作成日: 2025/2/14 更新日:2025/2/14
一芸入試とは?主な種類や実施大学例をおすすめな人の特徴と共に解説

総合型選抜入試(AO入試)や公募推薦入試が一般的になってきた昨今の大学入試ですが、中には「一芸入試」という形態の入試もあります。
そこで、このページでは、一芸入試について次の観点から解説していきます。
- 一芸入試の概要
- 一芸入試の種類と大学の入試例
- おすすめな人の特徴
- 受験するなら注意したい点
一芸入試を検討している人がよく抱く疑問にも回答していますので、「そもそも一芸入試って何なのか知りたい」、「高校の活動実績を活かして大学を受験したい!」という受験生は、ぜひご一読ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
一芸入試とはどんな入試?

一芸入試とは、特定の分野において優れた能力や卓越した実績を持つ受験生を対象にした総合型選抜入試(AO入試)や公募推薦入試のことです。
一般的な学力試験とは異なり、スポーツ、音楽、文化・芸術、科学など、多様な分野での実績を中心に書類や面接などで審査します。
出願に際しては、一般的な総合型選抜入試(AO入試)や公募推薦入試の出願条件に加え、全国大会での入賞経験や専門的な資格の取得といった実績が求められます。
なお、出願には特に秀でた活動実績や資格が求められる分、出願書類と小論文や面接のみで選考される場合が多いのが特徴です。
一芸入試の種類と大学での実施例を紹介

ここからは、一芸入試でよくある4つのパターンを大学での実施例と併せてご紹介していきます。
- スポーツ推薦入試
- 文化・芸術活動などに関する推薦入試
- 研究実績やコンテストでの成績などに関する推薦入試
- 簿記や語学などの高難度資格に関する推薦入試
スポーツ推薦入試

スポーツ推薦入試は、高校時代に特に優れた競技実績を残した学生を対象とした入試形式です。私立大学を中心に多くの大学が実施しています。
具体的にどれくらいのレベルの競技実績が必要になるかは大学や学部・学科によって異なりますが、例えば、早稲田大学のトップアスリート入学試験では、国際大会への出場実績が出願条件となっています。
参照元:早稲田大学スポーツ科学部 2025年度 総合型選抜Ⅰ群(トップアスリート入学試験)事前セミナー申込要項
なお、スポーツ推薦入試の出願条件として具体的な競技実績の基準を設けていない場合は、チームでのリーダーシップや貢献度、将来のスポーツキャリアへの志向性などを評価することになります。
また、入学後は大学の運動部に所属することで、より高度なトレーニング環境での練習や専門的な指導を受ける機会が提供されます。
そのため、スポーツ推薦入試は、スポーツに情熱を持ち、大学生活でもスポーツに関する専門的な活動をしたいと考えている学生にとって魅力的な選択肢です。
文化・芸術活動などに関する推薦入試
スポーツ推薦と同様の形態で、音楽、ダンス、美術などの様々な文化・芸術分野で優れた活動実績を持つ受験生を対象とした入試を実施している大学もあります。
出願できる活動分野が限定されている場合もあります。例えば、立命館大学が実施している「文化・芸術活動に優れた者の特別選抜入学試験」では、主に次の6つの分野で実績があることを出願条件としています。
活動分野 | 出願基準 |
・バトントワリング ・かるた ・吹奏楽 ・囲碁 ・将棋 ・チアリーディング | ・世界大会、国際大会に出場した者 ・高等学校レベルの全国規模の大会に入賞・出場するなど顕著な成績を収めた者 ・上記と同等の活動実績を挙げていると証明できる者 |
上記以外の文化・芸術活動 | 世界大会、国際大会などに通用する程度の個人での活動実績を有する者 |
参照元:立命館大学 2025年度(総合型選抜)文化・芸術活動に優れた者の特別選抜入学試験 <含 特別奨学金募集要項>入学試験要項
文化・芸術活動などに関する推薦入試では、一般的な総合型選抜入試のように出願書類・小論文・面接などで審査する場合もあれば、実技試験を含む場合もあります。
また、入学後は大学の活動団体に所属し、引き続き文化・芸術活動に情熱を注げる環境が整えられます。加えて、大学のカリキュラムによっては、さらに才能を伸ばすために専門的な教育を受けられる環境が提供されることもあります。
スポーツ推薦入試よりも実施している大学は少ないですが、優れた実績を持っているなら是非チャレンジしてみてください。
研究実績やコンテストでの成績などに関する推薦入試

研究実績やコンテストでの成績に関する推薦入試は、特定の専門分野で突出した能力を持ち、学術的または技術的な研究での実績や全国規模の科学系コンテストでの入賞などの優れた成果を持つ受験生を対象としています。
例えば、東京都立大学の理系3学部で実施している科学オリンピック入試や、早稲田大学の先進理工学部が実施する特別推薦入試などが該当します。
参照元:以下
東京都立大学 2025年度 総合型選抜(科学オリンピック入試)学生募集要項
2025年 4月入学 早稲田大学 先進理工学部「特別選抜入学試験」入学試験要項
科学オリンピックなどのコンテストでの実績があると、大学でのさらなる研究活動やイノベーションに寄与する可能性が高いと判断され、特別な選考基準が設けられることが多いです。
また、試験内容は主に書類審査と面接のみなので、小論文や学力試験などの対策が不要なことが多いです。
そのため、既に研究やコンテストでの実績があり、自分の研究にできるだけ時間を割きたい人にはぴったりの一芸入試です。
簿記や語学などの高難度資格に関する推薦入試
取得が難しい資格に関する推薦入試を実施している大学もあります。例えば、以下の大学が高難度資格に関する推薦入試を実施しています。
大学 | 入試名称 | 出願基準 |
名城大学 | 特別入学試験 簿記・会計特別 | (経営学部)
|
中京大学 | 推薦入試 一芸一能(特Ⅰ)推薦 | (経営学部:経緯学科)
(総合政策学部:総合政策学科)
(工学部:機械システム工学科、電気電子工学科、情報工学科、メディア工学科)
(現代社会学部:現代社会学科) 各引用元: https://nc.chukyo-u.ac.jp/conts/wp-content/uploads/suisen_ichigei_2024.pdf |
関西大学 | アドミッション・オフィス入学試験(AO入試) | (商学部)次のいずれかの資格を有する者
|
参照元:以下
名城大学 2025年度 入試ガイド 特別入学試験 簿記・会計特別
中京大学 推薦入試 一芸一能(特Ⅰ)推薦
2025年度 関西大学 総合型選抜 アドミッション・オフィス入学試験(AO入試)入学試験要項
上記の資格は、学問的な知識だけでなく実践的なスキルを証明するものとして大学側から高く評価されます。そのため、通常の学力試験とは異なる側面から自分をアピールできるチャンスが広がります。
ただし、上記のような資格を活かせる推薦入試がある大学や学部・学科は限られているため、事前に情報収集を徹底することが重要です。
一芸入試がおすすめな人の特徴

ここからは、一芸入試がおすすめな人の特徴を2つご紹介します。
スポーツや文化・芸術活動などで特に秀でた実績がある人

スポーツの全国大会で入賞したり、文化・芸術活動などに関する全国規模のコンクールでの受賞歴などがあったりする場合は、一芸入試において非常に有利です。
なぜなら、実績が優れているほど、これまでの活動を通じて得られたスキルや経験が確かなものであることの証になり、評価が高くなるからです。
なお、出願書類や面接では、これまでの活動を通じて得られたスキルや経験をどのように大学生活に活かすかを明確にし、入学後の学びや成長への意欲を示すことが求められます。
そのため、出願書類や面接の対策も怠らないことが重要です。
活動実績を活かして難関大学に入学したい人
一芸入試は多くの難関大学でも実施されています。レベルの高い大学ほど出願基準は高いですが、出願基準を満たせれば、一般選抜での合格が難しい難関大学に合格できる可能性があります。
なお、一芸入試では、出願書類と面接での審査のみで、これまでの実績を中心に合否が判定されることも多いです。
そのため、一般的な総合型選抜入試(AO入試)や公募推薦入試の対策に比べて少ない負担で難関大学を受験できます。
受験する際に注意したい点

続いて、一芸入試を受験する際に注意したいポイントについて解説します。
大学や学部・学科によっては評定平均や履修要件などの出願条件を満たす必要がある

一芸入試は特に秀でた活動実績や取得資格を重視する入試ですが、出願時には評定平均や履修要件などの出願条件を満たさなければならない場合もあります。
評定平均については、スポーツ推薦だと3.0、文化・芸術活動に関する入試だと3.5程度以上が求められることが多いです。
具体的な数値は大学や学部・学科によって異なるため、必ず最新の入学試験要項を確認しましょう。また、理系学部を受験する場合は、高校で指定の科目を履修していることが出願条件となることもあります。
このように、活動実績や取得資格以外に関する出願条件が設けられている場合は、どの出願条件も満たせているかをしっかり確認することが重要です。
一芸入試を行っていない大学もある
多くの大学は一般選抜を主軸にしており、優れた才能や実績を持つ学生に特化した入試形態である一芸入試を実施している大学は限られています。
したがって、一芸入試を希望する場合は、事前にどの大学で実施しているかを調査し、どのような入試形式なら自分の活動実績や取得資格で出願できるのかについて最新の入学試験要項で丁寧に確認することが重要です。
入学後に周りとの学力差に悩むこともある

一芸入試では学力試験が課されないことも多く、入学した後に一般選抜を経て入学した学生との基礎学力の差が大きいと感じることがあります。
そのため、学力差を埋めるために、一芸入試で合格した後も継続的に学習に励み、大学での学びに備える必要があります。
大学の授業についていくために必要な学力を身につけておくことで、入学後に大学での学びと課外活動を両立させやすくなります。
一芸入試に対して多くの人がよく抱く疑問

最後に、一芸入試を検討している人がよく抱く疑問にまとめて回答していきます。
早稲田大学や東大にも一芸入試はあるの?

早稲田大学と東京大学においても、一芸に秀でた受験生を対象とした入試制度が存在します。
早稲田大学では、先進理工学部で特別選抜入試、スポーツ科学部でアスリート選抜などが行われており、学問やスポーツでの優れた活動実績を評価する入試制度があります。
参照元:以下
2025年 4月入学 早稲田大学 先進理工学部「特別選抜入学試験」入学試験要項
早稲田大学 スポーツ科学部 入学試験情報
東京大学では一芸のみを評価する入試はありませんが、理学部などでは、学校推薦型選抜において、卓越した学術研究やコンテストでの実績、特に秀でた課外活動の実績を持つ学生を対象にした選考が行われています。
参照元:令和7(2025)年度 東京大学学校推薦型選抜 学生募集要項
上記の入試制度は、学力試験だけでは測れない多様な才能や経験を持つ学生を受け入れることで、大学の多様性を高めることを目的としています。
将棋やけん玉のような面白い実績でも受験できるの?
一芸入試では、将棋やけん玉といったユニークな分野の実績を持つ人でも受験可能な場合があります。
このような特異な技能は特定の大学や学部・学科で高く評価されることがありますが、該当する大学は限られるため、事前の確認が重要です。
また、出願に際して具体的な実績を証明する資料も必要なので、予め用意しましょう。なお、自分の活動実績で出願できるかわからない場合は、大学に直接問い合わせて確認するのが確実です。
実績がそこまで卓越したものでなくても一芸入試で合格できるの?

一芸入試で求められる実績は大学や学部・学科により大きく異なります。そのため、各大学の総合型選抜入試(AO入試)や公募推薦入試の募集要項を確認し、自分の活動実績を活かせる入試を見つけることが重要です。
なお、出願できたとしても、他の受験生より実績が劣っている場合は、志望理由や入学後の学修計画の充実度などで周りと差をつける必要があります。
そのため、一芸入試で合格するには、高校での努力を志望大学でどのように活かし、どのような活動に注力していきたいのかを明確にアピールし、熱意などを高く評価してもらうことが重要になります。
参考記事:活動報告書の正しい書き方を解説
参考記事:学修計画書の正しい書き方や例文を解説
このページのまとめ

このページでは、特に優れた活動実績を評価する一芸入試の内容やおすすめな人の特徴、受験する際の注意点などについて解説してきました。最後に、このページのポイントをまとめます。
- 一芸入試では、スポーツや文化・芸術活動などの分野での卓越した能力や秀でた実績を直接評価することにより、優れた能力を持つ学生が強みや才能を最大限に活かして進学できる機会を提供している
- 一芸入試は、スポーツ推薦入試や文化・芸術活動に関する入試、科学オリンピック入試、特別推薦入試などの名称で実施されている
- これまで力を入れてきたスポーツの実績を活かして大学に合格したい人には、スポーツ推薦入試が最適な選択肢と言える
- 高難度資格に関する推薦入試では、英検準1級やTOEICなどでの高スコア取得、日商簿記検定1級取得や基本情報技術者試験に合格していることなどが出願条件となっている
- 一芸入試では、活動実績以外に評定平均や履修科目などの出願条件を満たす必要もあるため、活動実績が優れていても出願できないことがある
- 大学によって入試形態や対象となる活動分野、出願条件、実施学部・学科が異なるため、一芸入試を受験したいなら自分の活動実績を活かせる入試を見つけることが大事である
高校時代に特に優れた活動実績を残した人は、ぜひ今回紹介した内容を参考にして一芸入試にチャレンジしてみてください!
参考記事:特別入試の対策をはじめる最高の時期はいつ?
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。