神学部で何を学ぶ？学部で学ぶことや主要大学の特徴、卒業後の就職先を解説！

神学部とは何を学ぶ学部なの？

まずは、神学部で主に学ぶことと入学後の学びの流れについて解説します。

神学部で主に学ぶこと

神学部では、キリスト教に関連する幅広い領域を学びます。主な分野は次のとおりです。

これらの知識を学ぶことでキリスト教の世界観を理解し、自己の信仰を深められるのはもちろん、社会の中で宗教と向き合うための視点を身につけられます。

また、宗教哲学や宗教社会学など、キリスト教に限らず宗教全般についての理解を深めるための科目もあります。

そのため、キリスト教の聖職者を目指す学生だけでなく、宗教や倫理について深く学びたいと考える学生にもおすすめです。

入学後のカリキュラム

神学部はカリキュラムの自由度が高く、他学部や他大学の授業を履修しやすい場合が多いです。そのため、キリスト教を軸に幅広い学問を学べます。

なお、一般的な神学部では主にキリスト教を学びますが、同志社大学の神学部では、キリスト教だけでなくユダヤ教やイスラーム教も学べるようになっています。

参考記事：神学という学問の主なテーマと学ぶ事に向いている人

神学部のコース

神学部の主なコースとしては以下があります。

このように、教会などで働く聖職者を育成するためのコースに加え、将来キリスト教に関する職業に就かない人でも学べるようなコースもあります。

神学部を設置している主な大学

ここからは、神学部を設置している主な大学の特徴や偏差値、キャンパス所在地をまとめて解説していきます。今回取り上げる大学はこの5つです。

1. 上智大学
2. 同志社大学
3. 関西学院大学
4. 東京神学大学
5. 西南学院大学

上智大学

上智大学では、一貫してキリスト教の精神に基づいた教育を行っており、神学部での学びを通してキリスト教的な価値観と国際的な視野を持つことを重視しています。

​1・2年次に基礎的な科目を学び、3年次からは3つの論系から興味関心に合うものを1つ選んでさらに学びを深めていきます。

卒業後は一般企業に就職する人と宣教師や聖職者などのキリスト教系の職業に就く人、カトリック系の宗教科教員になる人などがいます。

同志社大学

同志社大学の神学部の特徴は次のとおりです。

キリスト教に限らずユダヤ教やイスラーム教についても専門的に学べる環境は同志社大学の他にないため、宗教についてより広く深く学びたい方にぴったりでしょう。

卒業後は多くの学生が一般企業に就職し、一部の学生は大学院へ進学してキリスト教に関わる職業に就いたり専門資格を取得したりします。

参照元：同志社大学 神学部／進学研究科​

関西学院大学

関西学院大学では、キリスト教に関する学びを「聖書学」「歴史神学」「組織神学」「実践神学」の4つの領域に分け、それぞれ異なるアプローチをしています。

​以下の2つのコースが設置されており、2年生からいずれかを選択して専門的に学んでいきます。

卒業後は、多くの学生が一般企業に就職しますが、約17％は大学院へ進学しています。

参照元：​関西学院大学 2023年度 進路・就職データ（学部）

東京神学大学

東京神学大学は、プロテスタント教会による神学校をつくる流れが結集して生まれた合同神学校です。

西南学院大学

西南学院大学は、プロテスタント最大教派であるバプテストの神学校にルーツをもつキリスト教系の私立大学です。

神学部に限らず全学生に対して「キリスト教学」と「チャペルアワー」という独自の教育プログラムを設けています。

神学部では聖書やキリスト教、神学について専門的に深く学び、キリスト教に関わる文化や歴史、哲学なども幅広く学びます。コースは以下の2種類です。

西南学院大学の神学部では、少人数教育やゼミ形式の授業など、学生一人ひとりに寄り添った教育と学生同士や教員との対話を重視した環境づくりに力を入れています。

そのため、教員や生徒との多くの対話を通して自分の考えを深めていきたい方におすすめです。卒業後は一般企業に就職する学生が多いですが、公的機関に就職したり教員になったりする学生も一部います。

参照元：西南学院大学​

入学後に取得を目指せる資格

​神学部では次のような資格を取得できます。

参照元：関西学院大学 神学部 進路・資格、関西学院大学 神学部 進路・資格 認定資格「宗教文化士」

これ以外にも「牧師」などの関連のある資格も取得しやすくなります。なお、取得可能な資格の詳細は大学により異なります。そのため、各大学のホームページにて確認するようにしましょう。

卒業後の主な進路と主な就職先を紹介

神学部出身者の進路は、次のように多岐にわたります。

• 大学院へ進学してさらに学びを深め、聖職者として教会に仕えたり、教団でキリスト教伝道者として働いたりする
  
• 宗教教育者、カウンセラー、社会福祉士などの職に就く
  
• キリスト教に関連するNPOやNGOでの活動など、社会貢献に直結した仕事を選ぶ
  
• 一般企業に就職する

神学部の卒業生の中では、一般企業への就職を選択する人が多いです。ここでは例として、同志社大学と上智大学の就職先をご紹介します。

神学部の卒業生は、キリスト教の学びで養った深い人間理解と倫理観を活かし、多様な職業で活躍していると言えます。

神学部に向いている人の特徴

神学部に向いている人の特徴は次のとおりです。

• 神父や牧師など、キリスト教の聖職者を目指す人
  
• 自身の人生観や価値観を見つめ直したい人
• キリスト教の倫理観や思想・芸術について考えたい人

神父や牧師など、キリスト教の聖職者を目指す人

神学部は、神父や牧師、伝道者を目指す人や教会に仕えることを志す人々が学びを深めるのに最適な学部です。なぜなら、神学部では次のようなことを深く学べるからです。

これらは、教会の中で人々に対して神の言葉を伝え、教会のコミュニティを支えるために必要なスキルです。

なお、神学部で学ぶことで、聖職者の専門職資格や試験の受験資格などが得られるので、聖職者を目指すなら、ぜひ神学部を選びましょう。

自身の人生観や価値観を見つめ直したい人

神学部は「宗教について真剣に学びたい」「宗教を知ることで自分の思想や価値観と向き合いたい」と思う学生には、とても有益な学びの場となります。

なぜなら、神学部では、聖書やキリスト教の歴史、神学的な考え方などを学び、宗教とは何か、人間とは何かという根源的な問いについて考えることができるからです。

神学部の授業は一般的に少人数であり、教授と学生がたくさん対話して深い議論を繰り広げられるのが特徴です。そのため、宗教についての理解を深めることで、自身の人生観や価値観を見つめ直す機会も得られます。

キリスト教の倫理観や思想・芸術について考えたい人

神学部は、キリスト教の倫理観や思想・芸術について考えたい方や、キリスト教に由来する文化や建築物などについて学びたい方にぴったりの学部です。

なぜなら、神学部では、絵画、彫刻、音楽などの様々なキリスト教の芸術作品を通してキリスト教の思想や哲学について学び、キリスト教と文化の関わりや歴史を学ぶことができるからです。

キリスト教は、愛と寛容を基本にした倫理観を持ち、その思想は西洋文化の基盤となっています。この倫理観や思想を深く学ぶことで、自身の視野を広げるだけでなく、世界的に広まっている西洋文化や社会への理解も深まります。

神学部で何を学ぶのか興味がある人がよく抱く疑問

最後に、神学部に興味がある人からよく寄せられる疑問について回答していきます。

神学部は就職に不利って本当？

「神学部は就職に不利」と言われることが多いですが、必ずしもそうではありません。例えば、同志社大学の神学部では、一般就職希望者の約9割が内定を獲得しており、他の文化系学部と同程度の就職率になっています。

​参照元：同志社大学 神学部/神学研究科 Q&A​

神学部での学びでは、単に宗教の知識を得るだけでなく、倫理観や思考力、対話によるコミュニケーション能力を養えます。これらのスキルは、どの職種に就いても必要とされるものです。

そのため、神学部出身ということに面接官が興味を示すケースも多く、一般企業への就職は決して他の文系学部より不利ということはありません。重要なのは、自分の強みや興味を活かせる仕事を見つけることです。

神学部生は卒業後に院に進学することが多い？

神学部は、大学院まで修了すると専門職の資格が得られるという特性があり、他学部と比べて大学院に進学する学生が多いです。

例えば、上智大学や関西学院大学では、他の文系学部の大学院進学者は一部の学部を除いて1割未満なのに対し、上智大学の神学部では24％、関西学院大学の神学部では約17％が学部卒業後に進学を選んでいます。

参照元

上智大学 2023年度 卒業・修了者進路状況報告書

​関西学院大学 2023年度 進路・就職データ（学部）​

自分に合った神学部の探し方を教えてもらえませんか？

あなたに最適な神学部を見つけるためには、自分の興味関心や目指す進路に合った大学を探すことが大切です。例えば、聖職者を目指す場合は、専門職養成のためのコースが設置されている大学が良いでしょう。

キリスト教の思想や芸術について深く学びたい場合は、その分野に強い教授陣がいる大学や興味のある科目が多い大学を選ぶのがおすすめです。

開講しているコースや科目名は大学公式サイトのカリキュラムやシラバスで閲覧できるので、各大学の特徴をしっかり把握して、自分が学びたいことが学べそうな大学を選びましょう。

神学部は同じ大学の他学部と比べて偏差値が低く、合格しやすいと聞きましたが、本当でしょうか？

神学部の偏差値が他の学部より低いからといって、必ずしも受かりやすいとは限りません。なぜなら、偏差値が低くても、倍率が高く、競争率が高いことがあるからです。

神学部はほとんどの大学で定員数が少ないため、難関大学として知られる上智大学、同志社大学、関西学院大学の神学部の一般選抜における倍率は、他の文系学部とほぼ変わらないか、やや高めです。

参照元：上智大学 2024年度一般選抜 入試統計一覧同志社大学 2024年度 一般選抜入学試験　志願者・受験者・合格者数、実質倍率、合格最低点関西学院大学 入学試験データ 2024​

そのため、難関大学を受験するなら、偏差値が低いからといって油断せず、しっかり試験対策をするようにしましょう。

このページのまとめ

今回は、神学部で学ぶことや各大学の神学部の特徴、卒業生の進路などについて解説してきました。最後に、重要な点をまとめます。

• 神学部はキリスト教について深く学べる学部であり、キリスト教の教理や倫理、歴史、思想、文化、芸術などについて専門的に学べます。
• 神学部には、キリスト教や宗教に関心のある学生や、将来、神父・牧師のようなキリスト教に関わる職業に就こうと考えている学生が集まります。
• 神学部は教会に仕える人を養成する専門の学部と思いがちですが、キリスト教徒でなくても入学でき、卒業生の多くが一般企業に就職する文系学部です。
  
• 神学部を設置している大学ごとに特色がありますが、少人数教育で教員と学生が密にコミュニケーションを取れる環境を整えていることなどは共通しています。
• キリスト教や宗教を学ぶことでさらに自分の信仰を深めたい方や、キリスト教を知ることで世界の人々への理解を深めたい方に最適な学部です。
  

このページの内容を通して神学部に興味を持った場合は、ぜひ、各大学の神学部について調べてみてください。