作成日: 2025/3/11 更新日:2026/7/24
獣医師になるには?なり方・獣医学部のある大学・国家試験・年収を解説

「獣医師になるにはどうすればいい?」
「獣医師になれる大学はどこ?」
このような疑問を持つ高校生も多いのではないでしょうか。
本記事では、主に以下のことについて解説します。
- 獣医師になる方法
- 獣医学部・獣医学科のある大学
- 獣医師国家試験の内容と合格率
- 獣医師の仕事内容・年収・向いている人
また、獣医師に関するよくある質問にも答えています。
獣医師を目指している人は、最後までご覧ください。
全文で1万文字程度の長文になるので、当ページのポイントだけを知りたい方は、年内入試ナビの無料会員にご案内している以下のガイドをお受け取りください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
獣医師になる方法
獣医師になるには、国家資格「獣医師」の免許が必要です。
免許を取るには、獣医学を学べる大学で6年間学び、国家試験に合格しなければなりません。
一般的な流れは以下のとおりです。
- 獣医学部・獣医学科のある大学に入学する
- 6年間の獣医学課程を修了する
- 獣医師国家試験に合格する
- 動物病院や公務員などとして働く
それぞれ見ていきましょう。
獣医学部・獣医学科のある大学に入学する
獣医師国家試験を受けるには、獣医学の正規の課程を修めて大学を卒業する必要があります。
獣医学を学べる大学は、全国で17大学に限られています。
大学の種類ごとの数は以下のとおりです。
種類 | 大学数 |
国公立大学 | 11校 |
私立大学 | 6校 |
合計 | 17校 |
獣医学科の入学定員は少なく、入試の難易度は高い傾向にあります。
高校生のうちから、生物や化学を中心に計画的に準備しましょう。
参考:獣医学部では何を学ぶ?学ぶことや卒業後の進路を徹底解説
6年間の獣医学課程を修了する
獣医学課程は、医学部や薬学部と同じく6年制です。
基礎から臨床まで、段階的に学びを進めます。
一般的な6年間の流れは以下のとおりです。
学年 | 主な学び |
1年次 | 一般教養、獣医学概論、生物学・化学の基礎 |
2〜3年次 | 解剖学、生理学、薬理学、微生物学、病理学などの基礎獣医学 |
4年次 | 公衆衛生学、感染症学、内科学・外科学などの臨床獣医学 |
5年次 | 動物病院などでの参加型臨床実習 |
6年次 | 卒業研究、国家試験対策 |
4年次には、臨床実習に進む前の共用試験(知識と技能の試験)があります。
実習では、犬や猫などの小動物に加え、牛や豚などの産業動物も診ます。
獣医師国家試験に合格する
獣医学課程を修了すると、獣医師国家試験を受けられます。
試験は農林水産省が実施し、毎年2月に2日間行われます。
試験の概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
実施時期 | 毎年2月(2日間) |
試験地 | 北海道、東京都、福岡県 |
問題数 | 必須問題50問、学説問題160問、実地問題120問(計330問) |
第77回(2026年)の合格率 | 68.4%(新卒83.9%、既卒32.4%) |
合格率は近年低下傾向にあり、第77回は過去5年で最も低い結果でした。
新卒と既卒で合格率に大きな差があるため、在学中の合格を目指しましょう。
参照:第77回獣医師国家試験(令和7年度)の結果について|農林水産省
動物病院や公務員などとして働く
国家試験に合格して免許を取得したら、獣医師として働き始めます。
獣医師の働く場所は、動物病院だけではありません。
主な就職先は以下のとおりです。
就職先 | 主な仕事 |
動物病院(小動物臨床) | 犬や猫などのペットの診療、予防接種、手術 |
家畜診療所・農業共済組合 | 牛や豚などの産業動物の診療 |
国家公務員(農林水産省、厚生労働省など) | 家畜の感染症対策、輸入動物の検疫 |
地方公務員(都道府県・市町村) | 家畜保健衛生所や保健所、食肉衛生検査所での業務 |
製薬会社・研究機関 | 動物用医薬品やワクチンの研究開発 |
動物園・水族館 | 飼育動物の健康管理と治療 |
農林水産省によると、近年の新卒獣医師の45%程度が小動物診療に就職しています。
一方で、産業動物の獣医師や公務員の獣医師は不足しており、国や自治体が確保に取り組んでいます。
獣医師になりたい高校生が知っておきたい大学・入試
獣医師を目指す高校生は、獣医学科のある17大学から進学先を選びます。
学費や入試方式も大学によって異なるため、早めに情報を集めましょう。
獣医学を学べる国公立大学
獣医学を学べる国公立大学は11校です。
複数の大学が連携して教育を行う「共同獣医学部・共同獣医学科」もあります。
国公立大学は学費を抑えられる一方、共通テストと個別試験の両方で高い得点が必要です。
共同獣医学部では、遠隔講義などで2つの大学の教員から学べます。
獣医学を学べる私立大学
獣医学を学べる私立大学は6校です。
各大学の特徴は以下のとおりです。
私立大学では、学校推薦型選抜や総合型選抜を実施している大学もあります。
志望校の入試方式は、必ず最新の募集要項で確認しましょう。
獣医学部の学費
獣医学部の学費は、国公立と私立で大きな差があります。
6年間の学費の目安は以下のとおりです。
区分 | 6年間の学費の目安 |
国立大学 | 約350万円(入学金約28万円+授業料年約54万円×6年) |
私立大学 | 約1,000万〜1,500万円 |
学費のほかに、教科書代や実習費、一人暮らしの場合は生活費もかかります。
自治体によっては、産業動物獣医師や公務員獣医師を目指す学生に修学資金を給付する制度もあります。
獣医師とは
獣医師とは、動物の病気の診断・治療・予防や、動物に関わる公衆衛生を担う専門職です。
ペットの健康だけでなく、食の安全や感染症対策を通じて、人の暮らしも守っています。
獣医師の仕事内容
獣医師の仕事は、働く場所によって大きく異なります。
主な仕事内容は以下のとおりです。
仕事 | 内容 |
小動物の診療 | 犬や猫などのペットの診察、検査、手術、予防接種 |
産業動物の診療 | 牛、豚、鶏などの家畜の診療と、群れ全体の衛生管理 |
食肉の検査 | 食肉処理場で、病気の動物の肉が出回らないよう検査する |
感染症の予防 | 鳥インフルエンザや狂犬病など、動物と人の感染症を防ぐ |
輸入動物の検疫 | 海外から持ち込まれる動物や畜産物の病気を検査する |
研究開発 | 動物用の医薬品やワクチンの研究、開発 |
動物病院以外では、動物ではなく食品や感染症を通じて人の健康を守る仕事も多くあります。
どの分野に進むかによって、働き方も大きく変わります。
獣医師の年収
獣医師の年収は、勤務先や経験年数によって大きく異なります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査による獣医師の平均年収は以下のとおりです。
調査年 | 平均年収 |
令和5年 | 約686万円 |
令和6年 | 約1,147万円 |
獣医師は調査の対象人数が少ないため、年によって平均年収が大きく変動します。
最新の数値は、job tagで確認しましょう。
獣医師のやりがい
獣医師の仕事には、多くのやりがいがあります。
主なやりがいは以下のとおりです。
やりがい | 内容 |
動物の命を守れる | 病気やケガの動物を治療し、回復を支えられる |
人の暮らしを守れる | 食の安全や感染症対策を通じて、社会に貢献できる |
幅広いキャリアを選べる | 臨床、公務員、研究など、多様な道がある |
独立開業できる | 経験を積んで、自分の動物病院を開業できる |
獣医師免許があれば、食品衛生管理者や食品衛生監視員など、動物以外の分野の仕事にも就けます。
国家資格を生かして、長く働き続けられる職業です。
獣医師という職業の注意点
やりがいが大きい一方で、注意点もあります。
主な注意点は以下のとおりです。
- 動物の急な体調変化に対応するため、勤務時間が長く不規則になりやすい
- 治療しても助けられない動物を看取る場面がある
- 飼い主への説明や対応に苦労することがある
- 大学入試と国家試験の両方で、高いハードルを越える必要がある
獣医師は、動物の命について重い判断を求められる仕事です。
目指す前に、つらい場面もあることを理解しておきましょう。
獣医師に向いている人の特徴
獣医師は、動物の命と、飼い主や社会の安全に責任を持つ仕事です。
向いている人の特徴は以下のとおりです。
特徴 | 説明 |
動物が好きで、命を大切にできる | ペットから家畜まで、さまざまな動物に誠実に向き合える |
生物や化学に興味がある | 動物の体の仕組みや病気について学び続けられる |
冷静に判断できる | 治療方針や安楽死など、重い判断を落ち着いて下せる |
コミュニケーション力がある | 飼い主に病状や治療方法をわかりやすく説明できる |
体力がある | 長時間の手術や、夜間の急患に対応できる |
動物が好きなだけでなく、人と向き合う力も欠かせません。
最初からすべてを満たす必要はなく、大学の6年間で身につけていけます。
よくある質問
獣医師に興味がある人が疑問に思うことをまとめました。
よくある質問とその回答を記載していきます。
獣医師になるのはどのくらい難しい?
獣医師になるには、大学入試と国家試験の2つの壁を越える必要があります。
それぞれの難しさは以下のとおりです。
段階 | 難しさ |
大学入試 | 獣医学科のある大学は全国17校のみで、定員が少ない。同じ大学の他学部より難易度が高い傾向がある |
国家試験 | 第77回(2026年)の合格率は68.4%。新卒でも約16%が不合格 |
たとえば日本獣医生命科学大学の偏差値は37.5〜62.5で、上限は獣医学部の入試方式です。
入学後も6年間の勉強が続くため、長期的な努力が必要な職業です。
獣医師の資格は何年で取れる?
獣医師の資格は、高校卒業から最短6年で取れます。
資格を取るまでの流れは以下のとおりです。
時期 | 内容 |
大学1〜6年次 | 獣医学課程で学ぶ |
6年次の2月 | 獣医師国家試験を受ける |
6年次の3月 | 合格発表 |
卒業後 | 免許を申請し、獣医師として働き始める |
浪人や留年、国家試験の不合格があると、その分だけ年数は延びます。
研究者を目指す場合は、卒業後に大学院(博士課程4年)に進むこともあります。
獣医師になるには、獣医学部・獣医学科に行かないとだめ?
日本で獣医師になるには、獣医学の正規の課程を修めて大学を卒業する必要があります。
獣医学部・獣医学科以外から、獣医師国家試験を受けることはできません。
獣医学科と似た名前の学科もあるため、注意が必要です。
学科の例 | 獣医師国家試験の受験 |
獣医学科・共同獣医学科 | 受験できる |
動物科学科・動物応用科学科など | 受験できない |
獣医保健看護学科・動物看護学科 | 受験できない(愛玩動物看護師を目指す学科) |
獣医学部の中にも、獣医師以外の資格を目指す学科があります。
出願前に、獣医師国家試験の受験資格が得られる学科かを必ず確認しましょう。
まとめ
本記事では、獣医師になる方法から、大学・国家試験・年収・向いている人の特徴までを解説しました。
重要なポイントは以下のとおりです。
- 獣医師になるには、獣医学科のある大学で6年間学び、国家試験に合格する
- 獣医学を学べる大学は全国17校(国公立11校、私立6校)
- 第77回(2026年)獣医師国家試験の合格率は68.4%(新卒83.9%)
- 就職先は動物病院だけでなく、公務員、製薬会社、研究機関など幅広い
- 産業動物獣医師や公務員獣医師は不足しており、修学資金の制度もある
本記事が、獣医師を目指す第一歩になれば幸いです。
獣医師になるには?必要な資格や対策を解説
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。
