年内入試ナビ

作成日: 2025/4/08 更新日:2025/4/08

文化人類学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を徹底解説

文化人類学とは何を学ぶ学問?学ぶことや就職先を徹底解説

「文化人類学って何を学ぶの?」

「文化人類学を学んで得られる資格は?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、主に以下のことについて解説します。

  • 文化人類学とはどんな学問なのか
  • 文化人類学を専攻すると何を学ぶのか
  • 文化人類学を学べる大学
  • 文化人類学を学んだ後の進路や就職先
  • 文化人類学に向いている人の特徴

文化人類学とは何を学ぶのか気になっている方、キャリア選択の参考にしたい方はぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

文化人類学とは?

文化人類学とは?

文化人類学とは、人間の文化や社会の構造、発展を研究する学問の一つです。

人間の生活を形成する要素を研究対象としています。

  • 言語
  • 宗教
  • 芸術
  • 習慣
  • 価値観

これらがどのように発展し、人間の行動や思考にどう影響を与えているのかを明らかにするのが、文化人類学の役割です。

文化人類学は地域や時代を超えて人間社会の共通点や相違点を理解するための手段とされています。

文化人類学では何を学ぶ?

何を学ぶ?

文化人類学では、主に、文化の成り立ちや変遷、機能、影響に焦点を当てて人間や社会の文化的な側面を深く探求します。

具体的には、以下のような要素を研究します。

研究分野

研究内容

言語

言語が思考や行動にどのような影響を与えているのかを研究します。

宗教

信仰によって文化がどのように形成されてきたのかを分析します。

芸術

芸術が社会にどのように受け入れられてきたのかを探究します。

経済システム

経済システムが人々の行動をどのように規定しているのかを追究します。

家族構造

家族構造が時代とともにどのように変容してきたのかを学びます。

食事習慣

食事習慣が人々の生活習慣や価値観にどう影響しているのかを研究します。

生活様式
特定の国や民族、集団に共通して見られる生活の型を研究します。
社会制度
法や慣習によって整備された制度が人に与える影響を研究します。

​文化人類学では、特定の地域や集団の文化を深く理解するため、フィールドワークと呼ばれる現地調査も重要な学習方法となります。

そのため、統計学や調査方法などの研究技術も学んだ上で、実際に学外に出て、これらの内容を研究していくことになります。

研究分野

研究分野

文化人類学の研究分野は広範で多岐にわたり、各分野において、独自の視点から人間の文化を探求します。

ここでは、文化と人間の関係性を紐解くうえで代表的な研究の特徴をご紹介します。

学問分類

研究内容

社会文化人類学

特定の文化圏の人々の生活や社会構造、価値観を研究します。

言語人類学

言語と文化の関係性を深掘りします。

考古学

過去の文化を物質的遺産から解読します。

生物人類学

人間の進化や遺伝的多様性に焦点を当てます。

経済人類学
​人類のこれまでの経済現象を研究します。
宗教人類学
​宗教と人類の関係や歴史を研究します。
医療人類学
文化、慣習、地域性などの要素が医療に与えてきた影響を研究します。
都市人類学
人類が築いてきた都市から風習や流行、歴史を研究します。

​​また、近年、現代社会における重要な課題を文化人類学の視点から考察し、新たな解決策を導き出そうとする動きが出てきています。

その中でも、特に以下のテーマが関心を集めています。

人気の研究テーマ

研究目的

グローバリゼーションの影響

グローバリゼーションによって失われた文化の多様性を取り戻す

環境問題

環境破壊によって乱れた生態系を元の状態に戻す

ジェンダーとアイデンティティ

LGBTQなどの性的マイノリティーにも寛容な社会を実現する

人権問題

人権侵害をなくし、誰もが自由に生きられる社会を目指す

​文化人類学を通じてこれらの分野やテーマを深く探求することで、文化への理解を深め、人間の多様性を尊重する視点を養えます。

関連分野

​文化人類学は、人間の文化や社会を幅広く研究する学問であり、他の多くの学問と深い関連性があります。

その中でも、文化人類学への理解を深めるためには、特に以下の人文科学との関連性について調べると効果的です。

学問分野
研究内容
心理学
​人間の思考や行動がどのように文化に影響を与えるか、また、文化がどのようにして人間の思考や行動に影響を与えるかを研究します。
歴史学
​過去の人間の行動を理解するために、遺物や文献などの歴史的な証拠を分析します。
社会学
​社会の構造や機能、変化を異文化の視点から考察します。
民俗学
自国や世界各国に存在する、あるいは存在していた民族の生活、風習、文化、伝承などを研究します。

これらの関連分野を理解し、それぞれの学問との関連性を探求することで、文化人類学への理解をより深めることができます。

学部・学科の例

学部・学科の例

文化人類学は文学部の専攻の1つとして位置付けられることがほとんどです。

具体的には、下記のような学部で学ぶことができます。

  • 文学部
  • 社会学部
  • 人間学部
  • 人文学部
  • 外国語学部
  • 国際学部

他にも、建築学部や芸術学部でも、人間や歴史を理解するという目的で文化人類学を学べる大学があります。​

大学の例

大学の例

日本には、文化人類学を専門に学べる大学が数多く存在します。

ここでは、その中でもおすすめのカリキュラムがある大学をご紹介します。

なお、「年内入試ナビ」では文化人類学を学べる大学をまとめています。

参考:文化人類学を学べる大学はこちら

千葉大学 文学部行動科学コース文化人類学専修

外国人留学生や帰国子女を積極的に受け入れているため、教室や研究室において異文化コミュニケーションを日常的に実践しやすい場が作り出されています。

また、海外研修、留学、現地調査もおおいに奨励されており、手厚い援助があります。

参考:千葉大学 文学部行動科学コース

南山大学 人文学部人類文化学科

南山大学 人文学部人類文化学科

知識の実際的な活用方法を訓練するため、教員との距離が近い少人数制の演習が多く用意されています。

学内の博物館には考古学と文化人類学の豊富な資料を収蔵しており、実物の資料を手に取って学べることも大きな特長です。

参考:南山大学 人文学部人類文化学科

京都精華大学 国際文化学部人文学科

1年次の6カ月間は全学生がキャンパスを離れて現地調査へ行くことになります。

テーマは自身の興味や関心にあわせて自由に設定でき、京都をはじめ国内や世界各地でとことん研究できるので、実践的な調査力が身につきます。

参考:京都精華大学 国際文化学部人文学科

文化人類学を学んだ人の就職先、進路

就職先、進路

文化人類学を学ぶことで、どのような業界・業種に就職しているのでしょうか?

一例を見てみましょう。

国際機関の職員

国際機関とは、国際連合(UN)および国連総会により設立された国連の下部機関のことを指します。

具体的には下記のような機関があります。

  • 国連開発計画(UNDP)
  • 国連環境計画(UNEP)
  • 国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)
  • 国連人口基金(UNFPA)
  • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

など

文化人類学で学んだ各国の歴史や文化、宗教、風習などは、国際機関でグローバルに働く人にとって有益な知識となるでしょう。

公務員(国家、地方)

公務員

国家、地方、どちらの公務員も、文化人類学を学んだ人の進路となり得ます。

文化人類学の専攻内容によっては、人類が歴史上どのような政治を行い社会を築いてきたか、ということを学びます。

その内容を顧みて、公務員として行政に携わります。

また、文化人類学ではフィールドワークも多様です。

その経験を活かし、地域の人々の課題解決にあたることもできます。

教員(小中学校、高校)

​大学によっては、文化人類学の学びを教職課程に含んでいる学校もあります。

その制度を活かし、教育職員免許状(教員免許)を取得して教員になる人もいるようです。

教職で担当する教科は、社会や歴史が多いようです。

ただし小学校の教員になる場合、国語算数理科など他の基礎科目の指導もできるようになる必要があります。

参考:教師になるには?必要な資格や小学校・中学校・高校別のなり方を解説

学芸員

学芸員

学芸員は、博物館の職員として働く専門職です。

博物館に保管されている資料の保管管理、博物館のお客さま対応、新たな資料の発掘・研究などを行います。

文化人類学に関する博物館は、過去に日本に住んでいた民族、その民族の文化や風習など、日本人のルーツを探る上で重要な研究を行っています。

一般企業のマーケティング担当、人事担当

一般企業では、マーケティングや人事などの部門で活躍する例も見られます。

文化人類学で身につけた多角的な視点は、ユーザーや消費者の行動を理解し、新たな価値を創造するための重要な要素となります。

マスコミ、出版系

マスコミ、出版系

マスコミや出版など、情報発信に関する業界も、文化人類学を学んだ人の代表的な就職先です。

大衆の文化や考え方を学び、それらに受け入れられる表現を考え、発信します。

また、現代に残る古来からの風習を伝え、後世に残していくことも、マスコミ系の大切な役割です。

よくある疑問と回答

よくある疑問と回答

​文化人類学に興味がある人がよく抱く疑問に対して具体的に回答していきます。

  • 国際協力の現場で活動するNGOやNPOスタッフ、国際機関の職員
  • 地域振興に携わる公務員
  • 教育機関や博物館
  • マスコミ、広告代理店

文化人類学を学ぶ意義は?

​文化人類学を学ぶ意義は、多様な文化を理解し、異なる視点から世界を捉える力を身につけることにあります。

文化人類学では、様々な地域や時代の人々の生活や思考、価値観を学ぶ中で、現代の時代背景への理解を深めていきます。

それを通して、自分たちの生活や社会にはどのような文化があるのかを認識すると、次第に他の文化を尊重できるようになります。

異文化を理解することは、グローバル化が進む現代社会において、コミュニケーションを取る上で重要な能力となります。

文化人類学を学ぶと、多様な文化を理解できるようになるので、広い視野や深い思考力に根差したコミュニケーションが取れるようになります。

文化人類学の魅力とは?

魅力

文化人類学の魅力は、多角的な視点から世界を理解する力を養えることです。

他の学問では見過ごされがちな細部にまで目を向けるので、様々な情報の中から本質を見つけ出す力を伸ばすことができます。

また、自身の文化や価値観を客観的に見つめ直すことで、異なる文化や社会に対する理解を深められます。

さらに、フィールドワークで世界各国の文化や実態を体験できる機会があるのも、文化人類学の魅力です。

文化人類学を学んで役に立つことは?

文化人類学を学ぶと、多文化共生社会を作り上げるうえで重要な異文化への理解が深まります。

幅広い知識を身につけながら世界の様々な文化や生活様式の違いを理解することで、異文化や他者への理解を深め、どのようにすれば共生できるのかを模索できるようになります。

また、文化人類学では、人間の生活や文化を多角的に研究するため、社会問題を多角的に捉える力も養えます。

文化人類学は他の社会科学と密接に関連しており、人間の行動への理解を深める中で観察力や分析力を鍛えることができます。

物事を多角的に見る視点や情報を整理して分析する能力はビジネスでも活用できるので、身につけられると社会で活躍しやすくなります。

文化人類学を専攻する事が向いている人の特徴は?

向いている人の特徴

文化人類学を専攻するのに適した人の特徴としては、以下の3つが挙げられます。

  • 広い視野を持ち、異なる文化や価値観に対する理解と敬意がある
  • 新しい文化に触れることに対する好奇心があり、現地で直接経験を積むことに興味がある
  • 異なる視点から物事を考えることができる柔軟性がある

文化人類学は人間の文化や社会を研究する学問であり、多様な視点や包括的な理解が求められます。

そのため、異文化理解を深め、自分自身の視野を広げることに魅力を感じる人に適しています。

また、文化人類学は、現地に入って実際にフィールドワークでの実体験を通じて学ぶことができます。

したがって、異文化への興味や好奇心が強い人にも適しています。

さらに、文化人類学は他の学問と組み合わせて学ぶことも多いため、多角的な視点も重要となります。​

文化人類学系の学部や学科にはどのようなコースがある?

文化人類学系の学部や学科では、多岐にわたるコースが設けられています。

一般的には、基礎的な理論から学び始め、興味関心に応じて具体的な研究テーマを決めていくという流れでカリキュラムが進んでいきます。

具体的なコースとしては、以下のようなものが挙げられます。

コース

研究の観点

社会文化人類学

人間の社会や文化

物質文化人類学

物質文化の変遷

医療人類学

医療と人間の関わり

ビジュアル人類学

視覚文化

​​文化人類学と民俗学の違いは?

​​文化人類学と民俗学の違い

文化人類学と民俗学は共に人間の文化や生活を研究する点で似ていますが、研究対象やアプローチ方法に違いがあります。

文化人類学は、全世界の様々な文化を対象に、その起源や変遷、そして文化間の関係性を探求します。

一方、民俗学は、特定の地域やコミュニティの伝統や習慣を詳細に調査し、その背後にある意味や価値観を解明します。

また、文化人類学は比較文化研究の観点から多様な文化を横断的に比較します。

しかし、民俗学は、より具体的な地域性や特性に焦点を当て、その地域独自の文化や伝統を深く理解することを目指します。

これらの違いを踏まえて、どちらの学問を深く学ぶべきか、あるいはどのように組み合わせて学ぶべきかを考えてみてください。

まとめ

まとめ

本記事では、文化人類学の具体的な内容について詳しく解説してきました。

その中でも、文化人類学について重要なポイントを最後に記載していきます。

  • 文化人類学とは、異なる文化を持つ人々の生活や価値観を理解し、それらがどのように形成され、変化していくのかを学ぶ学問です。
  • 具体的には、民族の歴史、社会構造、宗教、言語、芸術など幅広いテーマを学びますが、自分が興味を持ったテーマを深く研究する機会もあります。
  • 文化人類学を専攻すると、社会の多様性を理解し、問題解決に役立つ視点を持つことができます。
  • フィールドワークや実習などを通じて実際の現地調査を行うなど、実践的な学びの場も提供されています。
  • フィールドワークや実習などでは、人間の文化や社会がどのように形成され、変化してきたのか、また、それらが人間の行動や思考にどのように影響を与えているのかを調査・分析します。
  • これらの調査・分析により、人間の行動や思考の背後にある社会的・文化的要素を解明し、その理解を深めることが可能となります。
  • 文化人類学は、異文化を理解して国際感覚を身につけたい方や人間の生き方や文化に深く興味がある方に向いています。

この記事を通じて、文化人類学についてより深く理解し、進路選択にお役立ていただければ幸いです。

この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


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