作成日: 2025/5/23 更新日:2025/5/23
環境工学では何を学ぶ?学ぶことや就職先を徹底解説

「環境問題に関心があるけど、環境工学って具体的に何を学ぶの?」
「環境工学を学んだら、どんな進路や就職先があるのかな?」
「環境工学と環境学の違いって何だろう?」
こんな疑問をお持ちの高校生は、多いのではないでしょうか。
環境工学は、自然環境と人間活動のバランスを保ちながら、持続可能な社会の実現を目指す学問です。
そこで、以下の内容について解説します。
- 環境工学の研究分野
- 各分野で学べる具体的な内容
- 環境工学を学べる大学・学部・学科の選び方
- 代表的な進学先の特徴
- 環境工学卒業後の就職先
- 取得できる資格
環境技術を通じて社会に貢献したいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
- 1 環境工学とは?わかりやすく解説
- 2 環境工学とは何を学ぶ学問?学ぶ内容・研究分野
- 2-1 建築環境学
- 2-2 都市環境学
- 2-3 地球環境学
- 2-4 土木工学
- 2-5 生態学
- 2-6 建築学
- 2-7 気象学
- 2-8 水環境工学
- 2-9 大気環境工学
- 2-10 廃棄物処理学
- 2-11 エネルギー工学
- 2-12 土壌・地盤環境工学
- 2-13 環境モニタリング・データ解析
- 2-14 環境影響評価
- 2-15 バイオレメディエーション(微生物による環境浄化)
- 3 環境工学を学べる学部・学科
- 4 環境工学を学べる学校は?大学・学部・学科の一例
- 4-1 北海道大学 農学部 生物環境工学科
- 4-2 東京電機大学理工学部建築・都市環境学系
- 4-3 東海大学建築都市学部土木工学科
- 4-4 東洋大学理工学部都市環境デザイン学科
- 4-5 日本大学 生物資源科学部 生物環境工学科
- 5 大学で専攻した人の卒業後の進路
- 6 環境工学の勉強が活かせる就職先・職業・仕事
- 7 学ぶことで取得が目指せる資格は?
- 8 環境工学に向いている人の特徴は?
- 9 よくある質問と質問への回答
- 9-1 環境工学と環境学の違いは?
- 9-2 環境工学と都市工学の違いは?
- 9-3 環境工学と建築環境工学の違いとは?
- 9-4 大学で環境工学を学ぶにあたり、高校でどのような科目を重点的に勉強しておくべきですか?
- 9-5 具体的にどのような研究テーマに取り組めますか?
- 10 今回の内容のまとめ
環境工学とは?わかりやすく解説

環境工学は、自然環境と人間活動のバランスを保ちながら、持続可能な社会の実現を目指す学問です。
私たちの生活や産業活動によって生じる環境問題を科学的に分析し、工学的な手法で解決策を見つけ出します。
たとえば、水質汚染を防ぐ浄化技術の開発や、大気汚染を減らす装置の設計・廃棄物の効率的な処理方法などを研究します。
また、省エネルギーな建物の設計や、再生可能エネルギーの活用方法も環境工学の重要なテーマです。
数学や物理、化学、生物学などの基礎科学の知識を応用し、実験やコンピューターシミュレーションを通じて問題解決に取り組みます。
環境工学は、地球環境を守りながら人々の豊かな生活を支える技術を生み出す、やりがいのある学問です。
環境工学とは何を学ぶ学問?学ぶ内容・研究分野

環境工学では何を学ぶのでしょうか。以下に環境工学で学ぶ内容・研究分野についてまとめます。
- 建築環境学
- 都市環境学
- 地球環境学
- 土木工学
- 生態学
- 建築学
- 気象学
- 水環境工学
- 大気環境工学
- 廃棄物処理学
- エネルギー工学
- 土壌・地盤環境工学
- 環境モニタリング・データ解析
- 環境影響評価
- バイオレメディエーション(微生物による環境浄化)
それぞれ見ていきましょう。
建築環境学

建築環境学とは、建物とその周辺環境が人々に与える影響を研究する学問です。
快適な住環境を実現しながら、エネルギー消費を抑え、環境負荷を軽減する技術や設計手法を学びます。
建築環境学で学ぶテーマは、以下のとおりです。
テーマ | テーマの説明 | 具体例 |
エネルギー効率 | 建物のエネルギー消費を減らし、効率よく活用する工夫を学ぶ | 断熱性能を高める材料や工法 |
快適な居住環境 | 健康的で快適な住空間を作るための設計や技術を学ぶ | 自然換気や採光を利用したパッシブデザイン |
環境負荷軽減 | 地球環境への影響を最小限に抑える建築技術を学ぶ | スマートビルディング技術・再生可能エネルギーの利用 |
具体的には、温熱環境(室温調整)や空気環境(換気・湿度)、音環境(騒音対策・音響)などについて学びます。
エネルギー消費を抑えつつ、住民の快適さと健康を両立させることを重視し、環境と調和した建物の設計を目指す学問です。
都市環境学
都市環境学とは、都市部での環境問題を解決し、持続可能な都市を実現するための学問です。都市の成長と発展に伴う環境負荷を最小限に抑えるための技術や方法を研究します。
都市環境学で学ぶテーマの例は、以下のとおりです。
テーマ | テーマの説明 | 具体例 |
ヒートアイランド対策 | 都市部の気温上昇を抑え、快適な環境を維持する方法を研究する | グリーンインフラの導入(屋上緑化、街路樹の整備) |
交通システムの最適化 | 都市の交通渋滞や排出ガスを減らし、移動の効率を向上させる方法を学ぶ | 効率的な交通ネットワークの設計(BRT、LRTの導入) |
廃棄物・水質管理 | 都市の廃棄物処理や水資源の管理を持続可能な形で行う方法を研究する | 持続可能な廃棄物処理システム、水質改善技術 |
おもに、都市計画や環境アセスメント・防災・交通システム・景観設計などを学びます。
災害に強く環境負荷の少ない都市計画や、人々が快適に過ごせる空間デザインも研究テーマです。
現代の都市が抱える交通渋滞・インフラの老朽化などの複雑な課題に総合的にアプローチする学問です。
地球環境学

地球環境学は、地球全体での環境問題を研究し、解決策を探る学問です。気候変動や生物多様性の保全・環境汚染の防止など、広範な課題に対処します。
以下の表では、地球環境学で研究される主な問題とその解決策を示しています。
研究対象の問題 | 問題の詳細 | 解決策の一例 |
気候変動 | 地球温暖化の進行により、異常気象や海面上昇が発生する | 温暖化の予測技術の向上、再生可能エネルギーの導入 |
生物多様性の喪失 | 開発や環境破壊によって多くの動植物が絶滅の危機にある | 保護区の設置、生態系の復元活動 |
環境汚染 | 大気・水・土壌が化学物質や廃棄物によって汚染される | 汚染物質の発生源特定、修復技術の開発 |
たとえば、地球温暖化のメカニズムや影響を調べたり、生物多様性の保全方法を考えたりするのも地球環境学のテーマです。
また、自然災害の仕組みを解明し、防災・減災策を提案することも重要な課題といえます。
地球環境学は、地球規模での環境問題を多角的に捉え、持続可能な未来に向けた実践的な解決策を提供することを目指しています。
この分野で得られた知識は、環境コンサルタントや気象予報士・研究者など幅広い職業で活かせるでしょう。
土木工学
土木工学は、私たちの生活を支える社会基盤(インフラ)を計画・設計・建設する学問です。
道路や橋・ダム・トンネル・上下水道など、日常生活に欠かせない構造物を作り出す技術を取り扱っています。
たとえば、河川の自然な流れを活かした治水対策や、生態系に配慮した海岸保全などが研究されています。
また、災害に強いまちづくりや、老朽化したインフラの維持管理・更新技術も重要なテーマです。
近年は、再生可能エネルギーの導入や資源のリサイクルなど、持続可能な社会の実現に向けた取り組みも増えています。
土木工学は、人々の安全で快適な暮らしを支えながら、環境保全と社会発展の両立を目指す実践的な学問といえるでしょう。
土木工学の特集ページはこちら
生態学

生態学は、生物と環境の関わりを科学的に研究する学問分野です。
生物がどのように環境に適応し、他の生物と相互作用しながら生きているかを探求することが、主な研究テーマです。
環境工学の観点では、自然生態系の仕組みを理解し、それを環境保全や修復に活かす知識を学びます。
たとえば、森林や湿地などの生態系がもつ水質浄化や二酸化炭素を吸収する機能を解明することなどが挙げられます。
また、生物の個体数変化を調査したり、生態系モデルを使って将来予測を行ったりすることも生態学研究の一例です。
生態学の知識は、自然環境の保全だけでなく、生態系の機能を活用した持続可能な社会づくりにも貢献するでしょう。
建築学
建築学は、建物を設計・建設するための理論と技術を学ぶ学問分野です。
たとえば、太陽光や風などの自然エネルギーを活用した省エネ建築の設計方法を考えることが建築学の役割として挙げられます。
また、断熱性能を高めることで冷暖房エネルギーを削減する技術や、室内の空気質を改善する換気システムについても研究します。
建物の配置や形状を工夫して自然光を取り入れる「パッシブデザイン」も、環境工学と重なる重要なテーマです。
建築学は、芸術性と工学的知識を組み合わせ、人々の暮らしを豊かにしながら地球環境を守る建物づくりを目指す学問といえます。
気象学

気象学は、大気中で起こるさまざまな現象のメカニズムを解明する学問です。
雲の発生や雨・雪の降り方・台風の進路予測など、身近な天気の仕組みを科学的に研究します。
たとえば、都市部でのヒートアイランド現象の原因を分析することなどが挙げられます。
環境工学の視点では、気候変動のメカニズムや大気汚染の拡散過程などを理解することが重要です。
また、コンピューターを使った数値シミュレーションにより、将来の気候変化を予測する手法も気象学で取り扱います。
気象学の知識は、防災対策や農業計画・エネルギー政策など、社会のさまざまな分野で役立てられています。
水環境工学
水環境工学は、河川や貯水池などの水環境を健全で持続可能な状態に保全することを目的とした学問です。
水質調査や汚染物質が水環境や生物に与える影響の評価、汚染物質の除去技術の開発などを行います。
具体的な研究内容は、以下のとおりです。
- 閉鎖性水域(ため池など)の流動・水質に関する研究
- 植物プランクトンの挙動に関する研究
- 膜分離技術や微生物を用いた廃水処理技術の開発
- マイクロプラスチック問題への対応 など
とくに、医薬品使用に伴う薬剤耐性菌の水環境での広がりに関する研究は、科学的な視点によるアプローチにとどまりません。
水環境工学では、社会との関わりを含めた総合的なアプローチを重視しています。
なお、水環境工学を学べば、上下水道の水質管理や環境分析コンサルタントなどへの道が開かれます。
大気環境工学

大気環境工学は、私たちが呼吸する空気をクリーンで快適に保つための学問です。
主に、空気中に存在するエアロゾルや揮発性有機化合物などの汚染物質を効率的に除去する技術を研究します。
大気環境工学の代表的な研究テーマは、以下のとおりです。
- 汚染物質の発生原因や変質過程の解明
- 空気浄化装置の開発
- 大気環境の評価と測定技術 など
最近では、ウイルス感染に関する研究や温室効果ガス削減策の評価なども行われています。
廃棄物処理学
廃棄物処理学は、私たちの生活や産業活動から出るごみや不要物を適切に処理・管理する方法を研究する学問です。
一般家庭から出る生活ごみと実験や工場から出る産業廃棄物では扱い方が大きく異なることを学びます。
主な研究テーマは、以下のとおりです。
- 廃棄物発生量の予測
- 焼却・埋立などの処理技術の開発
- リサイクル手法の確立
- 廃棄物の資源化・エネルギー化技術や有害物質の無害化処理 など
廃棄物処理学を学んだ学生は、大学卒業後に環境コンサルタントや廃棄物処理施設の技術者として活躍できるでしょう。
エネルギー工学

エネルギー工学は、持続可能な社会の実現に向けてさまざまなエネルギー技術を研究する学問です。
石油や石炭などの従来型エネルギーを効率的に使う技術や、燃焼時の汚染物質を減らす技術を研究しています。
エネルギー工学における代表的な研究テーマは、以下のとおりです。
太陽光や地熱などの再生可能エネルギーの開発・利用
カーボンニュートラル実現に向けた次世代エネルギーシステムの構築
スマートグリッド技術の開発 など
関連する学問としては、エネルギー変換工学、原子力工学、プラズマ工学などが挙げられます。
エネルギー工学を学んだ学生は、電力・ガス会社、自動車メーカー、環境関連企業などで活躍できるでしょう。
土壌・地盤環境工学
土壌・地盤環境工学は、私たちの足元にある土や地盤を対象に、環境保全と安全な社会基盤づくりを研究する学問です。
土壌汚染の原因究明や対策技術の開発・汚染された土壌や地下水の浄化方法を研究しています。
土壌・地盤工学における主な研究テーマは、以下のとおりです。
廃棄物の適切な埋立処分や処分場の設計・建設発生土のリサイクル方法
地盤沈下や斜面崩壊などの地盤災害を防ぐための技術開発
地球温暖化に関連して二酸化炭素の地中貯留
放射性廃棄物の地層処分 など
土壌・地盤環境工学を学ぶには、土質力学や基礎工学に加えて、微生物学や化学などの幅広い知識が求められます。
土壌・地盤環境工学は、持続可能な循環型社会の実現に向けて、地球環境と人間社会の共生を目指す重要な学問分野です。
環境モニタリング・データ解析

環境モニタリングは、自然環境や人工環境の状態を継続的に観測・記録するプロセスです。
大気や水質・土壌などの環境要素を測定機器で計測し、データとして蓄積されます。
収集したデータは、統計処理や時系列解析などの手法で分析され、環境の傾向や問題点を明らかにするのに役立ちます。
近年では、AIやビッグデータ技術を活用した高度な解析手法も発展している点が特筆すべきポイントです。
環境モニタリングは、持続可能な社会の実現に向けた科学的な意思決定の基盤となる技術といえます。
環境影響評価
環境影響評価(環境アセスメント)は、開発事業が環境にどのような影響を与えるかを事前に調査・予測・評価する学問です。
道路建設やダム開発などの大規模事業を行う前に、その事業が大気や水質・土壌・生態系などに与える影響を科学的に分析します。
事業者が自ら調査した結果を公表し、一般市民や行政からの意見を取り入れて、より環境に配慮した計画づくりを目指す流れです。
「環境影響評価を学ぶことは、環境コンサルタントやアセスメント関連企業での活躍に向けた基盤となるでしょう。
バイオレメディエーション(微生物による環境浄化)

バイオレメディエーションは、微生物や植物の力を利用して汚染された環境を浄化する技術です。
主に、土壌や地下水・海洋に含まれる有害物質を微生物の分解能力によって無害化します。
バイオレメディエーションにおける主な手法は、以下のとおりです。
手法 | 説明 |
バイオスティミュレーション | 現場の微生物に栄養や酸素を与えて活性化させ、汚染物質の分解を促進する技術 |
バイオオーグメンテーション | 外部で培養した特定の分解能力を持つ微生物を汚染現場に導入して浄化する方法 |
ファイトレメディエーション | 植物の吸収・蓄積・分解能力を利用して土壌や水中の汚染物質を除去する環境浄化技術 |
バイオレメディエーションは、石油汚染や有害化学物質などの浄化に効果を発揮します。
加えて、物理化学的処理と比べて低コストで環境負荷が少ないこともバイオレメディエーションの利点といえます。
環境工学を学べる学部・学科

次に、環境工学を学べる学部や学科の一例を紹介します。
- 工学部環境工学科
- 工学部土木工学科
- 工学部建築学科
- 理工学部環境システム学科
- 理工学部地球環境科学科
ここで紹介する学部や学科に入学すれば、環境工学を専門的に学べる機会があるので、ぜひ参考にしてみてください。
工学部環境工学科

工学部環境工学科は、環境問題を工学的アプローチで解決する専門家を育成する学科です。
カリキュラムでは、水質管理・大気汚染対策・廃棄物処理など環境保全に関する専門知識を学びます。
1・2年次では数学や物理、化学などの基礎科目を学び、3年次から専門分野を深く掘り下げます。
実践的なスキルを身につけるために、水質検査や大気測定などの実験や実習が多いのが特徴です。
研究室に所属すると、再生可能エネルギーの開発や生態系の保全など、最先端の研究テーマに取り組めます。
卒業後は、環境コンサルタントや公務員・製造業など幅広い分野で活躍できます。
環境工学科は、環境問題に関心がある人におすすめの学科です。
工学部土木工学科
工学部土木工学科では、道路や橋・トンネル・ダム・上下水道などの社会基盤を計画・設計・施工・維持管理する技術を学べます。
構造系や材料系・環境系などに分かれており、基礎を幅広く学んだあと、自分の興味ある分野を専門的に履修する流れです。
近年は、自然環境との調和を重視し、環境工学の視点も取り入れた教育が行われています。
土木工学科では、実験や実習・演習が多く、実践的な技術が身につくでしょう。
防災・減災や老朽化したインフラの維持管理など、現代社会の課題に取り組む力も養えます。
卒業後は、建設会社・設計コンサルタント・公務員など幅広い分野で活躍できるでしょう。
工学部建築学科

工学部建築学科では、人々が快適に暮らせる建物や空間を創造するための知識と技術を学べます。
環境工学の観点から、省エネルギーや自然エネルギーの活用・室内環境の快適性など、人と環境に優しい建築について取り扱います。
とくに、重要な科目として設計製図があり、建物の図面や模型を作成する実践的な授業が行われるのも建築学科の特徴です。
卒業後は、建設会社・設計事務所環・境コンサルタントなど幅広い分野で活躍できるでしょう。
さらに専門性を高めたい場合は、大学院に進学する道も開かれています。
理工学部環境システム学科
理工学部環境システム学科では、環境問題を総合的に捉え、解決策を考える力を身につける学科です。
地球環境から身近な生活環境まで、幅広い視点で環境をシステムとして学べます。
カリキュラムは文理融合型で、自然科学だけでなく社会科学や人文科学の知識も習得できるのも特徴です。
具体的には、地球環境科学や生態学・資源・環境経済学などの科目があります。
また、実験や実習を通して実践的な技術も身につけられるのが環境システム学科の特徴です。
卒業後は、建築設計や都市計画・環境関連企業などで環境技術者として活躍することが期待されています。
理工学部地球環境科学科

理工学部地球環境科学科では、地球規模の環境問題から身近な自然災害まで幅広く学べます。
宇宙や大気・水・地質など地球環境のさまざまな側面を総合的に理解し、人間社会との関わりを考える学科です。
講義では、気象学や地質学・地震学などの専門科目を学ぶほか、野外での調査や観測にも取り組みます。
卒業後は、環境コンサルタントや気象予報士や地質調査員など幅広い分野で活躍できるでしょう。
また、教職課程を履修すれば理科の教員免許も取得可能です。
地球環境科学科は、地球環境の仕組みを理解し、自然災害から人々を守る方法を学びたい人におすすめの学科といえるでしょう。
環境工学を学べる学校は?大学・学部・学科の一例

ここでは、環境工学を学べる大学・学部・学科の一例を紹介します。
- 北海道大学 農学部 生物環境工学科
- 東京電機大学理工学部建築・都市環境学系
- 東海大学建築都市学部土木工学科
- 東洋大学理工学部都市環境デザイン学科
- 日本大学 生物資源科学部 生物環境工学科
気になる学部学科があれば、大学の公式HPやパンフレットを確認してみてください。
北海道大学 農学部 生物環境工学科

北海道大学農学部の生物環境工学科は、環境に配慮した持続可能な農業を理工学的視点から学べる学科です。
「環境に大きな負荷を与えない農業」「自然と調和する持続的な食料生産」「地域環境の整備と保全」などをテーマに研究を行っています。
本学科の特徴は、以下のとおりです。
- 8つの研究分野から構成され、農業機械や食品加工など農業の現場に密着して研究できる
- 2年次では情報解析学や応用数学などの基礎科目に加え、農業土木学や生物環境物理学などの専門科目を学ぶ
- 3年次で研究室に配属され、より専門的な知識を深め、4年次では卒業研究に取り組める
卒業後は、農業関連企業や食品メーカー・環境コンサルタントなど幅広い分野で活躍できるでしょう。
東京電機大学理工学部建築・都市環境学系

東京電機大学理工学部建築・都市環境学系では、持続可能な社会を実現するため、建築や都市環境に関連する知識を幅広く学べます。
建築技術だけでなく、環境保全や情報技術も含めた多様な分野に触れることで、人間と自然の調和を目指した技術者の育成を目指している学科です。
東京電機大学理工学部建築・都市環境学系には、以下の特徴があります。
- 建築と都市環境を横断的に学ぶカリキュラムを提供
- 持続可能な社会構築に必要な環境保全や技術を習得できる学びを推進
- 多様な分野で活躍できる技術者育成を目的としたオナーズプログラムを実施
建築や都市環境の持続可能な発展に興味があり、実践的な技術を学びたい人に本学科は向いています。
東海大学建築都市学部土木工学科

東海大学建築都市学部土木工学科は、道路や橋・ダムなどのインフラ整備に関する幅広い知識を学べる学科です。
自然災害への対策を強化し、持続可能な生活環境を支える技術者を目指します。
東海大学建築都市学部土木工学科には、以下の特徴があります。
- 橋やダムなどの構造物設計に加え環境保全にも注力
- 地盤工学や水理工学を活かして災害対策に貢献する技術を学べる
- 土木プロジェクトにおける測量技術やデータ解析技術の習得が可能
自然災害対策やインフラ整備に興味があり、地域社会に貢献したい人にとって、本学科は向いているでしょう。
東洋大学理工学部都市環境デザイン学科

洋大学理工学部都市環境デザイン学科は、安全で快適な都市空間を創り出すために、建設技術や環境デザインを学ぶ学科です。
自然環境との調和を考慮しながら、災害対策や持続可能な都市システムを構築する力を養います。都市全体の設計と地域課題解決に向けた実践力を育成します。
東洋大学理工学部都市環境デザイン学科の特徴は、以下のとおりです。
- 安全で安心できる都市環境の創造を目指した実践的な学びを提供
- 持続可能な都市設計と自然環境の共生を重視
- 地域課題を総合的に解決するためのデザイン力を育成
都市の安全性や快適さ・持続可能な環境の設計に関心がある人にとって、興味のあることが学べる学科といえるでしょう。
日本大学 生物資源科学部 生物環境工学科

日本大学生物資源科学部の生物環境工学科では、生物と環境に関する工学的な知識と技術を学べます。
本学科の特徴は以下のとおりです。
- 農業施設学や水資源環境工学・大気環境科学・環境建築学など幅広い科目が用意されている
- 実験・実習を通して実践的な技術も身につけられる
建築士や測量士などの資格取得に必要な科目も履修可能で、将来の選択肢が広がる
卒業後は、農林水産省や国土交通省・地方公務員のほか、建設会社や環境関連企業など幅広い分野で活躍できるでしょう。
大学で専攻した人の卒業後の進路

環境工学を大学で専攻した先輩たちは、卒業後にどのような進路を歩んでいるのでしょうか。
東京電機大学を例に見ていきましょう。
東京電機大学理工学部建築・都市環境学系の2023年度における卒業生の就職先の業種とその割合は、以下のとおりです。
業種 | 割合 |
建設業 | 64.2% |
公務員 | 10.7% |
不動産業 | 8.9% |
輸送業 | 5.4% |
技術・サービス業 | 5.4% |
製造業 | 3.6% |
情報通信業 | 1.8% |
東京電機大学理工学部建築・都市環境学系の卒業生の多くは、建設業・公務員・不動産業などの業種で活躍しています。
なお、大学院進学率は、東洋大学理工学部都市環境デザイン学科の大学院進学率は、18.2%でした。
業種や就職先の傾向は大学によって異なるので、志望大学のホームページやパンフレットで確認しましょう。
環境工学の勉強が活かせる就職先・職業・仕事

境工学の専門知識が活かせる仕事はどのようなものがあるのでしょうか。
代表的な5つの就職先について解説します。
- 環境コンサルタント
- 製造業界
- 建設業界
- 公務員
- 研究者
それぞれ見ていきましょう。
環境コンサルタント

環境コンサルタント会社は、環境保護や持続可能な開発を支援するために企業や自治体に環境対策のアドバイスを提供する企業です。
環境影響評価やエネルギー効率の改善など、さまざまな分野で環境工学の知識を活かせる職種が存在します。
環境工学の知識を活かせる環境コンサルタント会社の職種は、以下のとおりです。
職種 | 業務内容 |
環境影響評価担当者 | 開発プロジェクトが環境に与える影響を評価し、適切な環境対策を提案する |
環境マネジメント担当者 | ISO 14001などの国際規格に基づいた環境マネジメントシステムの構築・運用を支援する |
エネルギー効率コンサルタント | 企業のエネルギー使用を分析し、エネルギー効率向上のための改善策を提案する |
廃棄物処理・リサイクル担当者 | 廃棄物の処理方法を最適化し、リサイクル率の向上に向けた具体的な対策を企業に提案する |
環境コンサルタント会社では、環境工学の知識を活かし、企業や地域社会が持続可能な発展を遂げるための支援を行います。
製品開発からリサイクルまで幅広い業務に携わり、環境保護の実現に貢献できる職場です。
製造業界
製造業界とは、原材料を加工し、製品を生産する業界のことを指します。自動車や電子機器、食品、化学製品など、多岐にわたる製品を生み出す重要な業界です。
近年は環境負荷の低減やエネルギー効率の向上が求められ、環境工学の知識が活用される場面が増えています。
製造プロセスの最適化や廃水処理・排出ガスの浄化技術に携われます。
環境工学の知識を活かせる製造業界の職種の一例は、以下のとおりです。
職種 | 業務内容 |
環境技術開発担当者 | 排出ガス浄化や廃水処理技術の開発を行い、製造プロセスでの環境負荷を軽減する |
エネルギー管理担当者 | 工場のエネルギー消費量をモニタリングし、エネルギー効率向上のための施策を導入する |
環境影響評価担当者 | 製品のライフサイクル全体にわたって環境への影響を評価し、改善策を提案する |
環境安全担当者 | 工場内での環境安全対策を計画し、法規制に準拠した廃棄物管理や化学物質の取り扱いを監督する |
製造業界では、環境工学の専門知識を活かして持続可能な製造プロセスを構築し、企業の環境負荷低減に貢献できる職場です。
エネルギー効率や安全管理に携わり、環境保護と経済成長のバランスを図る役割を担います。
建設業界

建設業界は、住宅やオフィスビル、道路、橋梁などのインフラを設計・施工し、社会基盤を支える業界です。
持続可能な都市開発や環境負荷の低減が求められる中で、環境工学の知識は重要な役割を果たします。
以下に、環境工学の知識を活かせる建設業界の職種の一例を示します。
職種 | 業務内容 |
建設プロジェクトマネージャー | 環境影響評価や持続可能な資源利用計画を含む建設プロジェクト全体の進行を管理する |
環境エンジニア | エネルギー効率の向上や環境にやさしい建材の選定、再生可能エネルギーの導入を提案する |
都市計画者 | 環境と調和した都市の成長と発展を目指し、持続可能な都市計画を策定する |
規制遵守担当者 | 環境法規制を遵守するための対策を講じ、プロジェクトが法律に準拠するよう管理する |
建設業界では、環境工学の知識を活かしてエネルギー効率の高い建物やスマートシティの構築に貢献できる職場です。
プロジェクトの管理や都市計画に携わり、環境負荷の少ない未来の社会づくりに貢献できるでしょう。
公務員
公務員は、環境工学の知識を社会貢献に直接活かせる魅力的な職業です。
公務員としての働き方は、大きく以下の2つに分かれます。
機関・組織 | 業務内容 |
環境省 | 環境政策の立案と実施 |
国土交通省 | 環境に配慮した国土計画や交通政策 |
農林水産省 | 持続可能な農林水産業と環境保全 |
都道府県 | 地域環境政策の立案・実施、広域的な環境保全 |
市町村 | 地域の環境保全活動・公害対策・廃棄物処理 |
たとえば、大気や水質の汚染状況を監視し、必要な規制や指導を行う仕事などが公務員の仕事として挙げられます。
また、廃棄物処理施設や下水処理場などの公共インフラの計画・管理も重要な仕事です。
近年では、気候変動対策や再生可能エネルギーの推進など、新たな環境課題に取り組む部署も増えています。
安定した雇用条件で地域社会に貢献できることが、公務員の大きな魅力といえるでしょう。
研究者

環境工学を学んだ人には、研究者として活躍する道も開かれています。
大学や公的研究機関では、環境問題の解決に向けた最先端の研究に取り組めます。
たとえば、新しい水質浄化技術の開発や再生可能エネルギーの効率化研究などが挙げられるでしょう。
民間企業の研究所でも、環境配慮型の製品開発や環境負荷を低減する生産技術の研究などに取り組めます。
研究者の主な業務は、実験やフィールド調査・データ分析・論文執筆などです。
また、国内外の学会で研究成果を発表し、ほかの研究者と交流することも大事な仕事といえます。
研究者になるには、博士号を取得するのが一般的です。
ただし、修士課程修了後に企業の研究職として働きながらキャリアを積む道もあります。
研究者は、環境問題に対して科学的なアプローチで解決策を見出したい人に向いている職業です。
学ぶことで取得が目指せる資格は?

環境工学を学ぶことで、どのような資格を取れるのでしょうか?ここでは、環境工学を履修すると狙える資格について紹介します。
- 一級建築士
- 土木施工管理技士(1級・2級)
- 木造建築士
- 技術士・技術士補
- 電気工事施工管理技士(1級・2級)
- 公害防止管理者
- その他
ひとつずつ見ていきましょう。
一級建築士

環境工学のなかには、一級建築士の資格取得に必要な知識が含まれています。一級建築士は、どんな建物でも設計できる国家資格です。
大学で環境工学を含む指定科目を60単位以上取得すると、卒業後すぐに一級建築士試験を受験できます。
一級建築士に関する詳細な情報は、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
開催月 | 学科試験:7月 設計製図試験:10月 |
受験料 | 17,000円(非課税) |
試験形式 | 学科試験:マークシート方式(四肢択一) 設計製図試験:製図(エスキス・図面作成) |
試験時間 | 学科試験:計6時間30分(計画・環境・設備2時間、法規1時間45分、構造・法規2時間45分) 設計製図試験:6時間30分 |
出題範囲 | 学科試験: ・建築計画、建築環境、建築設備 ・建築構造、建築施工 ・建築法規 設計製図試験:・大規模な建築物(事務所、学校、共同住宅など)の設計課題 |
参照:令和7年 一級建築士試験 受験要領|公益財団法人建築技術教育普及センター
試験は学科試験と設計製図試験の2段階で行われ、両方に合格する必要があります。
一級建築士の資格を取得すれば、建設会社や設計事務所で活躍できるでしょう。
土木施工管理技士(1級・2級)
土木施工管理技士は、道路や橋、ダムなどの土木工事の現場で施工管理・品質管理・安全管理を行う資格です。
1級と2級があり、1級はすべての土木工事で監理技術者と主任技術者として働けます。
一方、2級は限られた分野で主任技術者として活躍できます。
土木施工管理士に関する詳細な情報は、以下のとおりです。
項目 | 1級土木施工管理技士 | 2級土木施工管理技士 |
開催月 | 第一次検定:7月(2025年度は7月6日(日)) 第二次検定:10月(2025年度は10月5日(日)) | 第一次検定:前期6月(2025年度は6月1日(日))、後期10月(2025年度は10月26日(日)) 第二次検定:10月(2025年度は10月26日(日)) |
受験料 | 第一次検定:12,000円(非課税) 第二次検定:12,000円(非課税) | 第一次検定:6,000円(非課税) 第二次検定:6,000円(非課税) |
試験形式 | 第一次検定:四肢択一式(マークシート方式) 第二次検定:記述式 | 第一次検定:択一式(マークシート方式) 第二次検定:記述式 |
試験時間 | 第一次検定:午前2時間30分、午後2時間(計4時間30分) 第二次検定:2時間45分 | 第一次検定:2時間10分 第二次検定:2時間 |
参照:1級土木施工管理技術検定/2級土木施工管理技術検定|一般財団法人全国建築研修センター
土木施工管理技士の資格を持つと現場監督として活躍でき、昇給や昇進のチャンスも広がります。
また、環境土木工学科などで学ぶと、構造力学や水理学などの基礎知識が身につき、資格取得に有利になるでしょう。
建設会社や公務員として働く際に、この資格があると大きな強みになります。
木造建築士

木造建築士は、木造の建物を設計・監理できる国家資格です。
環境工学を学ぶと、木造建築士の資格取得に必要な知識の一部が身に付きます。
大学で指定科目を履修することで、卒業後すぐに受験資格を得られます。
木造建築士に関する詳細な情報は以下のとおりです。
項目 | 木造建築士 |
開催月 | 学科試験:7月27日(日曜日) 設計製図試験:10月12日(日曜日) |
受験料 | 18,500円(非課税) |
試験形式 | 学科試験:マークシート方式(四肢択一) 設計製図試験:製図(手書き) |
試験時間 | 学科試験:6時間 設計製図試験:5時間 |
参照1:令和7年木造建築士試験受験要領 |公益財団法人建築技術教育普及センター
環境工学の知識は、省エネや自然素材を活かした木造建築の設計に役立ちます。
近年、環境に優しい木造建築が注目されており、木造建築士の資格を持つ人材の需要が高まっています。
本資格は、設計事務所や工務店、ハウスメーカーなどで活躍できる資格です。
技術士・技術士補
技術士は、科学技術に関する高度な知識と応用能力を持つ技術者であることを証明する国家資格です。
「環境部門」をはじめ「上下水道部門」、「衛生工学部門」など環境工学に関連する部門があります。
技術士や技術士補に関する詳細な情報は、以下のとおりです。
項目 | 技術士 | 技術士補 |
開催月 | 第一次試験:11月23日(2025年度) 第二次試験:筆記 7月20日・21日、口頭 12月~翌年1月 | 申請のみ(試験なし) |
受験料 | 第一次試験:11,000円 第二次試験:14,000円 | 登録手数料:6,500円 登録免許税:15,000円 |
試験時間 | 第一次試験:合計4時間 第二次試験:筆記 約5時間30分、口頭 20分 | 試験なし |
参照1:令和7年度 技術士第一次試験の実施について|公益財団法人日本技術士会
参照2:令和7年度技術士第二次試験 実施案内
参照3:「技術士補」の新規登録手続き
技術士補は、大学で理工系の学科を卒業すれば、すぐに申請できます。
技術士の資格を持つと、環境コンサルタントや建設会社、製造業などで重宝されます。
公共事業の入札では技術士の有無が評価されるため、企業にとっても価値が高い資格といえるでしょう。
電気工事施工管理技士(1級・2級)

電気工事施工管理技士は、電気工事の現場を監督し、安全かつ効率的に工事を進める専門家の資格です。
1級と2級があり、2級は17歳以上、1級は19歳以上から受験できます。
電気工事施工管理技士についての詳細な情報は、以下のとおりです。
項目 | 1級電気工事施工管理技士 | 2級電気工事施工管理技士 |
開催月 | 第一次検定:7月13日(日) 第二次検定:10月19日(日) | 前期:第一次検定のみ 6月8日(日) 後期:第一次・第二次検定 11月9日(日) |
受験料 | 第一次検定:15,800円 第二次検定:15,800円 | 第一次検定のみ:7,900円 第二次検定のみ:7,900円 第一次・第二次検定同時:15,800円 |
試験形式 | 第一次検定:マークシート方式 第二次検定:記述式 | 第一次検定:マークシート方式 第二次検定:記述式 |
参考:1級 電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人建設業振興基金
参考:2級 電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人建設業振興基金
本資格は、電気工事の施工計画作成や工程管理・安全管理・品質管理などの能力が証明できる資格です。
環境工学を学ぶと、省エネルギーや再生可能エネルギー設備の知識が身につき、試験対策に役立ちます。
電気工事施工管理技士の試験に合格すると、建設会社での就職や昇進に有利になるほか、給与アップも期待できるでしょう。
公害防止管理者
公害防止管理者は、工場から発生する大気汚染や水質汚染などの公害を未然に防ぐために選任される国家資格です。
製造業や電気供給業などの特定工場では、公害防止管理者の選任が義務づけられています。
公害防止管理者の資格における詳細な情報は、以下のとおりです
項目 | 内容 |
開催月 | 10月 |
受験料 | 第1種、第3種、ダイオキシン類関係、主任管理者:12,300円(非課税) 第2種、第4種、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係:11,600円(非課税) |
試験形式 | 多肢選択式(五者択一式) |
試験時間 | |
出題範囲 | 公害総論・大気概論・水質概論・各種特論 など(試験区分により異なる) |
参考:国家試験 / 国家試験実施要領|一般社団法人産業環境管理協会
大学の環境科学科や化学系・工学系学科で専門知識を学べば、公害防止管理者の合格に必要な基礎知識が身につくでしょう。
その他

環境工学を学んで目指せる資格として、ほかにも以下のようなものがあります。
資格名 | 資格の説明 |
二級建築士は、主に中小規模の住宅や店舗など、建築士法で定められた範囲の建築物の設計および工事監理を行う資格である。大規模建築物の設計は原則として扱えない。 | |
建築施工管理技士は、建築工事の施工計画・安全管理・品質管理・工程管理などを担う技術者資格である。 1級は大規模工事の監理技術者・主任技術者として、2級は中小規模工事の主任技術者として従事可能である。 | |
建設機械施工管理技士は、ブルドーザーやパワーショベルなどの建設機械を使用した土工事などにおいて、安全・品質・工程等の施工管理を行う資格である。 1級は大規模工事における監理技術者・主任技術者に、2級は中小規模工事における主任技術者として従事可能である。 | |
土地や地形の測量を行う技術者資格である。 測量士は、国や地方公共団体等が発注する測量業務の責任者となることができ、企画・立案・実施の全般にわたる役割を担う。一方、測量士補は測量士の指導のもとで補助的な業務に従事する。 | |
管工事施工管理技士は、空調設備工事、給排水衛生設備工事、ガス配管工事などの管工事における施工管理を行う資格である。 1級は大規模工事の監理技術者・主任技術者として、2級は中小規模工事の主任技術者として業務に従事できる。 |
参照:東京電機大学理工学部建築・都市環境科学系 目指せる資格
上記のように、環境工学を学ぶことで取得できる資格は多岐にわたります。
環境工学に向いている人の特徴は?

環境工学は技術的な問題解決能力や環境への高い関心が求められる分野です。以下の特徴を持つ人が環境工学に向いているといえます。
特徴 | 向いている理由 |
環境保護に強い関心がある人 | 環境問題に対する意識が高く、技術を活用して自然環境の保全や資源の持続可能な利用に取り組む機会があるため |
技術を活用した問題解決が好きな人 | 複雑な環境問題に対し、科学的なアプローチを用いて解決策を考え、実践する力が求められるため |
持続可能な社会の実現を目指している人 | 環境負荷を低減し、持続可能なエネルギーや資源管理の技術を活用する機会があるため |
環境工学の理論と実践を学びたい人 | エネルギー効率や廃棄物管理、水資源の保全などを体系的に学び、環境技術の専門知識を習得できるため |
数学や物理の応用に興味がある人 | 環境技術の理論と実践を結びつけ、科学的な手法で環境問題に取り組む力が求められるため |
このような特徴を持つ人は、環境技術やインフラの設計を通じて、持続可能な未来に貢献するチャンスを得られるでしょう。
よくある質問と質問への回答

環境工学に興味がある人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。よくある質問とその回答を記載していきます。
- 環境工学と環境学の違いは?
- 環境工学と都市工学の違いは?
- 環境工学と建築環境工学の違いとは?
- 大学で環境工学を学ぶにあたり、高校でどのような科目を重点的に勉強しておくべきですか?
- 具体的にどのような研究テーマに取り組めますか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
環境工学と環境学の違いは?

環境工学と環境学はどちらも環境問題に関連していますが、アプローチが異なります。以下の表で両者の違いを比較してみました。
比較項目 | 環境工学 | 環境学 |
主な対象 | 環境技術 インフラ 持続可能なシステム | 環境全般 エコロジー 環境政策 |
目的 | 環境問題の技術的な解決 持続可能なシステムの構築 | 環境問題の理解 解決策の提案 |
学問の説明 | 技術や工学を駆使して環境汚染を軽減し、自然環境を保護するための具体的なシステムやインフラの設計を目指す学問 | 自然環境や生態系、気候変動などの環境問題を幅広く研究し、その問題の原因と影響を探ることで、政策や行動の改善を目指す学問 |
環境工学は、技術的なアプローチで環境問題を解決することに焦点を当てており、実際にシステムやインフラの設計を行います。一方、環境学は、環境全体の理解を深め、政策的な解決策を考えることに重きを置きます。
環境工学と都市工学の違いは?
環境工学と都市工学も技術的な分野ですが、取り組む対象や目的が異なります。以下の表でその違いを比較しました。
比較項目 | 環境工学 | 都市工学 |
主な対象 | 環境技術 インフラ 持続可能なシステム | 都市計画 インフラ 交通システム |
目的 | 環境問題の技術的な解決 持続可能なシステムの構築 | 効率的で快適な都市空間の創出 |
学問の説明 | 環境問題の技術的な解決を目指し、廃棄物管理、エネルギー効率化、汚染防止システムなどを設計する学問 | 都市のインフラや交通システムを設計し、都市の成長と持続可能な発展を支えるための空間的な解決策を提供する学問 |
環境工学は、環境保護に焦点を当て、廃棄物処理やエネルギー効率などの環境技術の開発を行います。
一方、都市工学は、都市空間やインフラの設計を通じて快適な都市生活を実現することに重点を置いている点が大きく異なります。
このように、環境工学と都市工学は、密接に関わりながら異なる観点で生活環境の発展に貢献する学問といえるでしょう。
環境工学と建築環境工学の違いとは?

環境工学と建築環境工学は密接に関連していますが、対象範囲やアプローチに違いがあります。
環境工学は水質・大気・廃棄物など地球規模の環境問題を扱い、持続可能な社会の実現を目指します。
一方、建築環境工学は建築物内外の環境最適化に特化し、人間の快適性や健康を重視するという特徴があります。
両者の違いを以下にまとめました。
比較項目 | 環境工学 | 建築環境工学 |
主な対象 | 水質 大気 廃棄物管理 生態系保全 | 建築物内外の温熱・音・光・空気環境 |
目的 | 環境問題の技術的な解決 持続可能な社会の実現 | 建築環境の快適性向上 省エネ設計 |
学問の説明 | 地域や地球規模の環境課題を解決するための技術を開発し、社会全体の持続可能性を向上させる | 建築物の設計・設備を最適化し、人間にとって快適かつ環境負荷の少ない空間を創造する |
環境工学を学ぶには、工学部や理工学部の環境工学科が最適です。
建築環境工学は、主に建築学科や建築工学科で学べます。
ただし、最近では「建築・都市環境工学科」のように両分野を統合した学科も増えています。
両者とも持続可能な社会を目指す重要な分野であり、自身の関心やキャリアプランに応じて適した学科を選択することが大切です。
大学で環境工学を学ぶにあたり、高校でどのような科目を重点的に勉強しておくべきですか?
環境工学を目指す高校生は、理系科目を中心に幅広く勉強することが大切です。
理系科目以外では、英語力も求められるでしょう。
重点的に勉強すべき科目と環境工学との関係について、以下の表にまとめました。
科目 | 環境工学の関係 |
数学(ⅠA・ⅡB・Ⅲ) | 計算やシミュレーションの基礎 |
物理 | エネルギーなどに関係 |
化学 | 水質や大気の成分分析に必要 |
英語 | 論文や専門用語の理解・海外の技術調査 |
このように、高校の学習範囲は大学で学ぶ環境工学の基礎となるので、確実に習得しておくとよいでしょう。
具体的にどのような研究テーマに取り組めますか?

環境工学では、幅広い研究テーマに取り組めます。
水質浄化技術の開発や、廃水処理システムの改良など、水環境の保全に関する研究があります。
環境工学のおもな研究テーマについて、以下にまとめました。
研究分野 | 詳細 |
大気汚染対策 | 二酸化炭素の回収・利用技術の開発 |
エネルギー | 再生可能エネルギーの効率化、廃棄物からのエネルギー回収方法 |
水・土壌環境 | マイクロプラスチックの除去技術、汚染された土壌の浄化方法 |
都市計画 | 持続可能な都市計画、環境に配慮したインフラ設計 |
環境保全 | 環境リスク評価、生態系の保全・修復技術 |
このような研究は、実験室での基礎研究からフィールドでの応用研究までさまざまな形で取り組まれています。
今回の内容のまとめ

環境工学は持続可能な社会の実現に不可欠な学問分野です。
建築環境学から地球環境学まで幅広い領域を横断し、環境問題を工学的に解決する専門知識と技術を身につけられます。
本記事で解説したなかでも、環境工学に関する重要なポイントを最後に記載していきます。
- 環境工学とは、自然環境と人間活動のバランスを保ちながら、持続可能な社会の実現を目指す学問である
- 学ぶ分野としては、建築環境学・都市環境学・地球環境学などが含まれる
- 環境工学を学べる大学の卒業後の主な就職先としては建設業・公務員・不動産業などが挙げられる
- 環境保護への強い関心がある人・技術的な問題解決が好きな人に環境工学はおすすめ
- 環境工学を専攻できる大学でも入学後のカリキュラムが異なるので、あなたの興味やキャリア目標に合わせて大学を選ぶ
環境に関心があり、技術で社会貢献したい人にとって、環境工学は理想的な選択といえるでしょう。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。