作成日: 2025/11/04 更新日:2025/11/04
声楽家になるには?仕事内容・必要なスキル・おすすめ音大まで徹底解説

「声楽家のなり方は?」
「声楽家になるのに必要な資格は?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、主に以下のことについて解説します。
- 声楽家とはどんな職業なのか
- 仕事内容・やりがい・給料
- 声楽家になるには何をすべきか
- 取得すべき資格
- 向いている人の特徴
また、声楽家に関するよくある質問にも答えています。
声楽家に興味のある人や、声楽家を目指している人に向けてわかりやすく解説しますので、最後までご覧ください。
本記事の内容をスライドにまとめた「声楽家のなり方ガイド」はこちらからダウンロード
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
- 1 声楽家とは?
- 2 声楽家の仕事内容や働き方
- 3 声楽家になるためのステップ
- 4 求められる資質やスキル
- 5 声楽家になるための音大選びのポイント
- 5-1 師事したい先生が在籍しているか
- 5-2 練習環境が充実しているか
- 5-3 卒業生がどれくらいプロとして活動しているか
- 5-4 副科が充実しているか
- 5-5 海外留学制度・海外留学支援制度の有無
- 5-6 卒業まで通うことが現実的かどうか
- 5-7 声楽家を目指せるぴったりな大学は年内入試ナビで見つかる
- 6 声楽家を多く輩出している代表的な音大
- 7 よくある質問
- 7-1 声楽家になるにはピアノも勉強する必要はある?
- 7-2 声楽家になりたい場合、いつから専門的な勉強や練習が必要?
- 7-3 声楽家に向いてる人・向いていない人は?
- 7-4 声楽家の年収はどれくらい?
- 7-5 音大に行かなくても声楽家になれますか?
- 7-6 声楽家と歌手の違い
- 7-7 声楽家は将来性のある仕事?
- 8 まとめ
声楽家とは?

声楽家とは、自らの声を「楽器」として表現する音楽家のことです。
声楽家は、歌を通して感情や物語を表現します。
ピアノやヴァイオリンのような楽器の演奏者とは違い、身体そのものが楽器であるため、発声技術や呼吸法、体の使い方を習得することが必要です。
加えて、音楽理論・言語・演技など、多岐にわたる知識も求められます。
声楽家とひと口にいっても、舞台で演じながら歌うオペラ歌手、コンサートでクラシック曲を披露する声楽家などさまざまです。
共通しているのは、「声」という唯一無二の表現手段を極め、人の心に響く音楽を届ける点といえるでしょう。
このように、声楽家は「歌を専門的に学び、音楽的・表現的に高いレベルで演奏を行うプロの歌い手」であり、芸術性と技術力を兼ね備えた音楽家といえます。
声楽家の仕事内容や働き方

声楽家の仕事は、フリーランスが基本的な働き方ですが、事務所に所属して活動する人もいます。
また、下記に解説する仕事のうちどれかひとつだけではなく、複数の仕事を組み合わせるのが現実的です。
代表的な仕事内容とその働き方について見ていきましょう。
ソリスト
ソリストとは、オーケストラやピアノ伴奏とともに、1人で歌を披露する声楽家のことです。
高い歌唱力と表現力が求められ、演奏会やリサイタルでの中心的存在として、聴衆に強い印象を残す役割を担います。
ソリストは、高い歌唱技術はもちろん、作品を自分で解釈し、それを聴衆に伝える力、心を動かすような表現力が必要です。
そのため、声楽家の中でも特に高い技術を持つプロフェッショナルといえるでしょう。
また、活躍し続けるために、自分自身の芸術性を高める努力と強い精神力も求められます。
合唱

合唱は、複数の声楽家が声を合わせてハーモニーを作り出す、共同で行う音楽活動です。
ソプラノ・アルト・テノール・バスといった声部ごとに役割が分担され、集団で一体感のある演奏を行います。
個々の表現よりも、チームとしての調和が重視されるのが特徴です。
活動の仕方は人それぞれで、プロの合唱団に所属する場合もあれば、フリーランスとして演奏会や音楽祭に参加する人もいます。
合唱活動は、音楽的な協調性を養い、他の歌い手との呼吸を合わせる訓練の場としても非常に貴重。
音のバランス感覚や聴く力が高まり、ソロ活動や小編成アンサンブルでも柔軟に対応できるようになるでしょう。
合唱活動は、声楽家としての基礎力を支える重要なステップになるといっても過言ではありません。
オペラ
オペラは、音楽・演技・演出を融合させた総合芸術です。
登場人物の感情を歌で表現するため、歌唱力だけでなく演技力や体力、外国語の発音力も必要とされます。
オペラの舞台を成功させるためには、リハーサルから本番まで長期間にわたる練習が欠かせません。
さらに、役柄に深く入り込む集中力も求められます。
オペラ歌手は、音楽と演劇を同時に成立させる、声で演じるアーティストといえるでしょう。
声楽講師

声楽講師は、発声法や歌唱技術を教える教育的な立場の声楽家です。
音楽大学や専門学校で教える人もいれば、個人で教室を開く人もいます。
生徒は、趣味で歌を楽しみたい一般の人から、プロを目指す人までさまざまです。
なお、人に教えることは、自らの発声や音楽解釈をより深く理解する機会でもあります。
プロの声楽家のなかには、指導の仕事で安定した収入を得つつ、自身の演奏活動を行っている人も多く見受けられます。
結婚式などのイベント出演
コンサートホールでの演奏だけでなく、結婚式や記念式典などのイベントでも活躍。
式典のテーマや雰囲気に合わせた音楽を演奏することで、場を華やかに彩ります。
近年では、ホテルやイベント会社と提携して活動する声楽家が増えています。
自分の歌声を聞いてもらえる場が与えてもらえるのに加え、安定した収入源の確保にもなるでしょう。
声楽家になるためのステップ

声楽家を目指すには、音楽の基礎から一歩ずつ積み上げていくことが大切です。
発声や音感など、声楽には幅広い力が求められるため、段階的に経験を積むことが成功への近道となります。
幼少期から音楽の基礎を学ぶ
声楽家を目指すのであれば、幼い頃から音楽に親しむのが理想です。
リズム感や音感は幼少期に最も育ちやすいとされており、この時期に身につけておけば、後の声楽学習や音楽理解に役立ちます。
実際に、多くの声楽家は子どもの頃から、ピアノやソルフェージュ、リトミックといった習い事を通じて音楽に触れているケースが多いようです。
早い段階で音楽の基礎を身につけておくことで、表現力の幅が大きく広がるでしょう。
音楽系の学校に進学する

声楽を本格的に学びたい場合は、音楽系の高校や大学への進学が一般的です。
学校では発声法や呼吸法、音楽理論、外国語(イタリア語・ドイツ語・フランス語など)を体系的に学ぶことができ、ピアノ伴奏や楽典など声楽に役立つ幅広い知識も習得できます。
多くの学校ではオーディションや定期演奏会があり、舞台経験を積む機会が豊富です。
さらに、著名な声楽家や指導者から直接学べる環境は、プロを目指すうえで大きな財産となります。
数年間の専門的な学びは、技術だけでなく表現力や舞台経験、音楽家としての基礎力を養うプロへの第一歩となります。
音楽大学で学ぶべき内容(声楽)
- 発声法・呼吸法の習得
- 音楽理論の理解
- 外国語(イタリア語・ドイツ語・フランス語など)の歌唱発音
- ピアノ伴奏や楽典などの総合音楽知識
- 舞台経験(オーディション・定期演奏会など)
- 専門家(著名な声楽家や指導者)からの個別指導
海外に留学する
声楽家を目指す人の中には、音楽教育の歴史が長いヨーロッパを中心に海外留学を選ぶ人がいます。
発声法、音楽理論、オペラ表現、語学などを体系的に学べるため、プロの声楽家としての土台を確立する機会になります。
特にクラシック声楽はイタリア・ドイツ・フランスの教育水準が高く、留学を経て国内外で活動の幅を広げるケースがあります。
主な留学先の例と特徴、学ぶ内容
- イタリア……ベルカント唱法の本場。発声法、イタリア歌曲・オペラなど
- ドイツ……音楽国家資格制度が整備。リート、オペラ演技、合唱
- オーストリア……公立音大の教育水準が高い。声楽総合、舞台表現
- アメリカ……音楽大学院制度が充実。声楽+舞台表現+音楽学習理論
留学で学ぶ内容の例
- 発声技術(呼吸法、共鳴、音色形成)
- 歌曲・オペラのレパートリー研究
- 舞台演技・身体表現・アクティング
- 音楽理論・音楽史・ソルフェージュ
- イタリア語、ドイツ語、フランス語の歌唱発音
- リサイタル・コンクールへの参加
多くの大学では、入学時にオーディションや録音審査があります。
また、現地で話す言語も学ぶ必要があり、語学スコア(例:独語B1、英語TOEFLなど)の取得と提出が必要な学校もあります。
海外留学は必須ではありませんが、本場の音楽文化に触れながら専門性を高めたい人にとって有力な選択肢になります。
実績を積む

声楽家として活動の幅を広げるには、舞台経験やコンクールでの受賞などの「実績」が重要です。
具体的には、以下のような活動が挙げられます。
- 国内外の声楽コンクールでの受賞(例:全国学生音楽コンクール、イタリア・ヴェローナ国際声楽コンクールなど)
- 合唱団やオペラ公演への出演
- コンサートやリサイタルでのソリスト出演
- 舞台オーディションへの挑戦と合格
これらを通じて、審査員や指導者からフィードバックを受け、自身の技術や表現力を客観的に見直すことができます
実績を積み重ねることで、信頼を得やすくなり、プロとしての活動チャンスを広げられます。
SNSやYouTubeで発信する
近年は、SNSやYouTubeを活用して、自分の歌声を発信する声楽家が増えています。
コンサートやレッスン風景、日々の練習などを発信することで、ファンとのつながりを作ることができます。
実際に、SNSを通じて仕事の依頼が入ったり、コラボレーションの機会が広がったりするケースも少なくありません。
オンライン発信の強みは、世界中の人に自分の歌を届けられることです。自分のスタイルや世界観を自由に表現し、ファンのベースを築けます。
発信力も実力のひとつとして、積極的に磨いていくことが大切です。
求められる資質やスキル

声楽家として活躍するためには、単に歌がうまいだけでは不十分です。
声の美しさはもちろん、音楽性・語学力・演技力など、多面的なスキルが必要になります。
声の質
声楽家にとって最も大切なのは「声そのものの魅力」です。
声の響き方や音の伸び、豊かな倍音を持つ声質は、練習だけでなく持って生まれた要素も関係します。
ただし、努力によって改善できる部分があるのも事実。喉に負担をかけない正しい発声法や呼吸法を学ぶことで、声の持つポテンシャルを最大限に引き出せます。
プロの声楽家は自分の声が「楽器」であるため、日々、体と喉のコンディションを整えながらトレーニングを続けることが大切です。
音楽性

声楽家には、音楽を深く理解し、作品に込められた意図を表現できる「音楽性」が求められます。
単に正しい音程で歌うだけではなく、強弱・テンポ・間(ま)などを通して、曲の世界観を伝えることが重要です。
特にクラシック声楽では、楽譜に忠実でありながらも、作曲家の想いを感じ取り、自分の感情を織り交ぜて表現する力が問われます。
共演者や伴奏者とステージに立つ場合は、双方の呼吸を合わせることも、音楽を表現するうえで大切です。
音楽性は経験と共に磨かれていくものなので、演奏会や練習を重ねる中で少しずつ成長していくでしょう。
言語の理解
声楽の作品の多くは、イタリア語・ドイツ語・フランス語など、外国語の歌詞で構成されています。
そのため、歌詞の意味を理解し、正しい発音やイントネーションで歌うことも重要です。
単語を並べるだけでなく、「この言葉をどのような感情で伝えるべきか」と考えることで、聴き手の心に届く表現につながるでしょう。
なお、音大では発音指導や外国語の授業もあり、作品を深く理解するために非常に役立ちます。
言葉を伝えるには、まずは歌い手がその言葉を理解することが必要。
そうすることで音楽と感情の一体感が生まれ、聴く人の心に印象深く残るでしょう。
演技力・表現力

声楽家は、舞台上で歌うだけでなく、曲の物語を「演じる」ことも求められます。
特にオペラや歌曲では、登場人物の感情や状況を声と表情で伝える力が必要です。
演技力が高ければ、歌唱ではなく表現として、観客を惹きつける力が格段に増します。
演技や身体表現のレッスンを受ける声楽家も多く、舞台の立ち振る舞い・感情表現・視線の使い方などを磨くことで、歌の説得力が深まります。
表現力とは、単なる演出ではなく「音楽を通して心を動かす力」です。
これが声楽家の魅力の源といえるでしょう。
参考:音楽療法士になるには?なり方・必要な資格・仕事内容を解説
体力
声楽は「声だけの仕事」に見えますが、舞台で期待される集中力・持久力・身体表現力には相応の体力が必要です。
長時間のリハーサルや本番(立ちっぱなし、重い衣装、舞台照明の暑さなど)に耐えうる基礎体力の維持が欠かせません。
「体力」の中身は、例えば下記のようなものです。
- 呼吸持久力:長いフレーズを安定して歌うための横隔膜・腹筋の持久力を鍛える必要があります(有酸素運動+発声練習の併用が有効)。
- 全身の筋力・柔軟性:姿勢保持や身体表現(演技、ジェスチャー)に直結します。特に体幹と下肢の筋力が重要です。
- 持久力・回復力:連日公演や移動を伴う演奏会でパフォーマンスを維持するには、睡眠・栄養管理・疲労回復の習慣化が必要です。
- 声のタフネス:声帯を酷使する現場では声の疲労が蓄積しやすく、適切な発声法、ボイスケア(保湿、声帯の休息、医師・ボイストレーナーの相談)が重要です。
セルフマネジメント力

声楽家は練習や公演スケジュールの管理、体調維持、広報活動などをすべて自分で行う必要があります。
効率的なスケジューリングによって声のコンディションを保ち、複数の公演を無理なくこなす計画力が求められます。
公演の宣伝や依頼対応も重要で、主催者や共演者とのやり取りを円滑に行う折衝力も不可欠です。
自らを管理し、信頼関係を築く力が活動の基盤となります。
セルフプロデュース力
自分の声や音楽性をどのように社会へ発信するかを考える力が求められます。
得意なレパートリーや方向性を明確にし、自身の魅力を一貫した形で伝えることがブランディングにつながります。
仕事を選ぶ際も、自分の音楽性や将来像に合うものを見極める判断が重要です。
SNSやホームページを活用して演奏活動を発信することで、ファンや主催者とのつながりを広げることができます。
声楽家になるための音大選びのポイント

声楽家を目指すうえで、どの音楽大学を選ぶかは非常に重要です。
学校によって指導方針や得意分野が異なるため、自分の将来像に合った環境を選ぶことが成功への近道になります。
参考:声楽家を目指せる大学の例はこちら
師事したい先生が在籍しているか
指導者によって、発声法のアプローチや音楽の解釈は大きく異なります。
そのため、声楽を専門的に学ぶうえで、どの先生に師事するかは非常に大きなポイントです。
尊敬できる先生のもとで学ぶことは、技術面だけでなく精神的な支えにもなります。
音大を選ぶ際は、「誰が教えているか」「どんな経歴を持つ先生なのか」をしっかり確認しましょう。
気になる大学をいくつかピックアップして、オープンキャンパスや体験レッスンに参加してみるのもおすすめです。
練習環境が充実しているか

音大では毎日練習を重ねるため、練習環境の充実度も重要です。
防音室の数や利用時間、ピアノや伴奏者のサポート体制などは事前に確認しておきましょう。
特に声楽専攻では、自主練習以外にもピアノとの合わせやアンサンブル練習も多いため、練習場所が十分に確保されていることが大切です。
そのほか、舞台経験を積みたい人は、学内のホールでの発表会やオペラ公演が行われている大学を選ぶのも良いでしょう。
大学の環境が練習量やモチベーションに直結するため、入学前のリサーチはしっかり行ってください。
卒業生がどれくらいプロとして活動しているか
音大を選ぶ際は、卒業後にどれほどの学生が声楽家や音楽講師として活躍しているかを確認することも大切です。
卒業生の進路実績を見ることで、その大学の教育力や業界とのつながりがある程度分かります。
多くの声楽家を輩出している学校は、在学中からオーディションや演奏会の機会に恵まれている傾向があります。
また、卒業後も、先生や先輩とのネットワークを通じて、仕事の紹介や出演依頼につながることもあるでしょう。
卒業後の道が広がる大学を選ぶことが、将来の活動を安定させる第一歩です。
副科が充実しているか

声楽専攻では、副科としてピアノや音楽理論、語学を学ぶのが一般的です。
これらの副科が充実している学校を選ぶことで、より幅広い音楽力を養うことができます。
ピアノは、練習時の音取りや伴奏理解に役立ち、語学は歌曲やオペラを深く理解するうえで欠かせません。
そのほか、指揮法や舞台演出などの副科を学べる学校であれば、声楽以外の分野にも視野を広げることが可能です。
副科を活かして音楽のスキルの幅を広げておけば、プロとして活動する際の大きな強みになるでしょう。
海外留学制度・海外留学支援制度の有無
声楽家を目指すうえで、海外での研修や留学経験は大きな成長につながります。
海外の音楽大学との交換留学制度や、短期研修・マスタークラスへの派遣制度がある学校を選ぶことで、国際的な指導や発声法に触れる機会を得られます。
また、学内で奨学金や留学支援金の制度が整っているかどうかも、経済的な負担を軽減する重要な要素となります。
卒業まで通うことが現実的かどうか

音楽大学は学費やレッスン費、楽譜・衣装代などの出費が多く、長期的な計画が必要です。
自宅から通える距離にあるか、下宿や一人暮らしを続けられる経済的余裕があるかを具体的に検討することが大切です。
通学距離が長いと練習時間の確保が難しくなるため、生活リズムを維持できる環境かどうかも重要な判断基準になります。
声楽家を目指せるぴったりな大学は年内入試ナビで見つかる
声楽家を目指す際に最も適した大学を探すには、年内入試ナビの利用がおすすめです。
年内入試ナビは、一般選抜以外の形式で受験できる大学や受験情報をまとめたナビサイトです。
評定平均や通学可能な地域を登録すれば、現実的な合格圏内の大学や、自宅から通える範囲の大学が表示されます。
しかも、大学から「あなたに入学してほしい」というオファーをもらえる可能性もあります。
合格を十分に狙うことができ、一般受験を受けずに入学を目指せる大学がわかるので、ぜひ登録してみてください。
声楽家を多く輩出している代表的な音大

声楽家を目指すなら、環境や指導体制が整った音楽大学を選ぶことが重要です。
ここでは、日本国内で多くのプロ声楽家を輩出している代表的な音大を紹介します。
東京芸術大学
東京芸術大学(通称・芸大)は、日本最高峰の国立音楽大学として知られている大学です。
声楽科では、国内外で活躍する一流の教授陣からマンツーマン指導を受けられるため、発声・表現・語学などを徹底的に磨くことができます。
また、在学中から学内外のコンクールやオペラ公演に多数出演でき、プロの舞台経験を積むチャンスが豊富です。
卒業生は国内外のオペラ劇場や音楽大学の講師などとしても活躍しており、実力派声楽家を輩出する名門として高い評価を得ています。
国立音楽大学
国立音楽大学(通称:くにたち)は、日本の私立音楽大学の中でも伝統と実績を誇る学校の1つです。
特に声楽教育の歴史が古く、発声理論・音楽理論・語学・演技表現をバランス良く学べるカリキュラムが整っています。
国立音楽大学では、実践的な音楽教育の一環として「附属オーケストラ」を運営しています。
これは、器楽専攻や管弦打楽器専攻の学生を中心に、教授陣の指導のもとで活動しているオーケストラです。
声楽家の学生は、この附属オーケストラとの共演のほか、学内のオペラハウスで行われる定期公演への出演など、実践的な演奏の機会が多くあります。
学生一人ひとりに丁寧な指導が行き届く体制が整っており、卒業後も、教育・演奏・合唱など幅広い分野で活躍できる人材を育てているといえるでしょう。
東京音楽大学
東京音楽大学は、クラシックから現代音楽まで幅広いジャンルに対応したカリキュラムが魅力です。
特に声楽専攻では、古典歌曲・オペラ・宗教音楽など多彩なレパートリーを学ぶことができ、国際的な舞台で通用する歌唱力を身につけられます。
海外提携校との交流や、著名な海外声楽家を招いたマスタークラスもあり、学生の国際感覚を養う環境が整っている点も魅力です。
さらに、学内の「オペラスタジオ」では、衣装・演出・照明まで含めた本格的な舞台を行うことが可能で、そこでの舞台によって実践力を鍛えられるでしょう。
昭和音楽大学
昭和音楽大学は、オペラ教育に特化した国内屈指の音楽大学です。
キャンパス内には「テアトロ・ジーリオ・ショウワ」という本格的な劇場があり、在学中からプロの舞台に近い環境での演奏を経験できます。
また、演技・舞踊・語学など声楽家に必要な副科教育も充実。総合的な舞台人としてのスキルを磨けるのも魅力です。
大学の講義やレッスンでは、現役で活躍する声楽家や演出家が多く教壇に立っており、実践的な指導を受けられます。
卒業後は、オペラ団体や国内主要オーケストラとの共演など、多方面での活躍が期待できるでしょう。
愛知県立芸術大学
愛知県立芸術大学は、自然に囲まれた落ち着いた環境で音楽に集中できる公立大学です。
声楽専攻では、クラシック声楽の基礎を徹底的に学ぶとともに、表現力・語学力・舞台実践などを総合的に伸ばすカリキュラムが用意されています。
教授陣には国内外で活躍した実力派の声楽家が揃っており、個別レッスンの質が非常に高いのが特徴です。
また、地域の文化イベントや公共ホールでのコンサートにも多数出演できるため、実践経験を積みながら成長できるでしょう。
堅実な教育方針のもと、卒業生の多くが教育・演奏・合唱団などで活躍しています。
よくある質問

声楽家を目指すうえで、多くの人が気になるのが「勉強はいつから始めればいいの?」「ピアノも必要?」「実際の収入は?」といった現実的な疑問です。
ここでは、声楽を学ぶ人がよく抱く質問にわかりやすく答えていきます。
声楽家になるにはピアノも勉強する必要はある?
声楽家を目指す場合、ピアノの勉強は必要です。
なぜなら、ピアノは声楽の基礎練習や楽曲理解、伴奏者とのコミュニケーションに欠かせないスキルだからです。
声楽家の多くは、発声練習や音程確認の際にピアノを使います。
自分でピアノが弾けると練習の効率が格段に上がり、リハーサルやレッスンでもスムーズに進行できるでしょう。
また、音楽大学や専門学校の声楽科では、必修科目としてピアノ(副科)が設けられている場合がほとんど。
音感や和声感を養い、楽譜を正確に理解するために欠かせない訓練であるためです。
ピアノは「弾けること」が目的ではなく、音楽を深く理解するためには非常に重要です。
声楽家を志すなら、基本的な楽譜の読み方や簡単な伴奏ができる程度のピアノ技術は身につけておくと良いでしょう。
声楽家になりたい場合、いつから専門的な勉強や練習が必要?

声楽家を目指す場合、できるだけ早い段階から基礎的な音楽教育を始めることが望ましいです。
特に、声楽に必要な発声法や音感、リズム感は、子どもの頃から少しずつ身につけることで将来的に大きな強みになります。
理由としては、声楽は「身体が楽器」といわれるように、声帯や呼吸の使い方など、体の成長とともに発達する感覚を磨く必要があるためです。
小中学生のうちは、ピアノや合唱、リトミックなどを通して音楽の基礎を身につけ、高校以降に本格的な声楽の専門指導を受けるといった流れが良いでしょう。
例えば、音楽大学を目指す人の多くは、高校生の段階で声楽の個人レッスンを受けています。
音大の入試では、発声法・音程・外国語の発音などが求められるため、高校1〜2年生のうちに声楽教師について準備を始めるのが理想的です。
声楽家に向いてる人・向いていない人は?
声楽家に向いているのは、音楽への情熱を持ち、日々の努力をコツコツと積み重ねられる人です。
声そのものが楽器であるため、発声練習や身体づくり、生活習慣の管理が歌の質に直結します。
また、舞台での表現力や語学力も求められるため、学ぶことを楽しめる人は現場でも高く評価されます。
合唱やオペラでは、観客と気持ちを共有したり、共演者との協調を大切にできる人が活躍しやすいです。
向いている人の特徴
- 音楽を通じて人に感動を与えたいという思いを持っている
- 日々の発声練習や体作りなど、地道な努力を続けられる
- 舞台での表現力や語学力を学ぶことを楽しめる
- 合唱やオペラなどで他者と協調できる
向いていない人の特徴
- 感情表現が苦手で歌に気持ちを込めにくい
- 一人での練習や地道な努力を続けることが難しい
- 舞台での協調や学びのプロセスに興味が持てない
声楽家は技術だけでなく、情熱と継続力が成功のカギとなる職業です。
声楽家の年収はどれくらい?

声楽家の年収は、専属のオペラ団や合唱団に所属する人、フリーランスとしてコンサートやレッスンを行う人など、活動内容や働き方によって大きく異なります。
その理由は、声楽家の仕事が「公演の出演料」や「レッスン料」など、成果や依頼件数に左右されることが多いためです。
文化庁や日本音楽家ユニオンの調査によると、演奏家全体の平均年収は約200万円〜400万円程度で、安定的な収入を得ているのは一部のトップクラスのみといわれています。
例えば、演奏家と指導者を兼任する人は、年収500万円〜700万円程度に達することもあります。
オペラ団体で主役を務めるソリストの場合は、1公演で数十万円以上の報酬を得ることもありますが、公演機会が限られるため、年間収入は不定期です。
つまり、声楽家の年収は、実力・人脈・活動の幅によって変わります。
安定した収入を目指すなら、演奏活動と教育活動を組み合わせる働き方が現実的といえるでしょう。
音大に行かなくても声楽家になれますか?
音楽大学に行かなくても声楽家になることは可能です。
ただし、プロを目指すのであれば、音大に進学して専門的なことを学ぶのが良いでしょう。
なぜなら、声楽家に必要な、正しい発声法や音楽理論、外国語の発音、舞台表現などは、独学では習得しづらいためです。
音大では、声楽の専門家による個人レッスンや、伴奏者・指揮者との実践的な演習を通して、より深く音楽を学べます。
一方、最近では音大出身でなくても活躍している声楽家がいるのも事実です。
昨今は、学歴よりも、実力と発信力が問われる時代。
特に、InstagramやYouTubeなど、発信の場を活用して注目を集める人も一定数います。
声楽家を目指すうえで音大進学は必須ではありませんが、専門的なスキルや人脈を得られる場としては大きな価値があるといえます。
もし独学で声楽家を目指す場合も、信頼できる先生に師事することが成功への近道です。
声楽家と歌手の違い

声楽家と歌手はどちらも歌を仕事にしますが、専門ジャンルや歌唱方法、評価されるポイントが異なります。
声楽家はクラシック音楽を中心に、オペラや歌曲などマイクを使わずホール全体に声を響かせることを重視します。
一方、歌手はポップスやロックなど幅広いジャンルでマイクを使い、リズム感や個性、メッセージ性を大切に歌います。
どちらもプロの歌手ですが、届けたい音楽や表現方法によって目指す道が変わります。
項目 | 声楽家 | 歌手 |
専門ジャンル | クラシック(オペラ、歌曲など) | ポップス、ロックなど幅広いジャンル |
使用機材 | 基本的にマイクなし | マイクを使用 |
発声方法 | 音程や発声の正確さ、美しい響きを重視 | リズム感や個性、伝える力を重視 |
言語 | 原語(イタリア語・ドイツ語など)で歌うことが多い | 日本語や多言語で歌うこともある |
評価のポイント | 技術的完成度・表現力 | メッセージ性・聴衆への伝達力 |
活躍の場 | コンサートホール、オペラ劇場 | ライブハウス、テレビ、配信など |
このように声楽家と歌手は、同じ「歌う仕事」でも訓練内容や表現方法、舞台環境が大きく異なります。
どちらを目指すかは、自分がどのような音楽体験を聴衆に届けたいかで決まります。
声楽家は将来性のある仕事?
声楽家は決してなくならない職業であり、将来性は十分にあります
ただし、クラシック音楽の需要が限られているため、安定的に収入を得るには柔軟な働き方や発信力が必要です。
昨今、YouTubeなどでの発信で人気を得ている声楽家や、オンラインレッスンを開講して海外の生徒を持つ声楽家も増えています。
これにより、舞台出演以外でも収入源を確保できるケースが増えています。
つまり、声楽家はこれまでのように「舞台に立つ」だけではなく、多様な働き方で自分の音楽を届ける時代になっているといえるでしょう。
クラシックの伝統を大切にしつつ、時代に合わせて発信力を磨くことが、将来性を高める鍵なのです。
まとめ

本記事では、声楽家の定義から仕事内容・働き方・なり方・向いている人の特徴・収入・将来性までを解説しました。
解説した中でも、声楽家に関する重要なポイントを最後に記載していきます。
- 声楽家とは、自らの声を「楽器」として表現し、歌を通して感情や物語を伝えるプロの歌い手である
- 仕事内容は、ソリスト、合唱、オペラ、声楽講師、イベント出演など多岐にわたり、複数を組み合わせて活動することが一般的
- 声楽家になるには、幼少期から音楽の基礎を学び、音楽系高校・大学や海外留学で発声法・音楽理論・語学・舞台表現などを体系的に習得することが望ましい
- 活躍には、声の質・音楽性・語学力・演技力・体力・セルフマネジメント力など、多面的なスキルと実績(コンクール・オーディション・SNS発信)が必要
- 声楽家に向いているのは、音楽への情熱があり、日々の努力や舞台表現・語学学習を楽しめる人で、協調性もある人
- 年収は活動内容や実力により変動し、演奏活動と教育活動を組み合わせることで安定しやすい(平均200〜400万円、トップクラスで500〜700万円)
- 音大進学は必須ではないが、専門技術・舞台経験・人脈を得る上で有利であり、音楽を通じて表現力と発信力を磨くことが将来性につながる
当記事で解説した内容は、「声楽家になるためのガイド」としてまとめています。
年内入試ナビの会員になるだけで受け取れるので、復習のためにもぜひ登録してご覧ください。
声楽家のなり方・必要な資格・仕事内容を解説
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。
