪や道徳的行動の理解と実践

存在、知識、真理、現実の理解

内容

道徳理論、倫理問題の分析

存在論、認識論、形而上学、倫理学、政治哲学など

アプローチ

道徳的な問題に具体的に取り組む

抽象的かつ概念的な問いを考察

応用範囲

個人および社会の道徳的行動のガイドライン

知識の探求、世界観の形成、問題解決の枠組み

環境との関係

人間行動の倫理的側面とその影響

世界全体の存在や知識に関する問い

倫理学は、人間の行動や社会的な規範に関する問題に焦点を当て、善悪や正しい行動について具体的に考察します。一方、哲学はより広範な問いに取り組み、存在、知識、真理、そして現実の性質について考察します。

哲学を独学で学ぶのは難しい?

哲学を独学で学ぶのは難しいか

哲学を独学で学ぶことは可能ですが、体系的に学ぶには難しさも伴います。哲学はその歴史的背景、主要な思想家の理論、そして複雑な概念の理解を必要とします。これらを独学で完全に把握するのは容易ではありません。大学での体系的な教育や指導を受けることで、哲学の深い理解が促進されます。独学で学ぶ場合は、以下の方法を活用すると良いでしょう。

  • 主要な哲学書や入門書を読み、基礎的な概念を理解する。
  • 多くの大学や教育機関が提供する無料のオンライン講義を活用する。
  • 哲学カフェや読書会などのコミュニティに参加し、他者との議論を通じて理解を深める。

独学では、特に哲学の基本的な概念や理論をしっかりと押さえることが重要です。学びの過程で疑問が生じた場合、専門家や先行研究を参考にしながら学習を進めるのが望ましいです。

哲学を学びたいけど、学ぶ事は本当に役に立つの?

哲学は一見実生活に無関係に思えますが、実は思考力や問題解決能力を鍛えるのに役立ちます。論理的に考え、物事の本質を見極める力が身につくため、ビジネスや日常生活でも応用可能です。

例えば、仕事の意思決定や対人関係で冷静に判断する力が養われます。また、哲学は自己理解を深め、価値観を明確にする手助けにもなります。現代社会では、AIにはできない創造的な思考が求められており、哲学的思考はますます重要になっています。

まとめ

まとめ

本記事では、哲学の定義から、学ぶ内容、哲学を学べる大学、学んだ後の進路や就職先、向いている人の特徴までを解説しました。

解説した中でも、哲学に関する重要なポイントを最後に記載していきます。

  • 哲学とは、人間や世界についての根本的な問いを追求する学問である
  • 学ぶ分野としては、倫理学・現代哲学・形而上学などが挙げられる
  • 哲学を学べる大学の卒業後の主な就職先としては、教育関係・サービス業・情報通信業などが挙げられる
  • 論理的思考が得意な人・抽象的な概念や理論に興味がある人に哲学はおすすめ
  • 哲学を専攻できる大学でも入学後のカリキュラムが異なるので、あなたの興味やキャリア目標に合わせて大学を選ぶ

当記事を通して、哲学についての全体像を理解する参考になれば幸いです。

この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


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