教養学部とは？何を学ぶかや向いている人、取れる資格、就職先を紹介

教養学部とは？何を学ぶ学部なのか？

教養学部で学ぶ教養学とは、人間の教養を深めるための学問分野です。人間の知識、教養、品性、思考力、判断力を高めるための学問を通じて世界や社会、人間を多角的に理解する力を身につけます。

そのため、教養学部では、特定の学問分野に特化して深く追究するのではなく、幅広い学問分野を異なる視点やアプローチから総合的に学ぶことで、多角的に物事を考える力を養えます。

具体的には、下記のような多岐にわたる学問などの講義や実習が用意されています。

教養学部では、学びの方向性を定めて学びたいテーマを深めていけます。そのため、興味や関心に基づき、目的に合わせて多様な科目から自由に授業を選び、オリジナルなカリキュラムを組むことができます。

なお、教養学部では学問だけではなく、実社会で必要となるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力などの実践的なスキルも身につけられます。

入学後のカリキュラムと時間割の例

教養学部では多くの学問が学べる一方、どのような知識を得られるか不安に思う方もいるでしょう。

そこで、教養学部に入学した後に何を学ぶかをご理解いただくために、東海大学の教養学部・人間環境学科・社会環境課程に入学した後に受ける事ができる授業の一例をご紹介します。

​参照元：東海大学 2021年度 教養学部 人間環境学科 社会環境課程主専攻科目

ミクロ経済学やマクロ経済学、ゼミ、卒業研究は必修となっていますが、その他の科目は自由選択となっています。そのため、環境、福祉などの様々な幅広い科目を選択し、自分の興味に沿って学んでいけます。

また、時間割の一例は以下の通りです。

教養学部のある大学の例

教養学部のある大学の例としては、次の大学が挙げられます。

参照元：以下
​東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 研究科長・学部長挨拶 大学院総合文化研究科・教養学部のご紹介​
埼玉大学 教養学部
国際基督教大学 Academics ICUの学び
東海大学 教養学部​

教養学部のある大学の選び方のポイント

教養学部のある大学の選び方のポイントは次のとおりです。

​以上のポイントを踏まえて自分に合った大学を選ぶようにしましょう。

教養学部に向いている人の特徴

教養学部に向いている人の特徴としては、下記の点が挙げられます。

• 専攻したい学問がなく幅広い学問を学びたい
• 異文化に興味がある
• 多角的な視点から問題を解決する能力を身につけたい
• 好奇心が旺盛かつ柔軟な発想ができる
  

上記の点に該当する学生は教養学部に向いている傾向があります。

専攻したい学問がなく幅広い学問を学びたい

教養学部は、特定の専攻を持たず、あらゆる学問の基礎を学びながら幅広い教養を習得することを目指す学部です。

そのため、専攻したい学問がなく幅広い学問を学びたいと考えている学生にとっては特に最適な選択肢となるでしょう。

ただし、教養学部では自主性や主体性を育てることも大切な目標とされており、自ら学びの道筋を設定することが求められます。

そのため、幅広い学問を学ぶことで興味や適性を発見し、専門的に追究したいテーマや方向性を決めて興味や関心を深く探究していく必要もあります。

異文化に興味がある

異文化に興味を持つ学生にも教養学部がおすすめです。なぜなら、教養学部では、多種多様な文化や国、地域に関する学問が学べるからです。

例えば、異文化理解や国際関係、地域研究などのコースでは、異なる文化背景を持つ人々との関わりを深め、それぞれの視点から世界を理解するための知識とスキルが身につきます。

異文化交理解は現代社会において非常に価値のあるスキルであり、国際的な環境で働く可能性がある学生にとっては特に有益です。

そのため、視野を広げるために異なる文化に触れることに興味がある学生にとって教養学部は絶好の場所と言えるでしょう。

多角的な視点から問題を解決する能力を身につけたい

教養学部には、多角的な視点から問題を解決する能力を身につけたい学生も向いています。

なぜなら、教養学部では1つのテーマに対して様々な学問の切り口から切り込んでいくことが多く、多角的な視点から問題を解決する機会に恵まれるからです。

例えば、1つの問題に対しても、心理学に基づく科学的な視点、歴史学に基づく歴史的な視点、政治学に基づく社会的な視点などのさまざまな角度からアプローチする力が身につきます。

幅広い多様な視点から問題を捉え解決する能力は、社会に出てからも、企業や組織の問題解決、新しいビジネスモデルの創出、社会問題の解決などの多くの場面で求められるため、非常に重要です。

そのため、多角的な視点から問題を解決する能力を身につけることでキャリアステップが上手く進み、あなたの目標や夢を叶えやすくなるでしょう。

好奇心が旺盛かつ柔軟な発想ができる

​教養学部では、自らの意志で学習テーマを選び、科目を選択する必要があります。選べるテーマや科目は多岐にわたるため、さまざまな分野に対する好奇心が旺盛であると、より学びの幅を広げられます。

また、教養学部での学びは学際的であるため、1つのテーマに対しても様々な分野から研究していく面白さがあります。

そのため、「こういう捉え方もできるよね」といった柔軟な発想ができると、より学びを深められます。

入学後の学びを活かして取得できる資格

教養学部での学びを活かして取得できる資格は下記のとおりです。

• 教員職員免許状
• 社会調査士
• 認定心理士
  
• 登録日本語教員
• 学芸員
  

上記の資格は教養学部で培った学びを活かして取得できる資格です。社会人になって幅広く活用できる資格であるため、キャリアプランにも活かせるでしょう。それぞれの資格の説明については1つずつこれから取り上げていきます。

教育職員免許状

教育職員免許状は公立・私立学校で教師として働くために必要な資格です。教育職員免許状には下記のように教育段階や専門科目に応じて複数の種類があります。

• 幼稚園教諭
• 小学校教諭
• 中学校教諭
• 高等学校教諭
• 特別支援学校教諭

教育職員免許状を持つことで、教壇の前に立つことだけでなく、学校の運営や教育政策の策定など、教育に関わる多岐にわたる仕事に携われます。

なお、教養学部で学べる人間環境学や心理学、教育学は、生徒との関係を構築する部分でより活かせるでしょう。

社会調査士

社会調査士は、市場調査や公共調査など、多岐にわたる調査活動を専門的に行う人材のための資格です。社会現象を理解し、意思決定や政策策定に科学的な根拠を提供するための調査を行います。

教養学部では、フィールドワークや実習経験を通じてインタビュー調査やアンケート調査をする機会もあるため、実際の調査で役立つ技術と知識を習得することができます。

認定心理士

認定心理士は一般の心理カウンセラーや心理療法士とは異なり、心理学に関する専門的な知識と技術を有し、個々の心理状態の評価やカウンセリング、心理教育などを行う専門職の資格です。

認定心理士の資格を取得するためには、大学や大学院で心理学を専攻し、一定の基準を満たす必要があります。

そのため、教養学部で心理学の基本的な知識と理論、さらに人間理解のための広範な教養を学ぶことで、資格の取得において大いに役立つでしょう。

登録日本語教員

登録日本語教員資格は、日本語教育の基礎的な知識と能力を有することを証明する資格です。

教養学部では、文化、歴史、社会、人間心理といった幅広い学問を学ぶため、日本語教育に必要な知識を身につけられます。

また、多文化理解や異文化コミュニケーションのスキルも身につくので、日本語教育の現場で活躍するための足固めができます。

学芸員

学芸員は美術館や博物館などの公共文化施設で展示物の選定・解説・保管管理などを行う専門職の資格です。

教養学部で学ぶ人文学、社会科学、自然科学などの多岐にわたる知識は学芸員として働くうえで必要不可欠です。そのため、広範な視野と知識が求められる学芸員の資格取得に有利となります。

卒業したら何になれる？主な進路・就職先を紹介

教養学部を卒業した後の代表的な進路・就職先としては、下記が挙げられます。

• 一般企業に就職する
• 公務員になる
• 大学院に進学する

それぞれの進路・就職先について詳しく見ていきましょう。

一般企業に就職する

教養学部の卒業生が最も多く就職するのは一般企業です。

一般企業には、営業や人事、財務、マーケティングなど、多種多様な職種が存在し、教養学部で学ぶ多岐にわたる知識とスキルは幅広い業種で活用できます。

卒業後の就職先をイメージして頂くために、埼玉大学の2019年度から2023年度までの5年間で就職先が多かった業界をまとめてみました。

1. 運輸・通信
2. サービス
3. 製造
   
4. 金融・保険
   
5. 飲食・卸売・小売
6. 教育
7. 不動産

参照元：埼玉大学 教養学部 就職、進学 卒業生の進路（2024年3月末時点）

以上のように卒業生が色々な業界に就職していることが分かります。加えて教養学部では多文化理解や国際社会についての知識も身につけられるため、グローバルに展開する企業での働き方にも対応可能です。

公務員になる

教養学部の卒業生のうち、公務員になる人も多いです。公務員には、国や地方自治体、公立学校など、あらゆる公的な機関で社会に貢献する機会があります。

教養学部で学んだ広範な知識やスキルを活かし、多岐にわたる業務に対応できる能力は、公務員に必要な資質として評価されます。

特に教育や社会福祉、地域振興などの分野では、教養学部で学んだ知識が活かされ、大きな成果を上げることが期待されます。

なお、公務員として働く魅力として、安定した職場環境や福利厚生の良さが挙げられますが、公務員試験は競争率が高いので、試験対策に時間を割く必要があります。

そのため、公務員志望の場合は早い段階から試験対策を始め、公務員試験に向けた準備をしておきましょう。

大学院に進学する

大学院に進学することも選択肢の1つです。教養学部では幅広い学問を学ぶ中で興味が特定の分野に向かっていくケースが多いです。

そのため、特定の分野をより深く学ぶために大学院への進学を選ぶ学生も一定数います。もちろん、単に知識を深めたいだけでなく、研究者や大学教員、専門職を目指すために大学院に進む場合もあります。

教養学部で何を学ぶのかに関するよくある質問

ここでは、教養学部に関するよくある質問について回答します。

• ​教養学部は文系ですか？
  
• 教養学部と教育学部の違いは何ですか？
  
• 教養学部と人文学部の違いは何ですか？
  
• 教養学部に入学するメリットはありますか？
  
• 教養学部にはどんな学科や専攻があり、どれを選ぶのが良いですか？
  

教養学部は文系ですか？

教養学部は文系と理系の両方の要素を含んだカリキュラムを提供しているため、「文理融合型」の学部とされています。

学生は文理に限定されず多様な学問領域に触れることができ、幅広い教育を受けられるという特徴があります。

教養学部と教育学部の違いは何ですか？

教養学部と教育学部の違いは以下のとおりです。

教養学部と教育学部には以上のような違いがあります。そのため、あなたの進みたい方向性によって選択するのが良いでしょう。

参考記事：教育学部の特集ページはこちら​

教養学部と人文学部の違いは何ですか？

教養学部と人文学部の間には、何をどのように学ぶかという点で違いがあります。以下に表でまとめたので、ご覧ください。

教養学部では哲学、歴史学、心理学などの人文科学をはじめとし、自然科学、社会科学など、多岐にわたる学問領域を総合的に学びます。

一方、人文学部では人間や文化を理解するために、哲学、文学、歴史学などの人文科学を主に学びます。教養学部と人文学部には以上のような違いがあります。

教養学部に入学するメリットはありますか？

教養学部に入学するメリットとしては、主に下記の内容が挙げられます。

以上のように、教養学部には多くのメリットがありますが、興味・関心や将来のキャリアパスを考えながら学部を選ぶことが大切です。

教養学部にはどんな学科や専攻があり、どれを選ぶのが良いですか？

教養学部の学科や専攻には、各大学それぞれの個性的な名称や分け方が見られます。例えば、埼玉大学の教養学部の専攻は下記のように分けられています。

参照元：埼玉大学 教養学部 学部概要 教育課程​

学科や専攻選びのポイントは、学びたい学問が受講できるかです。もし学びたい学問がない場合は、将来のキャリアに必要だと思われる学科や専攻を選ぶと、将来のキャリアで役立つ可能性が高まるでしょう。

今回の内容のまとめ

教養学部に関する重要なポイントを最後にまとめていきます。

• 教養学部とは、特定の学問分野に特化するのではなく、幅広い学問分野を総合的に学ぶための学部である。
• 教養学部での学びは多種多様な学問をカバーしており、それぞれの分野で得た知識やスキルを統合的に活用できる柔軟な能力を養える。
  
• 教養学部を専攻するのに向いている学生の特徴として「専攻したい学問がなく幅広い学問を学びたい」「異文化に興味がある」「多角的な視点から問題を解決する能力を身につけたい」というような特徴が挙げられる。
  
• 教養学部では多岐にわたる学問を学べるため、教養学部で学んだ経験でキャリアの選択肢を広げられる。卒業後は一般企業に就職したり公務員になったり大学院に進学したりするのが一般的である。

このように、教養学部で学ぶことで、あなたの可能性を広げ、未来をデザインする力を育めます。本ページを参考にして教養学部への興味・関心を深めていただければ幸いです。

最後になりますが、教養学部にご関心をお持ちの方におすすめの学部の特集ページをまとめましたので、ぜひご覧ください。

人間科学部の特集ページ
​国際教養学部の特集ページ