年内入試ナビ

作成日: 2024/12/23 更新日:2024/12/23

教師になるには?必要な資格や小学校・中学校・高校別のなり方を解説

教師になるには?必要な資格や小学校・中学校・高校別のなり方を解説

「教師になるにはどうすればいい?」

「必要な免許は?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では、主に以下のことについて解説します。

  • 教育職員免許状の取得方法
  • 教員採用試験に合格する方法
  • 校種による教員採用試験の共通点と相違点
  • 公立・私立別の教師になる流れ

また、教師になりたい人が抱く疑問にも答えています。

教師になることを検討しているみなさんに向けてわかりやすく解説しますので、最後までごらんください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

​教師になるにはどうすればいい?

教師になるには?

教師になるためには、大学などで教職課程を修了し、教員免許を取得した上で、教員採用試験に合格する必要があります。

一般的な流れは以下の通りで、多くの教師が以下のステップを踏んでいます。

  1. 大学、大学院、短大などの教職課程を修了する
  2. 教員免許(教育職員免許状)を取得する
  3. 教員採用試験を受けて採用される

中でも教員免許の取得方法は大きくわけて2パターンあります。

教員採用試験は各自治体で実施され、私立学校は独自の採用試験を行います。

次の項目からは、教師になるための方法について、わかりやすく解説していきます。

「教育職員免許状」の取得方法

教育職員免許状の取得方法

教員免許の正式名称は「教育職員免許状」です。

教員免許を取得する方法は、大学で教職課程を修了し、試験に合格するのが一般的です。

一方で、大学に通わず、教員資格認定試験に合格する方法もあります。

それぞれ具体的な方法を解説します。

大学、通信制大学などで所定の教職課程を修了する

教師になる一般的な方法は、大学や通信制大学などに用意されている教職課程を修了し、教員免許を取得することです。

その後、教員採用試験を受験し、合格すると晴れて教師になることができます。

具体的な流れは以下の通りです。

  1. 取得したい教員免許状に対応した教職課程のある学校(大学・短期大学など)に入学する
  2. 所定の科目・単位を修得して卒業する
  3. 4年次に教育実習へ行く
  4. 各都道府県教育委員会に教員免許状の授与申請をする

教員免許を取得できる大学は、文部科学省の公式ページで確認できます。

参考:「教員免許状 (普通免許状)を取得可能な大学等」

教員資格認定試験に合格する

大学などに通うことが難しい場合は、教員資格認定試験を受験する方法もあります。

具体的な流れは以下の通りです。

  1. 教員資格認定試験に合格する
  2. 都道府県教育委員会に申請する

教員資格認定試験とは、必要な資質・能力があると認められた人が教員になれるよう文部科学省が実施している試験のことです。

大学などの教員養成コースを修了したかどうかが問われることがないため、高校を卒業した人なら誰でも受験することができます。

令和6年度の教員資格認定試験で取得できる資格は、以下が予定されています。

  • 幼稚園教員資格
  • 小学校教員資格
  • 高等学校(情報)教員資格

参考:令和6年度以降からの教員資格認定試験について:文部科学省 (mext.go.jp)

教員採用試験に合格する方法

教員採用試験に合格する方法

教員採用試験は、都道府県および政令指定都市が設置、運営する、いわゆる公立学校の教師が対象です。

教員採用試験は全国各地で行われており、小中高などの学校の種類と、国語算数理科などの教科を選び受験します。

合格するためには、目標を明確にし、効率の良い対策を練ることが重要です。

どの採用試験を受けるか決める

希望の教師になるには、以下の表を参考に、どの採用試験を受けるべきかを明確にすることが大切です。

考慮する事項
種類
校種
幼稚園
小学校
中学校
高校
特別支援学校
養護教諭
栄養教諭

ここからさらに、一種、二種、専修などの免許に分かれます。

各試験では、筆記試験・面接・実技試験などが行われます。

どの教員採用試験を受けるかによって受験資格・対策方法が異なるため、まずは自分が受験する試験を決めることが大切です。

試験対策をする

受験する教員採用試験が決まったら、試験内容を確認して合格するための対策を練りましょう。

具体的には以下の方法があります。

  • 大学や短大などに通い教員試験対策を受ける
  • 過去問題を解き問題の傾向を把握して参考書で学習する
  • 公式情報から模擬試験を受ける
  • 教員試験を受けた人の口コミを見る

いずれの手段をとるにしても、根気強く学習に取り組むことが不可欠です。

自分に合った対策方法を見つけ、効率よく学習を続けましょう。

校種による教員採用試験の共通点と相違点

教員採用試験の共通点と相違点

小学校、中学校、高校、特別支援学校など、校種によって必要な教員免許は変わります。

それに伴い、各校種の教員採用試験内容も、共通点と相違点があります。

すべての試験で共通しているのは、一般教養と教職教養です。

校種によって試験内容が変わるのが、専門教養です。

共通点①一般教養

教員採用試験の一般教養とは、筆記試験で実施される科目のひとつです。

小中高で学んできた国語、数学、理科、社会、英語を中心に、基本的な問題が出題されます。

出題範囲は以下の通りです。

  • 人文科学
  • 社会科学
  • 自然科学

試験によっては、地域に関する問題や時事問題が出題されるケースもあります。

共通点②教職教養

共通点②教職教養

教職教養とは、教育に関する知識や理解力を問う試験です。

近年は各領域にまたがった問題や、文部科学省や中央教育審議会による答申や通知などに関する問題も出題されています。

つまり、教育に関する知識力や、文部科学省が目指す教育の方向性への理解力が試される科目ということです。

具体的な出題科目は以下の通りです。

  • 教育原理
  • 教育法規
  • 教育心理
  • 教育史

共通点③面接

教員採用試験には、必ず面接があります。

一方で、面接の回数や内容、時間などは、地域や学校によってバラバラです。

面接の目的は、教員としての資質、能力、知識、経験等を、客観的かつ多角的に評価するため。

面接室へ入室するところから、面接を終えて退出するまでが評価対象です。

相違点:専門教養

相違点:専門教養

専門教養の試験は、例えば小学校の教師は複数の教科を指導する必要があるため、試験も複数の教科の中から出題されます。

体育や音楽では、実技試験もあります。

中学校や高校になると、授業で担当するのはひとつの教科になるため、より専門性が高い問題が出題されます。

つまり専門教養の試験は、それぞれの校種・教科に応じた知識と専門性が問われる試験ということです。

以下の表は、具体的な試験科目の一例です。

校種
教員採用試験で出題される科目の例
小学校
国語、算数、理科、社会、外国語など
中高国
現代文、古文、漢文など
中高社会
日本史、世界史、地理、政治、経済 など
中高保体各
スポーツのルールや知識、応急処置、実技試験など
養護教諭
保健室指導、歯科検診、各種法令など

公立・私立別の教師になる流れ

公立・私立別の教師になる流れ

ここからは、公立学校と私立学校、それぞれの教師に着くまでの流れについて解説します。

出願先などが変わるため、以下の解説をよく読んで参考にしてください。

公立学校の教師に就く流れ

公立学校の教師になるには、以下のようなステップを踏む必要があります。

  • 都道府県、政令指定都市の教育委員会が実施する教員採用試験に合格する
  • 採用候補者名簿に記載され、教育委員会が配属を決める

まずは希望する勤務地の教育委員会が実施する採用試験を受ける必要があります。

配属先の学校は、合格者の居住区域や学校までの通いやすさ、本人の希望などをふまえて、教育委員会が決定します。

また、数年ごとに同じ市区町村内の学校に転勤となる可能性もあります。

私立学校の教師に就く流れ

私立学校の教師に就く流れ

私立学校の教師になるためには、公立学校の教師とは少し違ったステップが必要です。

具体的には、民間企業と同じような就職活動が必要です。

教師を募集している私立学校を検索し、応募します。

一方で、私学教員適性検査を受けたり、履歴書委託制度を活用したりすることで、学校からスカウトを受ける方法もあります。

また、転職エージェントなどのマッチングサービスも有効です。

応募をした後は、学校独自の採用試験を受験し、合格すれば晴れて採用となります。

まとめると、大きく以下の2ステップが必要になります。

  • 教師を募集している学校に就職活動をする
  • 学校独自の採用試験に合格する

得意科目(音楽・英語・数学など)の先生になる方法

音楽や英語、数学などの得意科目の先生になる方法(流れ)は、以下の通りです。

  • 専門的な知識を吸収・必要スキルを習得する
  • 教員免許を取得する
  • 教員採用試験を受ける

これから音楽・英語・数学などの得意科目の先生になりたいと思っている人は、中学校や高校の教師を目指すのがよいでしょう。

中学校や高校の先生は、受け持つ授業が単一であるため、専門的な知識やスキルを活かしやすいからです。

教員採用試験で演奏やスピーチなどの実技試験が実施されるケースもあります。

高校生が最短で教師になる方法

高校生が最短で教師になる方法

現在高校生の方が教師になる方法は、ここまで解説した通りです。

中でも最短で教師になるためには、短大に入学する必要があります。

短大を最短で卒業すれば2年で教員免許を取得できるため、大学や大学院を卒業後に教師になるより早く先生になれます。

また教員資格認定試験(令和6年度)の受験資格は、平成14年4月1日までに生まれ、高校を卒業した人などと定められています。

そのため最短で20歳での受験が可能です。

教員採用試験の実施日は自治体や学校などによって異なるため、実施日が早い学校を選べば、より早く教師になることができます。

まとめると、高校生が最短で教師になる方法は、以下の2つです。

  • 短大で教員免許を取得し、教員採用試験を受ける
  • 高校卒業後に教員資格認定試験を教員採用試験を受ける

教員免許の種類を比較表でわかりやすく解説

教員免許の種類

教員免許は、普通免許状、特別免許状、臨時免許状の大きく3つに分かれます。

普通免許状は、その中でさらに3種類に分かれています。

具体的な分類は以下の通りです。

免許の名称
さらに細かな区分
有効期間
有効地域
普通免許状
専修(大学院修了相当)
一種(大学卒業相当)
二種(短大卒業相当)
なし
全国の学校
特別免許状
教科ごとに授与
なし
授与された都道府県内の学校
臨時免許状
-
3年
​授与された都道府県内の学校​

参考:教員免許制度の概要(令和4年7月28日版) (mext.go.jp)

参考:教員免許状に関するQ&A:文部科学省 (mext.go.jp)

普通免許状は、免許の種類によって採用時・昇進時に影響する可能性があります。

一方で、指導できる範囲に違いはありません。

特別免許状は、社会的経験を有する人が対象とされています。

臨時免許状は、普通免許状の保有者を採用できないなどの状況において、所定の検定を経て授与されます。

こんな人は教師におすすめ

教師に向いている人

教師に向いている人には共通の特徴があります。

以下のような傾向がある人は、教師に向いているかもしれません。

自分が該当するか確認してみてください。

  • 子どもや生徒と関わるのが好き
  • 教えることや知識を共有するのが楽しい
  • 人の成長を支え、教育を通じて社会に貢献したい
  • コミュニケーション力やリーダーシップがある

​教師は発育中の子どもたちと接する職業のため、子どもが好きであることは大前提です。

そうした子どもたちに授業を行い、知識や教養を共有することが楽しいと思える人は、教師に向いているといえます。

子どもを見ていれば、彼らの成長を感じて喜びを感じることもあるでしょう。

一方で、子どもたちの未熟な面にも焦点を当て、粘り強く指導するコミュニケーション能力が必要です。

教師は一人で大勢の子どもたちをまとめるため、リーダーシップも必要です。

教師になりたい人が抱く疑問

教師になりたい人が抱く疑問

教師は多くの人が憧れる職業です。

一方で、いい教師になる人の特徴、仕事内容など、多くの疑問も浮かび上がります。

ここでは「教師になりたい」と考える人たちの疑問をまとめました。

いい教師になれる人の特徴は?

生徒から人気があったり、優秀な生徒を指導したりできる、いわゆる「いい教師」になれる人は、どんな特徴があるのでしょうか?

  • 学習意欲がある
  • 発想力がある
  • コミュニケーション能力が高い
  • 忍耐力がある
  • 観察力がある
  • 冷静に対処できる

いい教師になる人には、常により良い教育をするために学習する意欲があります。

時代の流れや指導方法の移り変わりなどの変化に応じて、最適な指導方法を考える発想力や、生徒と良い関係を築くための対人能力も、いい教師の共通点と言えます。

他にもより良い指導・対応をするために重要な忍耐力・観察力や、予想外の状況に対応できる冷静な判断力・行動力を持っていることも、いい教師になれる人の特徴です。

教師の仕事内容は?

教師の仕事内容

教師の仕事は、担当教科の授業だけに留まりません。

生徒指導、保護者との対話、学校行事の企画・運営など、多岐に渡ります。

以下に教師の主な仕事をまとめました。

  • 授業の準備・実施
  • 生徒の成績評価
  • 保護者対応
  • 学校行事の企画・運営
  • 部活動の指導
  • 生活指導
  • 進路指導
  • PTA関連業務

上記の他にも学校によって教師が担当する仕事が異なることがあります。

希望する学校でどのような働き方が求められるのか、事前に調べるのがよいでしょう。

教育学部内にある学科を専攻しないと教師になれない?

教育学部内の学科を専攻しなくても教師になることは可能です。

所定の教育課程を修了すれば教員免許を取得できるからです。

また通信教育や科目履修生制度の活用によって、通学や入学をせず、教師になる方法もあります。

ただし教育学部には、教員採用試験の受験対策や教師としてのキャリア形成など、教育学部ならではのサポートを受けられる可能性があります。

参考記事:教育学部では何を学ぶ?向いている人や入学後に狙える資格や就職先と共に解説

社会人になってからでも先生になれる?

社会人になってから教師になれる?

社会人になってから先生になる方法も、基本的な流れは同じです。

教員免許を取得し、教員採用試験に合格することで、教師になることができます。

令和4年7月1日には教員免許の有効期限がなくなったため、一度取得すると生涯有効の免許になりました。

ただし、学校がある自治体によっては年齢制限を設けています。

文部科学省が発表した「令和3年度(令和2年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施のポイント」では、年齢制限なしの自治体が47県市となっています。

前年度の41県市から増加している点から、年齢制限は緩和傾向にありますが、就職したい自治体の募集要項を確認してください。

参考:令和3年度(令和2年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施のポイント

教師になる方法まとめ

教師になる方法まとめ

最後に、本記事のまとめを記載します。

  • 教師になるためには、教育職員免許状(教員免許)を取得する
  • 教員免許を取得するためには、大学院や大学などで教職課程を修了し、教員資格認定試験に合格する
  • 大学などに通うのが難しい場合は、教員資格認定試験に合格する
  • 教員免許取得後、自治体の教員採用試験や、私立学校の採用試験に合格して、教師になることができる
  • 教員採用試験は校種や教科によって出題範囲や内容が異なる
  • いい教師になれる人は、学習意欲があり、コミュニケーション能力がある人

この記事が教師になりたい人の一助になれば幸いです。

参考記事:高校教師についての特集記事はこちら

教師になるには?必要な資格や小学校・中学校・高校別のなり方を解説

教師になるには?必要な資格や小学校・中学校・高校別のなり方を解説

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この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


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