作成日: 2026/2/20 更新日:2026/2/20
農学とはどんな学問?研究する内容や農学部で学べることも紹介!

「農学部に興味があるけど、具体的に何を学ぶのかわからない」
「生物や環境問題に関心はあるけど、農学部で学ぶことは農業だけなのかな?」
このような疑問を持つ高校生も多いのではないでしょうか。
実は農学は、食料生産から環境保全、さらにはバイオテクノロジーまで幅広い分野をカバーする総合的な学問です。
本記事では、農学の基礎から研究内容・農学部での具体的な学びまで、わかりやすく解説していきます。
これから農学を選ぶ学生の方や農学に興味がある方・農学を学んだあとの進路を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
農学とは?

農学は、私たちが生活するうえで欠かせない食物を生産するための学問分野です。
農学の研究は、人類が直面する食糧問題や環境問題への解決策を見つける一助となります。
ここでは、農学についてさらに深く掘り下げていきます。
学問としての農学とは
農学は、食料生産をはじめとする農業全体を科学的に研究する学問です。
食料生産の基盤となる農業だけでなく、林業・水産業・畜産業まで幅広い分野を包含し、第一次産業の発展と改良を目指します。
農学の学問分野は、以下のとおりです。
学問分野 | 説明 |
|---|---|
生物学 | 作物や家畜の生理機能・遺伝的特性・病害虫との関係性を理解し、品種改良や生産性向上に活用する基礎となる学問 |
化学 | 土壌の成分分析や肥料開発・農薬の合成・食品加工における化学変化の理解など、農業生産の効率化と品質向上を支える学問 |
地球科学 | 気候変動や土壌形成過程・水循環などの理解を通じて、持続可能な農業生産システムの構築や環境保全型農業の実践に不可欠な学問分野 |
社会科学 | 農業経営・食料経済・農村社会の構造分析・農業政策の立案など、農業の社会経済的側面を理解し、実践的な解決策を提供する学問領域 |
農学の基本的な目的は、植物や動物の生物学的な特性を理解したうえで、最大限の生産効率を達成することです。
加えて、農学では以下のような課題にも取り組んでいます。
- 持続可能な農業システムの構築
- 農業による環境影響の最小化
- 農産物の品質向上
- 農業経済や政策の理解 など
このような取り組みにより、農学者は地域社会の発展や食糧安全保障に大きく貢献しているといえるでしょう。
歴史とその発展とは

農学は、古くは農民から農民へと口承で伝えられる知識・ノウハウとして始まりました。
そんななか、1840年にドイツ人科学者のリービッヒによって、近代農学の基礎が確立されます。
リービッヒは、植物栄養の化学理論の確立や有機化学分析装置の開発によって農学に大きく貢献しました。
その後、生物学や化学・物理学などの基礎科学の発展とともに、作物の光合成や無機栄養に関する理解が深まっていきます。
結果として、品種改良や栽培技術が飛躍的に向上しました。
以上のように、近代農学は、人口増加を背景に、以下の観点から食料を安定して生産することの実現をテーマとしていました。
- 植物の遺伝や品種改良
- 肥料や土の性質の研究
- 害虫・病気の原因と対策
- 農業機械・技術の開発
一方、現代では、人口増加や資源制約に対応するため、持続可能な農業システムの構築が重要な課題となっています。
現代農学のテーマとしては、環境問題・地球温暖化・食料危機などの深刻化を背景に、以下のようなものが挙げられます。
- 環境保全
- 持続可能な農業(サステナブル・アグリカルチャー)
- バイオテクノロジー
- 世界の食料分配や農業経済
主な研究内容

農学の研究内容は、多岐にわたります。ここでは、農学の研究内容を詳しく見ていきましょう。
農業との関連性とは:農業の進化と環境保全
農学は、生物の生産・保存、生産物の加工・貯蔵・流通などに関する総合科学です。
農業は、人類の生存と発展に欠かせません。
しかし、農業活動は土壌の肥沃性の低下・水質汚染・生物多様性の減少など、環境問題を引き起こす一面もあります。
そこで農学では、農業が引き起こす問題を解決するために、農業技術の進化と環境保全の両立を目指した研究が行われています。
具体的に取り組まれている研究内容は、以下のとおりです。
研究領域 | 目的 |
|---|---|
植物の生長メカニズムの解明 | 植物の生長に関するメカニズムを解明し、収量と品質の向上を図ることを目的とする。 |
土壌の健康状態の把握 | 土壌の健康状態を正確に把握し、持続可能な農業の基盤を強化することを目指す。 |
農薬や化学肥料の適切な使用方法の検討 | 農薬や化学肥料の効果的かつ環境に優しい使用方法を研究し、農業の持続可能性を高めることを目的とする。 |
生態系の保全 | 土や水を守りながら作物を育てることによって森林・草地・水田などの生態系を守ることを目指す。 |
このような研究により、環境に与える影響を最小限に抑えつつ、効率的かつ持続可能な農業の実現に向けた道筋が探求されています。
その他農学の研究内容について

農学の研究は、単に作物を育てて収穫するだけではありません。
以下の学問も密接に関連しています。
学問 | 説明 |
|---|---|
土壌学 | 土壌の構造・組成・肥沃度・環境影響を研究し、作物生産に役立てる学問。 |
植物生理学 | 植物の生理的機能や成長過程を解明し、農業生産の向上を図る学問。 |
遺伝学 | 遺伝子の構造と機能・遺伝現象を研究し、作物の改良に応用する学問。 |
微生物学 | 微生物の構造・機能・環境との相互作用を研究し、農業に役立てる学問。 |
生物学 | 生命の基本構造・機能・進化・相互作用を研究し、広範な生物現象を理解する学問。 |
作物学 | 作物の収穫量を増やす方法や品種改良について研究する学問。 |
植物病理学 | 作物の病気の原因と予防法について研究する学問。 |
応用昆虫学 | 害虫・益虫の生態と、その活用・防除について研究する学問。 |
家畜生産学 | 牛・豚・鶏などの家畜の育て方や健康管理について研究する学問。 |
食品科学・発酵学 | ヨーグルト、味噌、チーズなどの食品の機能や作り方について研究する学問。 |
農業経済学 | 農家の収入、農産物の価格、世界の農業貿易について研究する学問。 |
農学では、このような学問からのアプローチを通じて様々な観点から農業について研究します。
農学を学ぶ理由と他の学問にはない農学の魅力とは

農学を学ぶ理由は、ひとつやふたつに絞りきれません。この章では、農学を学ぶ理由と他の学問にはない魅力の2つを紹介していきます。
農学を学ぶ理由とは
農学を学ぶ理由は多岐にわたりますが、そのなかでも、とくに重要な理由を以下にいくつか挙げていきます。
理由 | 詳細 |
|---|---|
食糧問題の解決 | 作物の生産性を向上させる技術や持続可能な農業方法を研究・開発することで、安全で持続可能な食糧供給を実現する。 |
環境保全 | 土壌の管理・水資源の保護・生物多様性の維持など、環境に関わる多くの問題を扱い、環境に優しい農業技術を学び、実践する。 |
地域社会の発展 | 農学の知識を持つことで、地域の経済発展や住民の生活向上に貢献し、特に発展途上国では農業の効率化と技術革新が重要。 |
学際的アプローチ | 植物生理学・遺伝学・土壌学・気象学など、多岐にわたる分野の知識を統合して問題解決に取り組む学問。 |
多様なキャリアパス | 研究者・農業コンサルタント・政策アドバイザー・企業の技術者など、農学の知識と技術を活かせる職業が幅広く存在する。 |
以上のような理由から、農学を学ぶことは非常に意義深いものです。
食糧問題の解決・環境保全・地域社会の発展・科学的アプローチの習得・多様なキャリアパスなど、多くの魅力が詰まっています。
農学を学ぶことで、農業分野だけでなく環境保全や食品産業・国際協力など幅広い分野での活躍が期待されるでしょう。
他の学問にはない魅力

農学には他の学問にはない独自の魅力が数多くあります。
具体的な農学の魅力は、以下のとおりです。
農学の魅力 | 詳細 |
|---|---|
自然と直接向き合う | 植物や動物・土壌・水など自然環境の多様な要素を対象とし、フィールドワークや実験を通じて実際に手を動かす経験が豊富に得られる。 |
社会貢献の実感が得やすい | 食糧生産や環境保全・持続可能な社会の構築に直接関わり、自分の研究や活動が社会に与える影響を実感しやすい。 |
多学問的なアプローチ | 生物学・化学・物理学・経済学・社会学など、さまざまな分野の知識を統合して問題解決に取り組むため、総合的な学力が養われる。 |
グローバルな視点 | 国際的な研究プロジェクトや海外研修の機会が豊富にあり、異なる文化や価値観を持つ人々と協力してグローバルな視野を広げられる。 |
実践的な学び | 研究室での実験やフィールドでの調査・インターンシップを通じて、実社会で即戦力として活躍できるスキルが身につく。 |
とくに近年は、気候変動や食糧安全保障といった地球規模の課題に対する関心の高まりとともに、農学の重要性がますます認識されています。
農学は他の学問にはない独自の魅力を持ち、多くの学生を惹きつけているといえるでしょう。
農学部で学ぶこととは

農学部では、農業と農業に密接に関連した多岐にわたる学問を学びます。どのようなことを学ぶのかについて、一部紹介します。
学ぶこと | 内容 |
|---|---|
作物の生育と病害虫の管理 | 作物の成長過程と病害虫の影響を理解し、効果的な管理方法を学ぶ。 |
土壌の性質とその管理方法 | 土壌の物理的・化学的性質と適切な管理方法を学び、作物生産を支える。 |
畜産 | 家畜の育成・飼育管理・繁殖技術を学び、効率的な畜産業を目指す。 |
農業経済 | 農業の経済的側面を理解し、経営戦略の立て方や市場分析の方法を学ぶ。 |
環境保全 | 環境保全の重要性と実践方法を学び、持続可能な農業を推進する。 |
食糧問題 | 世界の食糧問題を理解し、解決策を探るための知識と技術を学ぶ。 |
科学技術を活用した農業の進化 | 最新の科学技術を利用して、農業の生産性と効率を向上させる方法を学ぶ。 |
農学部の学習スタイルは、地域との連携が深く、自然と触れ合いながら学ぶことが多いのが特徴です。
そのため、農学部では自然と人間との共生を学び、持続可能な社会の実現に向けた知識と技術が身につきます。
大学の農学部での学びの特徴
農学部では、実地の農場での実習やフィールドワークを通じて、実践的なスキルも学びます。
実践に基づいたノウハウを学べるため、卒業後は農業に関連した仕事に就きやすくなるでしょう。
また、研究プロジェクトや卒業論文の作成を通じて、あなた自身の研究を進める能力や、科学的な問題解決スキルも養えます。
さらに、地球規模の問題に対処するための実践的な知識とスキルが身につくのも農学部の魅力です。
農学部で培われたスキルは、地域の農業振興から国際的な環境保護活動などで活躍するための重要な基盤となるでしょう。
農学部のカリキュラムと学習スタイル

農学部のカリキュラムは、一般的な大学では以下のとおりです。
年次 | 学習内容 |
|---|---|
1年次 | 基本的な生物学・化学・物理学・数学などの科目を履修。 |
2年次以降 | 農業経済学・土壌学・作物学・家畜科学・農業工学・環境科学などの専門科目を学び、実習も含む。 |
学習スタイルも、一般的な学部生とは異なる特色があります。
たとえば、以下のような内容が農学部の特徴的な要素です。
特徴 | 内容 |
|---|---|
実地体験 | 農場や実験圃場での実地体験を通じて、理論と実践を結びつけた学びを実現する。 農家や企業との共同研究の機会もある。 |
地域との関わり | 地域の農業者や団体と連携し、地域密着型の活動を通じて実践的な知識を習得する。 地域の小・中学校と連携した食育活動の機会もある。 |
農学部の学生は、実際の農地での実習やフィールドワークが多く、都市部の大学とは異なる体験ができるでしょう。
グループワークやプロジェクトに取り組む機会も多く、チームワークを育む経験も得られます。
さらに、地域と密着した活動を行うことも多く、地域への貢献や地域との交流を通じて社会貢献の意識を深められるでしょう。
こんなテーマで学ぶ!農学部の講義とは

農学部には、魅力的な講義が数多くあります。ここでは、代表例として以下の3つを紹介します。
- 環境保全と持続可能な農業
- 植物の生理学とバイオテクノロジー
- 農業経済学と経営学
それぞれ詳しく見ていきましょう。
環境保全と持続可能な農業
環境保全と持続可能な農業では、持続可能な農業の基本原則とその実践方法を学びます。
具体的には、有機農業や輪作・土壌保全技術・農薬の使用を最小限に抑える方法などを取り扱います。
また、環境に優しい農業技術の開発とその効果について学べるのも本講義の特徴です。
持続可能な農業は、地球環境の保護と食料安全保障に直結する重要なテーマといえるでしょう。
植物の生理学とバイオテクノロジー

植物の生理学とバイオテクノロジーの講義では、植物がどのように成長し、どのように環境に適応するのかを学べます。
光合成や呼吸・栄養吸収などの基本的な植物生理学を学んだあと、最新のバイオテクノロジーを用いた植物の改良技術にも触れます。
遺伝子組み換え作物やクローニング技術のほか、病気に強い品種や寒さに強い品種などをつくる遺伝子の研究による品種改良など、現代農業の最前線を学べるでしょう。
農業経済学と経営学
農業経済学と経営学は、農業をビジネスとして成功させるための経済学と経営学の基本原理を学ぶ講義です。
例えば、農産物の市場を分析することで、農産物の価格はどう決まるのかが分かります。
また、経営戦略や財務管理について学ぶことで、農家の経営を安定させるにはどうしたらいいかが分かります。
他にも、農業政策などの観点から世界の貿易や食料問題と日本の農業の関係について学びます。
このように、農学部には実践的で魅力的な講義が数多くあります。
農学部で受講できる講義を通じて、実践的なスキルを習得できるでしょう。
農学を学べる大学の選び方

農学を学びたい方にとって、どの大学を選ぶかは重要です。以下、ポイントを絞って大学選びのコツを紹介します。
選択基準 | 詳細 |
|---|---|
興味のある分野で絞る | 農学には、植物学・動物学・環境科学など多くの専門分野があり、自分が興味を持っている分野がカバーされている大学を選ぶ。 |
実践的な学習環境 | 実験施設や農場が充実している大学では、実践的なスキルを学べる。インターンシップやフィールドワークの機会が多い大学も魅力的。 |
立地 | 山・海に近い環境や広い農場が確保しやすい場所など、立地が学びの質に直結しやすい。 |
教授陣と研究環境 | 優れた教授陣がいる大学では、高度な知識と最新の研究成果を学べる。研究施設やプロジェクトも確認。 |
卒業生の進路 | 卒業生がどのような職業に就いているかを確認し、就職支援が充実している大学では、卒業後のキャリアパスが明確になる。 |
農学を学べる大学を選ぶ際には、興味のある分野や実践的な学習環境・教授陣と研究環境・卒業生の進路を重視して選ぶことが大切です。
また、可能ならオープンキャンパスや説明会に参加しリアルな情報を得るのも効果的です。
以上のポイントを踏まえ、自分に最適な大学を選びましょう。
農学を学べる学校は?大学の例
農学を学ぶにはどんな大学があるのでしょうか。ここでは、農学部が設置されている大学として、以下の大学を紹介します。
- 北海道大学 農学部
- 京都大学 農学部
- 東京農業大学 農学部
ぜひ、参考にしてみてください。
北海道大学 農学部

北海道大学の農学部は、広大なキャンパスを活かしたフィールドワークが充実しています。
とくに、寒冷地農業の研究が盛んで、雪や寒さを利用した農業技術の開発が行われています。
また、酪農学や畜産学にも力を入れており、動物の飼育や管理に関する教育が充実しているのも特徴です。
北海道大学の農学部の主な専攻は以下のとおりです。
専攻 | 特徴 |
|---|---|
生物資源科学科 | 農作物の生産や改良、農業環境の保全を学ぶ。 |
応用生命科学科 | 遺伝子や細胞を利用したバイオテクノロジーの研究を行う。 |
生物機能化学科 | 生物の機能や構造を化学的に解析する方法を学ぶ。 |
森林科学科 | 森林の保全・管理・利用に関する総合的な教育を受けられる。 |
農業経済学科 | 農業経済や農村社会の発展に関する研究を行う。 |
畜産科学科 | 家畜の飼育管理・繁殖・健康維持に関する教育を受けられる。 |
生物環境工学科 | 環境負荷の少ない農業を理工学的に研究し、持続可能な食料生産を目指す。 |
参照:北海道大学農学部
各学科はそれぞれ異なる強みがあるため、学生は自分の興味や将来のキャリア目標に合った分野を選択できるでしょう。
京都大学 農学部

京都大学の農学部は、伝統的な農学に加え、環境保護や持続可能な農業の研究に力を入れています。
フィールドワークを重視し、実践的な教育に力を入れているのが京大農学部の特徴です。
京都大学の農学部の主な学科は、以下のとおりです。
学科 | 特徴 |
|---|---|
資源生物科学科 | 食用作物・資源植物・家畜・魚介類・微生物など多様な生物を研究。マクロからミクロまでの様々な視点から生物資源の安定生産と品質確保を目指す。 |
応用生命科学科 | 農業生産、発酵・食品・化学工業・環境保全などの問題を生命現象の原理から解明。バイオテクノロジー技術の開発を行う。 |
地域環境工学科 | 環境と調和した効率的な食料生産・環境・エネルギー問題の解決を目指す。水・土・緑系とフィールドロボティクスなどの食料・エネルギー系の研究を行う。 |
食料・環境経済学科 | 食料問題と環境問題を研究。途上国の貧困問題・人口問題・農林水産物の貿易問題・持続可能な資源循環型社会について研究。 |
森林科学科 | 森林の保全・管理、木材資源の利用に関する研究を行う。生態系・生物材料・森林管理などについて多角的な研究を展開。 |
食品生物科学科 | 食の「科学」を体系的に学ぶ。食品生命科学・食品健康科学・食品生産工学の3大講座制で実習系科目を重視。 |
参照:京都大学農学部
このように農学部では、農業生産やバイオテクノロジー・農村インフラ・農業経済など多岐にわたる専門分野を学べます。
学生は、自分の興味やキャリア目標に応じて最適な学科を選択できるでしょう。
東京農業大学 農学部

東京農業大学は、実践的な農学教育に力を入れている私立大学です。
農業技術や農業経営に関する実習が充実しており、農場での仕事を経験できるのが東京農業大学農学部の大きな魅力です。
とくに、バイオサイエンスや食品科学・環境保全など多岐にわたる専門分野が揃っており、幅広い選択肢があります。
東京農業大学の農学部の主な学科は、以下のとおりです。
専攻 | 特徴 |
|---|---|
農学科 | 食料生産を中心に、稲・麦・野菜・果樹・ハーブなどの栽培から流通まで幅広く学ぶ。持続可能な次世代型農業の創造に貢献できる人材を育成する。 |
動物科学科 | 産業動物、伴侶動物、動物園動物などを対象に、生命・制御分野と機能・生産分野の2領域で研究。動物の生命現象や機能の理解と応用を目指す。 |
生物資源開発学科 | 「植物」「動物」「昆虫」の3分野を生態系から遺伝子レベルまで学び、生物多様性の解明と保全、新たな生物資源の探索を行う。 |
デザイン農学科 | 生き物や食が持つ潜在能力に着目し、持続可能な社会をデザイン。SDGs実現のための新発想の農学を目指し、消費者や生活者目線での「農」を学ぶ。 |
参照:東京農業大学農学部
なお、バイオセラピー学科は2018年度より募集を停止しています。
東京農業大学の農学部では、持続可能な農業技術や動物の飼育管理・社会課題解決に貢献する教育を受けられるでしょう。
学んだあとの進路・就職先とは

農学を学んだあとの進路は多様です。卒業後の進路は、あなた自身の興味や専門性により大きく左右されます。
農学部卒業生の進路や就職先について、詳しく見ていきましょう。
農業試験場の研究員
農学を学んだあとの進路のひとつとして、農業試験場の研究員があります。
農業試験場の研究員とは、主に新品種の開発や病害虫の防除法・農作物の栽培方法など、農業に関わる幅広い研究を行う専門家です。
具体的な仕事内容は、以下のとおりです。
仕事内容 | 解説 |
|---|---|
作物の改良研究 | 新しい品種や収量向上を目指し、作物の改良に関する研究を行う。 |
病害虫対策の研究 | 農作物の病害虫対策を研究し、効果的な防除方法を開発する。 |
栽培技術の開発 | 効率的で持続可能な栽培技術を開発し、農業生産の向上を目指す。 |
土壌改良の研究 | 土壌の改良や肥料の適正使用方法を研究し、作物生産を支援する。 |
農業機械の開発 | 農業機械の新技術を開発し、農作業の効率化を図る。 |
研究成果の普及 | 研究成果を農家や関連団体に広め、実際の農業に応用する。 |
以上の仕事は、農学の知識を活かして農業の発展や食糧問題の解決に寄与できるという点で、社会的意義が大きい職業といえます。
また、公的機関での研究職ということもあり、安定した就職先として人気があります。
求められる知識や技術は専門的で高度なものが多く、大学での学びが直接活かせるのも農業試験場の研究員の特徴です。
研究成果を通じて、直接農業の現場や生産者を支えるというやりがいを感じられるでしょう。
普及指導員

普及指導員は、農業に関する最新の知識や技術を農家に伝え、その技術の普及・実践を支援する重要な職業です。
具体的な仕事内容と資格について説明します。
仕事内容
普及指導員の仕事内容は、以下のとおりです。
普及指導員は、農業に特化した仕事であるため、農学部で学んだことを本格的に活かせる職種といえるでしょう。
仕事内容 | 解説 |
|---|---|
農業技術の指導 | 農業技術の最新情報を提供し、農家に対して技術指導を行う。 |
農業経営のアドバイス | 農業経営の効率化や収益向上のためのアドバイスを行う。 |
農作物の病害虫対策 | 農作物の病害虫の発生を予防し、適切な対策を指導する。 |
環境保全の支援 | 持続可能な農業のために環境保全の方法を提案・支援する。 |
農産物の品質管理 | 農産物の品質向上のための管理方法を指導し、品質管理を行う。 |
地域農業の振興 | 地域の農業振興を目的とした活動やプロジェクトを企画・実施する。 |
資格要件
普及指導員資格試験を受けるには、学歴に応じた実務経験が必要です。
実務経験
以下の分野での実務経験が求められます。
- 農業または家政に関する試験研究業務
- 農業または家政に関する教育
- 農業または家政に関する技術の普及指導
学歴
実務経験の長さは学歴によって異なるものの、旧資格である改良普及員資格を保持している方は2年の実務経験で済みます。
学歴 | 条件 |
大学院修了者 | 2年以上の実務経験が必要。 |
大学卒業者 | 4年以上の実務経験が必要。 |
短大等卒業者 | 6年以上の実務経験が必要。 |
高等学校卒業者 | 10年以上の実務経験が必要。 |
改良普及員資格試験合格者 | 学歴にかかわらず、2年以上の実務経験が必要。 |
(注)普及指導員の監督の下に農業又は家政に関する技術についての普及指導に従事した者であって、その従事した期間が通算して2年以上に達する者については、実務経験の期間は2年短縮されます。
資格試験
試験は以下の方法で実施されます。
- 書類審査:実務経験に関する業績報告書の審査
- 筆記試験および口述試験:専門知識、常識、普及指導員としての必要能力の評価
普及指導員は、多岐にわたる専門知識を活かし、直接農業の現場で活躍できる職種です。
農業関連団体
農学を学んだあとの進路として、農業関連団体に就職するという選択肢もあります。
農業関連団体は、大きく4つの団体に分かれます。
- 農業協同組合
- 農業生産法人
- 地域農業振興団体
- 農業研究機関
農業関連団体で働くことで、農学の知識を農業の発展や地域経済の振興に役立てられるでしょう。
農業関連団体の仕事とは
具体的には以下の仕事内容があります。
仕事内容 | 解説 |
|---|---|
新しい農法の開発や生産者の指導 | 最新の農法を開発し、生産者に対して技術指導を行い、効率的な農業を推進する。 |
農産物の販売推進 | 農産物の市場拡大を目指し、販売戦略やプロモーション活動を行う。 |
地域資源を活かした農業計画の策定 | 地域の特性を活かした持続可能な農業計画を策定し、地域振興を図る。 |
国や地方自治体の農業政策に関する調査・研究や提言 | 農業政策の現状を調査・研究し、改善案を提言し、農業の発展を支援する。 |
農学を学んだ学生にとって、あなたの専門知識を活かして社会貢献できる場として、農業関連団体は大いに魅力的な進路といえるでしょう。
ただし、農業関連団体への就職を目指す場合は、自身の興味や適性・分析し、具体的なキャリアパスを描くことが大切です。
食品メーカー

食品メーカーは、農学部出身者が活躍できる就職先です。
農学の知識を活かして、食品の安全性や品質向上に貢献できます。食品メーカーには、以下のような仕事があります。
仕事内容 | 解説 |
|---|---|
新製品の開発や既存製品の改良 | 消費者のニーズに応じた新製品の開発や既存製品の改良を行い、製品の魅力を高める。 |
品質管理 | 製品の安全性と品質を確保するため、製造工程の監視と検査を行う。 |
生産技術の改善 | 生産効率を向上させるため、製造プロセスや技術の改善を推進する。 |
また、食品メーカーで働く魅力は、以下のとおりです。
- 国内だけでなく海外にも拠点を持つ企業が多く、国際的な場での活動が期待される。
- 食品という身近なテーマを通じて社会に貢献できる点が魅力となる。
- 農学の知識を活かして、食の安全性や栄養価を高め、人々の健康や生活の質を向上させることが期待される。
農学を学んだ人が食品メーカーで活躍するためには、基礎的な農学の知識を深めるだけでなく、広範な視野を持つことが重要です。
種苗会社・農薬メーカー・肥料メーカー
種苗会社では、作物の種や苗を販売するほか、農薬メーカーや肥料メーカーでは農薬や肥料を販売します。
自社で商品を開発することもあるため、農学の知識を生かすことができます。
自分で農業経営

新規就農したり農業法人を立ち上げたりするなどして、自ら農業で経営することもできます。
農業は近年注目されている分野であり、若者が就農するケースも増えています。
大学院への進学
農学の知識をより専門的に学びたいという方や、研究者としてのキャリアを目指す方は、大学院に進学します。
とくに、研究職を目指す場合は、大学院に進学するのがおすすめです。
大学院では、農業生産技術の進化や作物の遺伝子改良・生態系の保全といったテーマをより深く探求できます。
大学院での学びは、専門分野を深く掘り下げることだけではありません。
世界的な視野を広げるための留学や企業との共同研究など、さまざまなチャンスがあります。
大学院での研究は、あなた自身の興味と関心に基づいてテーマを選び、探求するための貴重な時間となるでしょう。
よくある質問

農学や農学部に興味がある人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。よくある疑問とその回答を紹介します。
- 農業に興味がないと農学は学べませんか?
- 農学を学ぶうえで英語は必須ですか?
- 大学で役に立つ高校での基礎知識や科目は何ですか?
- 文系ですが、農学を専攻する大学・学部に入れますか?
- 農学部がある大学ではどんな学科がありますか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
農業に興味がないと農学は学べませんか?
農業に興味がないと農学を学ぶのは難しいかもしれませんが、必ずしも不可能ではありません。
農学は、農業に直接関連する知識や技術だけでなく、環境保全・生物学・化学・経済学・地域開発など多岐にわたる分野を含んでいます。
興味の分野 | 解説 |
|---|---|
環境保全 | 持続可能な農業や環境保全の方法を学び、環境問題の解決に貢献できる。 |
生物学や化学 | 作物の生理学や遺伝学、土壌の化学的性質など、生命科学に関する深い知識を得られる。 |
経済や地域開発 | 農業経済や地域振興のための農業計画など、経済学や社会学の視点から農業を理解できる。 |
新技術やイノベーション | 最新の農業技術や機械、バイオテクノロジーを学び、実践する機会がある。 |
そのため、以下のような興味や関心がある場合も農学を学ぶ意義があります。
生物や環境の領域について幅広く学びたい人にとっては、農学部は最適な選択肢といえるでしょう。
農学を学ぶうえで英語は必須ですか?

英語ができなくても農学は学べますが、英語はできるに超したことはありません。
理由は、以下のとおりです。
理由 | 解説 |
|---|---|
国際的な研究動向を把握するため | 農学分野の最新の研究成果や技術は、多くが英語で発表されている。 |
留学や国際交流の機会 | 多くの農学部では、留学プログラムや国際交流プログラムが用意されている。 |
英語での研究発表 | 学会やシンポジウムで研究成果を発表する際には、英語でのプレゼンテーションが求められる。 |
グローバルなキャリアの構築 | 農業関連のグローバル企業や国際機関で働く場合、共通言語として英語が使われている。 |
このように、学びを深めるうえで英語は多くの場面で必要とされるため、しっかりと英語力を身につけるのは良いことでしょう。
大学で農学を学ぶうえで役に立つ高校での基礎知識や科目は何ですか?
農学部への進学を目指す高校生は、特定の科目に重点を置く必要があります。
科目 | 説明 |
生物・生物基礎 | 高校で学ぶ基本的な科学の知識はもちろん、とくに生物学と化学が重要です。 |
化学・化学基礎 | 高校の生物と化学には、農業の基本的な理解を深めるために必要な知識が盛り込まれています。 |
数学 | 農学を学ぶために必要なデータ分析や統計学などの数的処理を学べます。 |
地学 | 農学を学ぶために必要な環境・気象などの知識を学べます。 |
高校では、数学や理科などの理系科目を中心に学習することで、大学の農学部でも講義についていける学力が身につくでしょう。
文系ですが、農学を専攻する大学・学部に入れますか?

結論、文系出身の学生が農学部に進学することは可能です。ただし、入試の科目に注意が必要です。
なぜなら、農学部では、入試に数学や化学・生物などの理系科目が含まれるケースがほとんどだからです。
そのため、文系の生徒でも理系科目を勉強し、試験に備える必要があるでしょう。
ただし、大学によっては文系学生向けの特別な入試枠や推薦入試などもあるので、各大学の入試情報を確認することが重要です。
また、農学部には農業経済・地域政策・食と社会など「文理融合型」の学科もあります。
「文系だけど食や地域に関心がある」という人向けの学科を設置している大学もあるので、募集要項をよく確認しましょう。
農学部がある大学ではどんな学科がありますか?
農学部がある大学では、さまざまな学科が設置されています。
農学部に設置されている学科の例は、以下のとおりです。
学科 | 内容 |
|---|---|
生物資源科学科 | 食用作物・資源植物・家畜・魚介類・微生物など多様な生物を研究。 |
応用生命科学科 | 農業生産・発酵・食品工業・環境保全などの問題を生命現象の原理から解明。 |
地域環境工学科 | 環境と調和した効率的な食料生産を目指す。水・土・緑系とフィールドロボティクスなどの研究。 |
食料・環境経済学科 | 食料問題と環境問題を研究。途上国の貧困問題・人口問題・農林水産物の貿易問題を扱う。 |
森林科学科 | 森林の保全・管理・木材資源の利用に関する研究。地球温暖化や酸性雨などの環境問題に取り組む。 |
食品科学科 | 食品の製造、成分、安全性、流通、栄養など、食品に関する幅広い専門知識と技術を学ぶ。 |
動物科学科 | 動物の生命現象、機能、生産性、人間社会との関わりなどを遺伝子や細胞レベルから個体、社会システムまで科学的に探究する。 |
農業経済学科 | 農作物の生産から流通、消費に至るまでの経済活動を、経済学・経営学・社会学といった社会科学の視点から研究。 |
大学によって学ぶ内容や名称が多少異なることがあるものの、おおむねこのような学科が設置されています。
農学部を志望する際は、各大学のカリキュラムや研究分野を詳しく調べ、あなたの興味やキャリア目標に合った学科を選びましょう。
まとめ

農学は多岐にわたる学問で、その知識と技術は私たちの生活を直接的に支える重要なものです。
農学を学ぶことで得られる知識と技術をまとめると以下のとおりです。
- 農学は食物生産から環境保全、経済学まで幅広い分野をカバーする学問
- 農学部では実地体験を重視し、理論と実践を結びつけた学びを提供する
- 農学部は学ぶことが幅広く、単純に理系・文系と二分できない。
- 農業試験場の研究員・普及指導員・一般企業(食品メーカーなど)多様な就職先がある
農学を学ぶことへの興味・関心を持つ人は、どのようなキャリアを目指したいのかを考えたうえで大学を選ぶことが大切です。
また、数学や化学・生物などの理系科目が入試に含まれるので、分離問わず重点的に学習しましょう。
農学に興味がある方は、ぜひ本記事の内容を参考に大学選び・入試対策に取り組んでみてください!
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。
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