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作成日: 2025/2/28 更新日:2025/2/28

高校教師になるには教員免許が必要!教員になるまでの流れや教員免許の取り方を解説

高校教師になるには教員免許が必要!教員になるまでの流れや教員免許の取り方を解説

高校教師になるには、高校で教科指導をするための教員免許を取得する必要があります。

しかし、教員免許が必要だということは知っていても、「教員免許ってどの大学・学部で取れるの?」「どの大学で取ってもいいの?」「教員免許を取れば高校教師になれる?」などさまざまな疑問を抱いている方も少なくないでしょう。

そこで今回は、教員免許の取得方法から高校教師になるまでの流れ、教員免許の種類、教員免許が取れる大学の種類など、高校教師になるために知りたい情報をまるごと解説しています。

高校教師を目指していて大学選び・学部選びに悩んでいるという方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

目次

高校教師とはどんな職業なのか

高校教師とはどんな職業なのか

高校教師は、主に高校生を対象に授業を行い、学習面や生活面での支援をする職業です。生徒に対して専門的な知識を伝えるだけでなく、将来の進路や人間関係においても重要な役割を果たします。具体的にどのような職業かについて、以下で詳しく解説します。

業務内容

詳細説明

授業の準備と実施

各教科の授業を計画し、教材を準備して授業を行う。生徒の理解を深めるための指導を行う。

テスト採点・成績付け

生徒のテストや課題を採点し、成績を付ける。

進路指導

大学進学や就職など、進路に関する相談・サポート。進路選択に関する情報を提供することが主だが、必要に応じて模擬面接など入試対策を行う場合もある。

生活指導

学校生活の規律やマナーを指導。生徒の個別の問題に対応し、日常生活をサポートする。

部活動の指導

部活の顧問として活動を指導。練習計画の立案、試合や大会の準備などを行い、チームワークや技術を育成する。

学校行事の運営

文化祭、体育祭、修学旅行などの学校行事の企画・運営に参加。生徒と共にイベントを計画・実施する。

保護者との連携

定期的に保護者と連絡を取り、学習状況や生活面の支援について情報共有。個別の相談にも対応する。

研修

教育技術や教科知識を向上させるために研修やセミナーに参加し、指導方法や専門知識の改善に努める。

生徒へのサポート

学習面や進路面での個別サポート。特別な支援が必要な生徒に対する指導や相談。

高校教師は、授業や進路指導、生活指導、部活動の指導など、さまざまな役割を担う職業です。生徒に学問だけでなく、人間的な成長や社会性を育む手助けをする重要な存在です。しかし、その仕事には多くの責任が伴い、やりがいと同時に大きな努力と時間が求められます。教師としての使命感と生徒への情熱がある人にとっては、非常にやりがいのある職業です。

高校教師になるためのステップ

高校教師になるためのステップ

まずは、高校教師になるまでの一般的な流れをご紹介していきます。

教育学部や教職課程のある大学に入学する

高校教師になるには、まず教育学部や教職課程が設置されている大学への入学が必要です。

「教育大学」という名称の大学や四年制大学の教育学部、教職課程が履修できる学部・学科を選んで入学しましょう。

特に高校教師を目指す場合は、教職課程が履修できる学部・学科を選ぶのがおすすめです。

高校教師は担当教科の専門的な知識が求められるため、国語や地歴の教師なら文学部、化学の教師なら化学部、のように教科が専門的に学べる学部で教職課程を履修するパターンが多いです。

一方で、教育心理学や発達心理学、学校運営などについて詳しく学びたい場合は、教育大学や四年制大学の教育学部での学びが向いているでしょう。

教員免許取得に必要な単位を取得する

教育免許取得に必要な単位を取得する

教員免許を取得するためには、大学や大学院で定められた必要な単位を取得する必要があります。

高校教師の教員免許を取得するために取るべき単位は、以下の通りです。

科目の種類
最低取得単位数
教科に関する科目
20
教職に関する科目
23
教科又は教職に関する科目
一種:16、専修:40
その他(日本国憲法、体育、外国語コミュニケーション、情報機器の操作)
8

参照:文部科学省「教員免許状取得に必要な科目の単位数

教科に関する科目では、取得予定の免許の教科に対応した科目(地歴なら日本史概論、世界史概論など)を履修し、教職に関する科目では、教育学や教科指導法、教育実習などに関する科目を履修します。

高校教師の教員免許は「教科又は教職に関する科目」の最低取得単位数が多いため、教科の専門知識を深めたい場合は教科に関する科目を多めに、指導法や教育に関して深く学びたい場合は教職に関する科目を多めに履修することができます。

大学の設置科目やカリキュラムによって取得すべき科目の名称が異なるため、教員免許取得を目指すなら入学時に必ずカリキュラムや教職課程の内容を確認しましょう。

なお、教職課程を履修する場合は、学部卒業に必要な単位とは別に複数の科目を受講する必要があります。一般的な学部生よりも取得しなければならない単位数が増えるので注意が必要です。

​​教育実習に行く

教育実習は通常、大学の教育課程で学んだ後、卒業前に行うことが一般的です。多くの場合、大学の3年生または4年生の時期に実施され、実習期間は約24週間にわたります。この実習期間中に、実際の学校現場で授業を担当したり、教師としての業務に携わることが求められます。教育実習を通じて、指導案の作成や授業の進行、クラス運営の方法など、教師としての基礎を学びます。また、生徒とのコミュニケーションや、実際の教室環境での問題解決能力を磨くことができます。実習後には、報告書の作成や反省会が行われ、自分の授業内容や指導方法を振り返り、成長を実感できます。教育実習は教師としての自信を深め、将来の教育現場での活躍に向けて重要なステップとなります。

教員免許を取得し、教員採用試験を受ける

教員免許を取得し、教員採用試験を受ける

教員免許を取得、または取得見込みになったら、教員採用試験を受けます。

公立高校の教員を目指す場合は、都道府県・自治体が実施する教員採用試験の受験が必須です。

教員採用試験は、主に筆記試験を行う第一次選考と面接を行う第二次選考があります。

第一次選考は、一般教養、教職教養、専門教養などの筆記試験を行います。第二次選考は面接や模擬授業が行われ、体育や音楽、英語など一部教科では実技試験もあります。

各都道府県・自治体によって試験内容が異なるため、必ず受験する都道府県・自治体の実施要綱で確認しましょう。

なお、令和6年度から多くの都道府県で「大学3年生前倒し選考」が開始され、教員免許取得見込みの大学3年生が第一次選考を受験することが可能になりました。前倒し選考を通過すると4年次の教員採用試験で通過済みの第一次選考が免除になります。

教員採用試験に合格し、配属先の高校が決まる

各都道府県・自治体の教員採用試験に合格すると、次は配属先の高校を決めるためのプロセスが始まります。

合格後は説明会などを経て採用候補者名簿に記載され、自治体や教育委員会が合格者の希望や適性、地域のニーズを考慮しながら、採用候補者を最適な配属先に選定します。

配属先が決まり、学校長らとの面談を終えたら、新任教師としての準備が始まります。具体的には、学校でのオリエンテーションやクラス担任の決定、教材の準備、他の教職員との顔合わせなどが行われます。

また、初年度は特に多くのサポートが用意されており、先輩教師による指導や研修が充実しています。新しい環境での不安もあるかもしれませんが、教育現場での経験を積む貴重な機会です。

公立高校と私立高校の採用までのプロセスの違い

高校教師になるには、公立高校と私立高校の教員採用の流れの違いについて知っておく必要があります。

まず、公立高校の教員になるには、各都道府県・自治体で実施される教員採用試験に合格しなければなりません。合格後は採用候補者名簿に記載され、各自治体や学校長などとの面接を経て採用となります。

つまり、教員採用試験の合格が高校教師として着任することを確約しているわけではない点に注意しましょう。また、着任する学校を選ぶこともできません。

これに対して、私立高校の採用試験は各学校が独自に実施し、合格すればその学校での勤務が決まります。

採用試験の内容は一般的には書類選考や面接、模擬授業が行われ、学校の教育方針や雰囲気に合った人材が求められますが、採用プロセスが学校ごとに大きく異なるため確認が必須です。

教員募集があるかどうかも学校ごとに異なるため、こまめな情報収集が欠かせません。

高校教師になるには、こうした違いを理解し、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

教員採用試験の詳細

教員採用試験の詳細

高校教師になるための教員採用試験は、各都道府県や市町村が実施するもので、教師として採用されるために必要な試験です。この試験にはいくつかの重要な要素があり、合格するためにはしっかりとした準備が必要です。教員採用試験の詳細な内容について解説します。

教員採用試験の内容と準備方法

教員採用試験は、通常、以下の主要な項目で構成されています。試験内容は自治体によって異なる場合もありますが、基本的な流れは以下の通りです。

筆記試験

筆記試験は、一般的に以下の内容に分かれます。

  • 教科試験:志望する教科に関する専門知識を問う試験です。例えば、数学の教員を目指す場合は、数学の問題が出題されます。
  • 一般教養試験:一般的な知識や思考力を問う試験です。主に社会、歴史、文化、英語などが対象となります。近年では、時事問題や論述問題が出題されることもあります。
  • 教育・心理学に関する試験:教育学や心理学の基本的な知識を問う問題が出題されます。教育方法、学習理論、子どもの発達などに関する内容です。

面接試験

面接試験では、以下の点が評価されます。

  • 人物評価:応募者の人間性や対人能力、教育に対する情熱が問われます。志望動機や教育に対する考え方をしっかりと伝えることが求められます。
  • 模擬授業:面接の一環として、模擬授業が行われることがあります。実際の授業を模した形で、どのように授業を進めるか、学び手にどう伝えるかが評価されます。

実技試験(場合による)

特定の教科(音楽、美術、体育など)を志望する場合には、実技試験が課されることがあります。例えば、音楽の場合は演奏や歌唱、美術の場合は作品制作などが求められます。

​​準備方法

教員採用試験に合格するためには、以下のポイントを押さえて準備を進めることが大切です。

  • 専門知識の強化:自分が担当したい教科の知識を深めることはもちろん、一般教養や教育学、心理学の知識も重要です。
  • 過去問の徹底的な対策:過去の試験問題を解くことで、出題傾向や問題形式に慣れておくことが必要です。
  • 模擬授業の練習:実際に授業を行うシミュレーションを行い、教える技術を磨くことが重要です。学校や予備校などで模擬授業の練習を行うことをおすすめします。
  • 面接対策:面接で自分をしっかりとアピールするために、自己紹介や志望動機、教育に対する熱意をしっかり準備し、練習しておきましょう。

教員採用試験の受験資格と実施時期

​受験資格

教員採用試験には、基本的に以下の受験資格があります。

  • 大学卒業または卒業見込み:教員免許を取得するためには、大学で教職課程を履修し、卒業時に免許状を取得している必要があります。
  • 年齢制限:多くの都道府県では、受験者に年齢制限があります。一般的には、30歳未満の人が対象となることが多いです。年齢制限は都道府県によって異なるので、事前に確認することが重要です。
  • 教員免許:試験に合格するためには、所定の教員免許を取得している必要があります。免許の種類や条件も都道府県によって異なる場合があるので、確認が必要です。

実施時期

教員採用試験は、通常、毎年夏に行われることが多いですが、具体的な日程や手続きは都道府県ごとに異なります。試験の申し込みは一般的に春に始まり、詳細なスケジュールは各自治体の教育委員会の公式サイトで確認することができます。

教員採用試験は、筆記試験、面接、実技(場合による)などが含まれており、合格するためにはしっかりとした準備が必要です。試験内容や日程は都道府県によって異なるため、事前に情報収集を行い、計画的に準備することが重要です。また、採用後には新人教師としての研修があり、現場での経験を積みながら成長していくことが求められます。

社会人から高校教師になる方法

社会人から高校教師になる方法

社会人から高校教師になるためのプロセスは、主に2つの方法があります。

  • 働きながら教員免許が取得できる大学・大学院に通う
  • 社会人経験を活かせる特別選考に挑戦する

ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。

①働きながら教員免許が取得できる大学・大学院に通う

通信制大学・大学院なら、平日の空き時間や休日を使って必要な科目を履修し、教員免許取得を目指すことができます。

通常は学校に行かなければならないスクーリングも、オンラインスクーリングを実施している大学なら自宅などから受講できます。社会人での教員免許取得に力を入れている通信制大学なら、働きながら教員免許を取得することも不可能ではないでしょう。

教員免許が取得できるおすすめの通信制大学は、こちらの2つです。通信制大学を検討している場合はぜひチェックしてみてください。

大学名
特徴
日本で最も入学者数が多い教育系通信制大学。高校の国語・地歴・公民・数学・理科・英語・音楽・美術などの教員免許(一種)が取得できる。
オンラインで200科目以上履修可能。履修科目数に応じた学費の支払いが可能。高校の地歴・公民・英語・保健体育などの教員免許(一種)が取得できる。

②社会人経験を活かせる特別選考に挑戦する

社会人から高校教師を目指す人を対象とした特別選考は、これまでの職務経験を有効に活用できる貴重な機会です。

一般的な教員採用試験とは異なり、社会人特有のスキルや経験が評価されるため、自身のキャリアを強みに変えられます。

例えば、東京都の教員採用試験では、「社会人特例選考」として実施されており、以下のような条件・試験内容となっています。

対象者・条件
  • 25歳以上
  • 教職以外の民間企業等も含む社会人経験が2年以上(選考年度の前年度3月31日までの経験が対象)ある ※勤務経験は、常勤、非常勤(アルバイト、パート)問わない
  • 現在教員免許を取得していなくても、必要な免許状を合格後2年以内で取得できる
試験内容

第一次選考…① 教職教養、② 専門教養、③ 論文

第二次選考…面接

参照:東京都公立学校教員採用ポータルサイト「令和6年度東京都公立学校教員採用候補者選考(7年度採用)実施要綱

この選考では、リーダーシップやコミュニケーション能力、問題解決能力など、社会人として培ってきた能力が求められることが多いです。さらに、専門分野での実務経験がある場合、その知識やスキルを教育現場でどのように活かせるかをアピールすることが重要です。

特別選考は、通常の試験よりも柔軟な評価基準が設けられることが多く、自分自身の強みを最大限に活かせます。特に、社会人としての経験を持つ応募者にとって、この選考は教師への道を開く大きな一歩となるでしょう。

教員免許の種類

教員免許の種類

高校教師になるためには、必須の資格として教員免許が求められます。

そこでここでは、教員免許の種類とそれぞれの特徴について解説していきます。

  • 普通免許状
  • 特別免許状
  • 臨時免許状

普通免許状

普通免許状は、高校教師を目指す際に最も一般的に取得される教員免許です。

専修、一種、二種の3種類あり、高校教師になるには専修免許か一種免許を取得する必要があります。


区分
対象の学校種
専修
大学院修士課程修了相当
幼稚園・小学校・中学校・高等学校
一種
四年制大学卒業相当
同上
二種
短期大学卒業相当
幼稚園・小学校・中学校

一種免許状は、四年制大学であればほぼ取得可能です。

管理職としてのキャリアアップも目指す場合は、専修免許状の取得が条件となっています。

特別免許状

特別免許状

特別免許状は、社会人経験を活かした実践的かつ高度な教育ができる人材を教員として採用するための制度です。

教員免許や教職課程の履修は必要なく、「都道府県教育委員会の行う教育職員検定により免許状を授与する(引用元)」こととなっています。都道府県ごとの授与のため、指定の都道府県以外では使用できません。

特別免許状を活用した具体例としては、病院勤務経験のある看護師が看護科を指導したり、民間企業での国際経験豊富な教員が英語科を指導したりといった例が挙げられます。

特別免許状を取得することで、通常の教員にはない特定の専門分野における教育を行うことができ、教育の質を高めることが期待されています。

臨時免許状

臨時免許状は、教員免許のない人が特定の条件下で教員として勤務するために一時的に発行される免許です。

急な人材不足や特定の専門分野での教員が必要な場合などに特例的に発行されるもので、普通免許状を持つ人材を採用できない場合に限り、例外的に授与されます。

この免許状は、通常の免許取得プロセスを省略できるため、即戦力として教壇に立つことが可能です。

ただし、臨時免許状には有効期間があり、その期間内に正規の教員免許を取得することが求められる場合が多いです。

高校教師になるために必要な教員免許の取り方

高校教師になるために必要な教員免許の取り方

高校教師になるために必要な教員免許の取り方は、主に3パターンあります。

  • 教育大学や総合大学の教育学部で取得する
  • 大学の教職課程を履修して取得する
  • 大学院の修士課程で取得する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

教育大学や総合大学の教育学部で取得する

教育大学や総合大学の教育学部は、教師としての土台を築く場として最適な選択肢です。

教育学部では、教育理論や教育心理学、発達心理学といった教育の基礎から実践的な指導技術まで幅広い知識とスキルを学びます。特に、教育実習やインターン、ボランティア活動などを通じて早いうちから現場での経験を積むことができるのが特徴です。

教育について学問的に学ぶ機会が多く設定されているため、教師としての理念・思想や学校教育について深く学びたい場合に向いています。

また、総合大学の場合は教育学部以外の学部の科目も履修できるので、さまざまな知識や考え方を身につけたい場合におすすめです。教育学部に限らず、多様な専門分野の教授陣から学ぶことで、教育に関する深い理解を得ることができるでしょう。

教育大学や教育学部で教員免許を取得する場合は、教員免許取得に必要な単位と学部卒業に必要な単位が同じことも多いため、授業の負担がそこまで大きくないのも嬉しいポイントです。

大学の教職課程を履修して取得する

大学の教職課程を履修して取得する

教育学部ではない学部に入学した場合は、教職課程を履修することで高校教師の教員免許が取得できます。

高校教師は担当教科の専門的な知識が求められるため、教職課程を利用して教員免許を取得する人が比較的多いです。

高校教師になるための教職課程では、教科に関する専門的な科目と教職に関する科目をバランスよく履修することが求められます。総合大学の強みである多様な学部や学科との連携を活用すれば、専門性を深めつつ、幅広い教養を身につけられるでしょう。

学部ごとに特定の科目の教員免許しか取得できないことを注意喚起しておいたほうが良いと思います。

そして、取得できる科目はその学部で学ぶ内容との関連が大きい科目

注意すべき点としては、教職課程で必要な単位と学部卒業のために必要な単位が重ならないことが多く、一般的な学部生よりも多くの単位を履修する必要があることが挙げられます。

大学院の修士課程で取得する

大学で教員免許を取得した後、さらに専門的に教職の知識を深めたい場合は、大学院の修士課程で教員免許(専修)を取得できます。

専門とする教科の知識を深めつつ、より専門的かつ実践的な教育方法論を学びたい場合に向いているでしょう。

また、修士課程を修了して専修免許状を取得することで、教員として働く際のキャリアビジョンも変わってきます。将来的に管理職を目指しているなら、専修免許状はぜひとも取得しましょう。

なお、大学院で取得できる専修免許状の取得には、大学で取得できる一種免許状を取得、または取得に必要な単位を修得していることが条件となっています。そのため、大学院で一種免許状から取り始めることは難しいと思っておいたほうがいいでしょう。

やりがい

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ここでは高校教師という職業のやりがいについて紹介します。

やりがいのポイント

詳細

生徒の成長を間近で感じられる

毎日の授業を通じて、生徒の学力や社会性、考え方の成長を実感できる。

卒業後も生徒とのつながりが続く

同窓会などを通じて、卒業後も生徒とのつながりを持ち続けることができる。

教えたことが社会に出た生徒の役に立つ

自分の教えが生徒の人生や社会での成功に役立っていることを実感できる。

​高校教師になるにあたり注意するべき点

高校教師になるにあたり注意するべき点

高校教師になるにあたり、以下のような注意点があります。これらの点を理解し、覚悟を持って臨むことが大切です。

注意点

詳細

残業が多い

授業準備や教材作成、部活動の指導、進路指導など、定時外に多くの時間を費やすことがある。

保護者対応や学校行事の負担がある

保護者との面談や学校行事の準備、参加などがあり、時間的な負担がかかることが多い。

生徒指導やトラブル対応が大変なことも

生徒間のトラブルや問題行動への対応が必要で、精神的に負担となることがある。

これらの注意点に対処するためには、適切な時間管理やストレスマネジメント、周囲のサポートを受けることが重要です。教師としての業務には多岐にわたる責任が伴いますが、その分やりがいも大きい職業です。

向いてる人の特徴

向いている人の特徴

高校教師が向いてる人の特徴としては、以下のような点が挙げられます。

  • 専門的な教科の知識を教えるのが好き
  • 担当教科に対する知識欲が強い
  • 生徒を教え導くという熱意がある
  • メンタルが強い
  • 情熱と忍耐力、コミュニケーション能力がある

特徴

説明

専門的な教科の知識を教えるのが好き

自分の担当教科に対する深い理解と興味を持ち、その知識を生徒に伝えることが楽しめる人。

担当教科に対する知識欲が強い

教科に対する興味を持ち、常に新しい情報を学び、自己研鑽を行うことに意欲的な人。

生徒を教え導くという熱意がある

生徒の成長を心から願い、学びをサポートしたいという熱意を持っている人。

メンタルが強い

生徒との関わりや予期せぬ問題に直面しても、冷静に対応し、精神的な安定を保つことができる人。

情熱と忍耐力、コミュニケーション能力がある

教育への情熱を持ちながら、忍耐強く生徒と向き合い、効果的にコミュニケーションを取れる人。

特に高校では学ぶ内容が小中学校よりも専門化しているため、小中学校の教員以上に担当教科に対する専門的な知識が求められます。さらに、教えることに情熱を持ち、生徒が理解するまで粘り強く指導できる人は、教師として大変貴重です。

また、生徒や教職員、保護者と円滑に協力しながら物事を進められるコミュニケーション能力も重要です。学校でのトラブルや突発的な出来事に対する柔軟性と迅速な問題解決能力、失敗してもめげないメンタルの強さも求められるでしょう。

これらの特徴に複数当てはまる人は、高校教師に向いていると言えます。

高校教師になりたい人がよく抱く疑問

よく抱く疑問

最後に、高校教師になりたい人がよく抱く疑問にまとめて回答していきます。

教員採用試験の倍率はどれくらい?

令和5年度実施の教員採用試験の倍率は、以下の通りです。

学校種
倍率
小学校
2.2倍(昨年度…2.3倍)
中学校
4.0倍(昨年度…4.3倍)
高等学校
4.3倍(昨年度…4.9倍)
全体
3.2倍(昨年度…3.4倍)

参照:文部科学省「令和6年度(令和5年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント

高校教師の採用試験の倍率は、毎年変動しますが、小学校・中学校の採用試験の倍率よりも全体的に高い傾向にあります。

また、高校教師の採用試験の倍率が高い都道府県・自治体と低い都道府県・自治体はこのようになっています。


倍率が高い都道府県・自治体
採用倍率
倍率が低い都道府県・自治体
採用倍率
第1位
沖縄県
12.0倍
川崎市
2.0倍
第2位
青森県
11.1倍
横浜市
2.3倍
第3位
山梨県
8.5倍
新潟県
2.7倍

参照:文部科学省「(参考資料1)令和6年度公立学校教員採用選考試験の実施状況(第1~13表)

都道府県・自治体によって倍率は大きく変わるので、教員採用試験を受けようとしている場合は要チェックです。

また、倍率の高さは教科によっても異なります。英語や数学などの主要教科は受験者が多く、競争が激しいです。一方で、地方の学校や専門的な教科では、比較的倍率が低いこともあります。

受験を検討する際には、最新の情報を収集し、しっかりと対策を練ることが重要です。

体育や国語、数学など教科によって教員免許が違うの?

教科によって教員免許が違うのか

教員免許は、教科ごとに異なります。

体育、国語、数学など、各教科に特化した免許が存在し、普通免許状の場合は「専修」「一種」「二種」という名称も加わります。

例:高等学校教諭一種免許状(国語)、高等学校教諭専修免許状(保健体育)

学部・学科、教職課程のカリキュラムによっては、中高で同じ教科の教員免許を取得したり、複数の教科の教員免許を取得できたりする場合があります。

自分が取得できる教員免許がすでに決まっている場合は、それらが取得できるカリキュラムの大学を探してみましょう。

高校教師と中学校の先生の仕事内容は違う?

高校教師と中学校の先生の仕事内容にはいくつかの違いがあります。

まず、教える対象の年齢層が異なるため、それに伴い教育内容や教育方法も変化します。中学校では基礎的な学力の定着を目指し、幅広い教科の知識を教えることが一般的です。

一方、高校では専門的な知識の習得が求められ、進路指導や大学受験対策などの役割が重要になります。

また、部活動の顧問としての責任も大きく、特に高校では生徒の進路に直結することが多いため、より専門的な指導が求められます。

これらの違いを理解することで、教師としての役割の違いや教える際のアプローチを明確にすることができます。

私立高校と公立高校で仕事内容は違う?

私立高校と公立高校で仕事内容は違うのか

私立高校と公立高校では、教師の仕事内容は少し異なります。

私立高校は各学校が独自の教育方針を持っており、カリキュラムや授業内容の自由度が高いのが特徴です。

そのため、教師自身がカリキュラムの作成や授業の企画に携わる機会が多く、創造的な教育が求められます。教育トレンドの変化にも敏感で、先進的な教育実践をいち早く取り入れたカリキュラムを作成しています。

また、部活動をはじめとする課外活動は外部から専門的な指導員を雇っていることが多く、教員はあまり積極的に関与しない傾向があるのが特徴です。

一方、公立高校は地方自治体の教育委員会が定めたカリキュラムに従う必要があり、ある程度標準化された教育が行われています。

また、地域社会に根ざした教育を行うことが多く、地域行事やボランティア活動に参加する機会も多いです。部活動は教職員が担うことが多いでしょう。

このような私立と公立の違いを理解した上で、自分の教育スタイルに合った環境を選ぶことが、教師としての満足度を高めるポイントとなります。

高校教師の平均年収はどれくらい?

高校教師の平均年収は、公立高校と私立高校で異なる場合があります。

公立高校の教師の平均年収は約600万円程度で、勤続年数や職位によって変動します。管理職の場合は年収750〜800万になることもあります。

一方、私立高校の教師の平均年収は公立に比べて若干高い傾向にあり、学校の規模や所在地によっても差が出ることがあります。特に首都圏の私立高校では、年収が高めに設定されることが多いようです。

また、年収に加えて、ボーナスや各種手当が支給される場合もあり、これらを含めると高校教師の平均年収は一般的な会社員の平均年収よりも高いと言えるでしょう。

高校教師になりたい場合はどの学部に進学するべき?

どの学部に進学するべきか

高校教師を目指す際には、どの学部に進学するかが重要です。

一般的に教員を目指すなら教育学部が最も適した選択ですが、高校教師の場合は担当教科の専門知識が学べる学部で教職課程を履修するのもおすすめです。

教育学部では、教育に関する基礎知識や教科教育法、教育心理学などを学ぶことができ、教育学部のカリキュラムに沿って教員免許取得に必要な単位を効率よく取得できます。

教育学部以外の教職課程が履修できる学部では、特定の教科に特化した教育を受けられるため、自分が教えたい科目に合わせた学習が可能です。

理科教師を目指すなら理学部、国語科教師や地歴科教師を目指すなら文学部、公民科教師を目指すなら社会学部、といったように取得したい教科に合わせて学部を選べます。

高校教師は担当教科の専門知識と学ぶ意欲が重要なので、自分の興味や得意分野に応じて学部を選ぶことが将来の教職においても役立つでしょう。

高校教諭を目指す人におすすめの大学はどこ?

高校教諭を目指すために、大学選びは非常に重要です。

一般的には、高校教師に求められる担当教科の専門知識を身につけられるのは、教職課程が履修できる教育学部以外の学部と言えます。

早稲田大学や日本大学のような学部数の多い総合大学は、学部間の連携もあり、さまざまな知識や考え方を身につけられるのでおすすめです。履修者が多いため、教職課程の内容も充実しています。

また、新卒での教員就職を目指すなら、教員採用試験を受験する都道府県の国立大学や教育大学は評判が良く、好印象を持たれやすいです。教員採用試験の対策が充実していることも多いため、教員就職できる可能性を上げたい場合は選択肢に入れてみると良いでしょう。

高校教師の教員免許が取れる学部は意外とたくさんあるので、大学選びの際は、カリキュラムの内容や教員の質、卒業生の進路などをしっかりと調査し、自分の教育観に合った環境を選ぶことが大切です。

このページのまとめ

このページのまとめ

今回は、高校教師になるまでの一般的な流れや教員免許の種類・取り方、高校教師が向いている人の特徴などについて解説してきました。最後にこの記事のポイントをまとめます。

  • 高校教師になるには、教育学部や教職課程のある大学で教員免許を取得し、教員採用試験に合格する必要がある
  • 高校教師の採用倍率は4.3倍で、採用者数の増加等に伴い低下傾向にあるが、小中学校の倍率よりも高い
  • 社会人から高校教師になるには、働きながら通信制大学などに通って教員免許を取得するか、社会人向けの特別選考を受験する方法がある
  • 教員免許の種類は普通免許状と特別免許状、臨時免許状の3種類で、普通免許状の場合高校教師になるには専修または一種免許状が必要
  • 高校教師に必要な教員免許を取得するには、教育学部や教職課程が履修できる学部、大学院の修士課程で必要な単位を取得する必要がある

高校教師になりたいなら、ぜひ今回の記事で紹介した内容を参考に大学・学部選びをしてみてください!

この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


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