作成日: 2025/8/06 更新日:2026/8/04
臨床心理士になるには?なり方・指定大学院・試験の難易度を解説

「臨床心理士になるにはどうすればいい?」
「臨床心理士になるには何年かかる?」
このような疑問を持つ高校生も多いのではないでしょうか。
本記事では、主に以下のことについて解説します。
- 臨床心理士になる方法
- 指定大学院と資格試験の内容
- 仕事内容・給料・働き方
- 臨床心理士に向いている人の特徴
また、臨床心理士に関するよくある質問にも答えています。
臨床心理士を目指している人は、最後までご覧ください。
全文で1万文字程度の長文になるので、当ページのポイントだけを知りたい方は、年内入試ナビの無料会員にご案内している以下のガイドをお受け取りください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
臨床心理士になる方法
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。
資格を取るには、大学を卒業した後、協会が指定する大学院を修了し、資格審査に合格する必要があります。
一般的な流れは以下のとおりです。
- 大学で心理学を学ぶ
- 指定大学院または専門職大学院を修了する
- 臨床心理士資格審査に合格する
- 資格を登録し、5年ごとに更新する
それぞれ見ていきましょう。
参照:臨床心理士資格認定の実施|公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会
大学で心理学を学ぶ
臨床心理士を目指す最初のステップは、大学への進学です。
指定大学院の入試では心理学の専門知識が問われるため、大学で心理学を学んでおくと有利です。
心理学を学べる主な学部と、学ぶ内容は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
主な学部・学科 | 心理学部、文学部心理学科、人間科学部、教育学部(心理学系コース) |
基礎科目 | 発達心理学、認知心理学、社会心理学、学習心理学 |
応用科目 | 臨床心理学、カウンセリング心理学 |
研究の技法 | 統計学、心理学研究法、心理学実験 |
心理学では、データを集めて統計で分析する力も身につけます。
大学院への進学を見据えて、学部の授業や卒業研究に計画的に取り組みましょう。
参考:心理学とは何を学ぶ学問?文系・理系どちら?大学の選び方・資格・就職まで高校生向けに解説
指定大学院または専門職大学院を修了する
大学を卒業したら、臨床心理士の受験資格が得られる大学院に進学します。
大学院の種類によって、修了後すぐに受験できるかどうかが異なります。
主な種類は以下のとおりです。
大学院の種類 | 受験資格 |
第1種指定大学院 | 修了後すぐに受験できる |
第2種指定大学院 | 修了後に1年以上の心理臨床経験を積むと受験できる |
専門職大学院(臨床心理分野) | 修了後すぐに受験できる |
大学院は2年間の修士課程が一般的で、心理療法、心理アセスメント、臨床実習などを学びます。
最短で資格を取りたい場合は、第1種指定大学院か専門職大学院を選びましょう。
臨床心理士資格審査に合格する
大学院を修了すると、臨床心理士資格審査を受けられます。
審査は年1回、協会が実施します。
審査の概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
実施団体 | 公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会 |
一次試験(10月頃) | 多肢選択方式試験、論文記述試験 |
二次試験(11月頃) | 口述面接試験 |
試験会場 | 東京都内 |
合格発表 | 12月下旬 |
令和7年度の合格率 | 66.7%(受験者1,809人、合格者1,206人) |
合格率は近年、60%台半ばで安定しています。
合格基準は公表されていません。
資格を登録し、5年ごとに更新する
資格審査に合格したら、協会に登録すると臨床心理士として活動できます。
臨床心理士の資格には、5年ごとの更新制度があります。
資格の維持に必要なことは以下のとおりです。
- 研修会への参加や学会発表などでポイントを取得する
- 5年ごとに資格を更新する
- 臨床心理士としての倫理を守る
更新制度があるのは、心理支援の知識と技術を最新の状態に保つためです。
資格を取った後も、学び続けることが求められます。
臨床心理士とは
臨床心理士とは、心理学の専門的な知識と技術を使い、心の問題を抱える人を支援する専門職です。
病院、学校、福祉施設、企業など、幅広い場所で活動しています。
臨床心理士の仕事内容
臨床心理士の仕事は、大きく4つに分けられます。
それぞれの内容は以下のとおりです。
業務 | 内容 |
心理査定(心理アセスメント) | 心理検査や面接、観察を通じて、相談者の状態を把握する |
心理面接 | カウンセリングや心理療法(認知行動療法など)で、相談者の回復を支援する |
地域援助 | 学校や地域、家族と連携して、相談者を取り巻く環境を整える |
調査・研究 | 心理支援の方法や効果について研究し、専門性を高める |
医師、看護師、教員などと連携して、チームで支援することも多くあります。
勤務先や相談者の年齢によって、担当する業務の比重は異なります。
臨床心理士の給料・給与・年収
臨床心理士の給料は、勤務先、雇用形態、経験年数によって大きく異なります。
厚生労働省のjob tagに掲載されている統計は以下のとおりです。
項目 | 数値 |
平均年収 | 430.2万円 |
統計の対象 | カウンセラー(医療福祉分野)を含む職業分類 |
心理職は、非常勤で複数の職場を掛け持ちして働く人も多い職種です。
常勤の求人を探す場合は、公務員(スクールカウンセラーや自治体の心理職)や病院の求人が中心になります。
参照:カウンセラー(医療福祉分野)|職業情報提供サイト(job tag)
臨床心理士のやりがい
臨床心理士の仕事には、多くのやりがいがあります。
主なやりがいは以下のとおりです。
やりがい | 内容 |
相談者の回復を支えられる | 悩みを抱えた人が前向きに変わっていく過程に立ち会える |
多様な分野で働ける | 医療、教育、福祉、司法、産業など、興味に合わせて職場を選べる |
専門性を高め続けられる | 新しい心理療法や技法を学び、自分の成長を実感できる |
社会の心の健康に貢献できる | 講演や研修を通じて、地域全体のメンタルヘルスを支えられる |
相談者から感謝の言葉を受け取れることも、この仕事の大きな喜びです。
人の心に寄り添いたい人にとって、やりがいの大きい職業です。
臨床心理士の働き方
臨床心理士の働き方は、勤務先によってさまざまです。
主な働き方は以下のとおりです。
勤務先 | 働き方の特徴 |
病院・精神科クリニック | 正職員、契約職員、非常勤職員として、患者の心理検査や心理療法を担当する |
学校(スクールカウンセラー) | 自治体に雇用され、児童・生徒や保護者、教員の相談に応じる |
自治体の相談窓口・福祉施設 | 公務員や会計年度任用職員として、子育てや福祉の相談に応じる |
企業 | 社員のメンタルヘルス対策を担う。外部の専門家として業務を委託されることもある |
開業 | カウンセリングルームを開業し、個人事業主として活動する |
非常勤の仕事を組み合わせて、複数の職場で働くスタイルも一般的です。
安定を重視するか、自由度を重視するかによって、働き方を選びましょう。
臨床心理士に必要な知識・スキル
臨床心理士には、心理学の専門知識と、相談者と向き合うスキルの両方が必要です。
主な知識とスキルは以下のとおりです。
分類 | 内容 |
知識 | 臨床心理学、心理アセスメント、心理療法(認知行動療法、精神分析など)、精神医学の基礎 |
スキル | 相談者の話を丁寧に聴く力、相手の状態を観察して読み取る力、信頼関係を築くコミュニケーション力 |
倫理観 | 相談者のプライバシーを守る守秘義務 |
知識は大学と大学院で学びますが、スキルは実習と経験を通じて身につけていきます。
大学院の臨床実習では、指導者から助言を受けながら実際の相談に対応します。
臨床心理士という職業の注意点
臨床心理士は、他人の心の問題に深く関わる仕事です。
主な注意点は以下のとおりです。
注意点 | 内容 |
自分の心のケアが必要 | 他人の悩みに日々向き合うため、燃え尽き(バーンアウト)を防ぐ工夫が必要 |
学び続ける必要がある | 資格の更新や専門性の維持のため、研修を継続して受ける |
適切な距離感が必要 | 相談者に共感しながらも、冷静で客観的な視点を保つ |
雇用が不安定になりやすい | 非常勤の求人が多く、常勤職は競争が激しい |
臨床心理士は、やりがいがある一方で、高い自己管理力と倫理観が求められる職業です。
目指す前に、働き方の実態も理解しておきましょう。
おすすめの大学
臨床心理士を目指す高校生におすすめの大学は、立教大学と上智大学です。
どちらも、臨床心理士の指定大学院を持つ大学です。
学部から同じ大学の指定大学院に進むと、一貫した環境で学び続けられます。
年内入試ナビでは、臨床心理士を目指せる大学をまとめています。
おすすめの大学院
臨床心理士を目指す人におすすめの大学院は、名古屋大学大学院、広島大学大学院、早稲田大学大学院です。
各大学院の概要を表にまとめました。
指定大学院の種類(第1種・第2種)は、協会の公式サイトで確認できます。
大学院を選ぶ際は、学びたい心理療法や研究分野に合っているかも確認しましょう。
よくある質問
臨床心理士に興味がある人が疑問に思うことをまとめました。
よくある質問とその回答を記載していきます。
臨床心理士になるには何年かかる?
臨床心理士になるには、高校卒業から最短6年かかります。
進む大学院の種類ごとの目安は以下のとおりです。
ルート | 高校卒業からの年数 |
大学(4年)+第1種指定大学院または専門職大学院(2年) | 最短6年 |
大学(4年)+第2種指定大学院(2年)+心理臨床経験(1年以上) | 最短7年 |
大学院を修了した年の秋に資格審査を受け、12月下旬に合格発表があります。
大学院入試で不合格になると、その分だけ年数が延びます。
臨床心理士はどれくらい難しい?
臨床心理士の資格審査の合格率は、60%台半ばで推移しています。
ただし、受験するまでのハードルが高い資格です。
難しいとされる理由は以下のとおりです。
理由 | 内容 |
受験資格が厳しい | 原則として指定大学院を修了しなければ受験できない |
大学院入試がある | 指定大学院の入試では、心理学の専門知識と英語、研究計画が問われる |
試験範囲が広い | 一次試験の筆記に加え、二次試験の面接で臨床の実践力が問われる |
合格率の66.7%(令和7年度)は、大学院を修了して受験資格を満たした人の中での割合です。
大学院入試の段階から、しっかり準備することが大切です。
大学院に行かなくても取れる心理の資格は?
大学院に行かなくても取れる心理の資格はあります。
主な資格は以下のとおりです。
資格 | 種類 | 撮り方 |
公認心理師 | 国家資格 | 大学で指定科目を修めた後、認定施設で2年以上の実務経験を積み、国家試験に合格する |
認定心理士 | 民間資格(日本心理学会) | 大学で心理学の所定の単位を取得して申請する。試験はない |
心理学検定 | 民間検定(日本心理学諸学会連合) | 検定試験に合格する |
公認心理師は、大学院に進む代わりに、認定施設で実務経験を積むルートもあります。
認定心理士は心理学の基礎を学んだ証明で、心理支援の実務を行うための資格ではありません。
臨床心理士に向いている人の特徴は?
臨床心理士に向いている人には、以下の特徴があります。
主な特徴を表にまとめました。
特徴 | 説明 |
人の話を丁寧に聴ける | 相手の気持ちを受け止め、共感しながら話を聴ける |
感情を安定して保てる | 相談者のつらさに影響されすぎず、冷静に支援できる |
相手の立場に立って考えられる | 多様な価値観や背景を持つ人と向き合える |
秘密を守れる誠実さがある | 守秘義務を守り、信頼関係を築ける |
地道な努力を続けられる | すぐに成果が見えない支援にも、根気強く取り組める |
人の心に深い関心がある | 「なぜ人は悩むのか」という問いに真剣に向き合える |
最初からすべてを満たす必要はありません。
大学や大学院での学びと実習を通じて、身につけていくことができます。
公認心理師と臨床心理士の違いは?
公認心理師と臨床心理士は、どちらも心理支援を行う専門職ですが、資格の性質と取り方が異なります。
主な違いは以下のとおりです。
項目 | 公認心理師 | 臨床心理士 |
資格の種類 | 国家資格(文部科学省・厚生労働省所管) | 民間資格(日本臨床心理士資格認定協会) |
根拠 | 公認心理師法 | 協会の規程 |
取り方 | 大学+大学院、または大学+実務経験2年以上の後、国家試験に合格 | 指定大学院を修了し、資格審査に合格 |
医師との関係 | 主治医がいる場合は、その指示を受ける | 法律上の定めはない |
更新制度 | なし | あり(5年ごと) |
公認心理師は2017年に始まった新しい国家資格です。
心理職の求人では両方の資格を求められることも多く、ダブルライセンスで働く人も増えています。
心理カウンセラーとは?
心理カウンセラーとは、心の悩みを抱える人に対して、対話を通じて支援を行う人の総称です。
「心理カウンセラー」という名称に法律上の定義はなく、資格がなくても名乗れます。
心理カウンセラーと資格の関係は以下のとおりです。
資格 | 心理カウンセラーとの関係 |
公認心理師 | 国家資格。心理カウンセラーとして働く際に、最も信頼性が高い |
臨床心理士 | 民間資格。長い歴史があり、専門性が高く評価されている |
民間の各種資格 | 通信講座などで取れるものもあるが、専門性はさまざま |
心理カウンセラーとして信頼されて働くには、公認心理師か臨床心理士の資格を持つことが有利です。
心理カウンセラーについて詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
参考:心理カウンセラーになるには?資格・月収・なり方を高校生向けに解説
まとめ
本記事では、臨床心理士になる方法から、指定大学院・資格審査・仕事内容・向いている人の特徴までを解説しました。
重要なポイントは以下のとおりです。
- 臨床心理士になるには、大学卒業後に指定大学院を修了し、資格審査に合格する
- 高校卒業から最短6年で資格を取得できる
- 令和7年度の資格審査の合格率は66.7%
- 主な仕事は、心理査定、心理面接、地域援助、調査・研究の4つ
- 大学院に行かずに目指せる心理の資格として、公認心理師(実務経験ルート)や認定心理士がある
本記事が、臨床心理士を目指す第一歩になれば幸いです。
臨床心理士になるには?なり方・必要な資格・仕事内容を解説
臨床心理士になる方法や、臨床心理士になるために最適な進学先をまとめた「臨床心理士のなり方ガイド」をプレゼント中。無料受け取りは、年内入試ナビの無料会員になるだけ。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。
