作成日: 2025/1/10 更新日:2025/1/10
総合型選抜のグループディスカッションとは?討論の流れを頻出のテーマや対策方法と共に解説

大学入試を総合型選抜(AO入試)で受験しようとした場合、グループディスカッションが課されることがあります。
そこで本ページでは、総合型選抜(AO入試)におけるグループディスカッションとは何かについて、重要性や選抜方法と評価基準、流れと話し方の例を含めて徹底的に詳しく解説していきます。
また、総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションで効果的な議論を行うためのコツや頻出テーマの内容、効果的な対策方法のほか、受験生がよく抱く疑問とその回答もお伝えします。
最後まで読み進めて総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションについての理解を深めましょう。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
- 1 総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションとは?
- 2 総合型選抜のグループディスカッションにおける選抜方法と評価基準
- 3 総合型選抜のグループディスカッションの流れと話し方の例
- 4 グループ討論で効果的な議論を行うためのコツ
- 5 総合型選抜におけるグループディスカッションの頻出テーマの内容
- 6 合格点を取るための効果的な対策方法とは
- 7 総合型選抜で実施されるグループ討論に関するよくある質問と解説
- 7-1 総合型選抜のグループディスカッションで成功する高校生の特徴とは?
- 7-2 よくある失敗パターンや落ちることに繋がるNG行為と対策のコツとは?
- 7-3 総合型選抜のグループディスカッションで合格しやすい役割はありますか?
- 7-4 大学受験におけるグループディスカッションとグループワークの違いとは?
- 7-5 総合型選抜では集団討論の内容を発表する形式もあるの?
- 8 ここまでの内容のまとめ
総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションとは?

総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションでは、与えられたテーマについて複数の受験生が意見を交換し合い、最終的にグループとしての結論を導き出します。
一般的に4〜6人のグループで行われ、試験時間は30分~60分程度です。
総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションでは、個人面接とは異なり、他の受験者との「協働力」や「コミュニケーション能力」が求められます。
そのため、総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションでは、単に自分の意見を押し通すのではなく、他の参加者の意見を尊重しつつ建設的な議論を進めることが重要となります。
総合型選抜のグループディスカッションにおける選抜方法と評価基準

総合型選抜のグループディスカッションでは、複数の受験生が1つのテーマについて議論を行う中で、どのように自分の意見を表現し、他者の意見を尊重しながらも自分の立場を明確にできるかが試されます。
そのため、総合型選抜のグループディスカッションでは、学問的な適性だけでなく、ディスカッションの中での発言の内容や聞く姿勢などの態度を通して受験生の次のような能力が浮き彫りになります。
- コミュニケーション能力
- チームでの協働能力
- 議論を円滑に進めるためのファシリテーション能力
- 分析力や問題解決能力
- 自分の意見を端的にわかりやすく伝える表現力
上記の能力は、大学での学びに必要不可欠です。したがって、総合型選抜のグループディスカッションでは、個々の発言や提案の質を通して次の点が評価されます。
グループディスカッションでの評価項目 | 評価基準 |
論理的思考力 | 具体的な根拠を元にした論理的な発言ができるか |
議論における協調性 | 他者の意見を尊重しつつ、自分の意見を明確に伝えられるか |
思考の柔軟性や発想力 | 議論の中で新しい視点を提供できるか |
リーダーシップ | グループの中でどのように貢献できるか |
総合型選抜では、グループディスカッションで上記の能力が認められないと、合格が難しくなってしまいます。
そのため、大学側に上記の能力を示せるように、しっかりとグループディスカッションの準備をしておくことが重要です。
総合型選抜のグループディスカッションの流れと話し方の例

総合型選抜のグループディスカッションは、自分の意見を効果的に伝え、他者と協力してテーマの内容に関する議論を深める能力を測る場です。
ここからは、グループディスカッションの流れと話し方の例をご紹介します。
総合型選抜のグループディスカッションの流れ

総合型選抜のグループディスカッションは、テーマ発表⇒個人ワーク⇒グループでの討議という流れで進んでいきます。
ステップ | ポイント |
自己紹介 | 簡潔に自己紹介を行い、リラックスした雰囲気を作ることが重要です。 |
テーマ発表 | テーマが与えられます。 |
個人ワーク | 意見や論点を整理する時間です。 |
テーマの内容について情報を共有し、意見を出し合う | 他者の意見を尊重しつつ、自分の考えを論理的に述べることが求められます。 |
テーマに対するグループとしての結論をまとめ、発表を行う | 全員が納得できる形で意見や内容をまとめることが重要です。 |
総合型選抜のグループディスカッションでの話し方の例
総合型選抜のグループディスカッションでは、相手の話す内容をしっかり聞き、適切な質問を投げかけることで、より深い議論が可能になります。
そのため、次のようなフレーズを使うことで、円滑なディスカッションを促進しましょう。
場面 | フレーズ |
意見を述べる時 | 「私の意見としては〜」 「その意見には賛成ですが、さらにこう考えます」 |
他者の意見に賛同する時 | 「◯◯さんの意見に共感します。その理由は〜」 |
他者に意見にを求める時 | 「私はこう考えますが、皆さんの意見はいかがでしょうか?」 |
議論をまとめる時 | 「一度意見を整理しましょう。今のところ〜が主な意見です。」 |
グループ討論で効果的な議論を行うためのコツ

総合型選抜のグループディスカッションで効果的な議論を行うために重要な点を一覧でご紹介します。
ポイント | 詳細 |
目的を明確にする | グループディスカッションの開始前に話し合いの目的を全員で確認し合うと、議論の方向性が定まり、無駄な議論を避けることができます。 |
役割分担を行う | 議論を円滑に進めるために、ファシリテーター、書記、タイムキーパーなどの役割を決めましょう。 役割が明確になることで、各メンバーが自分の役割に集中しやすくなります。 |
他の受験生の意見を尊重しつつ積極的に発言する | 自分の意見を持ち、積極的に発言することが重要ですが、傾聴の姿勢を持つことも忘れないようにしましょう。 「それは違う」と思った他者の意見も否定はせず、新たな視点を加える意識で尊重してください。 議論中には、相手の発言をよく聞いて内容を理解し、適切なタイミングで自分の意見を述べるようにしましょう。 |
論点を整理して簡潔に論理的に話す | 意見を述べる際には、主張だけではなく根拠や具体例を明確に示しながら論理的に話すことを心掛けましょう。 感情ではなく、データや事実を基にした議論は説得力があります。 |
アイコンタクトを取る | 朗らかな表情や笑顔で相手の目を見ることで、話しやすい雰囲気を作りましょう。 |
制限時間への意識 | 残り時間から逆算して議論を進めるようにしましょう。 |
以上のポイントを意識することで、総合型選抜のグループディスカッションで効果的な議論をできるようになり、大学入試の合格可能性が高くなります。
総合型選抜におけるグループディスカッションの頻出テーマの内容
総合型選抜のグループディスカッションでは、次のようなテーマなどが頻出します。
テーマ | 例 |
学校生活に関連したテーマ | 卒業後に活躍するために大学生活で意識すべきこととは |
社会問題に関連したテーマ | 少子高齢化に対する解決策とは 環境問題における個人の役割とは |
学部・学科での研究内容や専門知識に関連したテーマ | オンライン教育の利点と欠点とは AIがもたらす労働市場への影響とは |
抽象的なテーマ | リーダーに必要なものとは |
大学入試である以上、事前に過去問を調査し、過去出題されたグループディスカッションのテーマに関連する知識を事前に調べて理解を深め、自分の意見を整理しておくことが重要です。
合格点を取るための効果的な対策方法とは

総合型選抜のグループディスカッションの効果的な対策方法は次のとおりです。
対策方法 | 詳細 |
日常的にニュースや新聞で時事問題に触れる | グループディスカッションで上手く議論できるように、様々な知識を仕入れておきましょう。 |
日常的に読書をし、多様なテーマに触れる | 日頃から多様なテーマに触れ、大学入試で求められる柔軟な思考力や多角的な視点を養う習慣が大切です。 |
結論ファーストで話す練習をする | 単に知識を披露するだけでなく、自分の意見を論理的に述べることが求められるため、結論と根拠を端的に述べる練習をしましょう。 |
模擬グループディスカッションを行う | 高校や塾での総合型選抜のグループディスカッション対策講座を活用してグループディスカッションの練習を重ね、グループディスカッションに慣れることも大切です。 |
何度もグループディスカッションの練習をする中で先生や他の生徒から良かった点や改善点を共有してもらい、総合型選抜の本番では高評価を得られるようにしましょう。
総合型選抜で実施されるグループ討論に関するよくある質問と解説

総合型選抜(AO入試)での合格を目指す受験生がYahoo!知恵袋などで入試やグループディスカッションに関してよく質問していることへの解説をまとめました。
どの質問も入試の重要なポイントとなりますので、参考にしてください。
総合型選抜のグループディスカッションで成功する高校生の特徴とは?

総合型選抜のグループディスカッションで成功する高校生の特徴を一覧にまとめました。
特徴 | 詳細 |
積極的に発言しつつ他者の意見を聞く姿勢がある | 意見を積極的にしっかりと伝えつつ、他の受験生の意見にも積極的に耳を傾け、他の受験生の意見を尊重しながら柔軟に対応することができる |
論理的思考力がある | 与えられたテーマに対して根拠を持った意見を述べることで、説得力のある議論ができる |
協調性がある | グループ全体の意見をまとめることができるリーダーシップや、サポート役として他者を助ける姿勢が見られる |
時間管理能力が高い | 時間内に効率良く議論を進めて結論を出すために、自他の発言の時間配分をし、相手の発言を促すタイミングを見極める力がある |
以上の特徴を持つことで、総合型選抜のグループディスカッションで高評価を得ることができます。
よくある失敗パターンや落ちることに繋がるNG行為と対策のコツとは?
総合型選抜のグループディスカッションで失敗を避けるためには、入試で落ちる原因となるいくつかのNG行為を理解しておくことが重要です。
総合型選抜のグループディスカッションで多くの受験生が直面する失敗パターンと対策方法を一覧で紹介します。
失敗パターン | 対策方法 |
意見をうまくまとめられず、話が飛躍してしまう | 事前にディスカッションのテーマに関連する情報を整理し、自分の意見をしっかりと持つ |
緊張から自分の意見をうまく伝えられない | 日常的に家族や友人と意見交換を行い、意見を述べる練習を重ねる |
議論が白熱し過ぎてしまい、他者との協調が取れなくなる | 冷静に状況を俯瞰して他者の意見を否定せずに受け入れ、チーム全体の意見を尊重することで、円滑なコミュニケーションを保つ |
一方的に発言し、他の参加者の意見を無視したり否定したりする | 自分の意見ばかりを主張するのではなく、他者の意見を傾聴し、共感を示す |
場の雰囲気を壊すような攻撃的な発言や態度 | 建設的な議論を促進するためには、冷静かつ礼儀正しいコミュニケーションを取る |
話の流れを無視して突然話題を変える | 意見を述べる際には、他の意見に対して建設的に議論を発展させる姿勢を持つ |
話を遮り長時間にわたって話し続ける | 全体の流れを把握し、議論を円滑に進める |
知識不足 | テーマに関する基本的な知識を踏まえ、具体的な説得力のある意見を発言する |
以上の点に注意し、対策のコツを押さえてグループディスカッションに臨むことで、より良い評価を得ることができます。
総合型選抜のグループディスカッションで合格しやすい役割はありますか?

総合型選抜のグループディスカッションにおいては、どの役割になると合格しやすいということは言えません。なぜなら、どの役割になっても、能力が評価されなければ不合格になってしまうからです。
ちなみに、各役割では次の能力が評価されます。
役割 | 評価される能力 |
リーダー役 | 他の受験生の意見を尊重し、全体を見渡してディスカッションをリードできる |
タイムキーパー | 制限時間内に議論をまとめられる |
書記 | 要点を的確に捉えられる |
ファシリテーター | 最後に議論の結論をまとめられる |
総合型選抜のグループディスカッションでは、どの役割であってもチーム全体の成果を意識し、協調性とリーダーシップをバランス良く発揮することが高評価に繋がります。
そのため、役割にかかわらず自分の強みを活かしながら議論を円滑に進めるためにチームに貢献できることが重要です。
大学受験におけるグループディスカッションとグループワークの違いとは?
大学受験におけるグループディスカッションとグループワークの違いを一覧にまとめました。
項目 | グループディスカッション | グループワーク |
内容 | 特定のテーマについて議論し、意見を交換する | チームとして課題を解決する実践的な活動 |
評価対象 | 論理的思考力 コミュニケーション能力 協調性 | チームワーク リーダーシップ |
重視される点 | 意見の内容 他者の意見に対する理解力 | 成果物の完成度 プロセスの効率性 |
このように、どちらもプロセスが重視されますが、グループディスカッションでは意見交換における議論の中身が重視されるのに対し、グループワークでは、共同作業で協力して目標を達成するプロセスが重視されます。
総合型選抜では集団討論の内容を発表する形式もあるの?

一部の総合型選抜(AO入試)では、聞き手を意識したプレゼンテーション能力を評価するために、グループディスカッションの結果を発表する形式が取り入れられています。
発表形式のグループディスカッションでは、討論の進行中に得た情報や意見を即座にまとめ、他者に理解しやすく伝える能力を評価されます。
そのため、発表にあたっては、単に意見を述べるだけでなく、論点の明確化や論理的な構成、視覚的な補助資料の活用が推奨されます。
また、発表者としての役割を担うことで、リーダーシップやチームへの貢献度をアピールすることができます。ただし、上手く発表するためにはプレゼンテーションスキルが重要です。
そのため、日頃から多様なテーマでプレゼンテーションをする練習をし、グループディスカッションの練習においても発表の練習もしておくことが重要です。
参考記事:総合型選抜で実施されるプレゼンテーションの特徴と対策方法
ここまでの内容のまとめ

本ページでは、総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションに関する詳細な情報を提供しました。
ここまでの内容の復習を込めて総合型選抜のグループディスカッションにおいて評価されるポイントをまとめてみましたので、改めてご覧ください。
評価のポイント | 詳細 |
積極的な発言と協調性 | 他者の意見を尊重し、適切なタイミングで意見を述べることで、グループ全体の議論に貢献しましょう。 建設的な議論をリードするコミュニケーション力を養い、他の受験生と協力してバランスの取れた議論を心掛けることが大切です。 |
批判的思考力や独自の視点 | 単なる知識の蓄積に留まらず、頻出テーマについて深く理解することが必要です。 時事問題への知識を深めることが重要です。 |
意見の論理性や表現力 | 具体的な根拠を示しながら自分の意見を論理的に組み立てて効果的に伝える練習を繰り返しましょう。 時間内に効果的に情報を整理して発表するスキルは他の受験生との差別化に繋がります。 |
上記の評価ポイントを意識しながら本番と似た形式での実践的な練習を積み重ねれば、総合型選抜のグループディスカッションを突破しやすくなります。
そのため、今回ご紹介しました情報を押さえた上で改めて総合型選抜(AO入試)のグループディスカッションの対策をして頂ければと思います。
参考記事:特別入試の対策は独学と塾に通うのとではどちらがよいのか?
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。