作成日: 2025/4/09 更新日:2025/4/09
農業工学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を徹底解説

「農業工学で学ぶことってどんなことなの?」
「農業工学を学んだ後の就職先は?」
このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、農業工学とはどんな学問であるのかについて徹底解説しています。
この記事で学べること
- 農業工学とはどんな学問なのか
- 農業工学で学ぶこと
- 農業工学が学べる大学
- 農業工学を学んだ後の進路や就職先
- 向いている人の特徴
農業工学とは何を学ぶのか気になっている方、キャリア選択の参考にしたい方はぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
農業工学とは?簡単に解説

農業工学とは、農業生産を効率化し、持続可能な方法で支える工学的な技術や知識を研究する学問です。
農業機械の設計・開発、水管理、環境保全技術、スマート農業技術など幅広い分野をカバーしています。
目的は、農業生産を最大化しながら環境への負荷を最小限に抑えることです。
例えば、精密農業技術により農薬や肥料を必要最小限にしつつ収穫量を増やし、環境保護に貢献しています。
さらに、トラクターやコンバインなどの機械化が作業効率を大幅に向上させ、ドローンやロボットを活用したスマート農業も普及しつつあります。
また、灌漑システムや水管理技術を駆使して、水資源の有効利用と環境保護を両立し、気候変動への対応も強化しています。
このように農業工学は、持続可能な農業の実現に向けて重要な役割を果たしています。
農業工学では何を学ぶ?学ぶ内容・分野

農業工学では何を学ぶのでしょうか。
以下に農業工学で主に学ぶ学問領域についてまとめます。
- 土壌・水資源工学
- 農業機械工学
- 農業施設工学
- 生物生産システム工学
- 農業情報工学
- 農業環境工学
それぞれの領域で学ぶ内容を詳しく見ていきましょう。
土壌・水資源工学
土壌・水資源工学は、土壌や水資源の効率的管理、農地の保全や改良を扱う分野です。農地の持続可能な利用や水資源の最適化が目的です。
農業土木工学で学ぶ具体的な内容は、以下のようなものがあります。
学問 | 学ぶこと |
|---|---|
灌漑排水工学 | ・農地への効率的な水供給(灌漑)および排水システムの設計・管理を学ぶ ・灌漑方法(散水、点滴、畦間灌漑)や排水施設(暗渠排水等)の理論と実務を学ぶ |
土壌工学 | ・ 土壌の物理的・化学的性質を分析し、農業生産に適した土壌環境を整える方法を学ぶ ・土壌改良や浸食防止技術、圃場整備技術を習得する |
水文学・水資源工学 | ・降水・蒸発・地下水流動など水循環に関する基礎理論を学び、水資源を適切に管理するための手法を理解する ・河川流域の管理方法、洪水防止技術なども扱う |
土地改良工学 | ・農地の整備(圃場整備や区画整理)、農地保全のための基盤整備技術を学ぶ ・土地改良事業の計画、施工方法について習得する |
土壌・水資源工学を学ぶことで、農業生産を支えるインフラの設計と管理に必要な技術を習得し、持続可能な農業を実現するための貢献が期待されます。
農業機械工学

農業機械工学は、農業の効率化を目的に、農業機械の設計や開発を学ぶ分野です。
農業機械工学で学ぶ具体的な内容は、以下のようなものがあります。
学問 | 学ぶこと |
|---|---|
農業機械学 | ・トラクター、田植機、コンバイン、耕運機などの基本的な農業機械の原理、構造、操作方法を学ぶ ・機械のメンテナンスや修理、安全管理についても学ぶ |
ロボティクス工学 | ・農作業を自動化・省力化するためのロボットや無人機(ドローン等)の設計や制御方法を学ぶ ・画像認識やセンサー技術を応用したロボットの自律的制御や運用方法も扱う |
精密農業工学 | ・作物や農地の状態をセンシングし、データに基づいてきめ細かく管理する技術(GPS、GISを活用した位置情報管理など)を学ぶ ・センサー技術、画像処理、位置情報技術の応用を具体的に理解する |
制御工学 | ・農業機械や施設内の環境条件(温度、湿度など)を適切に管理するための制御理論や方法を学ぶ ・PID制御やフィードバック制御などの自動制御の仕組みを理解する |
このように農業機械工学では、農業の機械化、自動化、ロボット化を通して作業効率化と生産性向上を目指します。
農業施設工学
農業施設工学は農業生産を支える施設(温室、畜舎、貯蔵庫など)の設計や環境管理技術を扱います。効率的で快適な施設設計や運用管理が目的です。
農業施設工学で学ぶ主な内容は以下の通りです。
学問 | 学ぶこと |
|---|---|
農業施設設計論 | ・植物工場や畜舎、ビニールハウスなどの施設の設計方法を学ぶ ・農業施設に適した建築材料や構造設計、耐久性について理解する |
環境制御工学 | ・施設内の光、温度、湿度、二酸化炭素濃度の制御手法を学習し、最適な生育環境の維持方法を習得する ・空調設備や自動環境制御装置の仕組みや管理方法を学ぶ |
再生可能エネルギー工学 | ・農業施設における太陽光・バイオマス・風力などの再生可能エネルギーの活用技術について学ぶ ・エネルギー効率化、環境負荷の低減方法などを理解する |
農業建築学 | ・農業用途に特化した建築技術(耐候性、衛生面、動線設計)を学ぶ ・農業特有の要求条件に対応した施設の計画や施工を学ぶ |
このように、農業施設工学を学ぶことで農業施設の設計管理を通じて農業生産性の向上や環境負荷の削減に貢献できます。
生物生産システム工学

生物生産システム工学は、農業生産システム全体の最適化を目指し、作物や家畜の生育条件を工学的な観点で分析・管理する分野です。
生物生産システム工学で学ぶ主な内容は以下の通りです。
学問 | 学ぶこと |
|---|---|
生物生産システム学 | ・作物栽培や畜産をシステム論的に捉え、生産工程の最適化や管理手法を学ぶ ・植物工場など人工環境下での栽培システム設計、効率的な農業システムの構築理論を理解する |
生育環境解析工学 | ・植物の生育環境を、工学的手法で解析・評価し、収量・品質を向上させる技術を学ぶ ・各種センサー技術を活用し、生育環境(温度、湿度、光、CO₂濃度等)の測定・分析手法を理解する |
バイオセンサー技術 | ・作物や動物の生理的状態を非破壊でモニタリングするためのセンサー技術を学ぶ ・病害の早期発見、品質管理、生育状況のセンシング技術を理解する |
植物工場工学 | ・植物工場など人工環境制御型農業施設での栽培システムの設計・運営を学ぶ ・栽培施設設計から環境制御、生育管理、収穫までの生産管理プロセスを理解する |
このように、生物生産工学を学ぶことは農業生産プロセスの最適化やスマート農業の推進につながります。
農業情報工学
農業情報工学はICT、IoT、ビッグデータ、AIなどの最新技術を農業分野に活用することに特化した分野です。
農業情報工学で学ぶ主な内容は以下の通りです。
学問 | 学ぶこと |
|---|---|
農業情報処理論 | 農業関連データの分析技術、データ処理方法、統計処理や情報管理技術を学ぶ |
精密農業学 | ICTやIoTを駆使したスマート農業の概念や手法、導入事例を学ぶ |
GIS(地理情報システム) | 衛星画像・ドローン画像などの空間データを活用し、農業生産管理や土地利用計画を支援するGIS技術の利用方法を学ぶ |
データサイエンス・機械学習 | AI、機械学習の基礎を学び、農業データ解析への応用技術を習得する |
このように、農業情報工学の学びはこれからのスマート農業の発展に欠かせないものとなっています。
農業環境工学

農業環境工学とは、農業生産活動が環境に及ぼす影響や環境と調和した持続可能な農業のあり方について、工学的な視点から研究する分野です。
農業環境工学で学ぶ主な内容は以下の通りです。
学問 | 学ぶこと |
|---|---|
農業環境保全工学 | ・農業活動による水質汚染・土壌汚染防止のための技術や手法について学ぶ ・農薬や肥料による環境負荷の評価や低減技術などを習得する |
バイオマス工学 | ・家畜ふん尿、作物残渣などの農業系有機廃棄物を適正処理・資源化するための技術を学ぶ ・堆肥化、メタン発酵(バイオガス生成)など、循環型農業を支える技術について理解する |
環境影響評価論 | ・農業活動(施設整備や土地改良事業など)が環境に与える影響を評価・予測する方法を学ぶ ・環境アセスメントの実施手法を習得し、環境調和型の農業計画を立てる技術を習得する |
水環境管理学 | ・農業生産現場からの排水による水質への影響や水環境管理の方法について学ぶ ・灌漑排水施設の設計と水環境の保全に関する技術を理解する |
農業環境工学は、持続可能な農業を実現するために農業活動と環境との調和を工学的に実現することを目指した分野として近年特に注目されています。
学べる学校は?大学・学部・学科の一例

農業工学を学べる大学・学部・学科の一例は以下の通りです。
- 東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科
- 弘前大学農学生命科学部地域環境工学科
- 琉球大学農学部地域農業工学科
それぞれ見ていきましょう。
参考:農業工学が学べる大学一覧はこちら
東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科

東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科は、長い歴史を持つ農業工学を基盤にAIやDX技術を活用したスマート農業を推進する研究を行っています。
環境に優しい持続可能な農業生産システムを構築し、食料や環境問題に貢献することを目指します。
東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科には以下の特徴があります。
- 伝統的な農業工学と最先端技術を融合した教育を提供
- スマート農業やアグリテックを中心にした持続可能な農業システムの開発を推進
- 技術者養成コースでは技術士資格の取得を目指すカリキュラムを編成
東京農業大学生産環境工学科は、環境保全と農業技術に興味があり、AIやDX技術を活用して農業の未来に貢献したい人に向いています。
弘前大学農学生命科学部地域環境工学科

弘前大学農学生命科学部地域環境工学科は、工学と農学の視点から地域の環境づくりや保全について研究しています。
農業土木コースと農山村環境コースの2つのコースで構成されており、地域に貢献できる人材の育成を目指します。
弘前大学農学生命科学部地域環境工学科には以下の特徴があります。
- 農業土木を基礎とし、技術者や地域の農山村環境についての知識を習得する
- 農業土木コースで学ぶことで技術士の受験資格である修習技術者を取得できる
- 3年次からのコース選択であるため、1、2年次に多様な基礎科目や教養科目が履修できる
弘前大学農学生命科学部地域環境工学科は、農業工学の中でも農業土木について深く探究したい人におすすめです。
琉球大学農学部地域農業工学科

琉球大学農学部地域農業工学科は、地域特有の自然条件に適応した農業技術を学び、地域環境保全や防災に焦点を当てています。
また、スマート農業やエネルギーの効率的利用に関する研究も進めており、地域社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。
琉球大学農学部地域農業工学科には以下の特徴があります。
- 地域の環境保全と防災に対応した工学を学ぶ教育を推進
- スマート農業やエネルギーの効率的な利用に重点を置いた研究を展開
- 地域特有の気候や自然条件を考慮した農業技術の研究を推進
琉球大学地域農業工学科は、地域に根ざした農業の発展や環境保全に貢献したい人に向いています。
農業工学を学ぶにはどの学部・学科がベスト?

農業工学は、農学部や工学部、理工学部などで学ぶことができます。
具体的な学科としては、生物環境工学科、地域環境工学科、農業環境工学科、生物資源環境学科、環境・社会基盤学科などがあります。
それぞれの学部系統によって学ぶ分野が異なるため、以下に違いをまとめます
学部系統 | 特徴 |
|---|---|
農学部 | 農業生産の効率化や持続可能な農業を目指し、環境保全と生産技術の両立について学ぶ 地域環境の整備や水資源管理、農業機械の開発にも取り組む |
工学部 | 農業機械や施設の設計、ICTやAIを活用した農業のデジタル化など、より技術的なアプローチを重視する |
理工学部 | 農業に関する物理・化学・情報技術を横断的に学び、環境制御やバイオテクノロジーなど幅広い分野に対応できる |
農業工学について専門的に深く学びたい方は農学部系統の学部学科を選択することがおすすめです。
なぜなら、農学部系統の学部や学科であればより「農業」に重点を当てた学びが得られるからです。
学部や学科の特徴や違いを理解し、あなたに最適な学部学科を選びましょう。
参考記事:工学部とはどんな学部?
農業工学を学ぶことで取得できる資格は?

農業工学を学ぶことで様々な資格の取得ができます。
主に取得できる資格は以下の通りです。
資格 | 説明 |
|---|---|
技術士(農業部門) | 農業分野の高度な専門的知識・技術を認定する資格。 農業施設の設計・施工、土地改良、農業機械開発、農業環境保全などに関する専門家として活動できる。 |
農業機械整備技能士 | 農業機械(トラクターやコンバインなど)の整備・修理技術を認定する国家資格。 取得者は農業機械販売会社やJA、整備工場などで機械の整備やメンテナンスを専門的に行うことができる。 |
測量士・測量士補 | 土地の形状や位置を測定し、土地利用計画や農地整備などに必要な基礎データを作成する測量技術者の資格。 測量士補は測量士の補助を行い、測量士は測量業務の計画立案や管理業務を行う。 |
農業土木技術管理士 | 農業土木の分野(土地改良事業、農道整備、水路整備など)で計画や施工管理を行うための専門的な技術と知識を認定する資格。 農業土木技術者として、地方自治体や土地改良区などでの活躍が期待される。 |
環境計量士(濃度関係) | 土壌・水質・大気などの環境中の有害物質濃度や環境汚染の程度を正確に測定・分析する専門資格。 農業環境の保全や分析業務において有効。 |
土壌医検定(土壌医) | 農地の土壌を診断し、作物が健全に育つための土壌改良や施肥計画を立てる専門家資格。 農業生産性向上や環境保全型農業に貢献できる。 |
これらの資格は取得をすることで専門的な仕事に繋げることもできます。
あなたの将来の目標やキャリアに合わせて資格の取得も目指してみましょう。
農業工学を学んだ後の進路は?就職先・職業・仕事を紹介

農業工学を学んだ後の就職先としてはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的な5つの進路について解説します。
- 農業機械メーカー
- スマート農業関連企業
- 農業協同組合(農協・JA)
- 公務員
- 研究機関・大学
それぞれ見ていきましょう。
農業機械メーカー
農業機械メーカーは、トラクターや収穫機といった農業機械を開発し、農作業の効率化を図る企業です。
農業機械の設計や開発、フィールドテスト、サポート業務など、技術的な知識を活かせる職種が多くあります。
農業工学の知識を活かせる農業機械メーカーの職種の一例として、以下のようなものがあります。
職種 | 仕事内容 |
|---|---|
製品設計者 | トラクターや収穫機などの農業機械の設計・開発を行い、効率的で環境に優しい機械を開発する |
品質管理担当者 | 製品が規定の品質基準を満たしているかを確認し、不具合の解消や改善策を検討する |
フィールドテスト担当者 | 実際の農場で新製品をテストし、耐久性や性能を評価、改良点を見つけて最適化する |
カスタマーサポート | 農家に技術的サポートを提供し、機械の使用方法やメンテナンスについてアドバイスする |
農業機械メーカーでは、農業機械の設計やテストに携わることで、農業生産の効率化を支援します。
製品の開発からアフターサポートまで、さまざまな役割で農業工学の知識を活かせるでしょう。
スマート農業関連企業

スマート農業関連企業は、IoTやAI技術を駆使して農業の自動化や効率化を目指しています。
農業工学の知識に加え、データサイエンスやITのスキルが求められるため、幅広い技術を活かして新たな農業技術の開発に貢献できます。
農業工学の知識を活かせるスマート農業関連企業の職種の一例として、以下のようなものがあります。
職種 | 仕事内容 |
|---|---|
技術開発担当者 | ドローンや自動運転トラクターなど、スマート農業機械の設計・開発に携わる |
データアナリスト | IoTやセンサーから収集されたデータを分析し、農業現場の効率化や最適な意思決定を支援する |
実証実験担当者 | 農場で新技術を試験し、その効果や改良点を現場に反映し、実用化を目指す |
スマート農業関連企業では、先端技術を使って農業の未来を形作ることができます。
農業工学に加え、ITやデータ解析の知識が必要となるため、新しい技術に挑戦する意欲のある方に適した職場です。
農業協同組合(農協・JA)
農協は農業工学を学んだ学生のの主な就職先の一つです。
農協は、農家を組合員として構成された協同組織で、農業経営の支援や農業生産・生活を支えるための各種サービスを提供しています。
具体的には、農業資材(肥料、農薬、農業機械)の販売、農産物の流通・販売、農業指導・相談、金融・共済サービス(JAバンク・JA共済)など、幅広い事業を展開しています。
農協における主な職種と仕事内容は以下の通りです。
職種 | 仕事内容 |
|---|---|
営農指導員 | 地域の農家を訪問し、栽培技術や農業機械やスマート農業技術の導入支援や活用方法の指導を行う |
農業機械担当職員 | 農業機械の販売・メンテナンス・修理・取り扱い方法の指導・安全管理指導やスマート農業機械の導入提案・サポートを行う |
農産物販売・流通担当職員 | 農家が生産した農産物の集荷・流通の管理、販売支援・農産物の品質管理や市場開拓、直売所や加工施設の運営管理などを行う |
施設・設備管理職員 | 共同利用施設の管理・運営・施設の設備メンテナンス、環境制御システムの管理・新規施設の導入計画、環境保全のための設備導入支援などを行う |
農業資材担当職員 | 農業生産に必要な資材の選定・供給・販売管理、使用方法の指導などを行う |
農協へ就職することで、農業工学の知識・技術を直接活用し、機械やICTを活用したスマート農業の普及活動などの地域農業の発展に貢献できます。
公務員

農業工学を学んだ学生にとって、公務員は一般的な就職先の一つとなっています。
なぜなら、農業工学が目的とする農業生産の効率化や環境問題への対処は国や地方自治体と密接に関わる分野だからです。
公務員としての主な就職先と仕事内容は以下の通りです。
就職先 | 仕事内容 |
|---|---|
農林水産省 | 農業政策の企画・立案・推進、農業の技術振興(スマート農業推進)、農業基盤整備、水資源管理施策などに携わる |
地方自治体 | 地域農業の振興や支援策の企画・実施、農業施設の整備や管理(灌漑、排水、圃場整備)、農業関連の補助金や助成事業の運営管理などを行う |
農業技術職員 | 農業技術の研究開発、実証試験の実施、新品種の開発、農業機械・施設の評価研究、地域の農業技術指導や普及活動などを行う |
このように、農業工学の学びを生かして、国家公務員や地方公務員として農業政策、農業施設の整備や維持管理、土地改良事業、環境保全、農業技術の普及・指導などの幅広い分野で活躍できます
研究機関・大学
研究機関や大学では、農業技術の研究や教育に携わることができます。農業の持続可能性や環境保護に関する先端研究を行い、農業分野の知識を深めながら次世代の技術者を育成します。
農業工学の知識を活かせる研究機関・大学の一例として、以下のようなものがあります。
職種 | 仕事内容 |
|---|---|
研究者 | スマート農業や環境保護に関する先端的な研究を行い、新しい農業技術の開発に取り組む |
教育者 | 学生に農業工学の知識を教え、次世代の農業技術者を育成する |
プロジェクトマネージャー | 大規模な研究プロジェクトの計画と管理を行い、国内外の研究者と共同研究を推進する |
研究機関や大学では、農業工学の知識を基に新しい技術の開発や教育に貢献します。研究者や教育者として、農業の未来を支える重要な役割を担う職場です。
よくある質問

農業工学に興味がある人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。
よくある質問とその回答を記載していきます。
農業工学と農業経済学の違いは?
農業工学と農業経済学はどちらも農業に関連していますが、研究対象と目的は異なります。
以下に違いをまとめます。
項目 | 農業工学 | 農業経済学 |
|---|---|---|
概要 | 農業に関する生産活動を工学的・技術的視点で捉え、農業機械や施設設備の開発、農地や水資源の整備、環境制御、生産管理などを研究する学問分野 | 農業を経済的・社会科学的な視点から捉え、農業経営、農業政策、市場流通、農業経営などを分析し、農業の経済的課題や農村の問題解決を目指す学問分野 |
目的 | 農業技術やインフラを工学的に改善し、効率化や持続可能性を向上させる | 農業における経済活動を分析し、政策や市場の発展に貢献する |
主な学習内容 | ・農業機械の開発、設計、運用管理 ・灌漑排水、土地改良、水資源管理 ・農業施設の設計と環境制御 ・農業用ICT、IoT、ロボティクス技術の導入(スマート農業) ・植物工場や施設栽培技術などの生物生産システム設計 ・再生可能エネルギーの農業利用 | ・農業経営の分析・経営管理論 ・農業政策の立案・評価、補助金制度 ・農産物市場や流通システムの分析 ・農業のマーケティングや消費者行動の分析 ・農業に関する国際貿易や農村開発理論 ・地域振興、農村開発の手法と政策 |
農業工学が農業技術に基づく実践的な解決策を目指すのに対し、農業経済学は農業の経済的要素を分析し、政策や市場に役立てることを目的としています。
農業工学は、技術・設備・インフラなど「工学的アプローチ」で農業生産性を高めることを目指し、農業経済学は「経済・経営・政策的アプローチ」で農業の経済的な課題解決を目指します。
参考記事:農業経済学とはどんな学問?
農業工学と生産環境工学の違いは?

農業工学と生産環境工学はどちらも農業生産に関連する学問ですが、焦点と目的が異なります。
以下に違いをまとめます。
項目 | 農業工学 | 生産環境工学 |
|---|---|---|
概要 | 農業に必要な機械・施設などの工学技術の開発・活用を通じ、農業生産効率化を図る学問 | 農業を含む生物生産(作物、家畜、養殖など)に適した環境条件の創出・維持管理を、生物学的・環境工学的アプローチで研究する学問 |
目的 | 農業の機械化や自動化により効率化や持続可能性を向上させることで環境負荷の低減すること | 作物や家畜がよりよく育つための環境や生物生産システムを確立することで環境負荷の低減すること |
主な学習内容 | ・農業機械設計、ロボット技術 ・施設(温室・畜舎)設計と環境制御 ・灌漑排水技術、水資源管理 ・土地改良、土壌工学、農地整備 ・精密農業(ICT、IoT、AI応用) ・植物工場などの設備設計 ・再生可能エネルギー導入 | ・農業生態系や生物環境評価 ・気象、土壌、水質環境など環境分析・管理技術 ・生物多様性の保全と管理技術 ・有機農業、環境保全型農業の推進 ・環境制御(温室、畜舎の微気象制御など) ・持続可能な生態系システムの設計 ・環境修復・浄化技術 |
農業工学は主に「技術」開発に焦点を当てており、生産環境工学は「環境と農業生産のバランス」を保つ技術に特化しています。
農業工学と畜産学の違いは?
農業工学と畜産学は異なる対象を扱う学問です。
それぞれの違いを以下の表にまとめます。
項目 | 農業工学 | 畜産学 |
|---|---|---|
概要 | 農業における生産活動(作物栽培・畜産含む)を工学的アプローチで捉え、機械や施設、システム設計や管理技術を通じて生産性の向上や持続可能な農業を目指す学問 | 家畜(牛・豚・鶏など)を中心に、動物の飼育、繁殖、生理、栄養、遺伝などの生物学的・生命科学的側面を研究し、畜産物の効率的な生産や動物福祉を考える学問 |
目的 | 機械化・自動化やICT技術を活用して農作業の効率化・省力化を図り、農業の持続性や生産性を高め、農業経営を安定させること | 家畜の生産性や福祉を高め、品質の良い畜産物を安全かつ効率的に生産すること |
主な学習内容 | ・農業機械の開発、ロボット化、自動化技術 ・農業施設(畜舎等)の環境制御・設計 ・飼育施設、植物工場などの施設工学 ・土壌、水資源管理(土地改良、灌漑排水) ・ICT、AI、ロボティクス活用の精密農業技術 ・バイオセンシング技術の活用、生育環境最適化 | ・家畜の飼育管理技術(牛、豚、鶏等の管理) ・動物栄養学(家畜飼料、栄養管理) ・家畜繁殖・遺伝学(育種改良) ・家畜生理学・解剖学(動物の健康管理) ・動物行動学(ストレス軽減、家畜福祉) ・飼料生産(飼料作物栽培) |
農業工学は農業全体の技術に焦点を当てている「工学的分野」であるのに対し、畜産学は家畜や家禽の生産と健康管理に特化している「生物学的分野」です。
参考:畜産学とはどんな学問?
農業工学と地域環境工学の違いは?

農業工学と地域環境工学は似た部分を持ちながらも、主に扱う対象が異なります。
以下の表でその違いを見てみましょう。
項目 | 農業工学 | 地域環境工学 |
|---|---|---|
概要 | 農業生産に関する機械・施設・設備や生産環境の整備・管理を工学的視点で捉え、農業の効率化・生産性向上・持続可能性を追求する学問 | 農村地域や農業生産の基盤となる土地・水・環境などを対象に、工学的手法により地域のインフラ整備、環境保全、地域開発を扱う学問 |
目的 | 農業機械の開発・導入、施設環境制御、土壌・水資源の管理、農業システムの効率化を通じて、農業の生産性・持続可能性向上をさせること | 農業生産基盤の整備、地域環境の保全・改善、農村の生活環境向上、防災・減災など、農村地域の持続可能な発展や環境保全 |
主な学習内容 | ・施設栽培(植物工場、畜舎)環境制御技術 ・精密農業(ICT、AI、IoT活用)技術 ・バイオセンサー、生育モニタリング技術 ・土壌管理技術、灌漑排水技術 ・再生可能エネルギー利用技術 | ・農村インフラ整備(農道、農地整備) ・水環境保全・水質浄化技術 ・地域防災・環境保全(土砂災害防止等) ・農村の土地利用計画・環境アセスメント ・自然環境や生態系の保全・再生 |
農業工学は「農業技術」に重点を置いているのに対し、地域環境工学は「農村地域の発展と環境保護」に焦点を当てています。
農業工学と農学の違いとは?
農業工学と農学はどちらも農業に関連する学問ですが、アプローチが異なります。
以下の表でその違いをまとめます。
学問 | 農業工学 | 農学 |
|---|---|---|
概要 | 農業生産の現場で用いる機械や施設などの技術開発・設計・環境管理に工学的視点でアプローチし、農業生産性や効率化を推進する学問 | 作物や家畜など農業生産に関わる生物そのものの栽培、育成、品種改良、生産技術を生物学的・科学的な視点から研究する学問 |
目的 | 農業の生産性向上、機械化・自動化促進、環境制御技術の開発、水・土地資源の管理を通じた、農業の生産性と持続可能性の向上 | 作物・家畜の効率的な生産や品質向上、生物的特性の改善(品種改良)、農業生態系の持続可能性向上 |
主な学習内容 | ・農業機械の設計、開発、管理 ・農業施設(ハウス、植物工場、畜舎)の設計と環境制御 ・土壌改良、土地整備、灌漑排水技術 ・スマート農業技術(ICT、AI、IoT活用) ・植物工場等のシステム設計・環境制御技術 ・再生可能エネルギーの農業利用技術 | ・品種改良(育種)やバイオテクノロジー技術 ・土壌肥料学(肥料の施用法や土壌特性) ・植物病理学・害虫防除など農業生態系管理 ・家畜の飼育、生理、栄養管理(畜産学) ・農業生態学 ・植物保護学 |
農業工学は農業の「技術的な側面」に特化し、機械やインフラ整備を通じて効率化を図る学問です。
一方、農学は作物や農村社会などの「生物学的な側面」や「農業全体の発展」に焦点を当てています。
農業工学を学ぶために物理は重要?

農業工学を学ぶ上で物理はとても重要です。
なぜなら、農業工学とは、農業を機械やロボット、施設など工学的な技術でサポートして効率化する学問だからです。
以下に農業工学で必要となる物理の知識の一例について紹介します。
分野 | 詳細 |
|---|---|
力学 | トラクターや収穫機などの農業機械を設計したり、性能を改善するには、力学(特に力の働きや運動の法則)の知識が必要 |
電気や電子回路 | 植物工場や温室の環境を最適に保つためのセンサーや制御システムを理解するために、電気や電子回路についての知識が必要 |
エネルギー | 太陽光や風力などの再生可能エネルギーを活用した施設運営を学ぶためにエネルギーや熱力学の知識が必要 |
このように、農業工学では物理の知識が基礎になっているため物理は極めて重要です。
農業工学を学ぶことが向いている人の特徴は?
農業工学は、農業の効率化や持続可能な発展を支える技術を学ぶ学問です。
技術的な興味や問題解決能力を求められるため、以下の特徴を持つ人が農業工学に適しているといえます。
特徴 | 向いている理由 |
|---|---|
農業技術や農業機械に興味がある人 | 農業機械や設備、インフラ整備に関心があり、それらの仕組みや活用方法を学ぶ機会が多いため |
環境保全に関心がある人 | 持続可能な農業や環境負荷の低減を目指し、農業技術を活用して環境保護に取り組む場があるため |
問題解決が好きな人 | 農業の現場で発生する課題を技術的に分析し、効率化や生産性向上を図る力が求められるため |
実験や研究に関心がある人 | 農業の効率化や新技術の開発に向けた研究・実験を行い、実証データを活かして技術を改善する機会が多いため |
農業工学を学びたい人 | 農業機械、灌漑技術、作物の生産管理システムなどを体系的に学び、農業技術の専門知識を習得できるため |
スマート農業や自動化技術に興味がある人 | ICTやAIを活用した農業の自動化やデータ駆動型農業の導入が進んでおり、最先端技術を学べる機会が多いため |
農業技術の開発や現場導入を目指している人 | 農業分野での技術革新に関わり、現場で活用できる機械やシステムの開発・改良に取り組む機会があるため |
上記の特徴を複数満たす人は、農業工学を学ぶことに向いているでしょう。
農業工学の将来性は?

農業工学の将来性は非常に明るいといえます。
人口増加に伴う食糧需要の拡大に対応するためには、生産性向上や環境保全などの農業工学の学びが必須だからです。
特にスマート農業や精密農業の発展により、ドローンやロボット、AI、IoT技術を活用した農業が注目されており、これらは労働力不足や気候変動の課題解決に寄与します。
また、国際的な食糧安全保障や環境問題の対策としても農業工学の専門知識は重要視され、国際プロジェクトや政府機関での活躍が期待されています。
技術革新とともに新たな挑戦と機会が生まれ、今後も高い需要が続く分野です。
農業工学は農業の未来を支える重要な役割を果たす学問で、持続可能な農業の発展に大きく貢献できる分野です。
まとめ

本記事では、農業工学の定義から、学ぶ内容、農業工学を学べる大学、学んだ後の進路や就職先、向いている人の特徴までを解説しました。
解説した中でも、農業工学に関する重要なポイントを最後に記載していきます。
- 農業工学とは、農業生産を効率化し、持続可能な方法で支える技術や知識を研究する学問である
- 農業工学で学ぶ分野には、土壌・水資源工学、農業機械工学、農業施設工学、生物生産システム工学、農業情報工学、農業環境工学などがある
- 農業工学学んだ後の主な就職先としては農業機械メーカー、スマート農業関連企業、農協、公務員などが挙げられる
- 農業技術や農業機械に興味がある人・スマート農業や自動化技術に興味がある人に農業工学はおすすめ
- 農業工学は人口増大に対応するための生産性の向上や環境保全などのグローバルな課題に対処するための学問であり、将来性は非常に明るい
本記事が、農業工学の全体像を掴むうえで役立てば幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。