作成日: 2025/4/01 更新日:2025/4/01
地学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を徹底解説

「地学って何を学ぶの?」
「地学を専攻すると将来どんな仕事に就けるの?」と思っている高校生は多いのではないでしょうか?
地学は、地震や火山・天気・宇宙など、私たちの身の回りの自然現象を探究する魅力的な学問です。
スマホのタッチパネルに使われる鉱物の研究や、災害から人々を守る防災技術の開発など、実は私たちの生活に深く関わっています。
そこで本記事では、以下の内容について解説します。
- 地学とはどんな学問なのか
- 専攻すると何を学ぶのか
- 地学を学べる大学
- 地学を学んだ後の進路や就職先
- 地学に向いている人の特徴
ぜひ参考にしてみてください!
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
地学とは?

地学は、地球そのものとその仕組みを理解する学問です。
地学の研究者は、地球の大気や海洋・地殻・内部構造などの物理的特性について研究します。
現代社会において地学の知識は、地球温暖化の解明や自然災害の予測において不可欠です。
近年増加する自然災害や気候変動などの地球規模の課題に対応するために、地学は注目されつつあります。
地学は、過去の気候パターンを再構築し、将来の変化を予測するデータを提供することで、防災・減災に大きく貢献しています。
たとえば、地震の早期警報システムや洪水予測技術の開発により、多くの命が救われているといえるでしょう。
また、SDGsの達成においても、水資源の確保や食料安全保障など、地学の知識が重要な役割を果たしています。
地学とは何を学ぶ学問?学ぶ内容・基礎分野

地学では何を学ぶのでしょうか。以下に地学で主な学習内容・基礎分野の一覧を示します。
- 鉱物学・結晶学
- 地質学
- 岩石学・火山学
- 気象学
- 地史学
- 天文学・宇宙科学
- その他
それぞれ見ていきましょう。
鉱物学・結晶学
鉱物学・結晶学は、地球を構成する鉱物の性質や構造を研究する学問です。
鉱物学は、非常に身近な学問で、私たちが毎日使うスマートフォンにもさまざまな鉱物が活用されています。
以下の表では、鉱物学と結晶学において学ぶ内容やそれらの応用例、関連技術についてまとめています。
項目 | 鉱物学 | 結晶学 |
|---|---|---|
学ぶ内容 | 地球内部や表面に存在する鉱物の性質 生成過程 分布を研究 | 結晶の内部構造や原子配列を調べ、物質の特性や結晶構造を解析 |
応用例 | 資源探査 環境保護 | 新素材開発 材料科学 |
関連技術 | 鉱物化学 地質調査 | X線回折 電子顕微鏡 |
最近では、AIを活用した鉱物の分析技術が発達し、より速く正確に鉱物を特定できるようになりました。
また、X線を使った結晶構造解析により、目に見えない原子レベルでの鉱物の並び方を調べられます。
鉱物学者は、特殊な顕微鏡や分析装置を使って、新しい鉱物の発見や既知の鉱物の新たな用途開発に取り組んでいます。
地質学
地質学は地球の構造や歴史、岩石や地層を研究する学問です。
地質学者は、環境コンサルタント会社や資源会社・国や自治体の研究機関などで働いています。研究機関では、地震や火山噴火などの自然災害から人々を守る仕事をしています。
以下の表では、地質学において学ぶ内容や応用例・関連技術についてまとめました。
項目 | 地質学 |
学ぶ内容 | 地球内部の層構造やプレートの動きを研究し、地震や火山活動のメカニズムを解明 |
応用例 | 防災 地震予測 |
関連技術 | 地震計 地質断面調査 |
最近では、地理情報システムという技術によって、複雑な地質データをわかりやすい地図として表示できるようになりました。
地質学者は、地層の観察や岩石の分析を通じて、46億年の地球の歴史を解き明かす探偵のような役割も担っています。
地質学の知識は、再生可能エネルギー開発や二酸化炭素の地下貯留など、環境問題の解決にも役立っています。
将来は海底や宇宙の資源探査など、新しい分野も広がっており、地球と人類の未来を支える重要な学問といえるでしょう。
岩石学・火山学
岩石学・火山学は地球を構成する岩石やマグマの性質、火山活動のメカニズムを研究する学問です。
以下の表では、岩石学と火山学において学ぶ内容や応用例・関連技術についてまとめています。
項目 | 岩石学 | 火山学 |
|---|---|---|
学ぶ内容 | 火成岩・堆積岩・変成岩の生成過程・組成・構造を研究し、地球の進化を理解 | 火山の噴火メカニズムや生成物(火山灰、溶岩)の分析を行い、火山活動の影響を研究 |
応用例 | 資源探査 地質学的理解 | 火山災害予測 環境保護 |
関連技術 | 岩石標本分析 顕微鏡観察 | 火山監視システム 衛星画像解析 |
大学卒業後は、国や自治体の研究機関・環境コンサルタント会社・資源探査企業などで活躍できるでしょう。
火山学者は、人工衛星からのリモートセンシング技術を活用し、広大な地域の地質を効率的に調査しています。
最新のAI技術を用いた鉱物分析や、X線による結晶構造解析も進んでいるのも岩石学・火山学の特徴です。
火山の噴火予測は防災・減災に直結し、人々の安全な生活を守る重要な役割を担っています。
また、地熱発電などの再生可能エネルギー開発や、二酸化炭素の地下貯留技術など、環境問題解決の鍵となる研究も行われています。
岩石学・火山学は、将来的に海底や宇宙の資源探査など新たな研究分野も広がっており、未来が明るい学問といえるでしょう。
気象学

気象学は、大気の状態や変化を研究し、天気予報や気候変動の解明に取り組む学問です。
最新のAI技術やスーパーコンピュータを活用したシミュレーションにより、台風の進路や豪雨予測精度が飛躍的に向上しています。
また、人工衛星からのリモートセンシング技術を用いて、広域の気象データをリアルタイムで収集・分析できるようになりました。
気象学について、学ぶ内容や応用例・関連技術についてまとめます。
項目 | 気象学 |
学ぶ内容 | 大気の構造と熱力学的性質 気象力学の基礎方程式系 降水過程のメカニズム 大気における放射現象 気候変動のシステム |
応用例 | 天気予報と防災情報の作成 台風や豪雨の進路・強度予測 気候変動の将来予測 再生可能エネルギーの出力予測 大気汚染物質の拡散予測 |
関連技術 | スーパーコンピュータによる数値予報 人工衛星からのリモートセンシング フェーズドアレイ気象レーダー 地理情報システム(GIS) |
大学卒業後は、気象会社や放送局・新聞社、気象庁や地方自治体、航空業界など幅広い分野で活躍できるでしょう。
気象学の知識は、再生可能エネルギーの開発にも不可欠で、風力発電や太陽光発電の出力予測に活用されています。
気象学は、私たちの日常生活を守るだけでなく、地球環境問題の解決に貢献する重要な学問です。
地史学
地史学は、地球の歴史や過去の環境変化を研究する学問です。
人工衛星からのリモートセンシング・地理情報システムを活用して、46億年にわたる地球の歴史を解明します。
地史学において、学ぶ内容や応用例などについて、以下の表にまとめました。
項目 | 地史学 |
学ぶ内容 | 地層の形成過程と年代測定 化石の分類と進化の歴史 古環境と気候変動の記録 大陸移動と造山運動 生物多様性の変遷 |
応用例 | 石油・天然ガス資源の探査 地震・火山活動の長期予測 気候変動の将来予測モデル 絶滅危機種の保全計画 地質災害リスク評価 |
関連技術 | 放射性同位体による年代測定 3D地層スキャン技術 電子顕微鏡による微化石分析 地質情報データベースシステム DNA解析技術 |
地史学の研究者は、野外での地層観察や顕微鏡による化石分析を通じて、過去の地球環境を復元する重要な役割を担っています。
卒業後は、大学や博物館・国土交通省や環境省などの国立機関などで活躍できるでしょう。
地質情報は防災計画策定などに利用されており、地史学は安全な社会づくりに貢献する重要な学問です。
天文学・宇宙科学
天文学・宇宙科学は宇宙の成り立ちや天体の動きを研究する学問です。
最新の電波望遠鏡やX線観測衛星を使って、遠く離れた銀河や星の誕生を観測しています。
近年では、人工知能を活用した天体画像解析により、膨大なデータから新たな発見が次々と生まれてます。
天文学と宇宙科学で学ぶ内容について、以下の表にまとめました。
項目 | 天文学 | 宇宙科学 |
学ぶ内容 | 恒星・銀河の構造と進化 宇宙の起源と膨張理論 惑星系の形成過程 天体の観測と分類 宇宙物理学の基礎法則 | ロケット工学の基礎 宇宙環境と生命科学 人工衛星の軌道力学 宇宙探査機の設計 宇宙材料学 |
応用例 | 宇宙天気予報サービス 地球近傍天体の監視 系外惑星の探査 天文学的手法による時刻決定 暦の作成と天文現象予測 | 人工衛星による地球環境監視 宇宙太陽光発電システム開発 小惑星資源の探査・利用 宇宙デブリの監視と対策 月面・火星基地建設計画 |
関連技術 | 大型光学・電波望遠鏡 人工知能による天体画像解析 重力波検出器 超高感度CCDカメラシステム 分光観測装置 | 宇宙探査ロボット技術 宇宙用推進システム 宇宙放射線防護技術 閉鎖生態系生命維持装置 軽量高強度複合材料 |
将来は月や火星の資源探査、小惑星からのレアメタル採掘など、宇宙ビジネスの可能性が広がっているのも特筆すべきポイントです。
また、宇宙太陽光発電など新たな再生可能エネルギーの研究開発も進められています。
天文学・宇宙科学を学べば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)やプラネタリウムや科学館・IT企業などで活躍できるでしょう。
天文学は私たちの宇宙における位置づけを理解し、人類の未来を切り開く重要な学問といえます。
その他(古生物学・自然地理学・海洋学・水圏科学)
地学がカバーする領域は幅広く、ほかにも関連する学問領域は多岐にわたります。
とくに以下の4つの学問は、地学と深く関連する分野といえるでしょう。
学問 | 研究 | 就職先 |
古生物学 | 化石から過去の生物や環境を研究。X線技術やAI画像解析、3Dプリンティングを活用 | 博物館・大学・環境コンサルタント会社 |
自然地理学 | GISやリモートセンシング技術を駆使して地形や環境を分析。災害リスク評価も | 都市計画・環境コンサルタント・教育機関 |
海洋学 | 海洋環境の研究。人工衛星からのリモートセンシングで海洋温暖化などを監視 | 研究機関・JAXA・環境関連企業 |
水圏科学 | 水の循環と環境への影響を研究。気候変動対策や再生可能エネルギー開発に貢献 | 水資源管理機関・環境保全団体・コンサルタント会社 |
以上の学問は、地球環境の保全と持続可能な開発を両立させる重要な役割を担っています。そのため、未来を切り開く可能性に満ちた学問分野といえます。
地学を学ぶのに最適な学部・学科

地学を専門的に学ぶには、理学部の地球科学系学科や地球惑星科学科が最適です。
このような学科では、地質学・地球物理学・気象学・海洋学など幅広い分野を扱い、地球の成り立ちや環境変動を科学的に研究します。
実際には、学部・学科の名称に「地学」という表記ではなく「地球科学」や「地球惑星科学」として設置されている傾向にあります。
また、環境学部や工学部の土木・資源系学科でも地学を応用した研究が行われることがあることを押さえておきましょう。
地学を学べる学部や学科に入学するなら、フィールドワークや実験を重視する大学を選ぶと、実践的な学びを深められます。
地学を学べる大学・学部・学科の一例

地学を学べる大学・学部・学科の一例は以下のとおりです。
- 神奈川大学 理学部地球環境科学コース
- 東京都立大学 都市環境学部地理環境学科
- 法政大学 文学部地理学科
- 日本大学文理学部 地球科学科
- 福岡大学理学部 地球圏科学科
なお、年内入試ナビでは、地学を学べる大学をまとめています。
参考:地学を学べる大学の一覧はこちら
神奈川大学 理学部地球環境科学コース
神奈川大学理学部の地球環境科学コースは、2023年に新設された地学系コースです。地球全体を視野に入れ、人間活動が環境に及ぼす影響について学べます。
神奈川大学理学部地球環境科学コースには以下の特徴があります。
- 野外での化石発掘や観察・調査など、大自然をフィールドとした実践的な学びが特徴。
- 地球環境科学実験では実践的な技術を身につけ、3年後期からは研究室に仮配属される。
- 卒業研究では実際の環境問題に関連したテーマに取り組む機会がある。
2024年度の入試倍率は前期A方式で7.9倍、共通テスト前期で4.5倍と人気のあるコースです。
初年度納入金は174万3,300円(2025年度)で、入学金20万円、授業料112万円などが含まれます。
本コースは、環境問題に興味があり、地球の仕組みを科学的に理解して解決策を見出したい人に向いているでしょう。
東京都立大学 都市環境学部地理環境学科

東京都立大学の地理環境学科は、地形・気候・土壌・植生などの自然環境と人間社会の相互関係を幅広く学べる学科です。
最新のGIS(地理情報システム)設備を完備し、フィールドワークのスキル修得を重視したカリキュラムに特徴があります。
本学科の主な魅力は、以下のとおりです。
- 1〜2年次は地理学の基礎講義、3年次からは現地調査や長期野外巡検に重点を置いた実践的な学びを展開
- 卒業生は気象庁・東京都庁・日本気象協会・東京大学大学院など幅広い分野で活躍
- 取得可能資格は教員免許(地理歴史・理科)・学芸員・測量士補・技術士補・GIS学術士など多彩
自然環境や地域問題に興味があり、フィールドワークやデータ解析に取り組みたい人に向いている学科といえるでしょう。
法政大学 文学部地理学科
法政大学の文学部地理学科は文学部でありながら、自然科学と人文科学の両方を学べる珍しい学科です。
特徴的な授業である「現地研究」では、教員と学生が各地を訪れ、地域調査とディスカッションを行います。
本学科の主な特徴は、以下のとおりです。
- 現地調査を重視したフィールドワーク型授業を実施。
- 卒業生は、環境コンサルタント会社や大学院など幅広い分野で活躍している。
- 取得できる資格は、教員免許(社会・理科)や測量士補・GIS学術士・地域調査士など、幅が広い。
法政大学文学部地理学科では、自然環境と社会文化が織りなす多様な地理的側面を学べるでしょう。
参照:法政大学 文学部地理学科
日本大学 文理学部地球科学科

日本大学文理学部の地球科学科は、私立大学では数少ない地球や地球環境について幅広く学べる学科です。
地球内部の現象や地球の物質構成・大地の構造と活動など、多角的な視点で地球を捉え、その未来を洞察する力を養います。
本学科の特徴は、以下のとおりです。
- 野外でのフィールドワークと室内でのデータ解析を組み合わせた実践的な学びが特徴。
- 高校で地学を履修していなくても導入科目があるため安心して学べる。
- 卒業生は、気象庁やウェザーニューズなどの地球環境や自然災害に関連した専門職として活躍している。
卒業生からは、以下のような声が寄せられています。
- 地球科学科では実践的な野外実習と手厚い資格取得支援があり、学びを通して教員や技術者などの夢が実現できる。
- 切磋琢磨できる仲間と教員の充実したサポートにより、深い専門知識と実務スキルが身につく環境。
日本大学文理学部の地球科学科は、地学を本格的に学びたい人におすすめできます。
福岡大学理学部 地球圏科学科
福岡大学理学部の地球圏科学科は「生物圏」「気圏」「水圏」「岩石圏」の自然現象を幅広く学べる学科です。
1年次は自然科学の基礎を学び、3年次から地球科学・地球物理学・生物科学の3分野から専攻を選択します。
本学科の特徴を以下にまとめました。
- 実験や野外調査などのフィールドワークを重視し、実践的な学びを展開している。
- 卒業生は、中学校教諭・防災科学技術研究所(研究員)・国家公務員一般職(気象庁、警視庁)などで活躍している。
- 2025年度からは「地球・環境コース」と「生物・生命コース」の2コース制となる。
本学科では、物理学や化学・生物学・地学といった地球や生命を理解するための自然科学を幅広く基礎から学べます。
そのため、自然科学全般に興味がある人に向いているでしょう。
地学を学ぶことで取得を目指せる資格の例

地学を学ぶことで取得できる資格を5つピックアップしました。
- 気象予報士
- 教育職員免許状(教員免許)
- 学芸員
- 地質調査技士
- 防災士
どのような資格が取得できるか興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
気象予報士
気象予報士は、気象庁から提供される数値予報結果や観測データを総合的に判断し、天気予想を行う専門家です。
この資格を取得するには、国家試験である気象予報士試験に合格し、気象庁長官に登録を受ける必要があります。
試験は「一般知識」「専門知識」「実技」の3つの部門からなり、学科試験はマークシート形式、実技試験は記述式で実施されます。
合格率は毎回4~6%程度と、非常に難関な資格であるといえるでしょう。
ただし、受験資格の制限はないため年齢・性別・学歴・経験を問わず誰でも挑戦できます。
資格を取得すると、気象庁や民間気象会社、メディア関連などさまざまな分野での活躍が期待されます。
気象予報士は、船舶の航路予想や農作物生産に必要な気象情報提供など、幅広い業界で重要な役割を担っています。
教育職員免許状(教員免許)

高校の理科教員になるには、大学で教職課程を履修し、高等学校教諭一種免許状(理科)の取得が必要です。
この免許状があれば、生物や化学・物理・地学のすべての科目を教えられます。
教員免許を取得後、各都道府県の教員採用試験に合格すれば、公立高校の教師になれます。
私立高校の場合は、各学校の採用試験に合格する必要がある点だけ注意しましょう。
教員という職業に興味がある高校生は、大学選びの際に教職課程の有無を確認することをおすすめします。
学芸員
学芸員は、博物館や美術館などで働く専門職員です。地学を学んだ学芸員は、自然史博物館や科学館で活躍できます。
主な仕事は、資料の収集・保管・展示・調査研究です。加えて、来館者への解説や特別展の企画も担当することになるでしょう。
学芸員の資格を取るには、大学で指定の科目を履修するのが一般的です。大学院に進学してさらに専門性を高める人もいます。
ただし、資格を取得しても就職競争は激しいので注意が必要です。
地学の知識を活かして、岩石や化石の展示や研究ができるのが学芸員の魅力といえるでしょう。
地質調査技士
地質調査技士は、建物の安全性を確保するために地盤調査を行う専門家です。
建築物を建てる前に、その土地が安全かどうかを調べる重要な役割を担っています。
主な仕事は、ボーリングマシンを使った地質調査や、地震・土砂災害の危険性評価です。
調査前の資料収集から、現地調査やデータ分析・報告書作成まで幅広い業務を行います。
地質調査技士の資格には「現場調査部門」と「現場技術・管理部門」の2つの部門があります。
合格率は、30~40%と難易度は高めで、学歴や経験年数によって受験資格は異なるので注意しましょう。
地質調査技士は、地学の知識を活かして、建物の安全性確保や防災計画作成に貢献できる仕事です。
防災士
防災士は、地震や水害、火山噴火などの自然災害に対応するための知識と技能を持つ人を認定する民間資格です。
この資格は、NPO法人日本防災士機構が認定しており、2024年3月末時点で約28万人が登録されています。
防災士になるには、認定研修機関の「防災士養成研修講座」を受講し、資格取得試験に合格する必要があります。
さらに、消防署などが主催する「救急救命講習」の修了証も必要です。研修講座では、地学や過去の災害の教訓、防災訓練の運営方法などを学びます。
また、取得にかかる費用は全体で6万円程度だが、自治体によっては支援制度を受けられるケースもあります。
防災士は、地域社会の防災リーダーとして、避難誘導や避難所運営などで活躍することが期待されている仕事です。
キャリアパスと就職実績

地学専攻の卒業生は、さまざまな分野で活躍しています。
東京都立大学の都市環境学部地理環境学科を卒業した学生における就職先の業種とその割合は、以下のとおりです。
業種 | 割合 |
公務 | 9.6% |
情報通信業 | 9.6% |
運輸業、郵便業 | 7.4% |
学術研究・専門・技術サービス業 | 7.4% |
建設業 | 4.4% |
金融業・保険業 | 3.7% |
不動産業・物品賃貸業 | 3.0% |
製造業 | 2.2% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 2.2% |
サービス業 | 2.2% |
宿泊業・飲食サービス業 | 0.7% |
教育・学習支援業 | 0.7% |
複合サービス業 | 0.7% |
その他 | 8.1% |
また、公務員として気象庁・国土地理院・地方自治体などに就職する道もあります。
IT・情報通信業界・金融業界など、地学と直接関係ない分野でも論理的思考力を買われて採用されることは珍しくありません。
加えて、大学院に入学する学部生も一定数存在します。
東京都立大学の都市環境学部地理環境学科の場合、37.8%が大学院に進学しています。
大学院に進学すれば、地学の専門性をより一層極められるでしょう。
地学を専攻した学生は多様な分野に就職できるので、興味のある人は積極的に地学を学べる学科にチャレンジしてみましょう。
地学の勉強が活かせる就職先・職業・仕事

ここでは、地学を学ぶことで活かせる就職先について紹介します。
- 環境コンサルタント会社
- エネルギー・資源関連企業
- 気象庁や防災関連機関
- 官公・自治体の技術職
- 教育関連(学芸員・教員・塾講師)
それぞれどのような仕事をしているのか、詳しく見ていきましょう。
環境コンサルタント会社
環境コンサルタント会社では、地学の知識を活かして環境アセスメントや地質調査を実施します。
企業や自治体の開発計画に対し、環境への影響を予測・評価する仕事です。
地形や地質・水質・生態系などを調査し、環境負荷を最小限に抑える提案をするのが主な役割です。
具体的には、以下のような職種が挙げられます。
職種 | 仕事内容 |
環境影響評価担当者 | 土壌や地下水の汚染調査を行い、地質構造や水文地質学を活用して環境リスクを評価する |
資源管理担当者 | 鉱山や採石場の環境影響評価を行い、鉱物学や岩石学の知識を活かして持続可能な資源利用を推進する |
地震・火山リスク評価担当者 | 地質学や火山学の知識を基に、地震や火山活動のリスクを評価し、対策を立案する |
環境法規制順守担当者 | 環境法規制を遵守し、クライアントのプロジェクトが持続可能な形で進行できるよう支援する |
現地調査からデータ分析、報告書作成まで幅広い業務を担当します。
近年は、気候変動対策や再生可能エネルギー関連のプロジェクトも増えているため、やりがいのある仕事ができるでしょう。
エネルギー・資源関連企業
エネルギー企業では、地下資源の分布調査や掘削技術の研究開発に携われます。
具体的には、以下のような職種が挙げられます。
職種 | 仕事内容 |
資源探査担当者 | 地質調査を行い、地下の資源分布を分析して、最適な採掘方法を計画する |
環境影響評価担当者 | 採掘作業が環境に与える影響を評価し、持続可能な資源利用を促進する |
地熱エネルギー開発担当者 | 地質学の知識を活かして地熱エネルギーやシェールガスの開発を行い、持続可能なエネルギー源の利用を促進する |
太陽光や風力・地熱などの自然エネルギーの適地選定にも、地学の知識が不可欠です。
そのため、エネルギー関連企業は大学で学んだことを活かしやすい就職先といえるでしょう。
石油メーカーや産業機械メーカー、商社などでも地学専門家の需要は高い傾向にあります。
気象庁や防災関連機関
気象庁では、地学の知識を活かして気象観測や予報・地震・津波・火山の監視業務に携われます。
国家公務員試験の総合職や一般職に合格することで、全国の気象台で働くチャンスがあるでしょう。
具体的には、以下のような職種が挙げられます。
職種 | 仕事内容 |
気象予報士 | 気象データを収集・分析し、台風や豪雨などの自然災害を予測、警報を発信する |
地震・火山リスク評価担当者 | 地震計や津波警報システムを運用し、地震や火山活動による災害リスクを評価、避難計画を策定する |
被害調査・評価担当者 | 災害発生時に現地調査を行い、被害状況を評価し、今後の対策に活かすデータを収集・解析する |
防災教育担当者 | 地学の専門知識を使って、防災教育や地域社会での啓発活動を行い、災害リスクの認識を深める |
自治体の防災課では、地域の災害リスク分析や避難計画の立案に携われるでしょう。
国土交通省でも防災関連の業務があり、河川整備や土砂災害対策に地学の知識が役立ちます。
また、防災コンサルタントとして民間企業で働く道もあるでしょう。
官公庁・自治体の技術職

地方自治体の技術職では、地学の専門知識を活かして地域の土地利用計画や災害対策に携われます。
具体的な仕事内容は、以下のとおりです。
機関 | 内容 |
国土地理院 | 土地や海の測量、地形図作成などの業務があり、地震予測や火山噴火予測にも貢献している |
市町村役場 | 公共インフラの整備や維持管理、災害時の復旧活動に重要な役割を果たす |
技術職には、土木系・建築系・機械系・電気系などがあり、専門知識を活かして地域社会に貢献できるでしょう。
安定したポジションで、長期的な視点を持って仕事に取り組めるのが魅力です。
ただし、国家公務員や地方公務員の採用試験に合格する必要がある点だけ、押さえておきましょう。
教育関連(学芸員・教員・塾講師)
地学について学んだ知識は、教育現場で大いに活かせます。教員になれば、次世代に地学の面白さを伝えられるでしょう。
教員になるには、大学で教職課程を履修し、教員免許を取得する必要があります。
また、博物館や科学館の学芸員として、展示の企画や解説、資料の収集・研究に携わることも可能です。
学芸員資格は、大学で必要な科目を履修することで取得できます。
一方、塾講師やオンライン教育サービスなど民間教育機関でも、地学の専門知識を持つ人材は重宝されます。
教育関連の仕事は知識を伝える喜びがあり、やりがいを感じられる職業といえるでしょう。
おすすめ・向いている人の特徴は?

幅広い分野に興味がありさまざまな方面にスキルがある人は、地学を学ぶのに向いています。
地学は、地球の成り立ちや自然現象を深く理解するために、地質学や気象学・地震学など幅広い分野を扱う学問であるためです。
地学を学ぶのに適している人の特徴を以下の表にまとめました。
特徴 | 向いている理由 |
自然現象に興味がある人 | 地球内部の構造や成り立ち、気象現象などの仕組みを学ぶことで、自然現象を科学的に理解できるため |
多角的に問題を考えるのが好きな人 | 地質学、気象学、天文学などの知識を統合し、多様な視点から問題を分析する力が求められるため |
フィールドワークが好きな人 | 実際に自然の中で地質調査や観察を行う機会が多く、野外での実践的な学びが重要となるため |
地球環境問題に関心がある人 | 地球環境や気候変動の影響を科学的に学び、持続可能な資源利用や環境保護の課題に取り組む機会があるため |
地球の構造を学び、自然現象を深く理解したい人 | 地層の成り立ちやプレートテクトニクスを学ぶことで、地震や火山活動などの自然現象のメカニズムを理解できるため |
防災や気象予測に興味がある人 | 地震・津波・気候変動などの自然災害のメカニズムを学び、予測や防災対策の知識を活用する機会があるため |
環境保護や資源管理の分野で活躍したい人 | 地球資源の管理やエネルギー問題の解決に関心があり、持続可能な利用や環境負荷の評価について科学的に学べるため |
このような特徴がある人は、地学における多様なテーマに興味を持ち、自然について深く学ぶことを楽しめるでしょう。
よくある質問

最後に、地学に関する質問とその回答について紹介します。
- 地学と地球科学の違いは?
- 地学と高校(高等学校)の地理の違いは?
- 物理と地学の違いは?
- 地学系統を学習する魅力は?
- 地学にはどの程度の数学力が必要?
- 高校で地学を選択していなくても大学で地学を専攻できる?
地学に関して疑問がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
地学と地球科学の違いは?
地学と地球科学はどちらも地球に関する学問ですが、扱う範囲や視点に違いがあります。
以下の表に、それぞれの特徴をまとめました。
項目 | 地学 | 地球科学 |
定義 | 地球の物理的な側面を中心に研究する学問 | 地学を含む、地球全体をシステムとして研究する学問 |
主な対象 | 地質 鉱物 岩石 火山 地震など | 地質 大気 海洋 生態系 化学 惑星比較など |
具体的な分野 | 地質学 鉱物学 岩石学 火山学 地震学 | 気候変動 大気科学 海洋学 生物地球化学 惑星科学 |
視点 | 地球内部の構造や物質、地質変化を詳細に探求 | 地球を包括的に捉え、環境や宇宙との関係も考察 |
研究範囲 | 地球の内部や地表の変化に特化 | 地球全体のシステムや、他の惑星との比較も含む |
地学は、地球の物理的な特性を深く掘り下げる学問です。
一方、地球科学は地学を含みながら、より広い視野で地球全体を捉える学問といえるでしょう。
地学と高校(高等学校)の地理の違いは?
地学と高校の地理はどちらも地球に関する学問ですが、それぞれの視点やアプローチに違いがあります。
以下の表で両者の特徴を比較してみましょう。
項目 | 地学 | 高校の地理 |
定義 | 地球そのものを対象とした自然科学の一分野 | 地球上の地形や人間活動を扱う社会科学の一分野 |
主な対象 | 地球の構造 地質 鉱物 岩石 火山 地震など | 地形 気候 人口 経済 文化 都市構造など |
具体的な分野 | 地質学 鉱物学 岩石学 火山学 地震学 | 人口地理 経済地理 文化地理 政治地理 環境地理 |
視点 | 自然現象を科学的に解明し、地球の成り立ちを研究 | 人間と環境の相互関係を分析し、社会的な視点で地球を理解 |
つまり、地学は自然科学の視点から地球を理解し、地理は社会科学の視点から地球上の人間活動を探求する教科といえます。
物理と地学の違いは?
物理学と地学はどちらも自然科学に属しますが、それぞれの研究対象や方法論には大きな違いがあります。
以下の表に両者の特徴をまとめました。
項目 | 物理学 | 地学 |
定義 | 宇宙や物質の基本原理を探求する学問 | 地球の構造や歴史、自然現象を研究する学問 |
主な対象 | 力学 電磁気学 量子力学 熱力学 相対性理論など | 地質学 鉱物学 気象学 地震学 火山学など |
研究手法 | 理論的・数学的アプローチ 実験を用いた検証 | 観察・フィールドワーク データ収集 実地調査 |
目的 | 自然界の普遍的な法則を理解し、数学的に表現する | 地球の構造や過去・未来の変化を解明する |
応用分野 | 工学 宇宙開発 量子コンピュータ エネルギー技術など | 防災(地震・火山) 資源探査 気候変動研究など |
つまり、物理学は宇宙全体の法則を数学的に探求し、地学は地球に特化してその構造や変化を研究するという違いがあります。
参考:物理学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を取得を目指せる資格と共に解説
地学系統を学習する魅力は?
地学の魅力は数多くありますが、ひとつ挙げるとすれば、地球や宇宙の成り立ちを科学的に理解できることがあるでしょう。
地学では、岩石や地層から地球の歴史を読み解き、地震や火山などの自然現象のメカニズムを学びます。
講義だけでなく、実際のフィールドワークを通じて自然に触れる機会があるのも魅力です。
また、環境問題や自然災害の予測など社会的課題の解決に直結する学問でもあります。
地球規模や宇宙規模の壮大なテーマを扱う地学は、未知の発見に満ちた奥深い学問分野といえるでしょう。
地学にはどの程度の数学力が必要?
地学の計算問題はそれほど難しくないため、数学ⅠA程度の知識があれば十分対応できます。
細かい数値や公式は問題文中に与えられていることがほとんどなので、それを読み取る力が重要です。
図やグラフから必要な情報を読み取り、その場で式を考えて値を求める問題が多いのが地学の特徴です。
つまり、計算力より読解力が求められる科目なので、数学が苦手でも心配する必要はありません。
地学は、文系の人が理科科目として選択しても十分対応できる科目といえるでしょう。
高校で地学を選択していなくても大学で地学を専攻できるか?
高校で地学を履修していなくても、大学で地学を専攻することはまったく問題ありません。
実際、地球学類や地学科の新入生の大半は高校で地学を履修していません
また、座学だけでなくフィールドワークも重視されるのが地学系学科の特徴です。
たとえば、地質調査として週末や長期休暇に山に入り、岩石や地層の観察・測定・スケッチなどを行う実習があります。
地学系学科では、入門的な内容から学び始めるため、高校での地学の知識がなくても理解できるように授業が工夫されています。
まとめ

地学は地球そのものとその仕組みを探求する魅力的な学問です。
地震予測や防災技術の開発など、地学の知識は人々の安全を守る重要な役割を果たしています。
環境問題や資源管理においても地学の専門知識が不可欠です。
本記事の重要なポイントを以下にまとめます。
- 地学とは、地球やその周囲の自然現象を研究する学問である
- 学ぶ分野としては、鉱物学・結晶学・地質学などが含まれる
- 地学を学べる大学の卒業後の主な就職先としては、環境コンサルタント会社やエネルギー・資源関連企業などが挙げられる
- 地球内部の構造や成り立ち、気象現象に興味がある人・地球環境問題に関心がある人に地学はおすすめ
- 地学を専攻できる大学でも入学後のカリキュラムが異なるので、あなたの興味やキャリア目標に合わせて大学を選ぶ
自然現象に興味がある人や野外調査が好きな人にとって、地学は理想的な学問分野です。
地学を学ぶことで、環境コンサルタントや気象予報士など多様なキャリアパスが開けるでしょう。
本記事が、地学の全体像を掴むうえで役立てば幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。