作成日: 2026/2/19 更新日:2026/2/19
建築学・建築学部とは何を学ぶ学問・学部?学ぶことや就職先を解説

「建築学部に興味はあるけれど、具体的にどんなことを学ぶのだろう。」
「卒業後にどんな道が開けているのかわからない。」
このような疑問を抱えている人は多いでしょう。
建築学は、建物を作るための技術から芸術的なデザイン、さらには環境や文化まで、幅広い分野を総合的に学ぶ学問です。
そこで本記事では、以下の内容について解説していきます。
- 建築学の概要
- 建築学で学べる学問分野
- 建築学部がある大学
- 学んだ後の進路や就職先
建築学とは何を学ぶのか気になっている方、キャリア選択の参考にしたい方はぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
建築学とは?どんな学問かかんたんに解説

建築学は、建物の設計・構造・環境・デザインを総合的に学ぶ学問です。
ただ単に建物をデザインするのではなく、安全性・機能性・美しさを考慮する必要があります。
加えて、人々の暮らしや社会に貢献する建築を生み出すことが求められる学問です。
建築学で重要視される3つの要素は、以下のとおりです。
- 工学的な側面から見た構造や材料の研究
- 社会科学的な観点から見た制度や法規の理解
- 芸術的・文化的な視点でのデザインや歴史の探求
建築物は人々の生活に直結するため、快適性と安全性を両立させながら、社会のニーズに応える必要があります。
近年では、環境問題への対応も重要な要素となり、建築学の領域は時代とともに広がりを見せています。
環境学について詳しく知りたい人は、以下の記事もお読みください。
建築学部・学科とは何を学ぶ?学ぶ内容・授業分野

建築学を専攻する建築学部では何を学ぶのでしょうか?以下に建築学で学ぶ内容・研究分野についてまとめます。
- 構造力学
- 建築設計
- 建築材料学
- 建築環境学
- 建築法規
それぞれ見ていきましょう。
構造力学

構造力学は、建築物が外部からの力にどのように反応するかを理解するための基礎的な学問です。
以下の表に、構造力学の主要な学習項目とその内容を整理しました。
学習項目 | 内容 |
|---|---|
静力学 | 静止している建物に働く力のバランスを学び、建物の安定性を理解する。 |
動力学 | 地震や風など、動的な外力に対する建物の応答を分析する。 |
材料力学 | 建築材料の力に対する特性や挙動を学び、どのように力に耐えるかを理解する。 |
構造設計技術 | トラスやフレーム構造の解析、荷重の伝達経路の設計、断面の設計などの応用技術を習得する。 |
耐震工学 | 構造物の地震時応答特性や崩壊特性を解明し、地震に対する安全性を確保する技術を研究する分野。 |
実験・実習 | 理論を実際の構造物に適用し、実験やシミュレーションを通じて、現実とのギャップを学ぶ。 |
構造力学の分野では、構造解析ソフトウェアの使用方法も学びます。
現代ではコンピュータを用いた構造解析が一般的ですが、建築家には直感的に安全な建築をイメージできる力も求められるでしょう。
なお構造力学の知識は、建築士資格の取得にも必要で、一級・二級建築士試験では重要な出題分野のひとつです。
建築設計
建築設計は、建物のデザインや設計プロセスに関する知識と技術を学ぶ分野です。
以下の表で、建築設計の学習内容を整理しました。
学習項目 | 内容 |
|---|---|
基本設計 | レイアウト・空間の使い方・光と影の利用・色彩計画など、デザイン理論を学ぶ。 |
設計プロジェクト | 住宅・公共施設・商業施設など、さまざまな建物タイプの設計を通じて実践的スキルを磨く。 |
CAD技術 | 2D図面や3Dモデリング・ビジュアライゼーションを行うためのCADソフトの使い方を習得する。 |
インテリアデザイン | 室内空間の機能性・美観・快適性を考慮し、家具や色彩・照明などを調和させて居住空間を創造する。 |
プレゼンテーション | クライアントやチームに対して、自分の設計アイデアを効果的に伝える能力を養う。 |
法的・倫理的側面 | 建築基準法や都市計画法を遵守し、持続可能性や環境保護に配慮した設計を学ぶ。 |
設計の過程では、建物の使用目的や利用者のニーズを理解し、それを具体的な空間として表現する力が求められます。
そのため、図面作成の基本技術やCADなどのデジタルツールの活用方法・構造的な安全性についても総合的に学習します。
また、プレゼンテーション能力やコミュニケーション力も、不可欠なスキルです。
デザイン学について詳しく知りたい人は、以下の記事もぜひご覧ください。
建築材料学

建築材料学は、建築物に使用される材料の特性や使用方法を研究する分野です。
以下の表で、学習内容をまとめています。
学習項目 | 内容 |
|---|---|
材料の特性 | 木材・コンクリート・鉄鋼など、各材料の物理的・化学的特性を学び、材料を適材適所で選定する方法を学ぶ。 |
耐久性と環境影響 | リサイクル可能な材料や低炭素コンクリートなど、持続可能な建築材料の選定と使用について学ぶ。 |
施工方法と品質管理 | 材料の取り扱いや現場での管理方法を学び、施工時の品質を確保する技術を習得する。 |
実験とフィールドワーク | 実験室での材料試験や現場見学を通じて、理論と実践の両方をバランスよく学び、実際の建築プロジェクトに活かす。 |
建築材料学の分野では、構造材料と非構造材料の2つの大きな分類について学びます。
構造材料で学ぶのは主に、コンクリート・鉄鋼材料・木材などの強度や剛性に関する特性についてです。
一方、非構造材料については、内外装材としての機能や性質について学習します。
建築材料学の知識は、一級・二級建築士試験の重要な出題分野で、実務において不可欠な専門知識として位置づけられています。
材料工学について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
材料工学とは何を学ぶ学問なのか?大学の一例や就職先まで徹底解説
建築環境学
建築環境学は、建物が建てられた目的を果たすために欠かせない環境と設備について学ぶ分野です。
建築物の快適性や省エネルギー性に関わる音・光・熱・空気などの室内環境要素を研究対象としています。
環境建築学で学ぶ内容は、以下のとおりです。
学習項目 | 内容 |
環境工学 | 人間と建築空間の関係性を考慮し、物理的な環境と人間の心理生理反応との関連性を解明することを目指す |
設備工学 | 自然エネルギーを利用した環境調和建築や省エネルギー建築の実現に向けた設備システムの設計手法および評価手法を学ぶ。 |
都市計画 | 広域スケールのデザインや地域環境と調和した生活空間の構築方法を学び、持続可能な都市づくり・まちづくりを目指す。 |
環境デザイン | 建築・都市・地域レベルから地球レベルまでの異なるスケールで持続可能な未来の環境をデザインするための実践的な教育・研究に取り組む |
建築環境学は人と自然に調和した持続可能な建築空間を創造するための総合的な学問です。
そのため、現代社会の環境課題解決に不可欠な分野といえるでしょう。
建築法規

建築法規は、建築物の安全性や都市の秩序ある発展を確保するための法律体系を学ぶ分野です。
建築法規で学ぶ内容を以下にまとめました。
学習項目 | 内容 |
建築基準法 | 地震や火災などに対する安全性、建築物の敷地、周囲の環境などに関する必要な基準が規定されている。 |
都市計画法 | 都市計画区域や準都市計画区域の指定、用途地域の設定など、土地利用に関する基本的な枠組みが規定されている。 |
防災・防火計画 | 防火対策・避難経路の確保・消火設備の設置・避難訓練・教育などの内容が含まれ、建物の特性に応じた対策が求められる。 |
建築法規の学習を通じて、建築物の設計・施工において法的制約を理解できます。
安全で快適な建築空間を作るための知識を身につけるために欠かせない分野です。
建築学を学べる大学の例

建築学を学べる大学の具体例は、以下のとおりです。
- 関東学院大学建築・環境学部
- 東北工業大学建築学部建築学科
- 武蔵野大学工学部建築デザイン学科
- 中央工学校建築学科
- 修成建設専門学校建築学科
それぞれ見ていきましょう。
関東学院大学建築・環境学部

関東学院大学の建築・環境学部では、都市や建築・住まい・環境といったテーマに取り組みます。
本学科の特徴は、以下のとおりです。
- 文系・理系の枠を超えた包括的・総合的な学びを提供。
- ワークショップやスタジオを通じて実践的なスキルを養成。
- 少人数制指導により、学生一人ひとりの資質にきめ細やかに対応。
経済的な豊かさだけでなく、人間の幸福に焦点を当てた教育を推進し、生活の質の向上に貢献できる知識と技術を養います。
そのため、広い視野から環境や社会の課題に取り組みたい、創造的な建築家やデザイナーを目指す人に向いているでしょう。
東北工業大学建築学部建築学科

東北工業大学の建築学科では、建築に関する基礎的な技術や理論を学びつつ、実践的な設計スキルを習得できます。
CADの操作から、音・光環境の計画・建築材料の特性まで、幅広い知識と技術が身につきます。
さらに、少人数での実験や卒業設計を通じて、実践的な学びを深める教育が特徴です。
東北工業大学建築学部建築学科には、以下の特徴があります。
- 実際の制作現場で利用されるCADの基本操作を学ぶ実習形式の授業を提供。
- 音や光の環境計画に関する具体的な事例を通じて学ぶ授業を提供。
- 卒業設計では、4年間の学びの集大成として、各自のテーマに基づく研究や設計に取り組む。
そのため、実践的な学習を通じて、建築に関わる専門技術を深く理解し、地域社会に貢献したい人に向いているでしょう。
武蔵野大学工学部建築デザイン学科

武蔵野大学の建築デザイン学科では、建築設計や都市デザイン・インテリアデザインといった多岐にわたる分野を学べます。
実践的なカリキュラムを通じて創造力や問題解決能力を養い、全員が一級建築士を目指せるような充実した教育体制が整っています。
武蔵野大学工学部建築デザイン学科の特徴は、以下のとおりです。
- 1年次から「スタジオ」や「ゼミ」で建築デザインの基礎から応用まで学べるカリキュラム。
- 学年を越えた「プロジェクト」による社会とのつながりを重視した教育。
- 一級建築士を目指すための充実した資格取得支援体制。
本学科は、持続可能な社会の構築に貢献したい人やクリエイティブな建築デザインを追求したい人に向いています。
中央工学校建築学科

中央工学校建築学科は、「創・造・作」の技術と精神を重視し、即戦力となる理想の建築技術者を育成する4年制の学科です。
本学科の主な特徴は、以下のとおりです。
- 建築初心者にも安心な万全のカリキュラムが組まれており、1年次は住宅を中心に建築の基礎とCADの基礎技術を習得する。
- 2年次ではBIMを活用した建築のデザイン力・表現力の向上を図り、3年次では応用から実践へと進む。
- 4年次には設計・施工・設備の3専攻から選択し、専門分野の実務能力を高める実践的な教育を受けられる。
また、高度専門士課程として大学院への入学資格が付与され、卒業と同時に一級・二級建築士の受験資格を取得できます。
加えて、在学中から2級建築施工管理技士補や宅地建物取引士など多くの資格取得を目指すことも可能です。
本学科は、2023年度の求人実績は2,974人、1,702社と就職に強い学校でもあります。
参考:中央工学校建築学科
修成建設専門学校建築学科

修成建設専門学校建築学科は、設計・施工・積算をバランス良く学べるカリキュラムを提供しています。
本学科の特徴は、以下のとおりです。
- 1年次から専門科目を多く配置し、基礎から実践に即した応用力までを修得できる教育体制が整っている。
- 実験・実習を通して建築知識を磨き、2年次では選択科目を活用しながら将来目指す分野に関連する力を養える。
- 設計製図・建築計画・建築法規・建築構造・建築施工の学習や、材料・構造・環境などの各種実験実習を通して、建築士として必要な知識を総合的に学べる。
卒業時には一級・二級建築士の受験資格が得られるほか、建築施工管理技士や宅地建物取引士など多くの資格取得を目指せます。
また、企業コラボのワークショップやインターンも充実しているのも本学科の魅力です。
参考:修成建設専門学校建築学科
建築学部・建築学科のある大学を選ぶ際のポイント

ここでは、建築を学べる大学を選ぶ際の判断基準を5つ紹介します。
- デザインに強いか構造に強いか
- 研究設備や実習の充実度
- 資格取得支援の有無
- 一級建築士の合格者数や合格率
- 就職実績・インターンシップ制度
ひとつずつ見ていきましょう。
デザインに強いか構造に強いか

建築学部・学科を選ぶ際には、各大学の特色や強みを理解することが重要です。
とくに「デザイン系」と「構造系」という二つの大きな方向性の違いを把握しておくべきでしょう。
デザイン系に強い大学では、建築の意匠設計や空間デザインに重点を置いた教育が行われています。
一方、構造系に強い大学では、建築物の力学的安全性や構造計算、施工技術などに焦点を当てられています。
地震や風などの外力に対する建物の安全性を確保するための理論や計算方法・構造材料の特性などを詳しく学べるでしょう。
数学や物理学などの基礎科学の知識を応用し、コンピュータシミュレーションなどを活用した構造解析の手法も習得できます。
自分の適性や将来のキャリアプランに合わせて、デザイン系と構造系のどちらに重点を置いた大学を選ぶかを検討することが大切です。
研究設備や実習の充実度
研究設備や実習環境の充実度も要チェックです。
最先端の研究施設を持つ大学では、現代の建築実務に不可欠な技術を学ぶ環境が整っています。
実習面では、インターンシップの質も重要な選択ポイントです。
優れたインターンシッププログラムでは、建築実務の基本知識とスキルを習得する機会を得られます。
自分の学習スタイルや将来のキャリア目標に合った研究・実習環境が整ってる大学を選ぶとよいでしょう。
資格取得支援の有無

建築学部・学科を選ぶ際には、建築士資格取得に向けたサポート体制が整っているかどうかも重要な判断材料です。
多くの建築系大学では卒業時に建築士の「受験資格」が得られるだけで、実際の資格取得には卒業後の追加学習が必要です。
その点、在学中に二級建築士資格取得を支援し、講座授業料を奨励金として全額給付する大学もあります。
なかには、大学院のカリキュラムが一級建築士の受験における実務経験として認定されているケースもあります。
その場合、学部と大学院を合わせた6年間で一級建築士の受験資格を最短で取得可能です。
建築士資格は「業務独占国家資格」です。
社会的評価も高く就職に有利になるため、資格取得支援が充実している大学を選ぶことが将来のキャリア形成に大きく影響するでしょう。
一級建築士の合格者数や合格率
一級建築士試験の合格実績も、建築学部・学科を選ぶときの判断材料のひとつです。
令和5年度の一級建築士試験では、日本大学が143人の合格者を輩出し、学校別合格者数で全国1位となっています。
専門学校では中央工学校が令和4年に23人の合格者を出し、専門学校のなかでは第1位の実績です。
修成建設専門学校も大阪府下の一級建築士対策学科を持つ専門学校ではトップの合格実績を誇ります。
なお、合格者の平均年齢は年々低下しています。
2023年には29.5歳となり、20代の合格者が全体の64.9%を占めるようになりました。
建築学部・学科を選ぶ際には、合格実績データを参考にして、学習スタイルや将来のキャリアプランに合った大学を選びましょう。
就職実績・インターンシップ制度

建築学部・学科を選ぶ際には、その大学の建築業界とのつながりの強さを確認することが大切です。
大学によっては、スーパーゼネコンをはじめとした大手企業への内定者数が年々増加しており、就職先の質も重要なポイントです。
また、建築業界を目指す学生は、インターンシップに積極的に参加する傾向があります。
実際、インターンの参加率は8割前後と非常に高い割合を占めています。
建築業界のインターンシップに参加すれば、実際の建築現場の見学や設計・デザインの制作など、実践的な経験を積めるでしょう。
インターンシップは内定に直結しやすく、参加すること自体が採用担当者へのアピールにもなります。
そのため、大学選びの際には充実したインターンシップ制度があるかどうかを確認するのがおすすめです。
また、大学院進学を視野に入れる場合、大学院修了者の就職状況も確認しておくとよいでしょう。
学んだ後に取得しやすい資格

ここでは、建築系の学部に進むと取得しやすい国家資格を5つ紹介します。
- 一級建築士
- 二級建築士
- 木造建築士
- 建築設備士
- 施工管理技士
それぞれ詳しく見ていきましょう。
一級建築士

一級建築士は建築分野における最高峰の国家資格であり、建築学を学んだ後に目指すべき重要な資格です。
2020年3月の法改正により、大学や専門学校で指定科目を修めて卒業すれば、実務経験がなくても受験が可能になりました。
試験は学科試験と設計製図試験の2段階で実施され、学科試験は計画、環境・設備、法規、構造、施工の5分野から出題されます。
合格後は、一定期間の実務経験を積むことで免許登録が可能です。
4年制大学卒業者は2年、3年制短期大学卒業者は3年、2年制短期大学・高等専門学校卒業者は4年の実務経験が必要です。
一級建築士の資格は、構造設計や設備設計などの上位資格取得への足がかりともなり、建築業界でのキャリア形成に役立つでしょう。
試験は難関であり、マークシート形式の学科試験と記述形式の設計製図試験の両方に合格する必要があります。
そのため、計画的な学習が求められるでしょう。
二級建築士
二級建築士は、建築業界の登竜門となる国家資格であり、一級建築士よりも取得のハードルが低く設定されています。
建築学科の大学や専門学校を卒業すれば、実務経験なしで受験資格が得られるため、新卒でも挑戦できる資格です。
試験は、学科試験と設計製図試験の2段階で構成され、学科試験は建築計画・法規・構造・施工の4分野から出題されます。
合格率は、約20%前後と一級建築士より高く、建築学を学んだ学生にとって最初に目指すべき重要な資格といえるでしょう。
二級建築士は、木造や鉄骨造の小規模建築物の設計・工事監理を行う資格です。
そのため、取得しておけば実務で即戦力となる知識を証明できるでしょう。
二級建築士の資格は就職や転職に有利になるだけでなく、一級建築士へのステップアップにもつながる重要な資格といえます。
木造建築士

木造建築士は、木造の建築物に特化した設計・工事監理を行える国家資格です。
二級建築士と同様に、建築学科の大学や専門学校を卒業すれば実務経験なしで受験資格を得られます。
試験は、学科試験と設計製図試験の2段階で構成され、木造建築に関する専門知識が問われます。
日本の伝統的な木造建築や住宅建築に携わりたい人に向いているでしょう。
受験者数は一級・二級建築士に比べて少なく、合格率も比較的高めです。
木造建築士は地域の工務店や設計事務所などで活躍の場が広がっており、日本の住宅文化を支える重要な資格です。
建築設備士
建築設備士は、建築物の空調・衛生・電気などの設備設計に特化した国家資格です。
受験資格は、大学や高専の建築・設備系学科を卒業後、実務経験を積む必要があります。
試験は、学科試験と設計製図試験の2段階で構成され、出題範囲は建築一般知識・空調・衛生・電気・法規です。
建築設備士の資格を持つことで、省エネルギー設計や環境配慮型建築など、設備計画のスペシャリストとして評価されるでしょう。
近年のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やスマートビルディングの普及により、建築設備士の需要は高まっています。
そのため、建築設備士はキャリアアップに有効な資格といえます。
一級建築士と併せて取得すれば、総合的な建築設計能力を証明でき、設計事務所や建設会社での活躍の場を広げられるでしょう。
施工管理技士

施工管理技士は建設現場の施工管理を行うための国家資格であり、1級と2級に分かれています。
2級建築施工管理技士は17歳以上であれば受験可能で、合格率は約20~40%です。
令和6年度からは、1級建築施工管理技士の第一次検定についても実務経験が不要となり、19歳以上であれば受験できるようになりました。
試験は、第一次検定(学科試験)と第二次検定(実地試験)の2段階で構成されています。
第一次検定は、マークシート方式、第二次検定はマークシート方式と記述式です。
建設業界での就職に有利になるほか、経営事項審査の技術力評価にも反映される重要な資格といえます。
卒業した後の進路の特徴は?

建築学を大学で専攻した先輩たちは、卒業後にどのような進路を歩んでいるのでしょうか。
東北工業大学を例に見ていきましょう。
東北工業大学建築学部建築学科の2023年度卒業生における就職先の業種とその割合は、以下のとおりです。
業種 | 割合 |
|---|---|
建設業 | 55.7% |
大学院進学 | 18.0% |
専門・技術サービス業 | 9.8% |
公務員 | 4.9% |
卸売・小売・サービス業 | 3.3% |
不動産・物品賃貸業 | 3.3% |
製造業 | 1.6% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 1.6% |
情報・通信設備業 | 0.8% |
学校教育 | 0.8% |
建築学を学べる大学に進学した卒業生は、建設業・技術サービス業・不動産業などの業種で活躍していることがわかります。
業種傾向は大学によって異なるので、志望している大学のホームページで卒業生の進路を調べたり、パンフレットで確認してみましょう。
建築学の勉強が活かせる就職先の代表例

建築学が活かせる仕事はどのようなものがあるのでしょうか。
代表的な3つの就職先について解説します。
- 建設会社・ゼネコン
- 建築設計事務所
- 不動産会社
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
建設会社・ゼネコン

建設会社やゼネコンでの仕事では、建築学で学んだ知識を最大限に活かすことが求められます。
以下の表に、主な業務内容と求められるスキルを整理しました。
業務内容 | 詳細 | 求められるスキル |
|---|---|---|
設計段階 | 建物を設計し、クライアントの要望を具体的な図面に落とし込む | 設計の知識 |
施工段階 | 建設現場での施工管理を行い、工事の進行を監督する | 施工管理の知識 |
プロジェクトマネジメント | 工期や予算を管理し、関係者と調整しながらプロジェクトを進める | 予算管理 |
技術支援 | 耐震設計や省エネ設計など、専門技術を用いて建築の品質を向上させる | 耐震設計 |
建設会社やゼネコンでの仕事は、建築学の知識を実務に直接応用できる場であり、プロジェクトが完成する達成感を味わえるやりがいのある職場です。
また、施工管理者としての経験を積むことで、将来的にはプロジェクト全体を監督するポジションへ昇進する機会があります。
キャリアアップの機会も豊富で、経験を重ねることでより大規模なプロジェクトに携われるようになるでしょう。
建築設計事務所
建築設計事務所は、建物の設計やデザインに関わる業務を通じて、建築学で学んだ知識を活かす職場です。
主な業務内容と求められるスキルを以下の表に整理しました。
業務内容 | 詳細 | 求められるスキル |
|---|---|---|
設計業務 | 建物の構造設計やデザインを行い、設計図を作成する | 構造設計 |
プロジェクト管理 | 複数の設計プロジェクトを同時に進め、スケジュールを調整する | 複数プロジェクトの管理 |
技術支援 | 建物の安全性や環境性能を向上させるための技術的な検討をする | 最適な設計のための技術的な知識 |
建築設計事務所で働けば、設計やデザインに関わる業務を通じて、建築学で培った知識と技術を実践的に応用できるでしょう。
また、成長の機会が豊富にあり、クライアントとの信頼関係を築ければ自分のデザインスタイルを確立できます。
建築設計事務所で経験を積むことで、将来的に独立して自分の設計事務所を開業する基盤を築けるでしょう。
不動産会社

不動産会社では、建築学の知識を活かして、土地や建物の売買、賃貸、管理に関わるさまざまな業務を担当します。
以下の表に、不動産会社での主な業務内容と求められるスキルを整理しました。
業務内容 | 詳細 | 求められるスキル |
|---|---|---|
物件評価と選定 | 建物の構造や立地を調査し、価値を評価する | 建物の構造や材料に関する知識 |
不動産開発 | 土地の有効活用を考え、開発計画を立案する | 設計図理解 |
顧客対応・営業 | 物件の販売・賃貸を担当し、顧客との信頼関係を築く | コミュニケーション能力 |
都市計画と地域開発 | 地域の発展を考えた開発プランを提案する | 土地利用計画や建築規制に関する知識 |
マーケティング | 物件の魅力を市場にアピールし、顧客を獲得する | 物件のアピール能力 |
不動産会社では建築学の知識を活用して、物件の評価や不動産開発・顧客対応など、幅広い業務に取り組めます。
キャリアパスが多様である点も不動産会社で働く魅力です。
建築学の魅力や面白いところは?

建築学は、学ぶほどにその可能性と広がりを感じられる点が魅力的なポイントです。
工学的な技術だけでなく、人文科学や社会科学・芸術的センスまで必要とされます。
そのため、理系のなかでもとくに創造性を発揮できるでしょう。
建築学の魅力や面白さとして、以下のようなポイントが挙げられます。
建築学の魅力 | 詳細 |
「形に残る仕事」ができる | 自らの創造物が何十年も街に存在し続け、社会の一部となる達成感がある。 |
モノづくりの楽しさを味わえる | アイデアから設計、施工まで建物が完成する過程全体に関われる喜びがある。 |
芸術的な発想と科学的な理論を融合できる | 美しさと安全性を両立させる創造的問題解決の醍醐味がある。 |
建築模型を作れる(デザインコンペにも参加できる) | 立体的思考を形にする過程で空間把握能力と表現力が磨かれる。 |
人の暮らしや社会に貢献できる | 人々の生活の質を向上させる空間を創造し、社会課題解決に直接貢献できる。 |
世界中の建築を学べる・旅行が楽しくなる | 建物の歴史や文化的背景を理解することで旅の深みと感動が増す。 |
AI・最新技術と組み合わせて進化する | デジタルファブリケーションやAIが可能にする新たな建築表現に挑戦できる。 |
キャリア形成に役立つ確かな専門性が身につく | 文学部や社会学部と比較して、明確な専門職への道筋がある。 |
建築には明確な答えがなく、時代によって思想が変化するため、探求し続ける面白さがあります。
設計課題では自分のアイデアを形にする過程が最も大変ではあるものの、同時に最も楽しい経験となるでしょう。
建築学に関連するよくある質問

建築学に関してのよくある質問とその回答を記載します。
- 建築学部は文系と理系のどっち?
- 建築学に向いている人の特徴は?
ひとつずつ見ていきましょう。
建築学部は文系と理系のどっち?

建築学は基本的に理系に分類されますが、デザインや都市計画は文系的な要素も含みます。
建築構造や環境工学などの構造・工学系分野では、数学や物理学の知識を活用した構造計算や環境シミュレーションが必要なので理系的な素養が求められます。
一方、建築意匠や空間デザイン、都市計画などの分野では、歴史や哲学、社会学などの人文・社会科学的な知識も重要なので、文理融合型の学問領域です。
建築学は、技術と芸術・科学と人文学が交差する学際的な学問です。
そのため、文系的な要素も多分に含まれており、文理の枠を超えた幅広い知識と能力が求められる分野といえます。
建築学に向いている人の特徴は?
建築学を学ぶのに向いている人には、以下のような特徴があげられます。
特徴 | 詳細 |
|---|---|
想像力・創造力が豊か | 新しいデザインや建築物を創造する意欲がある。 |
コミュニケーション能力がある | クライアントの要望を理解し、それを形にする力がある。 |
忍耐力がある | 長期にわたるプロジェクトに耐える根気がある。 |
自分のアイデアを形にするのが好き | 設計図面から実際の建物を創造する仕事に直結する。 |
建物や街のデザインに興味がある | 建築家や都市計画の発案者として創造性を発揮できる。 |
数学・物理が得意 or 興味がある | 構造設計や耐震計算など技術的課題の解決に必須である。 |
細かい作業や計画を立てるのが好き | 施工管理や詳細設計で正確さが評価される。 |
将来、手に職をつけたい | 建築士資格で独立開業や専門職として活躍できる。 |
建築学は、豊かな創造力と確かなコミュニケーション力、そして体力や忍耐力が求められる分野です。
建物を設計・建築するには、デザイン力や技術力だけでなく、さまざまな関係者との信頼関係を築く力が求められます。
想像力やコミュニケーション力・忍耐力などの要素がバランスよく備わっていることが、重要な素養といえるでしょう。
今回の内容のまとめ

建築学は、建物の設計から施工、さらには都市計画まで幅広い分野をカバーする総合的な学問です。
理系的な要素である構造力学や材料工学の知識はもちろん、デザインや文化的な側面も重要視される文理融合型の学問といえます。
本記事の重要ポイントを以下にまとめました。
- 建築学とは、建物や構造物の設計、建設、維持管理を学ぶ学問である
- 学ぶ分野としては、構造力学・建築設計・建築材料学などが含まれる
- 建築学を学べる大学の卒業後の主な就職先としては、建設会社や建築設計事務所などが挙げられる
- 想像力が豊かな人・新しいデザインや建築物を創造する意欲がある人に建築学はおすすめ
- 建築学を専攻できる大学でも入学後のカリキュラムが異なるので、あなたの興味やキャリア目標に合わせて大学を選ぶ
建築の世界に興味を持った人は、各大学のカリキュラムについて調べたりオープンキャンパスに足を運んでみたりしてみましょう。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。