年内入試ナビ

作成日: 2025/2/27 更新日:2025/2/27

社会福祉学とは? 学ぶ内容を徹底解説

社会福祉学とは? 学ぶ内容を徹底解説

「社会福祉学って何を学ぶの?」

「社会福祉学を学んで得られる資格は?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、主に以下のことについて解説します。

  • 社会福祉学の概要
  • 社会福祉学で学べる内容
  • 社会福祉学で身につくスキル・経験
  • 取得できる資格
  • 社会福祉学に向いている学生の特徴

社会福祉学とは、社会全体の福祉を高めるための理論と実践を研究する学問のひとつです。

一人ひとりの考え方や行動が社会全体に、どのような影響を与えるのかを学びます。

社会福祉学に興味・関心があり、実態について理解がしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

社会福祉学とはどんな学問?

社会福祉学とはどんな学問?

社会福祉学とは、社会の一員として生きるすべての方々が、健康で満足のいく生活を送れるように、社会的に困難な状況にある人々を支援する体制の構築や改善を目指す研究です。

子ども、家庭、医療、地域社会など、幅広い分野における福祉を学びます。

また、社会福祉制度の仕組みや、行政・民間団体との連携のあり方も学び、実際の福祉現場で活かせる知識やスキルを身につけます。

具体的には、下記問題に対する解決法を探究します。

  • 社会的不平等
  • 貧困
  • 社会的排除

社会福祉学は、個々の人々が直面している問題だけでなく、上記の問題が生じる社会的な背景や構造にも焦点を当てます。

そのため、社会の変化や問題を把握し、対策を考えるための分析力や問題解決力も重視されます。

社会福祉学では具体的に何を学ぶ?

具体的に何を学ぶ?

ここからは、社会福祉学で実際に学ぶ内容について解説します。

社会福祉学で学べる内容は、下記のとおりです。

  • 高齢者福祉
  • 児童・家庭福祉
  • 障がい者福祉
  • 精神保健福祉
  • 刑事司法と福祉
  • 地域における福祉
  • ジェンダーと福祉
  • 学校における福祉
  • 国際社会における福祉
  • 貧困福祉

それぞれの分野で何を学ぶのか詳しく見ていきましょう。

高齢者福祉

社会福祉学で学ぶ内容のひとつは、高齢者福祉です。

高齢者福祉では、高齢者が直面するさまざまな問題や挑戦、それらに対処するための戦略・方策を学びます。

具体的には、下記の対策で高齢者が豊かな人生を送るために必要な知識やスキルについて学びます。

  • 生活面での支援・健康維持・増進
  • 生涯学習
  • 社会参加 など

高齢者福祉では、現在の高齢者福祉の課題や未来の高齢社会を見据えた福祉サービスのあり方についても議論します。
さらに、高齢者の心理学・生理学・老化過程や病態についての基本的な知識も身につけます。

児童・家庭福祉

児童・家庭福祉

児童・家庭福祉の領域では、子どもや家庭が直面するさまざまな課題や問題を理解し、解決するための策を学びます。

児童・家庭福祉の領域で学ぶ具体的な解決策は、下記があげられます。

  • 子どもが健やかに成長するための環境作り
  • 親の育児支援
  • 家庭内での虐待やネグレクトなどの問題への対策
  • 離婚やシングルマザーなど家庭形態の多様性に対応した支援体制の構築
  • 貧困問題や教育格差
  • 社会的な側面から子どもや家庭を支えるための政策や制度

児童・家庭福祉の知識は、児童館や児童相談所、家庭支援センターなど、子どもや家庭を支える現場で活用されます。

児童・家庭福祉の領域を学ぶことで、家庭内の問題だけでなく、社会全体が子どもたちの成長をどのように支えるべきか、そして家庭がどのように機能し、社会と連携すべきかについての深い理解を得られます。

障がい者福祉

障がい者福祉とは、障がいを持つ人々が社会生活を送るうえでの支援や援助を学ぶ領域です。

障がいは身体的、知的、精神的なものも含まれ、その種類や程度により必要な支援内容は大きく異なります。

障がい者福祉では、障がい者が直面する問題や課題を理解し、彼らが日常生活を自立して過ごせるようにするための方法について学びます。

障がい者福祉で学ぶ具体的な学問は、障がい者福祉サービスの提供に関わる法律や制度、障がいの種類や程度による支援の違い、障がい者自身の生の声を尊重したサービス提供のあり方などがあげられます。

精神保健福祉

精神保健福祉

精神保健福祉では、精神的な問題を持つ個人が直面する困難や、そのような状況に対する社会的な対応について深く学びます。

精神保健福祉で学ぶ具体的な学問は具体的には、下記のとおりです。

  • 精神疾患の理解
  • 心理療法やカウンセリングの基本的な知識
  • 精神疾患者の生活支援やリハビリテーション
  • 社会復帰の支援 など

精神保健福祉の学習は、精神保健福祉士や社会福祉士など、専門的な資格取得にも繋がります。

専門的な資格は、精神疾患者の支援やケアに携わるうえで必要とされ、福祉の現場で活躍するためのひとつの道です。

刑事司法と福祉

刑事司法と福祉は、犯罪者、被害者やその関係者など、刑事司法のなかで生じるさまざまな社会問題に対して福祉の視点からアプローチをする学問です。

刑事司法と福祉の学問で学ぶ具体的な内容は、犯罪が起きた場合の被害者支援や犯罪者の更生支援、犯罪予防などについてがあげられます。

また、刑事司法と福祉の交点として、更生保護事業や矯正施設における福祉活動などの理解も深めれます。

更生保護事業や矯正施設における福祉活動などの理解は、犯罪者やその家族、被害者への支援をおこなうソーシャルワーカー・保護司の仕事に直接つながります。

地域における福祉

地域における福祉

社会福祉学を学ぶ中で欠かせないテーマのひとつが、地域における福祉です。

地域における福祉とは、地域社会を対象とした福祉サービスの提供や、地域社会の中での生活支援、地域資源の活用を学ぶ領域です。

地域における福祉で学ぶ具体的な内容は、下記があげられます。

  • 地域住民の生活の質(QOL)の向上を図るための地域福祉計画の立案
  • 地域の持続可能性を支えるための地域福祉資源の開発・活用法

地域社会における福祉の実現には、地域住民、行政、NPO/NGO、企業、学校等の多様な関係者との連携が不可欠であることから、ネットワーキングやパートナーシップの構築方法についても理解を深めます。

ジェンダーと福祉

ジェンダーは、社会的・文化的な性の役割や期待を指し、男性や女性、トランスジェンダー、ノンバイナリーなど、多様なジェンダー同士の平等性や公平性を重視します。

ジェンダーの問題を福祉という観点から見ると、特定のジェンダーが経験する困難や不平等を理解し、支援策を検討するための重要な視点となります。

たとえば、女性やLGBTQ+の方々が経験する特有の問題、障害、差別を理解し、適切な福祉サービス、支援策を提供するための理解が欠かせません。

また、ジェンダーにもとづく暴力や差別、貧困などの問題を社会全体で解決するためには、ジェンダーの視点を組み込んだ福祉政策の開発が必要となります。

学校における福祉

学校における福祉

学校における福祉の学習は、教育現場での福祉課題に対する理解と解決策を見つけるための手法に焦点を当てます。

学校における福祉では、学校の中でどのように子どもたちの心身の健康を維持し、学習環境を最適化するかについて学ぶことが一般的です。

学校における福祉で学ぶ具体的な内容には、特別支援教育の必要性やバリアフリー環境の整備、心の健康を保つためのカウンセリングなど、学校全体が子どもたちの成長と発達を支えるための手段や施策についてがあげられます。

また、教育現場で起こりうる貧困や虐待、いじめなどの問題についても学びます。学校における福祉は、学校だけでなく地域や社会全体でのサポートが必要です。

貧困福祉

国内には、経済的な困窮から、満足な生活を送るのが難しかったり、十分な教育を受けられなかったりする人々がいます。

日本の2021年の相対的貧困率は15.7%で、G7(主要7カ国)の中でも高い数字です。

そういった方がの支援の方法や、支援するための政策・施策などを学びます。

例えば生活保護。

日本では、生活保護の捕捉率が15〜20%程度と言われており、必要な人や世帯が生活保護を受給できていないという問題があります。

そうした方々に、生活保護受給のための案内や支援を行います。

また、長期的な視点で貧困から脱するために、就労支援を行うこともあります。

国際社会における社会福祉

国際社会における社会福祉

社会福祉学は国内だけでなく、以下の国際社会における社会福祉にも焦点を当てています。

  • 世界各地で起きる貧困
  • 子どもの権利侵害
  • 女性の地位向上
  • 難民問題など

国際的な課題に対する理解と解決策を探るための視野を広げることが求められます。

国際機関やNGOでの活動を志す学生にとって、グローバルな視点から社会福祉を理解することは大変重要です。

大学で学ぶ際の時間割の例

時間割の例

社会福祉学の座学だけでなく、実習やフィールドワークが多く組み込まれています。

下記では、東北福祉大学総合福祉学社会福祉学科における、授業の一例をご紹介します。

【1年生】


月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
1限
障害者福祉論
健康科学



2限


福祉社会学
社会福祉援助技術総論

3限
福祉心理学
英語l(コミュニケーションを含む)
リエゾンゼミl(基礎演習)
英語l(コミュニケーションを含む)

4限
福祉法学
児童・家庭福祉論
キャンパスライフ入門


5限
高齢者福祉
生物学の基礎
禅のこころ

実学臨床教育l
6限

現代福祉の基礎



【2年生】


月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
1限


社会福祉行財政論


2限
精神保健福祉援助技術総論l
精神保健福祉の理論
社会福祉援助技術論l
病院管理学
精神保健福祉演習
3限
医療福祉概論
社会福祉援助技術演習l
地域福祉論
介護論

4限



リエゾンゼミll(専門基礎演習)
精神科リハビリテーション学
5限
社会福祉原論(職業指導を含む)
精神保健学
英語lll


6限

実学臨床教育ll




【3年生】


月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
1限

社会福祉援助技術演習ll
生命倫理学


2限


精神保健福祉援助技術各論

精神医学
3限

社会保障論
家族法

精神保健福祉援助実習指導l

4限


実学臨床教育lll

債権法
5限
リエゾンゼミlll(専門演習l)




6限
社会福祉援助技術実習指導l
社会福祉援助技術論ll


保健医療サービス論

【4年生】


月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
1限





2限





3限



リエゾンゼミl V

4限
社会福祉援助技術演習lll


社会福祉援助技術実習指導ll

5限




精神保健福祉援助実習指導ll
6限




精神保健福祉援助実習ll

参照:東北福祉大学 総合福祉学 社会福祉学科

大学選びのポイント

大学選びのポイント

社会福祉学を学ぶ大学を選ぶポイントは、自身が興味を持てる専攻テーマがあるかどうかが重要です。

他にも、以下の点が重要となります。

  • 福祉関連の資格が取得できるか(社会福祉士・精神保健福祉士など)
  • 実習やフィールドワークが充実しているか
  • 地域の福祉機関と連携しているか
  • 自身が望む卒業後の進路の実績があるか

社会福祉学を学べる大学の例

大学の例

社会福祉学は、4年制大学のほか、短期大学や専門学校でも学ぶことができます。

短大や専門学校の場合は、特定の職業に就くことや資格取得に特化している場合が多いようです。

ここでは社会福祉学を学べる4年制大学の例を紹介します。

星槎道都大学 社会福祉学部

社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、特別支援学校教員などを目指せる学部です。

下記の3つの専攻があり、その中でさらに細かいコースにわかれています。

星槎道都大学 社会福祉学部の専攻
コース
社会福祉専攻
社会福祉士・精神保健福祉士特別養成コース
ソーシャルサポートコース
ソーシャルワーカー養成コース
メンタルヘルスソーシャルワーカー養成コース
保育専攻
保育士養成コース
子育て支援ソーシャルワーカー養成コース
教育専攻
社会科・特別支援学校教員養成コース

参考:星槎道都大学 社会福祉学部

東京福祉大学 社会福祉学部社会福祉学科

東京福祉大学 社会福祉学部社会福祉学科

​主に社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の国家資格取得を目指す学部です。

下記の5つのコースに分かれており、それぞれのコースで国家試験合格を目指します。

  • 社会福祉専攻社会福祉コース
  • 社会福祉専攻介護福祉コース
  • 精神保健福祉専攻
  • 心理福祉専攻
  • 経営福祉専攻

またこれ以外にも、福祉系の就職や公務員試験合格をサポートするキャリア開発教育科目も設置されています。

卒業生の多くは福祉団体、高齢者施設、障がい者施設などの福祉施設に就職しているようです。

参考:東京福祉大学 社会福祉学部社会福祉学科

日本福祉大学 社会福祉学部

日本で初めて「社会福祉学部」を設置したのが、日本福祉大学です。

社会福祉学部での学びは、下記の4つの専修をもとに進行します。

  • 行政専修……安心して豊かな生活するための政策を立案・遂行するのに必要な知識を学ぶ
  • 子ども専修……子どもや家庭が抱える問題と必要な支援を理解し、適切な支援を行うための知識・技術を身につける
  • 医療専修……傷病や障害の特性から生じる生活問題を理解し、適切な支援を行うための知識や技術の習得を目指す
  • 人間福祉専修……地域で暮らす人々が抱える生活の問題への支援策と、その策を実践できるソーシャルワーカーの養成をめざす

卒業生の多くは社会福祉法人などの福祉業界や、病院やクリニックなどの医療業界に進んでいます。

また、社会福祉士の資格を取得する人も多いようです。

進路がはっきりしているため、すでに福祉や医療業界を目指すことを決めている人に向いているといえるでしょう。

参考:日本福祉大学 社会福祉学部

社会福祉学を学ぶことで身につくスキルと知識

スキルと知識

社会福祉学を学ぶことで身につくスキルと知識は、下記のとおりです。

  • コミュニケーション能力
  • 情報収集力
  • 分析力
  • 福祉系に関わる法律の知識
  • 社会福祉のサービス提供の費用に関する知識

それぞれ身につく具体的なスキル・知識について見ていきましょう。

コミュニケーション能力

社会福祉学で身につくスキルのひとつは、コミュニケーション能力です。

社会福祉の現場では、多様な背景を持つ利用者やその家族、関係者と円滑に関わりながらサービスを提供することが求められます。

その中で重要となるのが、相手の立場や感情を理解し、適切な対応をするためのコミュニケーション能力です。

社会福祉学を学ぶことで身につくコミュニケーション能力スキルの一例は、下記があげられます。

  • 話を聞く力
  • 適切な情報提供やアドバイスをおこなう力
  • 相手の意図を正確に理解する力
  • 自分の意志を的確に伝える力

社会福祉学では、福祉に関わる多様な課題に対する理解を深めるために、学生同士のディスカッションやプレゼンテーションが頻繁に行われます。

授業における活動を通じて、他者の意見を尊重しながら自身の考えを効果的に伝える能力や、共同で課題を解決するための協調性も養われるでしょう。

情報収集力

情報収集力

社会福祉学を学ぶ際に身につく重要なスキルのひとつが、情報収集力です。

福祉の現場では、一人ひとりのクライアントのニーズを的確に把握するために、さまざまな情報を集める能力が求められます。

クライアントの健康状態や生活環境、心理状態などの個別の情報だけでなく、福祉制度、法律、地域の特性、社会の動向など、幅広い情報を網羅的に収集し、整理できる力です。

また、情報収集力は具体的なサービスの提供や支援策の立案、導入にあたっても重要となります。

適切な情報収集により、どのような支援が必要か、どのような問題があるのかを把握し、解決策を見つけ出せるでしょう。

分析力

福祉現場では、さまざまな情報をもとに問題を正確に把握し、適切な解決策を導き出す分析能力が求められます。

この場合の「情報」は、利用者の生活背景、心理状態、健康状態、法律や制度、社会状況など多岐にわたります。

社会福祉学で学ぶことで磨かれる「分析力」は、多彩な情報を理解し、整理し、関連性を見出すための能力です。

具体的には、利用者が抱える問題を多角的に見つめ、原因や背景を探り、原因に対する最適な支援策を考え出す力を指します。

情報収集力とも密接に関連しており、両者を組み合わせて利用者に対する最善の支援を提供できます。

福祉系の法律知識

福祉系の法律知識

社会福祉学を学ぶうえで、福祉系の法律知識が不可欠です。

社会福祉学における法律は、主に下記があげられます。

法律
概要
社会福祉法
困っている人たちに支援を提供するための法律。たとえば、お年寄りや障害を持つ人々、貧しい状況にある人々への援助を整えるためのルールや制度が含まれる。
児童福祉法
子どもたちが健やかに育つための支援を定めた法律。子どもの権利を守り、必要な保護や教育、福祉サービスを提供することを目的としている。
高齢者福祉法
お年寄りが自立した生活を送れるように支援する法律。高齢者の健康や福祉を増進し、安全で快適な生活を保証するためのサービスや制度が整えられている。
身体障害者福祉法
障がいを持つ人々が社会で自立して生活できるよう支援する法律。障がいがある人々の権利を守り、教育や就労、日常生活の支援を提供し、彼らが社会の一員として活動できるようにするためのもの。

上記の法律知識は、福祉の現場で適切なサービスを提供し、クライアントの権利を守るために必要です。

法律が福祉の現場に与える影響を理解することで、法的な視点からの問題解決能力も身につけられます。

社会福祉学における法律知識は、福祉の専門家としての専門性と信頼性を高め、より高品質なサービスを提供するための重要な土台となるでしょう。

社会福祉のサービス提供の費用に関する知識

福祉サービスは無償で提供されるものではなく、国や地方自治体、NPOなどからの資金提供、さらには利用者からの自己負担など、多岐にわたる資金源が必要です。

また、福祉サービスを提供する立場になったときには、サービスの維持・運営に必要な経費の見積もりや予算の計画、実際の資金配分など、具体的な金銭の管理能力も求められます。

社会福祉のサービス提供の費用に関する知識を養うことで、福祉サービスの現場においてより具体的で現実的な支援を提供できます。

さらに、利用者自身が経済的に自立するための支援や、貧困問題の解決に向けた政策提言など、より広範な視点から福祉に関われます。

取得を目指せる資格

取得を目指せる資格

社会福祉学で得た知識を活用して取得できる可能性がある資格は、下記のとおりです。

資格名
概要
社会福祉士国家試験受験資格
社会福祉の専門家として、さまざまな支援が必要な人々を助けるために使用します。
社会福祉主事任用資格
地方公務員として社会福祉の業務に従事し、地域住民の福祉サービス提供に役立ちます。
介護福祉士
高齢者や障害者の日常生活支援(食事、入浴、排泄の介助)、健康管理、リハビリ、レクリエーションの企画運営、家族支援を行います。
保育士
乳児から小学校入学前の子どもを預かり、生活全般の世話をしながら、子どもが基本的な生活習慣を身につける手助けをします。
公認心理師
臨床心理学に基づいた知識や技法を用いて、心の問題を抱える人に相談や助言などの援助を行う国家資格です。
精神保健福祉士国家試験受験資格
精神的な健康問題を持つ人々をサポートする専門職として働くために必要です。
身体障害者福祉司任用資格
身体障害者の福祉をサポートするための専門知識を活用して、公的な福祉機関での仕事に役立ちます。
児童福祉司任用資格
児童の保護や育成をサポートする福祉職として、児童福祉施設などで活躍できます。
高等学校教諭一種(福祉・公民)
高等学校で福祉や公民教育を教える教諭として活用できます。
特別支援学校教諭一種
特別支援学校で、特別な支援が必要な児童・生徒に教育を提供する教諭として働くために役立ちます。
小学校教諭一種
小学校で児童に基礎教育を行う教諭として必要な資格です。
学校図書館司書教諭出願資格
学校図書館の運営や教育に関わる教諭として、学校での情報リテラシー教育に貢献します。
博物館学芸員
博物館での展示企画や研究に関わる専門職として、文化的な知識と技術を活用します。
図書館司書
図書館での情報提供サービスや管理業務に従事する専門職として利用します。
日本語教育学副専攻課程修了証
日本国内外で日本語を教える教師として、日本語教育の専門知識を活用します。

社会福祉学では、自分が求める内容に応じ、チャレンジすることで上記の一例にある資格を取得できます。

卒業後の進路を検討したうえで判断をすると、自分に必要な資格が明確になるでしょう。

社会福祉学を学ぶことに向いている学生の特徴

向いている学生の特徴

大学で社会福祉学の専攻にに向いている学生の特徴は、下記があげられます。

  • 社会に貢献したい意識がある学生
  • チームで活動したい学生
  • 地域問題に関心がある学生
  • 人との関わりが好きな学生

それぞれ見ていきましょう。

社会貢献に意識がある学生

社会福祉学が向いている学生の特徴として、社会に貢献したいという強い意識を持つ点があげられます。

社会福祉学は、社会問題の解決や地域コミュニティの強化を目指す学問です。社会貢献を目指すことは、社会福祉学を選ぶ大きな動機となるでしょう。

社会に貢献したいという意識は、学生が学びを深めるうえでの原動力です。

福祉の現場では、高齢者、児童、障がい者、精神保健福祉など、多岐にわたる分野での知識とスキルが求められます。

社会に貢献したいという強い意識を持つ学生は、社会福祉学という学問を通じて、その目標を達成するための具体的な手段を学べるでしょう。

チームで活動したい学生

チームで活動したい学生

社会福祉学には、多くの場合でチームワークが求められます。

福祉活動では、貧困さやいじめ問題だいなどのひとりで解決できない課題が多く、多様な方々と協力しながら進める必要があります。

福祉活動を解決するには、多くの意見を出し合うチームワークが大切です。

さらに、チームでの活動はコミュニケーション能力を鍛えるため、福祉の現場で必要なスキルを身につけられます。

チームでの経験は学生が将来、社会福祉の専門家として活動するうえで貴重なものとなるでしょう。

地域問題に関心がある学生

地域問題に関心がある学生は、社会福祉学において必要な視点を持っていると言えるでしょう。

たとえば、地元の失業率、貧困、教育、健康、犯罪、環境問題などの問題は、すべて福祉の視点からアプローチすることが求められます。

地域の問題に対する深い理解と共感は、福祉プログラムの計画、開発、実施において必要不可欠なスキルです。

地域問題に関心がある学生は、具体的な問題解決に向けたアクションを起こす傾向にあります。

地域問題に関心を持つ学生は、社会福祉学の学びを通じて、地域社会の福祉を向上させるためのスキルと知識を深められます。

人との関わりが好きな学生

人との関わりが好きな学生

社会福祉学は、人々の生活を支えるためのサービスやプログラムの開発や運営に関わる専門的な知識を学ぶため、人との関わりを好む学生にとっては非常に魅力的な学問と言えます。

とくに、高齢者や障がい者、子どもや家庭に対するサポート、地域社会や学校での福祉活動など、人々と深く関わる機会が多い傾向にあります。

したがって、人との関わりが好きな学生にとって、社会福祉学は向いていると言えます。

社会福祉学の学びを活用できる職業の例

職業の例

社会福祉学を学ぶことによる卒業後の職業・就職先の例を以下に紹介します。

進路・就職先
社会福祉学の学びを活かせる点
社会福祉士
クライアントのニーズに応じた適切な支援計画を作成する点で学びを活かせる
介護福祉士
個々の利用者の尊厳を守りつつ適切な介護を提供する点で学びを活かせる
精神保健福祉士
精神障害者の社会的スキルと生活能力を向上させる支援をする点で学びを活かせる
保育士
子どもの発達段階を理解し、適切な教育やケアを行う点で学びを活かせる
公務員
福祉政策の立案や施策の実施において、住民の福祉向上を図る点で学びを活かせる
ソーシャルサービス機関
地域社会のニーズを把握し、必要なサービスを提供する点で学びを活かせる
一般企業
従業員の福祉向上や職場環境の改善に向けたプログラムを策定する点で学びを活かせる

上記の進路は、社会福祉学を学んだ学生たちが、自分の知識やスキルを最大限に活用できる場となるでしょう。

よくある質問と回答

質問と回答

ここでは、社会福祉学によくある質問についての回答していきます。

社会福祉学部や社会福祉学科では何を学びますか

社会福祉学部や学科では、社会福祉の理論や実践を学びます。

具体的には、以下を学んでいきます。

  • 高齢者福祉児童・家庭福祉
  • 障がい者福祉
  • 精神保健福祉
  • 社会保障制度や法律
  • 心理学
  • 経済学
  • 社会学

社会福祉学を学ぶには英語が必要ですか?

英語が必要?

社会福祉学部で英語が必要かどうかは、カリキュラムや目指すキャリアパスによって異なります。

国際福祉や研究を目指す場合は、英語のスキルが役立ちます。

学部の具体的な内容や自身の将来の進路に合わせて、英語のスキルを伸ばすことが推奨されることもあります。

社会福祉学を学ぶのに向いているのは文系・理系どちらですか?

社会福祉学に関心がある学生の中には、「自分は文系だから理解できるか不安」「理系出身で社会科学には疎い」といった悩みを持つ方もいるかもしれません。

しかし、社会福祉学を学べる学部には文系・理系といった枠組みを超えた多様な学生が集まっています。

文系出身者は、人間関係や社会問題について広く深く考える力が身についているため、社会福祉の現場で必要とされる感受性や視野の広さを活かせます

理系出身者は、数学や科学の知識をベースにした論理的な思考力を持っているため、福祉政策の設計や評価、福祉サービスの効率化などに貢献できるでしょう。

重要なのは、自分がどのように社会福祉に関わりたいか、どのように社会に貢献したいかという姿勢やビジョンです。

まとめ

まとめ

本記事では、社会福祉学の概要、大学で学ぶこと、選ぶポイント、身につくスキルや経験、資格情報などを解説してきました。

その中でも、社会福祉学に関する重要なポイントを最後にまとめていきます。

  • 社会福祉学とは、社会全体の福祉を高めるための理論と実践を研究する学問のひとつ。
  • 大学を選ぶ際ポイントは、社会福祉学が扱うテーマにあなたが興味を持っているかどうかが重要。
  • 社会福祉学を専攻する際に向いている高校生の特徴として「社会に貢献したい意識がある」「地域問題に興味がある」「人との関わり合いが好き」というような特徴があげられる。
  • 社会福祉学部には文系・理系といった枠組みを超えた多様な学生が集まっている。文系理系での向き不向きよりも、自分がどのように社会福祉に関わりたいか、どのように社会に貢献したいかという姿勢やビジョンが重要。

社会福祉学は社会全体を見つめ、その中で生じる問題を解決するための知識とスキルを身につける学問です。

社会福祉学に興味・関心がある学生は、ぜひ本記事を参考にしてください。

この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


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