作成日: 2025/3/31 更新日:2025/3/31
船舶工学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を徹底解説

「船舶工学って何を学ぶの?」
「船舶工学を学んで得られる資格は?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、主に以下のことについて解説します。
- 船舶工学とはどんな学問なのか
- 船舶工学を専攻すると何を学ぶのか
- 船舶工学を学べる大学
- 船舶工学を学んだ後の進路や就職先
- 船舶工学に向いている人の特徴
船舶工学では何を学ぶのか気になっている方、進学・キャリア選びの参考にしたい方はぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
船舶工学とは

船舶工学とは、船舶の設計、建造、運航に関わる技術と科学を探求する学問です。
流体力学や材料工学、機械工学を活用し、船体設計や推進システムの最適化を行います。
近年では燃費向上や環境負荷低減に向けた技術革新も進んでいます。
以下に船舶工学の概要について表にまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
定義 | 船舶の設計・建造・運用を探求する学問 |
主な分野 | 流体力学 材料工学 機械工学を活用 |
用途 | 商業用・軍事用・レジャー用の船舶設計 |
最新技術 | 燃費向上 排出ガス削減 スマートシップ開発 |
重要性 | 日本の造船業の国際競争力向上に貢献 |
船舶工学は海洋国家である日本にとって特に重要で、その技術革新は国際競争力の向上に貢献しています。
単に船の設計や造船技術だけでなく、海洋環境・経済・安全保障など、ダイナミックで応用範囲の広い分野です。
参考:材料工学とは何を学ぶ学問なのか?大学の一例や就職先まで徹底解説
船舶工学で学ぶ内容と分野

船舶工学では何を学ぶのでしょうか。
以下に船舶工学で学ぶ内容・研究分野についてまとめます。
- 流体力学
- 船体構造と設計
- 船舶システムと運用工学
- 海洋環境・防災・安全管理
それぞれ見ていきましょう。
流体力学
流体力学は、船舶工学の基礎を形成する重要な分野で、船舶が水中で受ける力やその挙動を理解し、効率的な設計を行うための理論と技術を提供します。
以下に、流体力学で学ぶ主な内容をまとめました。
項目 | 内容 |
|---|---|
抵抗と推進力の解析 | 船体が受ける水中での抵抗を減らし、推進力を効率化する設計を支援 |
流体特性の解析 | 流れや圧力分布を数式で表し、シミュレーションや実験で検証 |
安定性の向上 | 波や風の外力に対する船舶の反応を分析し、安全性を高める |
新しい推進技術の開発 | 燃料消費削減や環境負荷軽減を目指した革新的な推進方法を研究 |
環境適応の設計 | 翼形状の最適化やハイブリッド推進システムを活用し、持続可能な設計を追求 |
流体力学は、船舶の性能向上や安全性確保において欠かせない基盤であり、持続可能な海運技術の発展を支えています。
船体構造と設計

船体構造と設計は、船舶の安全性、耐久性、効率性を支える基盤です。
この分野では、船体が水圧や波の衝撃に耐え、積載重量を支える設計技術を学びます。以下に、学ぶ内容を整理しました。
項目 | 内容 |
|---|---|
船体形状の最適化 | 波浪抵抗を抑え、効率的に水中を移動する形状を設計 |
内部構造の設計 | 船殻を支える骨組みや強度計算を行い、耐久性を向上 |
材料の選定 | 軽量化と高強度を両立する複合材料や鋼材を活用 |
デジタル設計技術の活用 | CADやFEMを用いて精密な設計を実現し、コスト削減を図る |
保守・改修への応用 | 船舶の改修やメンテナンスにも活用される設計知識 |
これらの知識は新造船の設計や既存船舶の改修に活かされ、海洋交通の安全性と効率性を支える重要な要素です。
船舶システムと運用工学
船舶システムと運用工学は、船舶の効率的な運航と管理を目指し、システムの設計・統合を行う分野です。
以下に、この分野の主な学習内容を整理しました。
項目 | 内容 |
|---|---|
主要システムの設計 | ナビゲーション 推進 電力供給 通信などの主要システムを設計 |
運航効率の最適化 | 燃料消費削減やメンテナンススケジュールの管理を通じて効率を向上 |
国際基準と環境規制への適応 | 安全基準や環境規制を満たす設計を追求 |
自動化とデジタル化の活用 | AIやデジタル技術を取り入れ、安全性と効率性を向上 |
トラブルシューティング | 運航中の問題を迅速に解決するための方法論を学ぶ |
船舶システムと運用工学は、現代の海運業界で求められるトータルな設計・運用能力を提供し、その重要性を増し続けています。
海洋環境・防災・安全管理

海上事故や災害に備える安全管理や環境保護の観点も重要です。
天候や自然現象の影響を大きく受け、安全性の確保が陸上よりもはるかに難しい海上では、緻密な安全管理の徹底が必要です。
また、海の環境を守るため、船の排ガスや廃油処理などに関する法律・規定にも触れます。
船舶工学を学べる大学・学部・学科の一例

船舶工学を学べる大学の大学・学部・学科の一例は以下の通りです。
- 東京海洋大学 海洋工学部海事システム工学科
- 大阪公立大学 工学部海洋システム工学科
- 九州大学 工学部船舶海洋工学科
それぞれチェックしていきましょう。
なお、年内入試ナビでは、船舶工学を学べる大学をまとめています。
参考:船舶工学を学べる大学はこちら
東京海洋大学 海洋工学部海事システム工学科
航海技術や情報処理技術、法律、語学など幅広い分野を学び、次世代の海事技術者を目指せる学科です。
実践的な教育プログラムとして船舶運航の実習や実験演習が含まれています。
船舶管理や海事工学を基盤とした全人教育を通じ、リーダーシップとグローバル対応力を養います。
東京海洋大学海洋工学部海事システム工学科の特徴は以下の通りです。
- 船舶運航に関する基礎から実習を通じて実践的に学べるカリキュラムを提供
- 自動操船支援や海洋環境保全に関する最先端研究を推進
- 海洋文化や国際法を学びSDGsに対応する教育を実施
そのため、 船舶運航や海洋環境保全の技術に興味を持ち、実践的なスキルを習得したい人に向いています。
大阪公立大学 工学部海洋システム工学科

海洋環境保全と持続可能な利用を目指し、海洋輸送システムや海洋資源利用システムに関する基礎理論を学びます。
実験や実習、フィールド計測を通じて、自然と技術の共生を考えたシステム構築能力を身につけます。
解析力や国際的なコミュニケーション能力を磨き、海洋工学分野で活躍できる人材を目指せるでしょう。
大阪公立大学 工学部 海洋システム工学科の特徴は以下の通りです。
- 持続可能な海洋利用を重視した教育を推進
- 自動操船AIや海底探査技術などの先端研究を展開
- 国際的な視点を養うプロジェクト科目と英語教育を実施
そのため、 海洋環境保全と技術革新を融合した持続可能なシステム設計に興味のある人に向いています。
九州大学 工学部船舶海洋工学科
海洋と宇宙を人類のフロンティアと捉え、海洋工学や船舶工学に関する高度な専門知識と総合計画能力を育成します。
海洋利用の新産業や船舶開発を支えるシステム技術を探求し、人類の生活基盤を支える技術者を目指す学科です。
交通輸送や資源活用、空間利用など、多面的な社会的要請に応える学びが用意されています。
九州大学 工学部船舶海洋工学科の特徴は以下の通りです。
- 世界水準の船舶開発技術を提供し新しい海洋利用産業への対応を推進
- 実験施設を活用した船舶・海洋構造物の設計と検証を実施
- 総合的なシステム工学を重視したカリキュラムを編成
そのため、 海洋空間の活用や船舶技術の開発を通じて、人類の未来に貢献したいと考える人に向いています。
船舶工学を学んだ後の進路は?

船舶工学を大学で専攻した先輩たちは、卒業後にどのような進路を歩んでいるのでしょうか。
東京海洋大学を例に見ていきましょう。
東京海洋大学 海洋工学部海事システム工学科の卒業生の進路・進学情報
東京海洋大学 海洋工学部海事システム工学科の卒業生の就職先の業種とその割合は以下の通りです。
業種 | 割合 |
|---|---|
運輸業、郵便業 | 43.5% |
情報通信業 | 13.0% |
建設業 | 13.0% |
公務 | 8.7% |
その他 | 4.6% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 4.3% |
卸売業、小売業 | 4.3% |
製造業 | 4.3% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 4.3% |
東京海洋大学 海洋工学部海事システム工学科の卒業生の多くは運輸業・情報通信業・建設業などの業種で働いています。
また、表にはありませんが、大学院へ進学する学生も8.5%いるようです。
船舶工学の勉強が活かせる業界

船舶工学の専門知識が活かせる仕事はどのようなものがあるのでしょうか。
代表的な就職先について解説します。
- 造船業界
- 海運業界
- 重機械・機械製造業界
- 海洋開発関連企業
- 官公庁や研究機関の技術職、研究者
- 船級協会(日本海事協会など)の検査官
それぞれ見ていきましょう。
造船業界
船舶工学の知識を直接活かせる造船業界では、設計から製造、品質管理まで幅広い役割があります。
以下に職種・主な業務内容・求められるスキルを整理しました。
職種 | 主な業務内容 | 活かせるスキル |
|---|---|---|
船舶設計エンジニア | 新しい船舶の設計 既存船舶の改修設計 | 流体力学 材料工学 設計ソフトウェアの操作 |
プロジェクトマネージャー | 造船プロジェクト全体の計画・進行管理 | 工程管理 予算管理 船舶工学の基礎知識 |
品質管理エンジニア | 製造プロセス中の品質基準監督 国際基準の適合検査 | 詳細な検査スキル 安全基準の理解 |
生産技術者 | 造船プロセスの効率化 製造ラインの最適化 | 技術的サポート 製造工程の最適 |
造船業界は技術革新の最前線にあり、船舶工学の知識が直結する分野です。
設計から生産までの各プロセスで専門的スキルを発揮でき、国際基準の安全性や効率性を担保する重要な役割を果たします。
海運業界

船舶の運航や物流効率化において、船舶工学の知識が活かされる海運業界です。
以下に職種・主な業務内容・求められるスキルを整理しました。
職種 | 主な業務内容 | 活かせるスキル |
|---|---|---|
運航管理者 | 航路設定、運航スケジュール策定、燃料消費の最適化 | 船舶性能の理解 海洋環境知識 |
船舶技術者 | 船舶の設計・改修、メンテナンス | 船体構造 材料工学 船舶システム |
データ解析担当 | 物流の効率化を図るためのビッグデータ解析 | 論理的思考 データ解析スキル |
海運業界では、技術力とグローバルな視点が求められます。
船舶工学で培った理論と実践の知識は、運航の安全性確保や効率化、物流コストの削減に大きく貢献します。
また、国際取引を支える基盤として、非常に重要な役割を果たしている分野です。
重機械・機械製造業界
船舶工学で得た理論と技術は、重機械や機械製造業界でも応用可能です。
以下に職種・主な業務内容・求められるスキルを整理しました。
職種 | 主な業務内容 | 活かせるスキル |
|---|---|---|
機械設計エンジニア | 流体機械や大型設備の設計 | 流体力学 構造力学 設計ソフトウェアの操作 |
シミュレーション技術者 | 機械性能の予測、設計最適化 | モデル化スキル シミュレーション技術 |
製造プロセス管理者 | 製造工程の監視と効率化 | プロジェクト管理 規制基準の理解 |
重機械製造業界では、設計から製造、運用まで幅広い業務で船舶工学の知識を活用できます。
流体力学や構造力学の応用に加え、規制や安全基準を満たした設計が求められ、産業の基盤を支える役割を担います。
海洋開発関連企業

海洋開発事業の業務は、石油・ガス油田の採掘・運航、風力発電設備の設置、保守・運用、それらに必要な機器の開発など、多岐にわたります。
事業を継続していくためには、実際に海上に出て作業を行う必要があります。
海上で安全に作業を行う上で、船舶工学の知識が生かされるでしょう。
官公庁や研究機関の技術職、研究者
海上保安庁の任務は、治安の確保、災害対策、領海警備、海洋調査など、多岐にわたります。
それらの任務を通し、海上交通の安全を守るのが海上保安庁の使命です。
海の安全を守るためには、船舶工学の知識、特に「海洋環境・防災・安全管理」の知識が欠かせません。
近隣諸国の海軍等の情勢を顧みて、船舶工学の観点から政策立案に携わることもあります。
また、大学や研究機関の研究者として、最先端の船舶工学を究める道もあります。
船級協会(日本海事協会など)の検査官

船級協会とは、船舶の船体、機関等について、その構造や状態が良好であることを検査し、公式に証明する機関です。
日本では「日本海事協会」が船級協会として有名です。
船舶の検査、証明をする際には、「船体構造と設計」の知識が役立ちます。
船舶工学に関連するよくある質問

船舶工学に興味がある人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。
よくある質問とその回答を記載していきます。
船舶工学に向いている人の特徴は?
船舶工学を学ぶには特定の適性が求められます。
以下に、向いている人の特徴を表形式でまとめます。
特徴 | 向いている理由 |
|---|---|
海や船に興味がある人 | 船舶や海洋技術に強い関心があり、学習や実務を継続する意欲が求められるため |
細かい作業が好きな人 | 船舶の設計や製造では、精密な作業や高い注意力が必要とされるため |
責任感がある人 | 船舶は人命や貨物を運ぶため、安全管理や航行の責任を果たすことが求められるため |
未知の分野に挑戦できる人 | 新しい海洋技術や環境対策の開発に積極的に取り組み、技術革新を推進する力が求められるため |
海洋工学・船舶技術の知識と技術を体系的に学びたい人 | 船舶の構造、海洋環境工学、航行技術などの専門知識を体系的に学び、実践的な技術を習得できるため |
海洋エネルギーや資源開発に関心がある人 | 洋上風力発電、海底資源開発、海洋環境保護などの分野で、持続可能な海洋利用に関わる機会があるため |
船舶設計や造船技術の開発を目指している人 | 最新の船舶設計技術やエネルギー効率の高い船舶の開発に携わる機会があり、技術革新に貢献できるため |
数学や物理が苦にならない人 | 船体の構造解析や流体力学など、数学や物理の知識がベースになるため |
これらの特徴に当てはまる人は、船舶工学の学びと実務で高い成果を出す可能性があります。
船舶工学を学ぶことで取得を目指せる資格は?

船舶工学を学ぶことで取得を目指せる資格とその内容について、以下に説明します。
資格名 | 資格の内容 |
|---|---|
技術士(機械部門・総合技術監理部門など) | 技術士法に基づく国家資格で、技術分野の専門家としての能力を証明する資格 JABEE認定プログラム修了者は第一次試験が免除される |
学士(水産学等) | 水産学や海洋工学関連の課程を修了することで取得できる学位 船舶工学の専門性を証明する学歴資格 |
教育職員免許状(教員免許) | 特別免許状や三級海技士の海技免状を保有している場合に取得可能な教員資格 教育分野での指導が可能になる |
海技士 | 船舶の運航や機関操作に必要な資格 専攻科修了後に三級海技士(機関)の筆記試験が免除される |
無線免許 (第一級海上特殊無線技士) | 船舶での無線通信を行うために必要な資格 特に海洋機器の運用や通信業務に従事する際に重要 |
衛生管理者 | 職場の衛生管理や安全性を確保するための国家資格 専攻科修了後に取得可能 |
一級技術検定 | 建築機械施工、建築施工管理、管工事施工管理など、建設分野での専門技術を証明する資格 船舶の設計や建造プロジェクトにも役立つ |
ボイラー技士 | 温水ボイラー、蒸気ボイラー、小型ボイラー、簡易ボイラーなどを取り扱うための資格 |
危険物取扱者 | 消防法で定められた危険物を取り扱ったり、危険物の取り扱いに立ち会ったりするために必要な国家資格 |
まとめ

本記事では、船舶工学の定義から、学ぶ内容、船舶工学を学べる大学、学んだ後の進路や就職先、向いている人の特徴までを解説しました。
解説した中でも、船舶工学に関する重要なポイントを最後に記載していきます。
- 船舶工学とは、船舶の設計、建造、運用に関わる技術と科学を探求する学問である
- 学ぶ分野としては、流体力学・船体構造と設計・船舶システムと運用工学などが含まれる
- 船舶工学を学べる大学の卒業後の主な就職先としては造船業界・海運業界・重機械製造業界などが挙げられる
- 海や船に興味がある人・細かい作業が好きな人に船舶工学はおすすめ
- 船舶工学を専攻できる大学でも入学後のカリキュラムが異なるので、あなたの興味やキャリア目標に合わせて大学を選ぶ
本記事が、船舶工学の全体像を掴むうえで役立てば幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。