FIT入試A方式の入試対策について
出願書類について
法学部のFIT入試 A方式では、自分で作成するタイプの出願書類が4つあります。
・志願者調書 ・志望理由書 ・自己推薦書I ・自己推薦書II
それぞれに記載する内容は以下の通りです。
◆志願者調書
・中学校卒業後と現在の自分を比較し、人間的成長について述べる
・物の見方や考え方に大きな影響を及ぼした事柄(書物含む)について述べる
・現在最も関心を抱いている事柄、それに関するこれまでの取り組みと今後の取り組みについて述べる
・慶應義塾大学法学部の法律学科または政治学科に期待していることについて述べる
◆志望理由書
・慶應義塾大学法学部を志望する理由と、入学後の学習計画、将来の夢の実現について2,000字以内で記述する(ペン書きのみ)
◆自己推薦書I
・募集要項の概要の「特筆すべき出願内容」で示した(a)〜(g)のうち、該当する出願資格を選び、理由を簡潔に記載する。
・中学校卒業以降の特筆すべき取り組みと成果を表に記載する。
◆自己推薦書II
・自己推薦書Iの内容にのっとり、自分がいかに魅力的な人物であるかをA4用紙2枚でアピールする。
それぞれの出願書類で記載する内容が多く、ボリュームもかなりあります。全体的に、法律や政治との接点を考えながら、これまでの活動を記していくことになります。
A方式は、1次の書類選考で200名以上いる出願者が70名ほどに絞られます。書類選考を通過できるかどうかが合格の鍵となるため、ここにはとことん力を入れましょう。倍率が非常に高いので、高校時代の活動が評価対象となる部分が多分にありますが、それをどのようにアピールしていくかも重要なプロセスだと言えます。
二次試験について
法学部のFIT入試A方式の二次試験は、50分ほどの講義を聞いた後で、45分ほどの時間が与えられ、その時間内で与えられた設問に対する小論文を記載するものです。そのため、講義内容の要約と小論文の2つの対策が必要になります。
講義の内容と設問を見ていきましょう。出願書類は志望理由書と自己推薦書(I・II)で、二次試験は講義を聞いてその要約と論述を行う講義理解力試験と面接です。
1.模擬講義の概要
過去問・2023年
⚫ 講義のテーマ:
陰謀論と現代政治
⚫ 講義の概要:
1.2021 年 1 月 6 日
2.陰謀論とは何か
3.陰謀論とインターネット
4.陰謀論と報道
5.陰謀論と政治的不安定性
まとめ
2.論述試験の概要
論述の設問内容:
過去問
「現代政治について考える上で、陰謀論は、無視できない重要なテーマとなりつつあります。講義の内容を踏まえて、陰謀論というテーマがなぜ重要であるといえるのか、また、陰謀論にどう向き合うべきか、あなたの考えを論じてください。」
解答の形式:A3原稿用紙形式・2240 字以内。
このように、講義の内容は法律や政治関連の、大学1年生が聞いても理解できる程度の内容になっており、論述試験はあり方や立ち位置について明確にした上でその根拠を記載するものが多くなっています。法学部らしい出題です。
そのため、日頃から講義を要約する訓練だけでなく、立場を明確にして自分の意見を記述するタイプの小論文演習を重ねるほか、政治や法律的な分野についての背景知識や事例を入手しておきましょう。
面接・口頭試問について
FIT入試のA方式では、法律や政治についてどの程度背景知識や批判的思考ができるかを見るため、以下のような口頭試問がなされます。
過去問
テーマ(法律学科):
「日本の民事の裁判では、勝っても負けても、弁護士に支払う費用は、原則として、訴えた人と訴えられた人が、それぞれ負担することになっています。しかし、これでは、せっかく裁判に勝っても、弁護士に支払う費用は、負けた側から回収することができず、自分で負担しなければなりません。そこで、弁護士に支払う費用を、裁判に負けた側に負担させる制度を導入すべきであるという意見があります。このような制度の導入について、あなたはどう考えますか。」
「臓器移植に関する問題についてうかがいます。現在の法律では、移植のために自分の臓器を売ることは禁じられています。しかし、現状では多くの人が臓器移植を待っているにもかかわらず、臓器を提供する人の数はわずかです。そのため、本人の自由な意思に基づいて臓器を売ることは認め、移植用臓器の供給量を増やすべきだという意見があります。あなたは、この意見についてどう思いますか。」
「日本では自殺は犯罪ではありませんが、これを手助けする行為は犯罪にあたります。そのため、治る見込みのない重病患者が自殺を望んだとしても、医師の援助を受けることが困難です。数年前、そのような患者が日本から外国に渡り、自殺を援助する団体の医師の協力を得て自殺した事例がありました。その国では、一定の範囲で自殺を援助する行為が認められているからです。このような日本の現状の是非について意見を述べてください。」
どの口頭試問についても、賛否両論があり、どちらの立場も考慮した上で、自分の立ち位置・意見を出す必要があります。また、その出題年のニュースに即した内容も出題されています。
講義理解力試験への対策をしておけばこのような問題への対策は自然とできるようになりますが、自分の知らないテーマが出題されると困りますので、日頃から法律や政治についてのトピックに触れるようにしておきましょう。
FIT入試B方式の入試対策について
法学部のFIT入試 B方式は、A方式と同時に出願できます。しかし、書類の内容についてはA方式と違って自己推薦書が必要ありませんから、楽になります。
また、2次試験で出される、総合考査I・IIと面接はA方式よりも明らかに楽ですし、倍率も低いので、B方式は評定さえクリアできていればかなり穴場の試験となります。なお、総合考査の内容は以下の通りです。
◆総合考査I
与えられた資料(グラフ・表・データ・条文・判例など)から読み取れることを400字程度でまとめる。社会科学に必要な論理的な思考力、考察力を評価。
◆総合考査II
与えられたテーマのもと400字程度の小論文を作成する。創造力・独創性・発想力を考査。
過去問を見ると、総合考査Iでは社会問題、IIでは法律や政治に関する問題を取り上げるケースが多いですが、A方式の講義理解力試験より明らかに簡単です。2023年のものを見てみましょう。
1.総合考査Iの概要
設問の内容:
ロシアの指導者ウラジーミル・プーチン氏に対する様々な国の世論の信頼感と不信感の過去約 20 年あまりの変化を示したグラフを提示し、このグラフの国際比較からわかることの説明を求めた。
解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度
試験時間:45 分
図表のデータから読み取れることの背景に何があるのかを考える必要がある場合には、PEST分析が有効です。
Political
Economy
Society
Technology
の観点から、考えられる背景を書き出し、記述してみましょう。
2.総合考査IIの概要
⚫ 設問の内容:
「あなたはとある地方の県知事です。県内から県立大学への進学者数を増やしたいと考えています。」という前提において、進学者数が低迷している原因を自由に設定しながら、どのような政策を講じるべきかについて論じることを求めた。
⚫ 解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度
⚫ 試験時間:45 分
400字の回答に45分は非常に長いですよね。きちんと対策をした人からすれば時間が余って仕方ないと思います。このように、FIT入試B方式は非常に穴場なので、法律や政治と関係のある活動や生徒会活動をしてきた人はぜひ狙いたいところです。