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慶應義塾大学法学部では、FIT入試という総合型選抜が用意されています。

教員が「教えたい」学生と、法学部を第一志望としてそこで「勉強したい」学生との良好な相性、つまり「fit」を実現することを目的としています。

一般的な学科試験だけでは測れない主体性、社会性、想像力、コミュニケーション能力など、積極的に社会で活躍し発信する能力を多面的・総合的に評価するのが特徴です。

本ページでは、慶應義塾大学法学部の総合型選抜である、FIT入試の概要と対策についてお伝えします。

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竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。

実施している年内入試の種類と日程について

法律学科

試験名FIT入試(A方式)
出願締切日2025/09/03
一次合格発表日2025/09/16
試験日2025/09/20
合格発表日2025/11/04
試験名FIT入試(B方式)
出願締切日2025/09/03
一次合格発表日2025/09/16
試験日2025/09/21
合格発表日2025/11/04

政治学科

試験名FIT入試(A方式)
出願締切日2025/09/03
一次合格発表日2025/09/16
試験日2025/09/20
合格発表日2025/11/04
試験名FIT入試(B方式)
出願締切日2025/09/03
一次合格発表日2025/09/16
試験日2025/09/21
合格発表日2025/11/04

慶應義塾大学法学部法律学科・政治学科 FIT入試 入試日程

法律学科・政治学科   FIT入試(A方式・B方式)

夏の早い段階から出願登録が始まり、9月上旬に出願書類の郵送が締め切られます。

その後、9月中旬に第1次選考の合格発表があり、そのわずか数日後の9月下旬に第2次選考が行われます。

最終的な合格発表は11月上旬に行われるため、出願から第2次選考までが非常にタイトでスピーディーに進行するスケジュールとなっています。

最大の注意点は、第1次選考の合格発表から第2次選考までの期間が数日しかないことです

そのため、1次選考の通過を待ってから2次選考の対策を始めるのでは到底間に合いません

夏休み中に書類作成と並行して、あるいは出願完了直後から、直ちに見据えた2次選考の対策を本格化させておくことが合格への大きな鍵となります。

各入試の募集人数・倍率

法律学科

試験名FIT入試(A方式)
募集人数80
倍率 2026-
倍率 20255.4
試験名FIT入試(B方式)
募集人数80
倍率 2026-
倍率 20252.7

政治学科

試験名FIT入試(A方式)
募集人数80
倍率 2026-
倍率 20256.1
試験名FIT入試(B方式)
募集人数80
倍率 2026-
倍率 20252.8

法律学科の倍率の特徴

慶應義塾大学法学部法律学科のFIT入試における募集人数は、A方式とB方式を合わせて「最大80名」となっています。

2025年度の倍率を見ると、A方式が「5.4倍」、B方式が「2.7倍」という結果でした。

評定平均による出願基準が設けられておらず、全国から卓越した実績を持つ受験生が集うA方式は、高倍率の激戦となっています。

一方で、出願に全体の評定平均4.0以上等の条件があるB方式は、2倍台後半と総合型選抜としては標準的な競争率に収まっています。

評定基準を満たせるかどうかが、実質的な競争環境を大きく分けるのが特徴です。

政治学科の倍率の特徴

政治学科の募集人数も法律学科と同様に、A方式・B方式の合計で「最大80名」と設定されています。

2025年度の倍率データでは、A方式が「6.1倍」、B方式が「2.8倍」となっており、法律学科以上にA方式とB方式の倍率差がありました。

A方式の6倍超えは極めて高い競争率であり、優れた実績だけでなく、それを政治学の学びに結びつける非常に高度なアピール力が求められます。

対してB方式は2.8倍と標準的な難易度に落ち着いています。

全国を7つの地域ブロックに分けて選考する独自枠ということもあり、地方出身者にとってはこの地域ブロック制の恩恵が数字にも表れていると言えます。

各学部・学科の出願基準・出願書類と二次選抜について

法律学科

試験名FIT入試(A方式)
出願評定-
必要英検スコア-
出願書類志望理由書 自己推薦・自己アピール書 その他書類
試験内容

小論文や学科諮問などの筆記試験

その他

試験名FIT入試(B方式)
出願評定4
必要英検スコア-
出願書類志望理由書 その他書類
試験内容

小論文や学科諮問などの筆記試験

面接

政治学科

試験名FIT入試(A方式)
出願評定-
必要英検スコア-
出願書類志望理由書 自己推薦・自己アピール書 その他書類
試験内容

小論文や学科諮問などの筆記試験

その他

試験名FIT入試(B方式)
出願評定4
必要英検スコア-
出願書類志望理由書 その他書類
試験内容

小論文や学科諮問などの筆記試験

面接

法律学科・政治学科 FIT入試(A方式)

出願基準について

  •  評定平均のボーダー: 評定平均の基準は設けられていません。
  •  欠席日数の制限: 募集要項上に欠席日数に関する制限の記載はありません。
  •  英語資格・特記事項: 語学資格の必須スコアはありませんが、「外国語の学習に熱心に取り組み、検定試験等で証明できる」ことは、出願条件となる「優れた実績」の1つとして認められます。
  • その他、文化・芸術・スポーツでの実績、リーダーシップ、ボランティアなどの分野で卓越した実績を持つことが求められます。
  •  現役・既卒の制限: 既卒生(浪人生)も出願可能です。

評定平均の基準がない代わりに、学業以外の活動や特定の分野における「優れた実績」が出願の必須条件となります。

自分がどの分野でユニークな成果を残したのかを客観的に証明できるかどうかが、出願の鍵を握ります。

出願書類について

  •  志望理由書: 800字以内の自筆による記述です。
  •  自己推薦書: 指定の枠内で実績をアピールし、将来どのように社会に貢献する人材となり得るかを表現します。
  •  添付資料: 自己推薦書の裏付けとして、実績や資格を証明する資料をA4サイズ最大5枚まで添付できます。

A方式の書類作成の最大のポイントは「自己推薦書」と「最大5枚の添付資料」の書き方です。

ただ実績を並べるだけでなく、提出する証明資料が、志望理由書の「人生における意味」や将来の社会貢献にどう直結するのかを、説得力を持って構成する必要があります。

試験内容について

  •  論述試験(45分): 事前に「模擬講義」を受講し、その講義内容を踏まえた上で論述を行う形式です。
  •  口頭試問(約15分): 複数の教員に対して受験生1名で行われます。与えられたテーマについての質疑応答を通し、学問的な理解力や知的表現力が総合的に考査されます。

事前の書類審査を通過した後の第2次選考は、大学の講義をその場で理解してアウトプットする論述試験と、教員との学問的なディスカッションという非常に高度な内容です。

一般的な面接対策ではなく、与えられたテーマについて論理的に考え、自分の言葉で即座に表現する実践的なトレーニングが不可欠です。

法律学科・政治学科 FIT入試(B方式)

出願基準について

  • 評定平均のボーダー: 高等学校全期間の「全体の学習成績の状況が4.0以上」であることに加え、指定教科(外国語、数学、国語、地理歴史、公民)の各教科の学習成績の状況もすべて4.0以上であることが必須です。
  • 欠席日数の制限: 募集要項上に欠席日数に関する制限の記載はありません。
  • 現役・既卒の制限: 既卒生(浪人生)も出願可能です。

全体の評定平均だけでなく「外国語、数学、国語、地理歴史、公民」の5教科すべてが4.0以上でなければ出願できないという、非常に厳格な基準が設けられています。

早期に自分の成績がこの厳しい要件をクリアしているかを確認することが最初のステップです。

出願書類について

  • 志望理由書: A方式と同様、800字以内の自筆で「志望理由」と「人生における意味」を記述します。
  • 評価書: 在籍校の教員に作成を依頼し、学校長印による厳封を受けたものを提出します。

B方式では、A方式で求められる「自己推薦書」および「添付資料(実績証明等)」の提出はありません。

また、活動実績を証明する添付資料の提出がないため、自筆の「志望理由書」と、学校側に作成してもらう「評価書」の重要性が極めて高くなります

早い段階から先生と密にコミュニケーションを取り、自身の強みや志望動機を深く理解してもらった上で評価書の執筆を依頼することが重要です。

試験内容について

  • 総合考査Ⅰ(45分): グラフ、表、データ、条文、判例などの「資料・図表読み取り型」の小論文です。
  • 総合考査Ⅱ(45分): 「テーマ型」の小論文です。
  • 面接(約10分): 学力および人物について問われる個人面接です。

2次選考では「データ読み取り」と「テーマ記述」という2種類の異なる小論文が課されます

社会科学系の様々なデータや判例に触れ、400字という短い文字数で的確に要約し、自分の発想を論理的に表現する練習を繰り返す必要があります。

また面接も実施されるため、志望理由書の内容を軸にした人物面接の対策も並行して行う必要があります

各学科の総合型選抜の対策ポイント

出願書類の書き方

志望理由書では「なぜ法学部を志望したか」に留まらず、「法学部で学ぶ学問が自分の人生で持つ意味」まで深く掘り下げて記述する必要があります。

さらにA方式では、自身の顕著な実績が「将来、社会にどう貢献する人材となり得るか」にどう繋がるのかを自己推薦書で論理的に説明することが求められます。

FIT入試の目的が、単なる学力テストでは測れない主体性、社会性、想像力、コミュニケーション能力など、積極的に社会で活躍し発信する能力を評価し、第一志望として学びたい学生と教えたい教員との良好な相性(fit)を実現することにあるからです。

過去の合格者は、例えば「模擬国連での活動」や「地域のボランティア経験」といった具体的な実績を、「現代社会の法的課題の解決」や「グローバルな政治課題に対するアプローチ」に結びつけ、大学での学びを将来のキャリアへとつなげるストーリーを語る傾向があります。

最初に取り組むべきアクションは、あなたのこれまでの活動実績を洗い出し、それが法学・政治学のどの分野の関心に結びつくのか、そして将来社会にどう貢献したいのかという一貫したストーリーの骨組みを作成することです。

2次試験の対策

A方式の論述試験では、模擬講義をその場で受講した上で、法律学・政治学の修得に必要な理解力、考察力、表現力が評価されます。

B方式の総合考査では、資料から論理的に読み解く力と、与えられたテーマに対する創造力や独創性、発想力が問われます。

法学や政治学を学ぶ上で、客観的なデータや文献を正確に読み解く力と、柔軟な思考力をもって自らの意見を論理的に構築し、表現する基礎的な素養が不可欠だからです。

A方式の論述試験では、講義内容の要約に加えて自身の見解を問われることが多いため、「講義の要点抽出→自身の主張→その根拠や具体例」というフレームワークが有効です。

B方式の総合考査では、与えられた図表や法的なテーマに対し、多角的な視点から考察を深める練習が求められます。

具体的な準備として、A方式では大学レベルの公開講座などを視聴して要約・考察を書くトレーニングをしましょう。

B方式では新聞の社説や社会科学系のデータ記事を読み、短い時間で400字程度にまとめる記述演習を繰り返すことが効果的です。

面接で問われること A方式の「口頭試問」では、与えられたテーマについての質疑応答を通じて、学問的な理解力や知的表現力などが総合的に考査されます。

B方式の「面接」では、学力や人物像について問われます。

「あなたが志望理由に書いた〇〇という社会的課題に対して、現在の法制度では何が不足していると考えますか?」といった、提出書類から一歩踏み込んだ学問的な質問がなされます。

これに対し、論理的かつ柔軟な視点で自分の考えを述べる姿勢が好印象を与えます。

対策スケジュール

8月上旬から出願登録が開始され、9月上旬に出願書類の郵送締切、9月中旬に第1次選考合格発表、その数日後に第2次選考が実施され、11月上旬に最終合格発表となるスケジュールです。

夏休み期間中に、すべての出願書類を完成させるとともに、並行して小論文および面接・口頭試問の対策を本格化させておくことが目標です。

9月上旬の出願締切後、第1次選考の合格発表から第2次選考までの期間がわずか数日しかなく、1次選考の通過を確認してから2次対策を始めたのでは到底間に合わないためです。

夏休み中は午前中に志望理由書の推敲や関連分野の読書にあて、午後は時間を測っての論述演習、夜は先生との模擬面接を組み込むといった、インプットとアウトプットをバランス良く行いましょう。

総合型選抜に対するよくある質問

Q:法律学科と政治学科の両方に出願(併願)することはできますか?

A:法律学科と政治学科を併願することはできません。

出願時に必ずいずれか一方の学科を選択する必要があります。

ただし、同一学科内(例えば「法律学科のみ」)であれば、A方式とB方式の両方に同時出願(併願)することは可能です。

Q:既卒生(浪人生)でも出願できますか?

A:はい、A方式・B方式ともに既卒生(浪人生)の出願が可能です。

ただし、B方式に出願する場合は、高等学校全期間の「指定各教科」および「全体の学習成績の状況」がすべて4.0以上であることなど、厳格な成績基準を満たす必要があります。

Q:他大学との併願や、合格後の入学辞退は可能ですか?

A:FIT入試は専願制の入試です。

出願資格において「第一志望としていずれかの学科での勉学を強く希望する者」、および「合格した場合に入学することを確約できる者」と明記されているため、合格後の入学辞退はできません。

まとめ

慶應義塾大学法学部のFIT入試について、重要なポイントを振り返ります。

  • 概要:教員が「教えたい」学生と、法学部で「勉強したい」学生のfitを実現することを目的とした入試です。
  • 入試の日程:8月上旬に出願が始まり、9月下旬に第2次選考が実施されるため、夏休み中の計画的な準備と素早い対策の切り替えが必要です。
  • 募集人数・倍率の傾向:A方式は出願条件が幅広いため高倍率になりがちですが、評定基準を満たせばB方式や両方式の併願が可能であり、戦略的な出願が合格の可能性を広げます。
  • 出願と試験の対策ポイント:志望理由書や自己推薦書では自身の経験と将来の社会貢献を論理的に結びつけることが問われます。第2次選考では、講義や資料を的確に理解し、自らの考えを表現する実践的なトレーニングが不可欠です。

慶應義塾大学法学部のFIT入試で合格する人材像

この入試で合格をつかむのは、主体性や社会性を備え、自らの経験を法学や政治学の学びに深く結びつけることができる受験生です。

与えられた課題やデータに対して論理的・多角的に考察し、それを自分の言葉で説得力を持って伝える知的表現力が求められます。

FIT入試は、あなたのこれまでの実績や経験、そして学問への情熱を、多面的・総合的に評価する入試です。

タイトなスケジュールの中で高度な対策が必要となりますが、あなた自身の魅力を最大限に発揮できる挑戦しがいのある入試です。

あなたの挑戦を応援しています。

この記事の監修者

プロフィール写真
ユーザー画像の背景

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


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