作成日: 2025/8/07 更新日:2025/8/07
映像ディレクターになるには?なり方・必要な資格・仕事内容を解説

「映像ディレクターのなり方は?」
「映像ディレクターになるのに必要な資格は?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、主に以下のことについて解説します。
- 映像ディレクターとはどんな職業なのか
- 仕事内容・やりがい・給料
- 映像ディレクターになるには何をすべきか
- 取得すべき資格
- 向いている人の特徴
また、映像ディレクターに関するよくある質問にも答えています。
映像ディレクターに興味のある人や、映像ディレクターを目指している人に向けてわかりやすく解説しますので、最後までご覧ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
映像ディレクターとは

映像ディレクターとは、映画やテレビ番組、CM、ミュージックビデオなど、多様な映像作品の制作において中心的な役割を担う職業です。
彼らの主な仕事は、企画の立案から始まり、脚本の作成やキャスティング、撮影現場での指示、編集作業など、作品が完成するまでのすべてのプロセスを監督することです。
映像ディレクターは、プロジェクトのビジョンを明確にし、それを実現するためにクリエイティブチームを導きます。
そのため、芸術的なセンスとリーダーシップ、そしてコミュニケーション能力が求められます。
以下に映像ディレクターの仕事内容や給料についてまとめます。
映像ディレクターの仕事内容
映像ディレクターの給料・給与・年収
映像ディレクターのやりがい
映像ディレクターに必要な知識、資格、スキル
映像ディレクターの働き方
映像ディレクターという職業の注意点
それぞれ見ていきましょう。
映像ディレクターの仕事内容
映像ディレクターは、作品の完成に向けて全体を統括するリーダー的存在です。
コンセプトの企画から撮影・編集の管理まで、多岐にわたる業務を担います。
主な仕事内容としては以下が挙げられます。
- 映像作品の企画・コンセプトの立案
- ストーリーボードや絵コンテの作成
- 撮影スケジュールや進行の管理
- キャスト・スタッフの選定と調整
- 撮影現場での演出や演技指導
- 編集作業の監修と最終チェック
- クライアントとの打ち合わせや調整
- 予算管理と進捗状況の把握
- 撮影現場でのディレクション(指示出し)
- BGM、効果音などの選定
これらすべてを統括し、チームを牽引するのが映像ディレクターの役割です。
創造性だけでなく、技術的な知識やマネジメント力、コミュニケーション力も欠かせません。
映像ディレクターの給料・給与・年収

映像ディレクターの給料・給与・年収については、その勤務先や経験年数によって大きく異なります。
求人ボックスによると、映像ディレクターの平均年収は約468万円です。
月給で換算すると39万円、初任給は22万円程度が相場です。
一般的に、映像制作会社やテレビ局で働くディレクターの年収は、日本国内では300万円から600万円程度とされています。
しかし、フリーランスとして独立した場合や、ヒット作を手掛けた場合には、年収が1000万円を超えることも珍しくありません。
なお、海外でのプロジェクトに参加することで、より高い報酬を得るチャンスもあります。
参照:求人ボックス
映像ディレクターのやりがい
自身のアイデアが映像作品となり、世の中に影響を与えることが、ディレクターとしての最大の醍醐味です。
やりがいを感じるポイントとしては以下が挙げられます。
自分の企画が多くの人に届く感動
視聴者に驚きや感情を届けられる達成感
チームで一丸となって作品を完成させる連帯感
毎回異なるテーマに挑戦できる刺激
新しい技術や表現に触れ続けられる環境
異業種や異文化との出会いが豊富
映像作品を通してメッセージを発信したり、人々の心を動かしたりできる点が、映像ディレクターという職業の大きな魅力です。
映像ディレクターの働き方

映像ディレクターの働き方は、「会社員」と「フリーランス」の2つが主流です。
働き方によって、安定性や自由度、求められるスキルも大きく変わります。
項目 | 会社員 | フリーランス |
所属 | 映像制作会社やテレビ局などに所属 | 個人としてクライアントと直接契約 |
収入の安定性 | 月給制で安定 福利厚生もあり | 案件ごとの報酬制 収入は不安定だが上限なし |
自由度 | 担当業務や時間は会社の方針に従うことが多い | 案件や働く場所・時間を自分で選べる |
業務範囲 | チームで分業される | 撮影や編集を一人で担うことも多い |
向いている人 | 安定志向・未経験者・チーム志向の人 | 自由志向・実績がある人・自己管理が得意な人 |
会社員は安定した環境で働ける一方、自由度はやや低めです。
未経験からキャリアを積みたい人に向いています。
フリーランスは自由度が高く、働き方も選べますが、収入やスケジュール管理はすべて自己責任のため、経験や実績がある人に適した働き方です。
また近年では、YouTubeやSNSに投稿する動画のディレクションを手掛ける人も増加しており、新たな需要が生まれている職業でもあります。
映像ディレクターに必要な知識、資格、スキル
映像ディレクターには、映像技術だけでなく、表現力・マネジメント力など多方面のスキルが求められます。
求められる知識・スキル
映像編集ソフト(Premiere Pro、DaVinci Resolveなど)の操作スキル
撮影機材(カメラ、照明、音声など)に関する基礎知識
ストーリーテリング・構成力・脚本理解
チームマネジメント・リーダーシップ
クライアントや関係者とのコミュニケーション能力
また、以下のような資格があると、就職活動やスキル証明に役立つ場合があります。
資格名 | 特徴 |
映像音響処理技術者 | 映像と音声の制作・編集・処理に関するスキルを証明 編集や効果音制作の現場で役立つ |
CGエンジニア検定 | CGや画像処理、アニメーション制作の知識を証明できる 映像制作の幅を広げたい人におすすめ |
動画編集検定・画像処理エンジニア検定 | 編集や画像処理の基礎・応用を体系的に学ぶことで、専門性を高められる |
資格が必須ではありませんが、基礎を学んでいることや実績のある経歴は、信頼性の面で有利に働きます。
映像ディレクターという職業の注意点

魅力のある仕事である一方、映像ディレクターにはプレッシャーや負荷も多く存在します。
事前に知っておくべきポイントがあります。注意点としては以下が挙げられます。
納期・予算の制約によるプレッシャー
長時間労働や休日出勤が発生しやすい
自分のアイデアとクライアントの要望の板挟みになることもある
技術やトレンドの移り変わりが速く、常に学びが必要
安定収入を得るには人脈や実績が重要
創造性と現実の制約の間でバランスを取る力、そして柔軟な対応力が、長く活躍するためには不可欠です。
映像ディレクターになる方法

映像ディレクターになるにはどのようなことが必要なのでしょうか。
ここでは、具体的なステップについて紹介します。
映像に関する知識・スキルを学ぶ
映像制作会社やテレビ局に就職する
それぞれ見ていきましょう。
映像に関する知識・スキルを学ぶ
映像ディレクターを目指すには、映像制作に関する技術や知識を体系的に学ぶことが不可欠です。
撮影、編集、演出、演技指導など、幅広い工程を理解していることで、現場を効率よくリードできるようになります。
映像制作に関する知識・スキルとその活用例を以下にまとめました。
分野 | 学ぶべき内容・ツール例 | 現場での活用例 |
映像編集 | Adobe Premiere Pro、Final Cut Pro、DaVinci Resolve など | 映像のカット編集やカラーグレーディングに使う |
撮影技術 | カメラ操作、構図、露出、照明(ライティング) | 撮影現場でのカメラワークやライティング設計に活用 |
音響 | Adobe Audition、Pro Tools、マイク・レコーダーの扱い | セリフや効果音・BGMの調整に必要 |
映像演出 | 映像表現論、演出理論、脚本術 | シーンの意図や演出効果を高めるための構成設計に活用 |
デジタル映像処理 | After Effects、モーショングラフィックスの基本 | タイトル演出やエフェクトで映像に個性を加える |
こうした知識やスキルを早期に身につけておくことで、撮影現場での判断力や演出意図の共有がスムーズになり、チーム全体を牽引するディレクターとしての信頼も高まります。
映像制作会社やテレビ局に就職する
キャリアの第一歩として、映像制作会社やテレビ局への就職は有力な選択肢です。
現場で撮影や編集、進行管理などを経験し、実践力や対応力を磨けます。
プロと働く中で、技術やチームワーク、問題解決力も養われます。
多くの現場では、企画から完成まで制作全体に関われることもあり、将来ディレクターとして全体を統括する力につながります。
最初はアシスタントから始まることが多いですが、実績を積めば大きな仕事も任されるようになります。
また、現場で築いた人脈は今後のキャリアにも大きく役立つでしょう。
映像ディレクターになりたい高校生の進路

映像ディレクターになりたい高校生の進路はどのようなものがあるのでしょうか。
代表的な進路について解説します。
大学に進学する
短大や専門学校に進学する
それぞれ見ていきましょう。
大学に進学する
映像ディレクターを目指す上で、大学進学は非常に有意義な選択肢です。
大学では、映像制作に関する知識や技術を体系的に学ぶことができ、撮影スタジオや編集室など、実践的な学びを支える設備も充実しています。
特に、映像学、メディア学、映画学などの専攻では、表現力や演出力、企画力を磨くための専門的なカリキュラムが用意されています。
学ぶ主な学問分野・内容
映像の基礎(映像理論、映像史、映画分析、映像文化 など)
演出・ディレクション(演出論、視覚表現、ストーリーボード制作、現場指揮技術 など)
制作技術(撮影技術、照明、編集、音響、ポストプロダクション など)
企画・脚本関連(企画構成、脚本制作、演出意図の伝達技法 など)
実習・インターン(映像制作実習、学外プロジェクト、制作会社でのインターンシップ など)
主な学部・学科の例
映像学部 映像ディレクション専攻
メディア表現学部 映像制作コース
芸術学部 映像演出専攻
映画学部 映像制作学科
大学では、同じ目標を持つ学生たちと協働するプロジェクトが数多く用意されており、チーム制作を通してコミュニケーション能力やディレクション力が自然と養われます。
また、在学中にインターンシップや業界との連携プロジェクトに参加することで、実務経験を積みながら、業界とのつながりを築くことができます。
短大や専門学校に進学する
映像ディレクターを目指すうえで、短大や専門学校への進学は実践力を早期に養える有効な選択肢です。
編集ソフトの操作や撮影、音響など、映像制作に直結するスキルを短期間で集中的に学べます。
多くの学校では、現役のプロ講師による授業や、インターン・共同プロジェクトを通じて実践経験を積む機会も豊富です。
これにより、卒業後すぐに現場で活躍できる準備が整います。
進学先を選ぶ際は、自分のキャリアに合ったカリキュラムやサポート体制があるかを事前に確認しましょう。
卒業生の進路や制作実績もチェックし、自分に合った環境を選ぶことが成功の鍵です。
おすすめの大学

映像ディレクターになるためにおすすめの大学は以下が挙げられます。
大学名 | 概要 |
1年次から映像・音響の基礎を学び、後期から7分野に分かれて専門的な実習 番組企画・脚本・アナウンスなど、放送業界に必要なスキルを幅広くカバー テレビ局・制作会社などメディア業界への就職実績が豊富で、設備も充実 | |
演出・俳優・撮影・編集・脚本など10の専門コースから選択可 能1年次で全員が映画制作の基礎を学び、2年次以降に専門分野を深掘る 映画祭出品や現場型ワークショップを通じて、実践経験を積める環境 | |
映像全般(映画・テレビ・CGなど)を学び、3年次から専門領域で作品制作 撮影だけでなく俳優・声優を育てる「身体表現」教育環境 最新の機材とスタジオ環境で、実践的にスキルを習得可能 |
上記に挙げた以外にも、年内入試ナビでは映像ディレクターを目指せる大学の例をまとめています。
こちらもぜひご覧ください。
おすすめの短期大学・専門学校

映像ディレクターになるためにおすすめの短期大学・専門学校は以下が挙げられます。
学校名 | 概要 |
映画・MV・アニメ・CGなど幅広い映像分野を2年間で実践的に学べる 現役プロ講師による指導で、映画監督やMVディレクターから直接学べる 産学連携・企業コラボ作品が多く、プロ用機材・スタジオを授業外も利用可能 | |
映画監督・MV・動画・CG・ドラマなど9つのコースから選択し、実習中心で学ぶ 2年間で1000時間を超える制作実習、個人・グループでの作品制作がある 企業インターンやプロジェクト参加も豊富で、業界就職に強いネットワークがある |
よくある質問

映像ディレクターに興味がある人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。
よくある質問とその回答を記載していきます。
映像ディレクターに向いている人の特徴は?
映像ディレクターに向いている人には、以下のような特徴があります。
向いている人の特徴 | 特徴の詳細 |
制作意欲と情熱がある | 映像を通じて伝えたいメッセージや世界観を持ち、困難な状況でも情熱を失わずに作品作りに没頭できる人が向いている |
映像・ものづくりが好き | 映画やCM、YouTubeなどの映像を日常的に観察・分析し、表現手法を学ぶことが習慣化している人に向いている |
芸術的センスと創造性がある | 独自の世界観を構築できる発想力やストーリー構成力、色彩やカメラワークへのこだわりを持つ人が活躍しやすい |
コミュニケーション能力が高い | 多くのスタッフやクライアントとやり取りするため、意図を的確に伝え、調整・交渉ができる能力が必要 |
チームワークを重視できる | 一人では完結しない仕事のため、他者の意見を尊重し、協力し合える姿勢が求められる |
学び続ける意欲がある | 業界のトレンドや技術の進化に対応し、自ら進んで知識やスキルを習得する積極性が大切 |
これらの要素を持つ人は、映像ディレクターとして企画から完成まで一貫して現場をリードし、見る人の心を動かす作品を生み出すことができるでしょう。
映像ディレクターとMVディレクターの違いは?
「映像ディレクター」と「MVディレクター」はどちらも映像演出を担う職種ですが、担当するジャンルや役割に違いがあります。
項目 | 映像ディレクター | MVディレクター |
担当ジャンル | 映画・TV番組・CM・PV・MVなど幅広い | ミュージックビデオ(MV)に特化 |
主な役割 | 企画・演出・撮影現場の指揮・進行管理 | 楽曲の世界観を映像で表現・演出 |
求められるスキル | 総合的な映像演出力・マネジメント力 | 音楽理解・リズム感・映像表現力 |
制作視点 | 多様なジャンルに対応し、作品全体を統括 | アーティストや曲ごとの個性を引き出す |
映像ディレクターは、ジャンルにとらわれずあらゆる映像作品に携わり、作品全体の完成を統括します。
一方MVディレクターは、音楽との融合表現に特化した専門職で、アーティストの魅力や楽曲の世界観をいかに映像で伝えるかに重点を置きます。
映像プロデューサーと映像ディレクターの違いは?
「映像プロデューサー」と「映像ディレクター」は、いずれも映像制作において重要な役割を担いますが、業務範囲や責任には明確な違いがあります。
項目 | 映像プロデューサー | 映像ディレクター |
主な役割 | プロジェクト全体の総責任者 | 制作現場の責任者 |
仕事内容 | 企画立案、予算・人員・スケジュール管理、クライアント対応 | 演出、現場指揮、スタッフ・出演者への指示、撮影・編集管理 |
責任範囲 | 企画から納品までの全体統括 | 現場での進行・クオリティ管理 |
上下関係 | ディレクターの上司にあたることが多い | プロデューサーの下で現場を運営する |
映像プロデューサーは、作品のコンセプト設計や予算調整など、プロジェクト全体の「上流工程」を担います。
一方、映像ディレクターは撮影や演出など「現場の中心」として制作にあたります。
映像プロデューサーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
参考:映像プロデューサーになるには?なり方・必要な資格・仕事内容を解説
まとめ

本記事では、映像ディレクターの定義から仕事内容・給料・やりがい・なり方・向いている人の特徴までを解説しました。
解説した中でも、映像ディレクターに関する重要なポイントを最後に記載していきます。
映像ディレクターとは、映画やテレビ番組、CM、ミュージックビデオなど、多様な映像作品の制作において中心的な役割を担う職業である
主な仕事は、企画の立案・脚本の作成・キャスティング・撮影現場での指示などが挙げられる
映像ディレクターに取得必須の資格はない
映像やものづくりが好きな人・芸術的センスがある人に映像ディレクターはおすすめ
映像ディレクターになりたい高校生は映像について学べる学校に進学するのがおすすめ
本記事が映像ディレクターについての全体像を理解する参考になれば幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。