作成日: 2025/7/28 更新日:2025/7/28
林学とは何を学ぶ学問?学べる進学先や、活かせる就職先を紹介

「林学とはどんな学問?」
「林学を学んだ後の進路は?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、主に以下のことについて解説します。
- 林学で学ぶ内容
- 基本的なカリキュラム
- 林学を学べる大学と学校の選び方
- 林学の学びを活かせる職業とキャリアパス
- 林学の実践的な知識
加えて、学んだ後の就職先やキャリアについても詳しく解説します。
林学とは何を学ぶのか気になっている方、進学・キャリア選びの参考にしたい方はぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
- 1 林学とは
- 2 学ぶ内容や研究分野
- 2-1 森林生態学
- 2-2 森林保全学(森林資源管理、森林保護学)
- 2-3 森林計測学
- 2-4 リモートセンシング
- 2-5 育林学
- 2-6 林産学
- 2-7 森林政策・法制度学
- 2-8 森林経済学
- 2-9 森林土壌学
- 2-10 森林水文学
- 2-11 コミュニティ林業
- 2-12 森林環境教育
- 2-13 新しい林業技術の開発
- 3 林学を学ぶメリット
- 3-1 自然環境の保護に貢献できる
- 3-2 森林の生態系について深い理解を得られる
- 3-3 持続可能な資源管理のスキルを習得できる
- 3-4 環境政策や法律に関する知識を学べる
- 3-5 フィールドワークを通じた実践的な経験が得られる
- 3-6 自然と深く関わることができる
- 3-7 多くの分野と連携した学びができる
- 3-8 自然災害対策への知見が得られる
- 3-9 地域活性化・里山再生に貢献できる
- 4 林学を学べる進学先
- 5 林学の知識を活かせる職業や就職先の例
- 5-1 森林組合職員・林業技術者
- 5-2 地方自治体や国の林業関連職(林業職公務員)
- 5-3 環境コンサルタント
- 5-4 木材・バイオマス関連企業の技術職
- 5-5 自然学校・森林インストラクター・環境教育指導員
- 5-6 建設・土木系企業(防災・緑化事業部門など)
- 6 よくある質問
- 7 まとめ
林学とは

林学とは、「森林の成り立ちや働き」「木材などの資源の活用方法」「生態系の保全」などを科学的に学ぶ学問で、持続可能な森林資源の活用を目指します。
木や森は私たちの暮らしと深く関わっていて、空気をきれいにしたり、水を蓄えたり、木材を提供したりしています。
林学では、こうした森林の「機能」や「価値」を理解し、将来にわたってうまく使い続ける方法を研究します。
森林生態系の理解や環境保全、木材・バイオマスの活用技術、気候変動への対応などが主なテーマです。
生物学や環境科学などと関わりが深く、総合的な視点が求められます。
林学の知識は、森林管理や環境保全の専門職に役立ち、地球環境問題の解決にも貢献します。
次の章では林学で学ぶ内容・分野についてお伝えします。
学ぶ内容や研究分野

林学では何を学ぶのでしょうか。
以下に大学や専門学校で林学を専攻した場合に、学ぶ内容や研修分野についてまとめます。
- 森林生態学
- 森林保全学(森林資源管理、森林保護学)
- 森林計測学
- リモートセンシング
- 育林学
- 林産学
- 森林政策
- 法制度学
- 森林経済学
- 森林土壌学
- 森林水文学
- コミュニティ林業
- 森林環境教育
- 新しい林業技術の開発野
それぞれ見ていきましょう。
森林生態学
森林生態学は、森林を構成する植物、動物、微生物がどのように相互作用しながら生態系を形成しているかを解明する分野です。
光や水、土壌などの環境要因と生物の関係、生物多様性の保全、気候変動との相互作用なども重要な研究対象です。
森林の持続的利用や保全に向けた基盤知識となります。
ポイント
- 森林の構造・機能の理解
- 種間関係(共生・競争)
- 生物多様性とその保全
- 炭素循環や窒素循環などの物質循環
森林保全学(森林資源管理、森林保護学)

森林保全学は、森林を長期的に維持・活用するための管理・保護手法を扱います。
森林資源管理では伐採や育成の計画を立て、森林保護学では病害虫対策、外来種管理、災害防止などの課題に取り組みます。
経済活動と環境保全のバランスが求められる分野です。
ポイント
- 森林の長期的な資源利用計画
- l林病害虫や外来種の管理
- 土砂災害や火災への対応
- 生態系サービスの維持
森林計測学
森林計測学は、森林の現況を定量的に把握するための測定技術を研究します。
木の高さ・直径・材積・密度などを調査し、森林資源の量や構成を把握します。
近年ではドローンやレーザースキャナなどの技術も導入され、広域かつ高精度な調査が可能になっています。
ポイント
立木の高さ・胸高直径の測定
森林面積・材積の算出
航空・衛星データの活用
森林インベントリの作成
リモートセンシング

リモートセンシングは、衛星や航空機から得られるデータを用いて、広範囲の森林情報を分析する技術です。
森林の分布や植生の変化、違法伐採や火災の監視などに活用されます。
物理的に現地に立ち入らなくてもデータが得られる利点があります。
ポイント
- NDVIなど植生指標の解析
- 森林面積や被覆率の把握
- 変化検出(伐採・再生・火災など)
- GISとの併用で空間解析も可能
育林学
育林学は、森林を健全に育てるための技術と理論を扱う分野です。
植林から間伐、枝打ち、下刈りなどの手入れ作業を通じて、目的に応じた森林を計画的に育成します。
樹種選定や成長予測、植栽密度の設計など、長期的視点での森林づくりに関わります。
ポイント
植林・下刈り・間伐などの管理技術
樹種選定と配置設計
成長モデルによる予測
多様な機能をもつ森林の育成
林産学

林産学は、木材や樹脂などの森林資源の加工・利用に関する学問です。
材質の評価や乾燥・防腐処理、木材工学、さらにバイオマスエネルギーや紙・化学素材の原料としての利用法まで、森林資源の高付加価値化を目指します。
ポイント
木材の物理・機械的性質の評価
製材・乾燥・接着技術
木質バイオマスの活用(発電・燃料)
木材製品の環境性能分析
森林政策・法制度学
森林政策は、森林の利用と保全に関する国・自治体の政策や制度設計を研究する分野です。
森林所有や伐採の制度、税制や補助金、国際的な森林政策(REDD+など)を通じて、社会全体で森林を支える仕組みを構築します。
法制度学では、森林の所有・利用・保護に関する法律や権利のしくみを学びます。
森林法や林地開発許可制度、伐採届出、自然公園法など、現場での施業や開発に関わる法的知識が必要とされます。
ポイント
森林基本計画、施業支援制度
森林環境税や交付金の仕組み
地域振興と林業活性化の連携策
国際的枠組み(REDD+、SDGs)
森林法・林業経営管理法などの理解
森林所有・境界・利用権に関する制度
保護林・自然公園区域での規制
地域の合意形成に関わるルール
森林経済学

森林経済学は、森林資源の経済的価値、林業経営、地域経済との関係を扱います。
木材価格の変動、伐採や再造林の採算性分析、環境価値の経済評価(炭素吸収量など)など、持続可能な林業の経済的基盤を検討します。
ポイント
林業経営の収支・投資計画
木材市場の動向と価格分析
炭素クレジットなどの環境経済評価
地域振興と森林資源の連携
森林土壌学
森林土壌学は、森林の成長や健康に大きな影響を与える土壌の性質・構造・変化を扱います。
養分循環や有機物分解、保水性、酸性度などを分析し、植栽や施肥の適切な判断に活用されます。
ポイント
土壌のpH・腐植量・排水性の評価
植物の栄養吸収と関係する要因
施肥設計や地力維持の方法
土壌侵食や地力低下への対策
森林水文学

森林水文学は、森林が降水をどのように吸収・保持し、流出させるかといった水循環を研究します。
山地災害の防止、水源涵養機能、気候変動下での水管理など、多様な役割を科学的に解明します。
ポイント
降水・蒸発・浸透・流出の動態解析
森林の水源涵養と保水機能
土壌浸透性と斜面安定性の評価
洪水や渇水への影響予測
コミュニティ林業
コミュニティ林業は、地域住民が主体的に森林管理に参加し、森林を活用する仕組みを探る分野です。
地域資源としての森林の活用方法や、持続可能な林業と地域福祉の両立がテーマとなります。
ポイント
地域による森林管理・協働活動
地域材の活用や森林ボランティア
地域振興との連携(エコツーリズム等)
地域課題に応じた施業計画
森林環境教育

森林環境教育は、森林の価値や役割を次世代に伝え、持続可能な森林利用への意識を育てる活動です。
学校教育や体験学習、環境イベントなどを通じて、自然との関係性を再認識させる役割を果たします。
ポイント
森林を題材にした体験型学習
環境意識・倫理の形成
学校・地域連携での森林学習
森林インタープリテーション技法
新しい林業技術の開発
ICTやロボット技術、リモートセンシング、AIなどを活用し、効率的で安全な林業を目指す分野です。
労働力不足の解消や作業の自動化、精密な森林情報の把握などが期待されています。
ポイント
ドローン・衛星・LiDARの導入
スマート林業(機械の自動操縦等)
作業日誌や施業計画のデジタル管理
林業機械の遠隔操作・無人化
林学を学ぶメリット

林学を学ぶメリットは以下の通りです。
- 自然環境の保護に貢献できる
- 森林の生態系について深い理解を得られる
- 持続可能な資源管理のスキルを習得できる
- 環境政策や法律に関する知識を学べる
- フィールドワークを通じた実践的な経験が得られる
- 自然と深く関わることができる
- 多くの分野と連携した学びができる
- 自然災害対策への知見が得られる
- 地域活性化・里山再生に貢献できる
それぞれ見ていきましょう。
自然環境の保護に貢献できる
林学を学ぶことで、森林の保全や再生に関する知識と技術を身につけることができます。
地球温暖化や生物多様性の喪失といった環境問題の解決に貢献する力が養われます。
森林の生態系について深い理解を得られる

森林の構造や機能、生物の相互作用などについて体系的に学ぶことで、自然の仕組みを科学的に理解できます。
森林の健全な維持に必要な知識を深めることができます。
持続可能な資源管理のスキルを習得できる
木材やバイオマスなどの森林資源を無理なく利用する方法や、長期的な森林経営計画の立て方を学ぶことができます。
持続可能な社会づくりに貢献できる実践的なスキルが身につきます。
環境政策や法律に関する知識を学べる

国内外の森林政策、法制度、国際的な取り組みについて理解を深まります。
社会的・法的な視点から森林問題にアプローチする力が養われます。
フィールドワークを通じた実践的な経験が得られる
林学では実際に森林に足を運んで観察や調査を行う機会が多くあります。
自然との直接的な関わりを通じて、現場での課題解決力や観察力を磨くことができます。
自然と深く関わることができる

林学では、森林の構造や生態系、樹木の成長過程などを通じて自然のしくみを深く理解します。
野外調査や実習を通じて四季の変化や生物多様性を肌で感じる機会も多く、自然と直接向き合う学びが可能です。
机上の学問にとどまらず、フィールドでの体験を重視します。
多くの分野と連携した学びができる
林学は生態学・土壌学・経済学・工学・社会学など幅広い分野とつながる学問です。
たとえば森林政策は法学と連携し、バイオマス利用は化学工学と関係します。
このように文理を横断した学びを通じて、複合的な視点を養うことができます。
自然災害対策への知見が得られる

林学では、森林の水源涵養機能や斜面安定効果などを通じて、防災・減災における森林の役割を学びます。
豪雨による土砂災害や洪水を防ぐしくみを理解することで、防災林整備や土地利用計画など実務への応用も可能です。
地域活性化・里山再生に貢献できる
林学の知識は、過疎化が進む地域での森林資源の活用や、伝統的な里山の再生にも役立ちます。
地域住民との協働による森林整備や、地域材を活かした産業振興など、地元の活力を引き出す実践的な取組につながります。
林学を学べる進学先

林学を学ぶためには、どのような進学先や学校を選べば良いのでしょうか?
- 林学を学べる学部・学科
- 林学を学べる主な大学
- 林学を学べる主な専門学校
それぞれ見ていきましょう。
林学を学べる学部・学科の例
林学を専門に学ぶためには、まず適切な学部・学科を選ぶことが大切です。
林学を学べる各学部・学科についてまとめました。
学部 | 学ぶ内容 | 詳細 |
|---|---|---|
農学部 | 森林の成長・構造・機能の理解 間伐・植林・伐採などの実践的技術 森林政策、林業経営、森林資源の持続可能な利用 | 森林の生態系だけでなく、「どう森林を管理し、活かすか」に重点を置く 農業・畜産・林業・水産など、一次産業全般を学べる中で、森林に関する専門分野を選択していくことが多い |
生物資源科学部 | 森林生態系や土壌、水循環、生物多様性の科学的理解 木材や生物資源の循環的利用(バイオマス、食品、薬品など) 森と水・森と生き物の関係に注目した研究や実習 | 森林を「命ある資源」と捉え、自然と共生する仕組みや、生物資源としての活用方法に興味がある人に向いている 木材に限らず、農産物や微生物など多様な資源を扱う傾向がある |
環境学部 | 環境保護に関する法律・条例・国際条約(例:森林法、環境基本法、パリ協定) 環境影響評価(EIA)、都市と自然の共存、地域環境マネジメント 環境教育・環境倫理・持続可能な社会構築のための実践活動 | 森林を含む地球環境全体が対象で、「社会のしくみ」や「政策提言」を重視 森林に関する授業もあるが、自然科学よりも社会科学寄りのアプローチが多い |
以下は、林学を学べる主な学科と、それぞれで学べる内容の例です。
具体的には、学科によって専攻内容や重視する分野が異なるため、志望の際は内容をよく確認することが大切です。
学科名 | 主な内容 |
|---|---|
森林科学科 | 森林生態学、林業経営学、森林病理学、森林測量、森林管理計画、植生調査 |
森林環境科学科 | 環境影響評価、森林政策と法制度、地域森林計画、エコツーリズム論 |
生物資源科学科 | 生物資源管理、森林資源利用技術、バイオマスエネルギー |
農学科 | 森林保全と農山村振興、資源循環と持続可能な農業、土壌環境学・水資源管理 |
自然資源学科・地域環境学科 | 地域資源としての森林管理、環境共生型地域づくり、環境教育・森林利用計画 |
同じような分野でも、大学によって学科名やカリキュラムが異なります。
例えば、「森林科学科」で林業技術を重視している一方、「森林環境学科」として環境問題への対応に重点を置いていることがあります。
どの学部や学科、コースを選ぶかについては、自分の興味や、希望する就職先や職種など将来の選択肢と照らし合わせることが大切です。
各学校のカリキュラムや研究テーマ、卒業生の進路などをよく調べ、あなたに最適な進学先を選びましょう。
林学を学べる主な大学・学部・学科の例

林学を学べる大学・学部・学科の一例は以下の通りです。
- 東京大学 農学部 森林環境資源科学専修
- 北海道大学 農学部 森林科学科
- 鹿児島大学 農学部 森林科学コース(農林環境科学科)
それぞれ見ていきましょう。
東京大学 農学部 森林環境資源科学専修
森林の保全と持続的な利用をテーマに、森林生態学・森林工学・森林経営などを総合的に学びます。
国内外の森林問題に対する実践的な解決能力を養います。
東京大学 農学部 森林環境資源科学専修には、以下の特徴があります。
現場重視のフィールド実習
東京大学の広大な附属演習林(合計約32,000 ha)での滞在型実習を通じて、教室では得られない実践的な知識と経験が得られます学際的・多角的アプローチ
社会経済、工学、生物学などさまざまな分野の視点を融合し、森林生態系の管理・資源利用・政策立案に対応できる総合力を育成します森林と水・土砂の関わりの探求
森林が「緑のダム」として河川流量の調整や土砂崩壊防止に果たす機能など、水文学・砂防工学を含む環境機能に注力したカリキュラムが用意されています制度設計や政策理解も教育範囲
森林の社会的・制度的な側面にも対応し、持続可能な森林利用に向けた制度設計や政策面での理解と発信力を養います卒業研究を通じて専門性を深化
学部3年生からは専門授業がスタート、希望研究室に所属し、卒業論文を作成 理学・工学・法学・経済学など、多様な研究室から選択可能で、多角的な視野をもった研究ができます
このように、森林環境資源科学専修では、実践的な現地学習を核にしながら、生態系・技術・社会制度を包括的に学ぶ体制が整っています。
北海道大学 農学部 森林科学科
日本有数の広大な演習林を活用し、フィールド実習が充実しています。
森林の成り立ちから管理、森林資源の利用まで幅広く実践的に学べます。
北海道大学 農学部 森林科学科には、以下の特徴があります。
伝統と自由・自立を重視する教育理念
日本最古の森林科学科として、学生が自ら現場に出て考え・学ぶ「自力で学ぶ力」を重視した教育が行われています8分野に及ぶ幅広いカリキュラム
造林学、木材工学、森林政策学、生態系管理学、流域砂防学など、森林科学のミクロからマクロの領域を網羅する多様な分野が設置されています国内最大級の演習林(約70,000 ha)を活用した実習
苫小牧・雨龍・檜山など全国7か所に広がる広大な研究林を持ち、「夏の苫小牧」「冬の雨龍」など多様な野外実習が行われています自然科学と社会科学の統合教育
森林の構造・機能だけでなく、木材利用や森林政策・経済性なども学べる、理系と文系を融合させた教育が特徴です多様な資格取得・進路支援が充実
教員免許や学芸員、樹木医補、森林情報士など多様な資格取得が可能で、公務員や企業、研究職など幅広い進路に対応しています
北海道大学 森林科学科は、広大なフィールド環境と専門性の高いカリキュラム、自由で自立した学びを通じて、多角的な視野をもつ森林専門家を育成する環境が整っています。
鹿児島大学 農学部 森林科学コース(農林環境科学科)
南九州の豊かな自然環境を活かし、森林の生態系や木材利用、地域林業の振興などについて実践的に学べます。
フィールドワークや演習林での実習が充実しており、地域密着型の森林科学教育が特徴です。
鹿児島大学 農学部 森林科学コース(農林環境科学科)には、以下の特徴があります。
暖帯〜亜熱帯林に特化した教育研究
南九州の気候を活かし、暖帯・亜熱帯林の生態系理解と資源循環利用に関する専門知識を深めます広大な3000ha 演習林を活用した実践的学び
高隈演習林(約3068ha)を拠点に、宿泊型のフィールド実習を卒業までに5~8回行い、森林生態や育林技術、防災・防災教育などを学びます多様な研究室と専門領域
育林学・森林計画学・森林政策学・森林保護学・木質資源利用学・砂防・森林水文学・演習林学など、7つの研究室から興味に応じて専攻を選べます地域貢献型の環境教育活動
演習林での「森と遊ぼう」や子ども向け森林教室など、地域住民・学生・児童を対象にした環境教育プログラムを積極的に実施します林業DXや現代技術を取り入れた最新カリキュラム
ドローンやGIS、地上・航空レーザ計測技術を活用した林業デジタルスキルトレーニングを導入し、現場での情報活用力を養います資源循環と技術者倫理を重視した人材育成
グローカルな視点で地域森林資源の循環利用を学び、社会への責任や技術者としての倫理観を備えた人材を目指します
鹿児島大の森林科学コースは、フィールド重視・地域連携・最新技術活用・教育研究のバランスが取れた実践的な学びの場となっています。
林学を学べる主な専門学校の例
林学を学べる専門学校の具体例は以下の通りです。
- 北海道立北の森づくり専門学院
- 岐阜県立森林文化アカデミー
- 高知県立林業大学校
それぞれ見ていきましょう。
北海道立北の森づくり専門学院
林業の基礎から木材加工まで、15種以上の関連資格取得を目指します。
森林施業技術や木材利用の実践的スキルを習得し、即戦力となる人材育成が主眼です。
北海道立北の森づくり専門学院には、以下の特徴があります。
実習重視&即戦力養成
2年制のカリキュラムの約3分の2が実技中心で、チェーンソーや林業機械の操作、最新の高性能機械シミュレーターまで含めた実践教育に重点を置いています最大15種類の資格取得が可能
林業の現場で必要とされる「伐木等業務従事者」「刈払機取扱作業者」「玉掛け技能者」「移動式クレーン運転士」など、多様な資格を段階的に取得できますオール北海道が学びのフィールド
旭川を拠点に、道内各地での長期実習・インターンシップを実施。地域や企業と連携しながら、北海道全体をキャンパスとして活用します国際連携と最新技術導入
林業強国フィンランドの教育手法を導入し、林業機械操作のシミュレーター教育を整備。選択制のフィンランド現地研修も取り入れています高い就職率&地域密着のサポート
卒業時の就職率は100%。地元企業・団体とのネットワークによる求人提供やインターンシップを通じ、入学から就職までを一貫支援します
北森カレッジは、北海道全域を学びの場とし、安全・実践的な技術教育と多彩な資格取得、経済的支援、国際視野の習得を通じて、即戦力となる林業技術者を育成する専門学校です。
岐阜県立森林文化アカデミー
森林経営、環境教育、木造建築・木工などの応用分野に対応しています。
少人数制で現場重視のカリキュラムが特徴の専門学校です。
岐阜県立森林文化アカデミーには、以下の特徴があります。
森と木を多角的に学ぶ全国初の県立専門校
林業から木造建築、木工、環境教育に至るまで、森林文化全般を一貫して学べる専門校として全国でも稀少です「エンジニア科」と「クリエーター科」の二学科制
・高校卒対象のエンジニア科:林業・林産業に関する即戦力技術者育成
・大学卒・社会人対象のクリエーター科:木造建築・森林環境教育など多様な進路に対応少人数・多世代の学びの場
全国各地から集まる学生と教職員との距離が近く、20代〜60代まで幅広い世代が共に学び、意見交換できる環境が魅力です学内演習林と充実した実習設備
約33 haの演習林や木工工房、乾燥施設などが整備され、森林の伐採から加工、建築まで「丸ごと学べる」実践的カリキュラムです地域・産官学との連携体制
地域の里山保全や環境教育、プロジェクト型演習などを通じ、行政・企業・NPO等と共同しながら実践的な学びを推進していますIT・GISなど先端技術の活用
GPSやGIS、IT技術を林業・森林経営に取り入れるカリキュラムがあり、最新技術に対応した指導力を養います木材文化と建築デザインの教育環境
校舎自体が森の木材を生かした設計で、建築を通して木材の価値やデザイン、サステナビリティを学ぶ場ともなっています
森林文化アカデミーは「木を伐る・使う・伝える」を一貫して学べる実践×多様性×先端技術が特長の専門学校です。
高知県立林業大学校
林業、木材産業、木造建築に関連する基礎~高度な技術を、森林率日本一のフィールド環境で学び、未経験からでも即戦力となる人材を育成する専門学校です。
高知県立林業大学校には、以下の特徴があります。
森林率日本一・高知県の豊かなフィールド環境
県土の84%が森林である高知県を学びの場にしており、地域の森と直結した実践的な教育が展開されています多様な課程と専門コース制度
「基礎課程」「専攻課程」「短期課程」の3体系を整備 専攻課程では森林管理・林業技術・木造設計の3コースを設置し、目的に応じた専門教育が受けられます体験重視の実践型カリキュラム
授業時間の約7割がフィールドワーク中心 大型林業機械の操作や架線集材、チェーンソー実習を通じて、現場に即したスキルを習得できます全天候対応・高度な実習設備
全国初の林業架線シミュレーター完備の大型実習棟や、キックバック・落枝シミュレーターなどリアルな安全教育設備が充実しています多様な資格・称号が取得可能
基礎課程では12種類以上、専攻課程終了時には高知県認定の専門称号(林業作業士・森林管理士・木造設計士など)が付与されます高い就職率&支援体制
100%に近い就職実績を誇り、県林業労働力確保支援センター等との連携による求人提供やインターン支援が整っています全国から集まる多世代共学の学びの場
県内外、年齢層を問わず集合し、学生から社会人まで多様な背景の仲間と学べる環境が魅力です地域・産業と連携した木造建築教育
林業と木造設計の接点に重きを置き、隈研吾 氏が校長を務めるなど、地域建築との連携ワークショップも積極的に行われています
高知県立林業大学校は「現場力・専門性・地域連携・学びやすさ」を兼ね備えた教育機関として、林業・木材産業の担い手を育成する優れた場となっています。
参照:高知県立林業大学校
林学の知識を活かせる職業や就職先の例

林学の知識が活かせる仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。
代表的な就職先・職業について解説します。
- 森林組合職員・林業技術者
- 地方自治体や国の林業関連職(林業職公務員)
- 環境コンサルタント
- 木材・バイオマス関連企業の技術職
- 自然学校・森林インストラクター・環境教育指導員
- 建設・土木系企業(防災・緑化事業部門など)
それぞれ見ていきましょう。
森林組合職員・林業技術者
森林の間伐や植林、伐採、林道の整備など、森林を健全に維持するための作業を行います。
森林資源の活用や保全において、現場の中核を担う仕事です。
測量や森林調査、ドローンやGISの活用など技術的業務も含まれます。
主な就職先
- 各地の森林組合
- 林業会社・造林会社
- 民間の森林管理受託会社
地方自治体や国の林業関連職(林業職公務員)

国や地方自治体の立場から、森林の保全・防災・資源活用に関する政策を企画・実施します。
森林計画の策定、林道整備の補助、山地災害対策など行政業務を通じて地域林業を支える仕事です。
主な就職先
- 市町村・都道府県の林務課、森林環境課
- 林野庁(国家公務員)
- 各地の森林技術センター・研究機関
環境コンサルタント
企業や自治体が行う開発事業などに対して、環境影響調査や森林・生態系への配慮の提案を行います。
森林環境の調査・分析・評価・保全計画の立案などを通じ、持続可能な開発を支援する仕事です。
主な就職先
- 環境コンサルティング会社
- 建設コンサルタント(自然環境部門)
- 環境系NPO・NGO
木材・バイオマス関連企業の技術職

木材の加工や製品開発、流通管理、バイオマス燃料の製造など、森林資源を資材・エネルギーとして活用する技術職です。
SDGsの流れの中で、再生可能資源としての木材利用が注目されています。
主な就職先
- 木材加工会社・製材所
- 木質バイオマス発電会社
- 建材メーカー・住宅関連企業
自然学校・森林インストラクター・環境教育指導員
子どもから大人までを対象に、森林の魅力や自然との関わりを伝える教育活動を行います。
森林体験プログラムや自然観察、環境保全活動の企画・運営などを通じて、人と森をつなぐ役割を担います。
主な就職先
- 自然学校・環境教育施設
- 自治体・教育委員会(非常勤含む)
- 森林インストラクター団体・森林公園管理団体
建設・土木系企業(防災・緑化事業部門など)

例えば道路・ダム建設に伴う斜面の安定対策、法面緑化、都市の緑地整備などに携わります。
森林の保水力や植生回復の知見をもとに、自然と共生するインフラ整備に貢献できます。
主な就職先
- ゼネコン(大林組・鹿島建設など)
- 緑化・造園企業(石勝エクステリア、グリーンインフラ企業)
よくある質問

林学に興味がある人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。
よくある質問とその回答を記載します。
フィールドワークはどれくらいありますか?
林学では野外実習や演習林でのフィールドワークが多くあります。
森林調査や樹木の測定、伐採・植林作業、森林観察など、実際の現場で学ぶ機会が豊富です。
各大学や専門学校によっても異なるため、どんなことに興味があるかどんなことを学びたいか明確にしておくことをおすすめします。
林学と林産学、環境学の違いは何ですか?

林学・林産学、環境学のそれぞれの違いについて、下記の表で解説します。
学問分野 | 対象 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|---|
林学 | 森林そのもの(自然・資源・機能) | 森林の保全・管理・持続可能な利用を科学的に探求 | 森林の生態系、生物多様性、植生、水資源、森林政策など幅広く扱い、「どう森を守り、育て、使うか」に焦点を当てる |
林産学 | 森林から得られる産物(木材・バイオマスなど) | 木材やその他森林資源の加工・利用に関する研究と技術開発 | 木材の構造・乾燥・保存・建材利用や、バイオマス燃料・紙・パルプなど、「森の恵みをどう活かすか」に特化している |
環境学 | 自然環境全般(大気・水・土壌・生態系・人間活動) | 環境問題の解決・持続可能な社会の構築 | 地球規模の環境問題(温暖化、汚染、資源枯渇など)を科学・政策・倫理の側面から多角的にアプローチし、「自然と人間の共生」が主眼 |
このように林学は「森そのもの」、林産学は「森の産物の使い方」、環境学は「森林を含む地球環境と社会の関係」という区別をされます。
それぞれ連携する場面も多く、進路や関心に応じて選ぶことが大切です。
環境学について詳しく知りたい方は、下記の記事もぜひご覧ください。
林学を学ぶには理系でなければいけませんか?
理系的な知識(生物・地学・数学など)は必要ですが、森林政策や環境教育など文系的な要素もあります。
そのため理系に限らず興味と熱意があれば学ぶことは可能です。
文理融合型の学問として位置づけられています。
林学を学び取得できる資格はありますか?

林学を通して、取得できる資格は以下の通りです。
資格名 | 説明 | 取得方法 |
|---|---|---|
森林管理士 | 森林の保全・再生・管理を行う専門家の資格 | 座学と実技の講習を修了し、試験に合格することで取得できる |
森林情報士 | 空中写真やリモートセンシング、GISを用いて森林資源の解析・計画立案を行う技術者向け資格です 1級・2級がある | 研修修了で資格認定される |
林業技士 | 森林・林業に関する技術を保持する専門技術者で、日本森林技術協会が認定する | 通信研修+スクーリングによる研修制で取得できる |
森林インストラクター | 森林体験プログラムの企画・実施や自然観察指導を行える資格 | 筆記+実技・面接の試験に合格すると得られる |
樹木医・樹木医補 | 病害虫などで衰えた樹木を診断・治療する専門家の資格 | 樹木医補は必要単位を取得後申請、樹木医は試験合格+登録が必要 |
その他、林業普及指導員(都道府県職員等向け)、林業技能検定、林業作業主任者(伐木等)、森林セラピーガイド 等の民間資格や検定があります。
林学を学ぶことで、専門分野に応じた資格を取得しやすくなります。
資格は実践的な技能の証明となり、現場での信頼や就職・キャリアの強化につながります。
参照:森林・林業学習館
まとめ

本記事では、林学の基礎から、学ぶ内容、林学を学べる大学、学んだ後の進路や就職先、よくある質問についてを解説しました。
解説した中でも、林学に関する重要なポイントを最後に記載します。
- 林学とは、森林の保全や資源の持続的な活用、環境保護など、幅広い知識を得られる学問である
- 学ぶ内容は、森林生態学、森林管理技術、林業政策、木材利用、環境教育など幅広い
- 林学を学ぶことで、森林組合職員や林業公務員、環境コンサルタント、自然学校の指導員など、将来の選択肢が広がる
- 林学を学ぶことで、樹木医補や森林情報士、林業機械操作関連などの資格を取得できるため、手に職をつけられる可能性が高まる
- 林学を学べる大学や専門学校でも、入学後のカリキュラムや強みとしている分野が異なるので、あなたの興味やキャリア目標に合わせて学校を選ぶことが大切である
本記事が、林学の全体像を掴むうえで役立てば幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。