年内入試ナビ

作成日: 2024/12/20 更新日:2024/12/20

人間科学部とは?何を学ぶのか、向いている人まで徹底解説

人間科学部とは?何を学ぶのか、向いている人まで徹底解説

大学の人間科学部に興味があったとしても、あまり情報を得られないですよね。

そこで今回は、人間科学とはどのような学問なのかという説明や、人間科学部の具体的な学習内容や就職先について詳しく解説していきます。

人間科学部に興味がある人が抱く疑問についてもお答えしますので、「自分は人間科学部に向いているのか」をたしかめ、進路選択の一助にしてください。​​

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

人間科学部とは何を学ぶ学部なのか?

人間科学部とは?

人間科学部は、人間を科学的に研究する学部です。

具体的には、人間の心や行動、社会や文化をはじめ、感情、言語、発達、健康、福祉、教育などを多角的に研究します。

心理学、社会学、教育学、文化人類学などの多岐にわたる学問領域を包括し、科学的手法を用いて幅広い多様な視点から人間の行動や思考、社会的な関係性を解析するのが特徴です。

また、現地調査が多いため、理論だけでなく社会問題や現場の課題解決に役立つ実践的なスキルも学びます。

そのため、心理カウンセラー、社会福祉士、教育者、研究者、企業の人事やマーケティングなど、人間を理解する力が求められる多種多様な職種で学びを生かせるのが魅力です。

​​人間科学部では何を学ぶのか?主な内容やポイントを解説

人間科学部で学ぶこと

人間科学部で学ぶのは、「人間科学」が中心です。

心理学、教育学、社会学などの多角的な視点から、人間の行動や思考、感情などを科学的に研究します。

具体的な研究テーマは、子どもの発達、高齢者の生活、障害者支援、人間関係の構築などです。

また、経済学や情報科学などの人間科学以外の学問も学び、人間科学の知識と結びつけて考えることで、より広範で深い理解を目指すのが特徴です。

​​​​入学後に取り組む事になる研究テーマの例

​人間科学部では取り組む研究の一例に、「高齢社会における介護問題」があります。

高齢者が直面する課題や、それに対するアプローチ方法を学ぶ研究です。

また、「子どもの発達と教育」についての研究も行われています。

子どもの心理的、身体的な発達を理解し、最適な教育方法を探求します。

他にも「都市問題とコミュニティデザイン」など、社会全体を対象とした研究も行われています。

この研究では、都市環境が人々の生活にどのように影響を与え、それをどのように改善するかを考えます。

このように人間科学部では幅広い視点からの学びを通し、将来、社会に貢献できる人材を輩出することを目指しています。

​​入学後に学べる人間科学以外の主な学問

人間科学以外の学問

人間科学部では、心理学や社会学、教育学など、人間科学以外の学問も探求します。

他の学問と人間科学を組み合わせることで、より深い理解と視野を得るためです。

人間科学部で学ぶ人間科学以外の学問
​学ぶ内容
​学ぶことで得られるメリット
心理学
人間の心の仕組みを科学的な方法で研究する
人間の心を深く知り、理解することで、人を助けたりよりよい社会を作ったりする
社会学
​人と人、組織と組織など、「社会」を研究する
​社会現象はなぜ発生するのか、どのような影響を個人と社会に及ぼすのかを理解する
教育学
人間の成長と発達を教育という現象からとらえ、教育が人間と社会にどのように関連し、作用しているかを研究する
教育が人にどのような影響を与えるのかを理解できる
福祉学
児童、高齢者、障害者など、援助を必要としている人が安心して暮らせる社会にするための制度や地域の在り方、公的な支援を研究する
​実際にハンディを背負っている人の実態や、その人たちに必要な支援がわかる
健康科学
​未病から病気にならないようにする科学
健康から未病に陥らないようにする科学
健康である状況を増進する科学
という3つの分野から健康を研究する
自分や他人の健康状態がわかる
スポーツ科学
​データに基づいてスポーツや競技者の可能性を最大化するための研究を行う。バイオメカニクス、生理学、栄養学、生化学、医学、心理学などの専門分野がある
スポーツを行うことによる効果や、生活へのスポーツの取り入れ方がわかる

参考:立教大学 心理学部

参考:信州大学 人文学部

参考:桜美林大学社 会領域/教育学プログラム

人間科学部で設置されている主な学科

人間科学部では、人間環境学科、心理学科、社会文化学科などが設置されています。

各学科では専門的な知識を学ぶだけでなく、幅広い視野を持つための教育も行われています。

人間科学部に設置されている主な学科
学科で学ぶ内容
人間環境学科
​人間と環境の関係性を理解し、それを基にした社会の課題解決
心理学科
​人間の心を科学的アプローチから探究する
文化社会学科
​身近にある社会現象や文化について、社会調査の技法を用いて深く考える
福祉学科(社会福祉学科)
援助を必要としている人に焦点を当て、誰もが安心して暮らせる社会にするための制度や支援を研究する
教育学科
人間と教育をめぐる諸問題を教育学的観点から総合的・多角的に考究し、人間尊厳の教育を実現する力を養う
健康科学科
「食」「からだ」「こころ」の3分野を軸に、健康についての専門知識を修得

参考:早稲田大学 人間科学部人間環境学科

参考:上智大学 総合人間科学部心理学科

参考:甲南女子大学 人間科学部文化社会学科

参考:西南大学 人間科学部社会福祉学科

参考:上智大学 総合人間科学部教育学科

参考:大阪国際大学 人間科学部人間健康科学科

向いている人の特徴

人間科学部に向いている人

人間科学を学ぶ上では、人間に対する深い興味と理解、論理的思考力、他学問への興味関心が求められます。

それらの特徴を持っている人は、人間科学部に向いているといえるでしょう。

人間科学部に向いている人の特徴
その特徴を持っている人が向いている理由
人間に興味がある
​人間の心理、行動、文化、社会など、人間に関するさまざまな現象を分析するため
論理的思考力がある
人間の複雑な性質や行動に対し、情報を整理、分析して理論を組み立てるため
幅広い学問分野を横断的に学びたい
人間科学以外の学問も人間科学に必要なため
教育や福祉への興味
教育や福祉に関する学習が多いため
実践的な研究や現場での体験への意欲
現場での実験や体験が多いため

人間科学部のある主な大学を紹介

人間科学部がある主な大学

全国には人間科学部のある大学が多数存在します。

国公立大学は研究を重視、私立大学は実践を重視する傾向があります。

以下に有名な大学を3つご紹介します。

早稲田大学・人間科学部

早稲田大学の人間科学部は専攻内容によって以下の3つの学科に分かれ、専攻内容がかなり大きく異なっています。

具体的な興味やキャリアパスが定まっていないのであれば、人間環境科学科を選択するのが無難でしょう。

学科
関連分野
学科の特徴
人間環境科学科
心理学・社会学
心理学や社会学を中心に、人間環境学の見地から学問を深める学科。一般的な人間科学部にもっとも近い学科
健康福祉学科
福祉・医学
福祉に特化した学科。医学に近い内容も扱う
人間情報科学科
教育工学
コンピューター・サイエンスを駆使しながら教育工学などを扱う学科
早稲田大学の人間科学部は学術水準が高く、学びの選択肢が豊富なため、多くの学生から高い評価を得ています。

人間科学部への入学を希望する場合は、ぜひ、早稲田大学も目指してみてください。

参考:早稲田大学人間科学部

神奈川大学・人間科学部

神奈川大学人間科学部

神奈川大学の人間科学部では、人間科学の理論と実践を組み合わせた実践的な学びが重視されています。

理論の面では、対人関係力、自己管理力、批判的思考力を高める科目群を履修しながら、下記の3コースに分かれて専門分野を学びます。

  • 心理発達コース
  • スポーツ健康コース
  • 人間社会コース

実践面では、地域や社会に関わる活動や実際の現場での実習などを通じて、学んだ理論を実際の現場で活かす実地調査の機会が多く提供されています。

これらの学びを通じて、卒業後は教育現場や福祉現場、企業など、幅広い分野で活躍することが可能なので、神奈川大学の人間科学部も進路の候補に入れてみてください。

参考:神奈川大学 人間科学部

大阪大学・人間科学部

大阪大学の人間科学部では、2年生の後半から下記の4科目に分かれます。

  • 行動学
  • 社会学
  • 教育学
  • 共生学

大阪大学は、理論と実践を融合した教育をポリシーとしているため、人間科学部でもその理念が色濃く反映されています。

また、学生数に対する教員の数が多いため、教員との密接なコミュニケーションが取れたり、学部英語コースでの学びを通じて国際的な視野を養ったりするのも、国立大学ならではの魅力です。

入学するのは決して簡単ではありませんが、得られるものを考えると目指す価値のある大学であると言えるでしょう。

取得できる資格とその利点

人間科学部で取得できる資格

人間科学部で取得できる主な資格は以下の通りです。

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 認定心理士
  • 健康心理士
  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 健康運動指導士
  • 教育職員免許(主に保健体育や家庭科)

など

​臨床心理士、公認心理士、認定心理士、健康心理士、いずれも人の心に寄り添い、サポートする仕事の資格です。

教育職員免許は、小中高の各校で教諭として働くための資格です。

主に保健体育や家庭科での教員免許を目指すことになります。

大学在学中に教育実習などの教職課程を修める必要があります。

卒業後の進路と主な就職先の業界・職種

人間科学部を卒業した人の進路

人間科学部の卒業生が活躍しやすいのが、教育・研究、福祉・心理カウンセリング、広報・広告などの業界です。

以下で詳しく見ていきましょう。

教育・研究分野

人間科学部の卒業生が活躍する分野のひとつが、教育現場や研究機関です。

具体的には、在学中に教育職員免許状を取得した上で教員として働いたり、省庁などの公的機関、あるいは民間企業の研究職に進んだりします。

教育者としては、学校教育や特別支援教育、生涯教育などの現場で、人間科学の知識を生かした教育プログラムの開発や指導に携わるようになります。

一方、研究者としては、大学院で研究した後、大学教授や研究者として人間の行動や思考のメカニズム、心理、文化、社会などの研究を進め、その成果を社会に還元する役割を果たします。

福祉・心理カウンセリング

福祉・カウンセリング

人間科学部では、人間の心理や行動を深く理解するための知識・技術を身につけます。

その経験は、社会福祉士、精神保健福祉士、心理カウンセラー、学校心理士、公認心理師、などで生かすことができます。

就職先としては、社会福祉法人、医療機関、リハビリ施設、地域福祉や子育て支援の公務員行政職への就職につながります。

人間の心理に深く寄り添い、個々の問題解決を支援する専門性が求められるため、人間科学部で学んだ心理学の知識やカウンセリング技術が役に立ちます。

広報・広告業界

広告業界では、人間科学部で学んだ知識から消費者の心理や行動を予測し、効果的な広告戦略を立てることができます。

ポスター、CM、SNSでの広告投稿など、自社の宣伝活動に貢献できるでしょう。

広報活動では、企業の価値観や理念を社会に伝え、社会との良好な関係を築くことが求められます。

人間科学部で学んだ人の感情や行動、コミュニケーション理論を活かせるでしょう。

人間科学部に興味がある人がよく抱く疑問

人間科学部に関する疑問

ここからは、人間科学部に興味がある人がよく抱く疑問に対して具体的に回答していきます。

人間科学部は理系なの?文系なの?

人間科学部は理系と文系の二つの領域を跨ぐように学ぶユニークな学部です。

理系と文系のどちらにも興味がある場合や、一方の領域だけでなく人間を多角的に捉えたいと考えている人に向いている学部と言えるでしょう。

一方で、完全に理系または文系に特化したいという場合には、別の学部を選んだ方が良いかもしれません。

心理学部や教育学部、社会学部との違いは?

人間科学部、心理学部、教育学部、社会学部の違い

人間科学部では心理学部や教育学部、社会学部に比べて、総合的に幅広い学びができます。

対象の学部
学部の特徴
その学問を人間科学部で学ぶ際の特徴
心理学部
​人間の心理を深く掘り下げる
心理学だけでなく、社会学、教育学、哲学など幅広い視点から人間を理解する
教育学部
​教育現場での実践的な知識を中心に学ぶ
​教育の理論だけでなく、人間の発達や社会的背景にも焦点を当てる
社会学部
社会全体の構造や現象を分析する
個々の人間の視点から考え、どのように人間が社会に影響を与えるのか、反対に影響を受けるのかを考察する

以上のように、人間科学部は他の学部よりも多角的な視点から人間を捉えることを特徴としています。

国公立大学と私立大学でカリキュラムに違いはあるの?

一般的に、国公立大学では学問の基礎をしっかりと学習し、幅広い視野を養うことが重視されています。

一方、私立大学では、より専門的な知識を深く学ぶためのカリキュラムが設定されていることが多いです。

人間科学部の場合は、国公立大学の方が必修科目が多くカリキュラムが固定的で、私立大学の方が選択科目が多くカリキュラムの自由度が高い傾向にあります。

ただし、私立大学の場合でも入学時に学科を決めて専攻分野が固定されるケースもあるので、各大学の公式ウェブサイトなどで具体的なカリキュラムを確認し、自分の目指す学びに最適な大学を選ぶことが必要です。

オープンキャンパスなどを活用して直接学生や教員と話すことでより具体的な情報を得ることもできるので、そのような機会も有効に活用してください。

授業や時間割、キャンパスライフは?

キャンパスライフ

人間科学部の授業は、一般的な学部と同様に、1週間で設定された時間割に基づいて行われます。

講義形式の授業やゼミ、実験・実習など多岐にわたる学びがあるので、インプットがメインの学部に比べるとアウトプット中心のカリキュラムになっています。

幅広い学問分野を横断的に学べるため、多くの科目を履修できるのも特徴です。

その中で理論から実践まで幅広く学べるのが特徴で、自分の興味や目指す進路に合わせて授業を選ぶことができます。

一方で、自由度が高い分、自己管理が求められるので、自分の時間を有意義に活用するためのスケジューリングがより大切になってきます。

また、人間科学部の学生は、授業以外にも学生自治会やサークル活動、ボランティア活動に積極的に参加している人が多い傾向です。

理系の学部に比べて卒業に必要な単位数が少ないことが多くで、授業以外のの時間が多く取れるためです。

人間科学部は就活で不利にならない?

人間科学部では、心理学や社会学、教育学など多岐にわたる学問を学び、多角的な視点から人間を理解する力を養います。

これらのスキルは企業が求めるものであり、幅広い業界で活かすことができます。

以下に、東京都市大学、高千穂大学、文教大学の人間科学部の就職に関するデータをまとめました。

人間科学部のある大学
就職率
就職先の例
東京都市大学
100%
医療・福祉、教育・学習支援業、公務
高千穂大学
97.8%
サービス、医療福祉、流通、情報通信 など
文教大学
95.3%
教員、医療福祉、卸・小売、公務員、サービス など

このように、多くの大学が95%以上の就職率となっており、就職活動で不利になるようなデータは見当たりませんでした。

人間科学部を設置している大学を比較する際のポイントは?

人間科学部の比較ポイント

人間科学部を設置している大学は、国公立にも私立にも複数あります。

大学を比較する際には、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。

比較するポイント
比較ポイントの詳細
カリキュラムの特徴
心理学、福祉学、健康科学など自分の興味のある分野が充実しているか
実習やフィールドワークの充実度
現場での体験学習があるか
取得可能な資格
自分の目指す職業に必要な資格を取得できるか。その資格の合格実績。
就職支援の充実度
キャリア相談や合同説明会の案内など、就職支援が充実しているか

この記事のまとめ

人間科学部のまとめ

本記事では、人間科学部について詳しく解説しました。

その中でも、人間科学部に関する重要なポイントを最後に記載していきます。

  • 人間科学部は、人間の行動や思考、感情、個々の人間性に焦点を当て、それらを科学的に理解しようとする学部です。
  • 心理学、教育学、社会学などの学問を総合的に学び、人間の多面的な側面を理解することを目指します。
  • 人間科学部は、人間について深く探求したいと思う人、科学的な視点で社会問題を解決したいと考える人に向いています。
  • 卒業後は、教育、福祉、医療、ビジネスなど多岐にわたる分野で活躍することが可能です。

この記事を通じて、あなたが人間科学部についてより深く理解し、自身の進路選択に活かすことができれば幸いです。

この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


Recommend

今のあなたが狙える大学


Recommend

少し頑張れば目指せる大学