作成日: 2025/1/31 更新日:2025/1/31
健康科学部では何を学ぶ?学べる内容や取得できる資格、就職先を紹介

「健康科学部では何を学ぶの?」
「健康科学部はどこの大学にあるの?」
「健康科学部を卒業した後の進路は?」
健康科学部について、このような疑問をもつ人が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事では主に以下のことについて解説します。
- 健康科学部の定義と特徴
- 健康科学部とスポーツ健康科学部の違い
- 健康科学部で学ぶこと
- 取得できる資格
- 卒業後の主な就職先や進路
取得ができる可能性のある資格や就職先の例についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
健康科学とは

健康科学とは、人々の健康の維持・増進に関する学問分野を指します。
身体だけでなく、精神的、社会的な健康も対象です。
健康管理、予防医学、運動、栄養、メンタルヘルスなど幅広い分野を扱います。
健康科学の目的は、以下の3つです。
- 健康に関する知識や技術を研究・開発すること
- 病気の予防や早期発見、治療、リハビリテーションなど、健康に関する様々な課題に取り組むこと
- 健康に関する情報を発信し、人々の健康意識を高めること
健康科学は、保健医療の現場だけでなく、健康寿命の延伸や予防医学の普及、地域医療の充実など、現代社会が抱える健康課題に対する解決策を提供する重要な役割を果たします。
そのため、健康科学を学ぶことは、社会貢献とも密接に結びついています。
健康科学部とは

健康科学部とは、広義には健康に関わる多岐にわたる学問を扱う学部のことを指します。
具体的な特徴は以下の通りです。
- 人間の健康を維持・増進するための科学技術を研究し、その知識と技術を社会に応用することを目指す。
- 医療、看護、リハビリテーション、栄養、スポーツ、心理など、健康に関連する様々な分野の知識を学ぶ。
- 基礎科学(生物学、化学、物理学など)や社会科学(統計学、心理学、社会学など)も学ぶ。
- 臨床実習や実習施設での研修など、実際の現場での経験を積むことも多い
これらの教育を通じて、健康科学部では、医療現場で即戦力となる専門家や、新たな健康科学の発展に寄与する研究者を育成しています。
健康科学部とスポーツ科学部の違い
健康科学部と似た学部に、スポーツ健康科学部があります。
学習内容は似ていますが、以下の点で異なります。
特徴的な科目 | 健康科学部 | スポーツ科学部 |
---|---|---|
学ぶ分野 | 栄養学、教育心理学、公共衛生など幅広い健康分野を学ぶ | スポーツ医学、運動生理学、スポーツ心理学などスポーツに特化した学問を学ぶ |
習得スキル | 健康に関する総合的な知識とスキルを身につける | スポーツパフォーマンスの向上や運動指導に関する専門的なスキルを身につける |
就職先 | 病気予防、健康管理、リハビリテーションなど多岐にわたる職種に就職可能 | スポーツトレーナー、フィットネスインストラクター、アスレティックトレーナーなどスポーツ関連の職種に就職可能 |
健康科学部は、健康に関する広範な分野を学び、総合的な健康管理や病気予防に関するスキルを身につけることを目指します。
一方、スポーツ科学部は、スポーツに特化した学問を学び、スポーツパフォーマンスの向上や運動指導に関する専門的なスキルを習得することを重視します。
健康科学部で学ぶ学問分野と学科

健康科学部では、健康に関する幅広い分野の知識と技術を学べます。
学生は基礎理論から最新の健康科学の知見まで、体系的に学習していきます。
主な学問分野
健康科学部で学ぶ主な学問分野は以下のとおりです。
- 栄養学
- 運動科学
- 公衆衛生学
- 健康教育学
- 医療管理学
それぞれを詳しく説明していきます。
栄養学
健康科学部で学ぶ一つの重要な分野が栄養学です。
栄養学とは、人間の健康を維持し、病気を予防するための食事や栄養の理論と実践を学ぶ学問分野です。
食物から摂取される各種栄養素の機能や、体内での代謝メカニズム、さらには食事パターンやライフスタイルが健康に及ぼす影響について学びます。
具体的には以下があげられます。
- ビタミンやミネラルなどの栄養素の種類とその働き
- 食物と栄養素の相互作用
- 食事療法や食事指導の方法
- 食事習慣や食文化の影響
- 食品安全や食品衛生
- 地域社会の栄養状況や食事習慣の改善方法
栄養学は、健康科学部の中でも特に実践性が求められる科目です。
理論だけでなく実際の食事作りや食事指導の経験を通じて、理論と実践の両方を学ぶことができます。
そのため、健康や食事に関する専門的な知識とスキルを身に付けることができます。
将来的には栄養士や食事療法士などの資格を取得し、医療や福祉、教育現場などで活躍する道が広がります。
運動科学

運動科学は、人間の身体が運動を通じてどのように反応し、変化するかを学ぶ学問分野です。
健康科学部の運動科学のカリキュラムでは、基礎科学からスタートします。
その上で運動による身体の反応、運動能力の向上法、運動による健康影響などを深く学びます。
主に以下の学問を学んでいきます。
学問 | 学ぶ事 |
---|---|
運動生理学 | 運動が人体に及ぼす影響を生理学的に研究し、運動による体の反応や適応、エネルギー代謝を理解する。 |
運動心理学 | 運動に関する心理的側面を研究し、モチベーション、メンタルヘルスの向上方法、パフォーマンスの心理的要因を探る。 |
運動生態学 | 運動が生態系や環境に及ぼす影響を研究し、自然環境との相互作用を理解し、持続可能な運動環境を考察する。 |
運動メカニクス | 運動中の身体の動きや力学的特性を研究し、効率的な動作やケガの予防、運動パフォーマンスの向上を探る。 |
運動栄養学 | 運動と栄養の関係を研究し、運動パフォーマンス向上のための栄養管理、適切な食事方法、サプリメントの利用法を学ぶ。 |
このように、健康科学部で学ぶ運動科学は、健康の維持・向上に対する理解を深め、具体的なアクションを起こすための知識と技術を提供します。
公衆衛生学
公衆衛生学は健康科学部の中心的な分野の一つで、社会全体の健康をどのように向上させるかを学びます。
この分野では、感染症の流行や健康不良に至る要因、健康格差といった問題を理解し、それらを解決するための政策やプログラムを設計、実施、評価する能力を養います。
公衆衛生学の授業では以下の学問を学んでいきます。
学問 | 学ぶ事 |
---|---|
統計学 | データの収集、解析、解釈を行い、健康に関する統計情報の理解と応用を学ぶ。リサーチデザインやデータ分析手法を習得する。 |
疫学 | 疾病の分布や発生原因を研究し、感染症や慢性疾患の予防と管理のための方法を学ぶ。調査手法やリスク評価も含む。 |
保健教育 | 個人やコミュニティに対する健康教育の方法を学び、健康行動の促進や生活習慣病の予防を目指すプログラムを設計する。 |
環境健康学 | 環境要因が人の健康に与える影響を研究し、環境汚染や気候変動などが健康に及ぼすリスクを評価する。 |
保健政策 | 公衆衛生に関連する政策の立案と実施を学び、健康増進や疾病予防のための効果的な戦略を理解し実践する。 |
また、公衆衛生学は単に理論を学ぶだけでなく、現実の公衆衛生の問題を解決するための実践的なスキルも重視します。
たとえば、公衆衛生のプロジェクトを計画し、実施し、その結果を評価するための方法論を学んだり、具体的な公衆衛生の問題に対する解決策を提案するためのチームワークやコミュニケーションスキルを養います。
健康教育学

健康科学部で学ぶ一つの重要な領域が、健康教育学です。
この学問は、健康の維持・増進を目指し、正しい健康情報の理解とそれを生活に活かす能力を育てることに重点を置いています。
健康教育学は、社会全体の健康レベルを向上させるための重要な手段です。
学ぶことの具体例は以下となります。
学ぶ事 | 詳細 |
---|---|
生活習慣病の予防 | 公衆衛生に関連する政策の立案と実施を学び、健康増進や疾病予防のための効果的な戦略を理解し実践する。 |
喫煙や飲酒の危険性の啓発 | 喫煙や過度の飲酒の健康への悪影響を理解し、その危険性を啓発する効果的な方法を学ぶ。 |
適切な食生活や運動の推奨 | バランスの取れた食生活と定期的な運動の重要性を学び、健康的な生活習慣を実践するための知識や技術を習得する。 |
健康教育学は、個々の生活習慣だけでなく、環境問題、経済状況、教育水準など社会全体の健康を左右する要素にも焦点を当てます。
医療管理学
医療管理学とは、医療システムや医療政策、医療経済などを学び、医療現場でのリーダーシップやマネジメント能力を育成する学問分野です。
医療管理学では、医療現場が抱える多様な問題を科学的な視点から分析し、解決策を提案する能力を養います。
具体的には以下を学んでいきます。
学ぶ事 | 詳細 |
---|---|
医療サービスの質や効率を向上させるための戦略立案 | 医療サービスの質や効率を向上させるための戦略を立案し、改善するための方法論を学ぶ。 |
医療機関の経営管理 | 医療機関の運営や経営管理の基礎を学び、効果的な管理手法や組織運営の技術を習得する。 |
医療費のコントロール | 医療費の適正な管理とコントロール方法を学び、医療経済の理解を深める。 |
医療情報管理 | 医療情報の適切な管理と活用方法を学び、データの安全性とプライバシーを守る技術を習得する。 |
医療法規制 | 医療に関連する法律や規制の理解を深め、法的な遵守と適切な対応方法を学ぶ。 |
医療倫理 | 医療における倫理的問題やジレンマに対処するための倫理的原則とその適用方法を学ぶ。 |
医療管理学を学ぶことで、医療現場だけでなく、医療政策や医療システムの改善に関わることも可能となります。
健康科学部の主な学科

健康科学部がある大学には、さまざまな学科が存在します。
以下に一例を紹介します。
健康科学部の主な学科 | 学科で学ぶ内容 |
看護学科 | 看護の基本技術、患者ケア、医療チームとの連携、病気予防と健康促進について学ぶ。 |
理学療法学科 | 身体の機能回復、運動療法、リハビリテーションの技術と理論を学ぶ。 |
作業療法学科 | 日常生活動作の向上、作業療法の技術、リハビリ計画の作成方法を学ぶ。 |
言語聴覚学科 | 言語や聴覚障害の評価と治療、コミュニケーション能力の向上方法を学ぶ。 |
栄養学科 | 栄養の基礎知識、栄養計画の作成、健康促進のための食事指導を学ぶ。 |
健康スポーツ学科 | 栄養の基礎知識、栄養計画の作成、健康促進スポーツ科学、運動生理学、健康増進のための運動プログラムを学ぶ。 |
健康科学部のある大学の実例

健康科学部を設置している大学は、全国に多数あります。
それぞれの大学に特徴があり、自分が何を学びたいか、そのカリキュラムがあるかどうかで、志望校を決めるとよいでしょう。
以下に具体的な大学の一例を紹介します。
東邦大学 健康科学部看護学科
看護学科のみを設置している健康科学部です。
看護師や保健師の育成に特化しており、卒業生の多くが資格を取得して看護師や保健師の職についています。
「健康科学」の科目では、健康科学概論、コミュニケーション論、人間と生命(選択科目)などのカリキュラムが組まれています。
参考:東邦大学 健康科学部看護学科
東京家政大学 健康科学部

東京家政大学健康科学部には、看護学科とリハビリテーション学科のふたつの学科があります。
もともとは医療専門職の育成を目的に看護学科が設置され、のちにリハビリテーション学科が設置されました。
看護師、助産師など、医療に関する国家試験合格者を多数輩出しており、卒業後のキャリアを描きやすい学校と言えるでしょう。
学科の種類 取得できる資格 令和5年度の合格率
学科の種類 | 取得できる資格 | 令和5年度の合格率 |
看護学科 | 看護師 | 合格率97.0%(受験者99名 合格者96名) |
助産師 | 合格率100%(受験者6名 合格者 6名) | |
保健師 | 合格率100%(受験者8名 合格者 8名) | |
リハビリテーション学科 | 理学療法士 | 合格率100%(受験者38名 合格者38名) |
作業療法士 | 合格率88.9% 受験者36名 合格者32名 |
参考:東京家政大学 健康科学部
常葉大学 健康科学部
常葉大学健康科学部には、看護学科と静岡理学療法学科があります。
学部の使命を「確かな『知』と豊かな『徳』を備えた看護師・理学療法士を地域に送り出すこと」と定めています。
学科を横断して合同で行う研修もあり、実際の医療現場で役立つスキルを身につけられるでしょう。
京都橘大学 健康科学部

京都橘大学健康科学部は、以下の4つの学科を設置しています。
京都橘大学 健康科学部に設置されている学科 | 学科で学ぶ内容 |
理学療法学科 | 理学療法士になるための学科。加齢、病気、生活習慣、負傷など、さまざまな要因で不自由となった体を健康にするための知識やスキルを学ぶ。 |
作業療法学科 | 作業療法士になるための学科。身体やこころに障がいのある人に、日常生活や社会生活に適応できるようなリハビリテーションの知識とスキルを学ぶ |
救急救命学科 | 救急救命士になるための学科。病院前救護の知識とスキルを学ぶ。救急車に乗り、急病やけが人が発生した場所から医療機関に搬送するまでの間に、傷病者を観察し必要な処置を施す |
臨床検査学科 | 臨床検査技師になるための学科。「検体検査」と「生理機能検査」の知識とスキルを学ぶ。医師の指示のもと、血液や尿などの検体や、脳をはじめとした患者の身体の検査を行う |
どの学科も専門的な学習と、実際の医療現場での実習のカリキュラムがあります。
そのため、就職した際も学んだ知識やスキルをすぐに活かすことができるでしょう。
学びを活かして取得できる資格

健康科学部では、様々な分野で活躍するために必要な資格の取得が可能です。
取得可能な資格は大学によって異なりますが、主なものは以下の通りです。
- 教育職員免許状(教員免許)
- スポーツ指導者資格
- 健康運動指導士
- 医療・福祉系資格
教育職員免許状(教員免許)
健康科学部では、教員免許状を取得できます。
取得できる免許状の種類は以下の通りです。
免許の種類 | 解説 |
---|---|
中学校教諭一種免許状(保健体育) | 中学校で保健体育科目を教えるための免許。大学の教職課程で所定の単位を取得し、教員採用試験に合格する必要がある。 |
高等学校教諭一種免許状(保健体育) | 高等学校で保健体育科目を教えるための免許。大学の教職課程で所定の単位を取得し、教員採用試験に合格する必要がある。 |
特別支援学校教諭一種免許状 | 特別支援学校で障害のある児童・生徒を教えるための免許。大学の教職課程で所定の単位を取得し、教員採用試験に合格する必要がある。 |
小学校教諭二種免許状 | 小学校の教員になるための免許。二種免許状は、短期大学や専門学校などで所定の単位を取得することで取得できる。一種免許状と比べると、教えられる教科に制限がある。 |
養護教諭一種免許状 | 小・中・高等学校などで、児童・生徒の健康管理や保健指導を行うための免許。大学の教職課程で所定の単位を取得し、教員採用試験に合格する必要がある。 |
これらの免許状を取得することで、中学校や高等学校の保健体育教員、特別支援学校教員、小学校教員、養護教諭として働くことが可能です。
スポーツ指導者資格

健康科学部では、スポーツ指導者として活躍するために必要な資格を取得できます。
主な資格は以下の通りです。
資格の種類 | 解説 |
---|---|
公認スポーツ指導者 | 公益財団法人日本スポーツ協会が認定する資格。スポーツ医・科学の知識を活かし、競技者の指導にあたる。資格には、スポーツリーダー、コーチ、教師、上級教師、指導員、上級指導員、コーチングアシスタント、スポーツプログラマー、ジュニアスポーツ指導員などのカテゴリーがある。 |
障害者スポーツ指導員(初級・中級) | 公益財団法人日本障がい者スポーツ協会が認定する資格。障害のある人々がスポーツを楽しめるように、安全で適切な指導・支援を行う。初級は、地域における障害者スポーツの普及・振興を担う。中級は、初級の指導経験を積んだ上で、より専門的な知識・技術を用いて指導にあたる。 |
GFI(グループエクササイズフィットネスインストラクター) | 一般社団法人日本フィットネス産業協会が認定する民間資格。グループエクササイズ(有酸素性運動、筋コンディショニング、ヨガ、ストレッチングなど)の指導に必要な知識・技術を有し、安全で効果的なプログラムを提供できる。受験資格は、18歳以上で、協会が指定する講習会を修了した者。 |
これらの資格を取得することで、スポーツクラブやフィットネスクラブ、競技団体などで指導者として働くことができます。
健康運動指導士
健康運動指導士は、運動を通じて人々の健康づくりを支援する専門家です。
健康科学部では、この資格を取得するために必要な科目の履修ができます。
資格を取得することで、フィットネスクラブや病院、福祉施設などで健康運動指導士として働くことも可能です。
医療・福祉系資格

健康科学部では、医療・福祉分野で活躍するために必要な資格の取得が可能です。
主な資格は以下の通りです。
受験資格名 | 受験資格の獲得条件 |
---|---|
理学療法士国家試験受験資格 | 大学の理学療法士養成課程を修了し、必要な単位を取得すること。 |
看護師国家試験受験資格 | 大学の看護学部または看護養成課程を修了し、必要な単位を取得すること。 |
保健師国家試験受験資格 | 看護師免許を取得した後、保健師養成課程を修了し、必要な単位を取得すること。 |
助産師国家試験受験資格 | 看護師免許を取得した後、助産師養成課程を修了し、必要な単位を取得すること |
これらの資格を取得することで、病院や福祉施設などで専門職としての勤務が可能です。ただし、資格取得には国家試験に合格する必要があります。
その他の資格
健康科学部では、上記以外にも様々な資格の取得が可能です。
主なものは以下の通りです。
資格の種類 | 解説 |
---|---|
第一種衛生管理者免許状 | 労働安全衛生法に基づく国家資格。職場における労働者の健康管理や作業環境の管理などを行う。受験資格は、大学で医学・歯学・薬学・獣医学・衛生工学などの課程を修めた者や、一定の実務経験がある者など。 |
社会教育士 | 社会教育の振興に関する一定の知識・技能を有し、学校教育以外の場で地域の教育活動を支援する専門的な人材を認定する資格。大学の社会教育主事養成課程で必要な科目を履修し、卒業後に社会教育士としての認定を受ける。 |
レクリエーション・インストラクター | 公益財団法人日本レクリエーション協会が認定する民間資格。レクリエーションの知識・技術を活用し、様々な対象者に楽しく効果的なレクリエーション活動を提供・指導できる。受験資格は、18歳以上で、協会が定める講習会を修了した者。 |
キャンプインストラクター | 公益社団法人日本キャンプ協会が認定する民間資格。キャンプの企画・運営・指導に必要な知識・技術を有し、安全で効果的なキャンプ活動を提供できる。受験資格は、18歳以上で、協会が定める講習会を修了した者。 |
これらの資格を取得することで、幅広い分野での活躍が可能です。
健康科学部を卒業した後の就職先

健康科学部卒業後の就職先は多岐にわたります。
具体的には下記の通りです。
- スポーツ・健康関連企業
- 教育機関
- 医療・福祉・介護
- 公務員
- 食品・給食関連企業
健康科学部で身につけた専門知識とスキルを活かして、スポーツ・健康分野だけでなく、教育、医療・福祉、公務員、一般企業など幅広い分野で活躍できます。
スポーツ・健康関連企業
健康科学部の卒業生は、スポーツ・健康関連企業の活躍が可能です。
主な就職先は以下の通りです。
就職先 | 会社名の一例 |
---|---|
スポーツ用品メーカー | アシックス、ミズノ、ゴールドウィン、デサント |
スポーツ小売 | アルペン、ゼビオ、ヒマラヤ |
フィットネスクラブ・スポーツ施設 | セントラルスポーツ、東祥ホリデイスポーツクラブ |
プロスポーツチーム・団体 | 各種プロスポーツチーム、スポーツ団体 |
商品開発や販売促進、スポーツ指導など、様々な職種で活躍できます。
教育機関

健康科学部の卒業生は、教育機関でも活躍が可能です。
主な就職先は以下の通りです。
職業 | 主な仕事内容 |
---|---|
中学校・高等学校の保健体育教員 | 生徒に対して保健体育の授業を行い、健康づくりや体力向上を指導します。 |
小学校教員 | 小学生に対して各教科の授業を行い、基礎的な学力や社会性の育成を支援します。 |
特別支援学校教員 | 障害のある児童・生徒に対して、個別の教育プログラムを作成し、学習や生活技能の向上を支援します。 |
教員免許状を取得することで、これらの教育機関で教員として働くことができます。
生徒の健康づくりや体力向上を支援する重要な役割を担います。
医療・福祉・介護
健康科学部の卒業生は、医療・福祉・介護分野での活躍も可能でます。
主な就職先は以下の通りです。
職種 | 主な担当業務 |
---|---|
臨床検査技師 | 血液検査、尿検査、心電図、超音波検査などを行い、異常を発見。新しい検査技術の導入や検査機器の管理も担当。 |
理学療法士 | 運動療法や物理療法を用いて患者の身体機能を回復・維持・改善するリハビリを実施。個別のリハビリプログラムを作成・実施。 |
看護師 | 患者のケア全般、病状の観察、投薬、医療処置、退院指導、患者や家族への教育・サポートを担当。 |
管理栄養士 | 入所者の栄養管理、食事計画の作成、食事提供の指導・調整、スタッフの教育・指導、食事サービスの管理を担当。 |
介護福祉士 | 高齢者や障害者の日常生活支援(食事、入浴、排泄の介助)、健康管理、リハビリ、レクリエーションの企画運営、家族支援。 |
これらの職種では、患者さんや利用者さんの健康づくりを支援できます。
専門的な知識とスキルを活かして、QOLの向上に貢献できるでしょう。
公務員

健康科学部の卒業生は、公務員として活躍することもできます。
主な就職先は以下の通りです。
就職先 | 主な担当業務 |
---|---|
保健所・保健センターの管理栄養士 | 地域住民の栄養指導や健康相談を行い、健康増進活動を支援します。 |
食品衛生監視員 | 食品の安全を確保するために、食品の製造・流通・販売における衛生状態を監視し、必要な指導を行います。 |
スポーツ行政 | 地域のスポーツ振興や健康増進のための施策を企画・運営し、スポーツイベントの開催や施設の管理を行います。 |
これらの職種では、地域住民の健康づくりや食の安全、スポーツ振興など、様々な分野で活躍できます。
食品・給食関連企業
健康科学部の卒業生は、食品・給食関連企業でも活躍できます。
主な就職先は以下の通りです。
就職先 | 会社名の一例 |
---|---|
食品メーカー | 明治、森永乳業、カゴメ、ニチレイ、キッコーマン |
給食受託会社 | 日清医療食品、グリーンハウス、シダックス、エームサービス |
これらの企業では、商品開発や品質管理、栄養管理など、様々な職種で活躍できます。
以上のように、健康科学部の卒業生は様々な分野で活躍ができます。
「人々の健康づくりに貢献する」という健康科学部の学びを活かせる職業に就く学生が多いのが特徴です。
自分の興味や適性に合わせて、幅広い選択肢の中から自分に合った就職先を見つけられるでしょう。
健康科学部に向いている人の特徴

健康科学部の卒業生は、医療現場や教育現場、養護施設などが主な就職先です。
健康科学部で学ぶ内容と、就職先から考察すると、以下のような人は健康科学部に向いていると言えます。
人の健康や福祉に興味がある人
病気、怪我、生活習慣、障害など、さまざまな要因で人の体は健康でなくなることがあります。
そうした人たちが元の生活に戻れるようにサポートする知識や技術を身につけるのが、健康科学部での学びです。
人の健康や、それをサポートする福祉に興味がある人は、健康科学部に向いていると言えるでしょう。
使命感のある仕事がしたい人

健康科学部のカリキュラムでは、助産師、救急救命士、臨床検査技師の資格取得野学びを選択することができます。
これらの業務は、患者や新生児の命に直結する仕事です。
時には1分1秒を争う事態の中で、的確な判断を求められます。
そうした責任と使命を背負って仕事がしたいと考える人には、健康科学部が向いているでしょう。
科学やデータに興味がある人
健康”科学”という名前の通り、健康科学はデータや治験、臨床試験の結果が重視される学問です。
自身の考えや先入観に頼ることなく、数値や過去のデータを冷静に分析し、課題の抽出と解決策を導き出す必要があります。
科学やデータに興味があり、客観的・論理的な思考ができる人も、健康科学部に向いているでしょう。
チームワークを大事にできる人

実際の現場での業務は、他職種とのチームワークが欠かせません。
例えばある入院患者がいたとして、入院を継続するのか、退院して帰宅するのかという判断を行うとします。
その際には医師だけでなく、看護師、作業療法士、理学療法士などが、それぞれの立場から知見を提供し、最終的な判断を下します。
治療やリハビリの場合も同様です。
自分の立場だけでなく、患者の体と健康を最優先に考えつつ、他の職種の人とのチームワークを大事にすることが望ましいでしょう。
スポーツや運動が好きな人
特に理学療法士や作業療法士は、スポーツ分野に就職することもあります。
解剖学の知見を活かしてスポーツメーカーの製品開発に携わる、スポーツチームのリハビリ担当として選手のリハビリを行う、などです。
実際に、学生時代にスポーツの経験のある人が理学療法士になり、プロスポーツチームと契約するというケースも多いようです。
また、健康科学部の科目には、スポーツ健康科学のカリキュラムもあります。
スポーツや運動が好きで仕事にしたいと考える人は、健康科学部への進学を考えてみるとよいでしょう。
大学選びのポイント

実際に健康科学部のある大学に進学しようと考えた時、何を見て判断すれば良いでしょうか?
以下のポイントを解説していきます。
希望する職種とカリキュラムの内容の整合性
「健康科学」と一口に言っても、学ぶ内容はさまざまです。
例えば、看護師になりたい人が理学療法科に入学しても、看護師になれる可能性は低いでしょう。
自身が希望する職種を明確にし、その職種にあったカリキュラムが用意されているかどうかを確認する必要があります。
希望する職種や業界への就職実績

健康科学部の卒業生の多くは、医療機関や養護施設へ就職します。
民間企業のスポーツメーカーやスポーツチームなども選択肢に入りますが、看護師の育成に特化している大学に入学すると、それらの企業への就職は難しいでしょう。
自身が希望する業界や職種への就職実績があるか、その職種になるためのサポート体制があるかどうかを確認しましょう。
実習やフィールドワークの充実度
健康科学で学ぶ内容は、医療やリハビリの現場で、実際の患者を相手に行うことで、初めて結実します。
基礎的な知識を勉強することはもちろん大事ですが、その知識を現場で活かすことが重要です。
大学のうちにそうした実践経験を積むことができる実習やフィールドワークの充実度は、志望校を決める上で大事なポイントです。
資格取得の合格率とサポート体制

ここまで解説してきた通り、健康科学部での学びを仕事で活かすためには、資格取得が必要な職種が多くあります。
特に医療機関で働くためには、各種国家資格の取得が必要です。
それらの国家資格の合格率が高ければ、大学として資格取得のサポート体制が整っているといえます。
通学年数と学費
例えば助産師になるには、一般的には6年間大学に通うことになります。
助産師になるためには、看護師と助産師の両方の国家資格が必要だからです。
両方を同時に勉強して、4年間の通学のみで両方の資格を取得することも可能ですが、一般的ではありません。
希望する職種や資格によって通学する年数が変化し、年数が増えれば学費負担も多額になります。
長い期間の通学と、その学費を負担できるかどうかを確認し、家族とも相談しましょう。
よくある質問と回答

健康科学部への進学を考えている人が抱く疑問についてまとめました。
下記の情報も参考に、進路を考えてみてください。
健康科学部は文系ですか、理系ですか?
健康科学部は一般的に理系の学部に分類されます。
健康科学部で学ぶ内容が生物学、化学、物理学、医学などの自然科学に関連しているためです。
ただし、健康科学部には社会科学的な側面もあり、心理学や社会福祉、健康教育、保健政策など、文系の要素も含まれることがあります。
それでも、全体としては理系の学問として扱われることが一般的です。
文系から健康科学部に進学はできますか?

文系出身の学生が健康科学部に進学することは可能です。
しかし健康科学部の入試では、理系科目が要求されることが一般的です。
以下のような科目が含まれる場合があります。
- 生物学
- 化学
- 数学
文系出身の学生でもこれらの科目を勉強し、入試に備える必要があります。
大学によっては文系学生向けの特別な入試枠や推薦入試がある場合もあるので、各大学の入試情報を確認することが重要です。
健康科学部の就職率はどのくらいですか?
健康科学部の就職率は高い傾向にあると言えるでしょう。
実際に畿央大学の健康科学部の就職率は95.4%と高い水準となります。
この95.4%は17年間の全卒業生における割合となり、就職決定率は99.1%とほぼ100%と言える水準です。
これらの情報をもとに健康科学部の就職率は高いと言えるでしょう。
参照:畿央大学
健康科学部での学びに英語は必要ですか?

結論、大学や学部のカリキュラムによります。
一部の大学や健康科学部では、国際的な視点から健康問題を学ぶために、英語での授業や海外の文献を読むことが求められることがあります。
また、健康科学部の中には、医療英語の授業を設けているところもあります。
これは、将来的に海外で働く可能性がある学生や、医療現場で多国籍なチームとコミュニケーションを取る必要がある学生を対象としています。
しかし、すべての健康科学部が英語を必要とするわけではありません。
一部の大学では、専門的な知識を深めるための授業が主体であり、それらは主に日本語で行われます。
それでも、英語の論文を読解する能力は、最新の研究動向を把握するために非常に有益です。
健康科学部で学ぶ上で英語が必要かどうかは、自身の学びたい内容やキャリアパスによります。
大切なのは、自分がどのような健康科学を学びたいのか、どのようなキャリアを目指しているのかを明確にし、それに最も適した大学や学部を選ぶことです。
まとめ

この記事の重要なポイントは以下のとおりです。
- 健康科学部の特徴:健康に関する幅広い分野を学び、実践的なスキルを身につけられる
- 健康科学部で取得できる資格は教員免許状、スポーツ指導者資格、健康運動指導士、医療・福祉系資格など健康に関わるものが多い
- 卒業後の主な就職先はスポーツ・健康関連企業、教育機関、医療・福祉・介護、公務員、食品・給食関連企業など多岐にわたる
健康科学部は、健康に関する幅広い知識とスキルを身につけ、人々の健康づくりに貢献できる人材を育成する学部です。
健康科学は、自分自身の健康管理能力を高めるだけでなく、家族や地域、社会全体の健康づくりに貢献できる、やりがいのある学問分野です。
ぜひ自分の興味や目標に合った大学を探し、オープンキャンパスや大学訪問などを通して、健康科学部の学びの特徴や雰囲気を肌で感じてみてください。
この記事が、あなたの進路選択の一助となり、将来の夢や目標を見つける手がかりになれば幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。