作成日: 2025/5/29 更新日:2026/6/16
医学とは何を学ぶ学問?学ぶ内容・大学・就職先を解説

「医学とはどんな学問?」「医学を学んだ後の進路は?」
この記事では、主に以下のことを解説します。
- 医学とはどんな学問か
- 医学部で学ぶ内容・専攻分野
- 大学での6年間の流れ
- 医師国家試験について
- 学べる大学・学部の一例
- 卒業後の進路・職業
- 向いている人の特徴
医学に興味のある人や、進学・キャリア選びの参考にしたい高校生はぜひ最後まで読んでみてください。
全文で1万文字程度の長文になるので、当ページのポイントだけを知りたい方は、年内入試ナビの無料会員にご案内している以下のガイドをお受け取りください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
医学とは?
医学とは、人間の健康を守り、病気の予防・診断・治療を行うための科学と技術を体系化した学問です。
古代から存在し、現代までに大きく発展してきました。医学は人体の構造・機能・病気の原因・治療法・予防策を体系的に学ぶ学問です。
医学には大きく以下の3つの分野があります。
医学の分野 | 学ぶ内容の概要 |
基礎医学 | 人体の基本的な構造・機能・病気のメカニズムを研究する |
社会医学 | 集団・社会全体の健康と公衆衛生・医療政策を研究する |
臨床医学 | 患者の診断・治療・予防に直接関わる実践的な医療を学ぶ |
3つの分野からさらに内科・外科・精神科など多くの専門分野に分かれ、各分野がさらに細かく分類されています。
医学の進歩は研究・技術の発展に依存しており、医師・研究者は常に新しい知識を学び続ける必要があります。
医学部で学ぶ内容・専攻分野
医学部で何を学ぶのかを、3つの主要分野に分けて解説します。
基礎医学
基礎医学は、医学の土台を築く学問で、人体の構造・機能・病気の発生メカニズムを理解するための分野です。
解剖学・生理学・病理学・生化学・遺伝学・微生物学・薬理学など、様々な領域が含まれます。
臨床医学・応用医学の基礎となる知識であり、医学部の低学年で集中的に学びます。
学問分野 | 学ぶ内容 |
解剖学 | 人体の骨格・筋肉・神経・臓器の構造や配置を研究する |
生理学 | 心臓の拍動・ホルモンの働きなど、体の機能と生命維持の仕組みを研究する |
病理学 | がん細胞の増殖過程など、病気の発生メカニズムや診断方法を研究する |
生化学 | 代謝経路・酵素反応・DNAの構造と働きなど、体内の化学反応を研究する |
遺伝学 | 遺伝子変異が病気に与える影響や遺伝子治療の仕組みを研究する |
微生物学 | 感染症の原因となる細菌・ウイルス・真菌の特性とワクチン開発を研究する |
薬理学 | 各種薬剤の効果・副作用・適切な投与方法を研究する |
社会医学
社会医学は、個人ではなく集団・社会全体の健康に焦点を当てた分野です。
疫学・公衆衛生・医療経済学などを通じて、社会的・環境的な要因が健康に与える影響を研究します。
学問分野 | 学ぶ内容 |
疫学 | 感染症の流行予測や生活習慣病のリスク要因を統計的に解析する |
公衆衛生 | 予防接種プログラムの計画や地域の健康教育など、社会全体の健康を守る政策を研究する |
医療経済学 | 医療費の適正化や医療保険制度の評価など、医療資源の最適配分を研究する |
医療社会学 | 社会経済的背景が医療格差に与える影響など、社会・文化的要因と健康の関係を研究する |
社会医学は健康保険制度・予防接種プログラムなどの公共政策にも深く関与しており、社会全体の健康改善に貢献します。
臨床医学
臨床医学は、患者の診断・治療・予防に直接関わる分野です。
内科・外科・小児科など多くの専門分野に分かれており、医師として実際の医療現場で使うスキルを身につけます。
学問分野 | 学ぶ内容 |
内科学 | 循環器・呼吸器・消化器など内臓疾患の診断と治療方法を学ぶ |
外科学 | 手術技術・創傷管理・麻酔・術後ケアを学ぶ |
小児科学 | 乳幼児の発達・先天性疾患・小児特有の感染症を学ぶ |
精神医学 | うつ病・統合失調症・不安障害の診断と治療方法を学ぶ |
皮膚科学 | アトピー性皮膚炎・乾癬・皮膚がんの診断と治療を学ぶ |
リハビリテーション医学 | 理学療法・作業療法・言語療法を通じて機能回復を支援する方法を学ぶ |
臨床医学は、医学生が現場での実践を通じてスキルを磨き、専門医へと成長するために欠かせない分野です。
医学部での6年間の流れ
医学は主大学の医学部に入学することで学びます。
医学部は他の学部と異なり、6年制です。
学年によって学びの内容が段階的に変化します。
学年 | 学びの中心 |
1・2年次 | 教養科目と基礎医学(解剖学・生理学・生化学など)の習得。基礎的な実験・実習も行う |
3・4年次 | 病理学・微生物学・薬理学など専門科目を履修。CBT(医学知識の客観試験)とOSCE(臨床技能試験)に合格することで臨床実習へ進める |
5・6年次 | 病院での臨床実習(クリニカル・クラークシップ)が中心。実際の患者を診ながら診断・治療の実践力を身につける |
6年次後半 | 医師国家試験の受験準備が中心になる |
5・6年次の臨床実習では、内科・外科・小児科・産婦人科・精神科など複数の診療科を一定期間ずつローテーションします。
実際の医療現場で指導医のもとで学ぶ、実践的なカリキュラムです。
参考:医学部とは何を学ぶ?授業内容や大学選びのポイントを解説
医師国家試験について
医学部を卒業すると、医師国家試験の受験資格を得られます。
合格後に医師免許が付与され、初めて医師として診療に従事できます。
最新の合格実績(第119回・2025年2月実施)は以下のとおりです。
項目 | データ |
受験者数 | 10,282人 |
合格者数 | 9,486人 |
合格率(全体) | 92.3% |
合格率(新卒) | 95.0% |
合格率(既卒) | 59.0% |
合格率は例年91〜93%程度で推移しており、薬剤師国家試験や看護師国家試験と比較して高水準です。
ただし、既卒(浪人)になると合格率が大幅に下がります。
6年間で確実に学力を積み上げ、現役での合格を目指すことが重要です。
医学を学べる大学・学部の一例
医学を学べる大学・学部の一例を紹介します。
順天堂大学 医学部
患者に寄り添う人間性と国際的な視野を持つ医師の育成を目指す医学部です。
大学の理念「仁」の精神に基づき、医師としての共感力と教養を重視しています。
特徴 | 内容 |
国試合格実績 | 過去20年間の医師国家試験合格率が全国2位の水準を維持している |
国際医療教育 | 「順天堂国際医学教育塾」をはじめとした国際プログラムを展開している |
研究支援 | 研究医育成のための支援体制が整備されており、最先端研究に取り組める環境がある |
患者の人生に寄り添い、グローバルな視野を持つ医師を目指したい人に向いています。
参照:順天堂大学 医学部
北里大学 医学部
独自カリキュラム「器官系別総合教育」を通じて、臓器ごとの疾患を総合的に学ぶ医学部です。
教養と専門性を融合した一貫教育システムにより、医療現場での実践力を早期から育成します。
特徴 | 内容 |
器官系別総合教育 | 臓器ごとに基礎・臨床を統合的に学ぶ密度の濃いカリキュラムを導入している |
チーム医療演習 | 医療系学部と合同でチーム医療演習を実施し、協働力を養成している |
早期臨床実習 | 病院体験当直を含む早期実習で、1年次から臨床現場を体験できる |
体系的に医療を学び、早期から臨床経験を積みたい人に向いています。
参照:北里大学 医学部
日本大学 医学部医学科
問題発見と解決に挑戦する力を重視した教育を行う医学部です。
基礎から臨床・社会医学まで段階的に学ぶカリキュラムを提供しており、人間性を大切にしながら自ら考え続ける医師の育成を目指しています。
特徴 | 内容 |
学生主体の授業 | PBL(問題基盤型学習)を取り入れ、学生が主体的に考える授業スタイルを導入している |
附属病院との連携 | 日本大学病院をはじめとした複数の附属病院で、充実した臨床実習が受けられる |
多様な専門分野 | 基礎から臨床・社会医学まで幅広い専門分野の教員による教育体制がある |
参照:日本大学 医学部医学科
医学を学んだ後の進路は?
医学部の卒業生は、医師国家試験合格後に研修医として2年間の初期研修を行います。
その後、専門分野を選んで専門研修(後期研修)に進み、専門医資格の取得を目指すのが一般的な流れです。
北里大学 医学部の卒業生の進路(参考)では、卒業生の大多数が臨床研修医として病院に就職しており、一部は大学院へ進学して研究医を目指しています。
医師以外の進路としては、以下の選択肢があります。
進路 | 概要 |
|---|---|
進路 | 概要 |
臨床医 | 病院・クリニックで患者を診る。内科・外科・小児科・精神科など専門分野に分かれる |
研究医 | 大学病院・研究機関で医学研究に従事する。新薬・治療法の開発に携わる |
産業医 | 企業に所属し、従業員の健康管理・労働環境の改善を担当する |
医系技官 | 厚生労働省などの行政機関で医療政策の立案・実施に携わる |
医学研究者 | 大学・研究機関で基礎医学・臨床医学の研究を行う |
医学の勉強が活かせる職業
臨床医(整形外科・脳神経内科など)
臨床医は、病院やクリニックで患者を直接診察・治療する職業です。
内科・外科・小児科・精神科・皮膚科など多くの専門分野があり、専門医資格を取得して活躍します。
患者の命と向き合い、チーム医療の中心的な役割を担います。
研究医
研究医は、大学病院や研究機関で医学研究を行う職業です。
新薬・治療法・診断技術の開発に携わり、医学の進歩に貢献します。
臨床と研究を両立する「臨床研究医」というキャリアを歩む医師も多くいます。
産業医
産業医は、企業に所属して従業員の健康管理・職場環境の改善・メンタルヘルス対策などを担当する職業です。
50人以上の従業員がいる事業所には産業医の選任が義務付けられており(労働安全衛生法)、需要は安定しています。
医学研究者
医学研究者は、大学・研究機関で基礎医学・臨床医学の研究を行う職業です。
医師免許を持たずに医学研究者になる場合は、医学部ではなく理学部・薬学部などから大学院に進学するルートもあります。
よくある質問
医学に向いている人の特徴は?
医学を学ぶのに向いているのはどんな人でしょうか?
特徴をまとめました。
特徴 | 理由 |
理系科目が得意な人 | 医学部の入試・学習は数学・化学・生物が中心だから |
人の役に立つことに喜びを感じる人 | 患者の健康と命を守ることが仕事の中心だから |
責任感が強い人 | 医師の判断は患者の命に直結するため、強い責任感が不可欠だから |
継続的に学び続けられる人 | 医学の知識は日々更新され、生涯学習が求められるから |
コミュニケーション能力がある人 | 患者・家族・医療チームとの連携が業務の根幹にあるから |
医学と医療の違いは?
「医学」は病気や健康について研究する学問体系です。
「医療」は医学の知識・技術を実際の患者に適用して診断・治療を行う行為です。
医学は「知ること」、医療は「行うこと」という関係にあります。
医学部以外で医学を学ぶ方法は?
医師免許の取得は医学部(6年制)の卒業が必須です。
ただし、医学の知識を学ぶだけであれば、看護学部・薬学部・保健学部などでも医学の一部を学べます。
また、社会人向けの公開講座や医学系の書籍・MOOCを活用する方法もあります。
大学で医学を学べる学部・学科は?
医師を目指す場合は「医学部医学科(6年制)」への進学が必須です。
医療に関わる他の学部としては、看護学部・薬学部・歯学部・医療技術学部・保健学部などがあります。
それぞれ異なる医療職の養成を目的としており、取得できる国家資格も異なります。
9. まとめ
この記事では、医学の定義から学べる内容・大学・国家試験・進路まで解説しました。
重要なポイントをまとめます。
- 医学とは、人体の構造・病気の原因・治療法を体系化した学問。基礎医学・社会医学・臨床医学の3分野に大別される
- 医学部は6年制で、低学年で基礎医学・高学年で臨床実習・6年次に国試準備という流れ
- 医師国家試験の合格率は約92%(第119回・2025年実施)だが、既卒になると59%に低下する
- 卒業後は2年間の初期研修後、専門医を目指す後期研修に進む流れが一般的
- 進路は臨床医が中心だが、研究医・産業医・行政(医系技官)などの選択肢もある
- 医学部入試は最難関レベルで、数学・理科(化学・生物)の高い学力が求められる
本記事が、医学の全体像を掴む上で役立てば幸いです。
医学は何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を徹底解説
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。
