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作成日: 2025/2/12 更新日:2025/2/12

医療技術学とは?学べる学問や卒業後の就職先一覧を解説

医療技術学とは?学べる学問や卒業後の就職先一覧を解説

「医療技術学って何を学ぶの?」

「医療技術学を学べる大学は?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、主に以下のことについて解説します。

  • 医療技術学の基本概念
  • 医療技術学で学ぶ内容
  • 医療技術学を学ぶことで取得できる資格
  • 医療技術学を学べる大学
  • 医療技術学を活かせる就職先一覧

医療技術学に興味・関心がある学生は、ぜひ本記事を参考にしてください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。


医療技術学とは何を学ぶ学問?

医療技術学とは

医療技術学は、患者の診断や治療、リハビリテーションを支えるための技術や知識を学ぶ学問です。

医療現場で使用される機器や技術の操作方法を学ぶだけでなく、病気や人体の仕組みに関する専門知識も習得します。

以下に、医療技術学で学ぶ主な学問や内容を表にまとめました。

医療技術学で学ぶ主な学問
学問の内容
臨床検査技術学
右記のふたつの検査を行い、検査結果の運用、管理、結果解釈、開発など、検査に関する全てを対象とした学問
検体検査
血液や尿などの検体を用いる
生理検査
心電図、脳波、超音波検査などの装置を用いる
放射線技術学
​X線や放射性同位元素、超音波や磁気共鳴現象を利用した検査およびその活用法を学ぶ学問
リハビリテーション学
​病気や怪我によって、弱まったり損なわれたりした体の機能を回復するための訓練や療法、援助法を研究する学問
臨床工学
​病院や診療所で使用される技術的な設備の管理と安全性に関する知識を学ぶ学問
救急医療学
​緊急時における医療支援技術、具体的な救命措置技術について学ぶ
栄養学・管理栄養士学
臨床検査結果をもとに栄養指導を行う学問

また大学によっては、下記の学問を学ぶところもあります。

医療技術学で専攻する学問
学問の内容
医療機器技術
医療機器の操作、保守、トラブルの解決方法に関する技術を学ぶ
生体工学
​人体の機能を模倣または補強する医療機器やシステムの設計について学ぶ
医療情報技術
​医療情報システムの開発と管理、データの安全な取扱いについて学ぶ

医療技術学部では、理論知識だけでなく、実践的な技術や応用能力も重視されます。

具体的な実践では、さまざまな病状や症状を診断するための「検査技術」、患者の身体機能を回復させるための「リハビリテーション技術」などを学びます。

ここでは、実際にどのような医療技術学を学ぶのか解説します。

医療技術学部を学べる大学の学部

医療技術学部を学べる大学の学部

医療技術学は、医療技術学部をはじめ多くの学部で学ぶことができます。

  • 医療技術学部
  • 保健学部
  • 衛生学部
  • 医療衛生学部
  • 保健医療学部
  • 看護福祉学部
  • 医学部
  • 鍼灸学部

中でも医療技術学部では、理論や知識だけでなく、実践的な技術や応用能力も重視されます。

検査技術とリハビリテーション学

検査技術とリハビリテーション学

医療技術学部の学びの根幹となるのが、検査技術とリハビリテーション学です。

ここでは、実際に医療技術学部で学ぶ検査技術とリハビリテーション学について解説します。

医療技術学部では、臨床検査技術学という分野も重要な学習項目となっています。

臨床検査技術学

患者の血液や細胞、尿などの体液を対象に、病気の診断や治療の適性を判断するための技術を学ぶ領域です。

具体的には以下の基礎学問をベースに、それらを応用して実際の検査技術を学びます。

臨床検査技術学で学ぶこと
詳細
微生物学
病原体の検出と同定、感染症の診断に関する技術と知識を学ぶ。
免疫学
免疫反応の仕組み、抗体検査、免疫疾患の診断技術を学ぶ。
生化学
​血液、尿、組織の化学分析による病気の診断とモニタリング方法を学ぶ。
血液学
​血液成分の分析、血液疾患の診断、輸血の管理に関する技術を学ぶ。
遺伝学
遺伝子の構造と機能、遺伝性疾患の診断技術を学ぶ。

臨庎検査技師としての資格取得を目指す学生にとっては、この分野は必須のカリキュラムとなります。

しかし、医療技術学部の学生全体としても、病態理解や診断技術の理解に役立つため、幅広く学習されます。

臨床検査技術学は、患者の診断や治療に直結する実践的な分野であり、医療技術の進歩とともに日々新たな技術や知識が求められています。

放射線技術学

放射線技術学

医療技術学部では、医療現場で必要とされる様々な技術や知識を学びます。

特に、医療技術学部では放射線技術学を重要な一部として扱います。

放射線技術学は、以下の内容を学んでいきます。

放射線技術学で学ぶこと
詳細
X線、CT、MRIの撮影技術
X線撮影、CTスキャン、MRIの操作方法、画像の読影技術を学ぶ。
放射線治療技術
放射線を用いたがん治療技術、治療計画の立て方、機器の使用方法を学ぶ。
放射線の安全管理
放射線の影響を最小限に抑えるための安全管理方法、放射線防護の基礎を学ぶ。

リハビリテーション学

この学問では、患者が日常生活を送る上で必要となる身体機能を回復させるための理論や技術について学びます。

リハビリテーション学で学ぶこと
詳細
運動機能のリハビリテーション
運動障害の改善、筋力強化、バランス訓練などの方法を学ぶ。
認知機能のリハビリテーション
記憶力、注意力、問題解決能力の向上を目指す技術を学ぶ。
言語機能の回復
言語障害の評価と治療、コミュニケーション能力の回復を学ぶ。
嚥下(えんげ)機能の回復
嚥下(えんげ)障害の評価と治療、食事訓練の技術を学ぶ。
個別のリハビリテーション計画の立案
患者一人ひとりに適したリハビリ計画の作成方法を学ぶ。
患者とのコミュニケーション能力
患者との信頼関係構築、効果的なコミュニケーション技術を学ぶ。
チーム医療における協働スキル
医療チーム内での効果的な協働とコミュニケーション技術を学ぶ。

取得できる資格

取得できる資格

医療技術学部を通じて取得できる資格は、下記があげられます。

  • 救急救命士国家試験受験資格
  • 臨床工学技士
  • 診療放射線技師
  • 理学療法士
  • 臨床検査技師
  • 管理栄養士
  • 作業療法士

上記の資格は、医療技術を扱う職業の中でも重要視されています。

それぞれの特徴について確認しましょう。

救急救命士国家試験受験資格

救急救命士国家試験とは、救急医療の現場で活躍するプロフェッショナルを養成するための受験資格です。

救命救急の現場で人命を救うための知識や技術、判断力を問われるもので、合格することで救急救命士として活動することが認められます。

救急救命士の資格を取得するためには、下記のプロセスが必要です。

  1. 指定の養成施設を卒業する
  2. 救急救命士養成課程を修了する
  3. 救急救命士国家試験に合格する

臨床工学技士国家試験

臨床工学技士国家試験

臨床工学技士国家試験受験資格は、医療機器の適切な運用・管理をおこない、医療機器に関する教育・研究活動を実施する専門職の受験資格です。

病院や診療所などの医療機関において、医療機器のメンテナンスやトラブルシューティング、さらには新しい医療機器の導入に関するアドバイスなど、さまざまな役割を担います。

臨床工学技士の資格を取得するためには、下記のプロセスが必要です。

  1. 指定の教育機関を卒業する
  2. 臨床工学技士国家試験に合格する

診療放射線技師

診療放射線技師は、患者の体内を照らす放射線を利用して、体内の状態を映し出す画像を作る専門家の資格です。

診療放射線技師は、X線、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像法)などの医療画像診断装置を使用し、正確な画像を得るための技術と知識を有しています。診療放射線技師

診療放射線技師の資格を取得するためには、下記のプロセスが必要です。

  1. 指定の養成施設を卒業する
  2. ​診療放射線技師国家試験に合格する

理学療法士

理学療法士

​理学療法士は、リハビリテーションの専門職です。

ケガや病気などで身体に障害のある人を、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて支援します。

理学療法士の資格を取得するためには、下記のプロセスが必要です。

  • 4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制)、特別支援学校(視覚障害者が対象)などの養成校を卒業する
  • 理学療法士国家試験に合格する

臨床検査技師

臨床検査技師は、血液や体液などのサンプルを分析し、その結果を医師に提供する役割を果たします。

これにより、正確な診断と効果的な治療法の選択が可能になります。

臨床検査技師​の資格を取得するためには、下記のプロセスが必要です。

  1. ​指定の養成施設を卒業する
  2. 臨床検査技師国家試験に合格する

管理栄養士

管理栄養士

​管理栄養士は、患者や顧客一人ひとりに合わせて、栄養指導や栄養管理を行う専門職です。

栄養士が健康な人を対象にしているのに対し、管理栄養士は病気の患者や高齢で食事がとりづらい方などを対象にします。

管理栄養士の資格を取得するためには、下記のプロセスが必要です。

  • 管理栄養士養成課程もしくは栄養士養成課程のある大学、短期大学、専門学校に入学し、所定の単位を取得して卒業する
  • 管理栄養士国家試験に合格する

作業療法士

作業療法士は、理学療法士と同様、リハビリテーションの専門職です。

呼吸や歩行といった生きる上での必須動作から、食事、入浴などの日常行動、パソコン操作や重いものを持ち上げるなどの社会行動まで、怪我や病気を負った患者の生活が元通りになるまでの道筋をサポートします。

作業療法士の資格を取得するためには、下記のプロセスが必要です。

  • 作業療法士の養成施設を卒業する(4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制))
  • 作業療法士国家資格に合格する

医療技術学を学ぶのに向いている人の特徴

向いている人の特徴

医療技術学を学んだ人や、医療技術学を仕事に活用している人は、どのような特徴があるでしょうか?

下記にまとめました。

医療分野に興味がある人

​大前提として、医療分野に興味があることが必要です。

医療は人々の生活に欠かせない仕事です。

やりがいが感じられる一方で、患者の生活を左右してしまう可能性がある以上、責任感を持って仕事をすることが求められます。

機械や技術が好きな人

機械や技術が好きな人

​医療技術学や、その学びを活かした業務では、多くの機械や特殊技術を用います。

各種検査で使う機械の扱い方や、検体採取のための技術などは、医療業界特有の能力です。

そういった機械の操作や技術の習得に興味がある人は、医療技術学に向いているでしょう。

コミュニケーション力がある人

​医療現場は、さまざまな立場の人との連携が必要です。

例えば、臨床検査技師の検査結果をもとに医師が診断を下し、診断をもとに看護師が処置をして、経過良好であれば作業療法士がリハビリメニューを組む、などです。

こうした立場を超えた連携をスムーズに行うためには、コミュニケーションが欠かせません。

患者に不安を与えないためにも、コミュニケーション力を磨いておくのがよいでしょう。

大学選びのポイント

大学選びのポイント

医療技術学を学べる大学を選ぶポイントは、下記のとおりです。

  • 自分が医療技術に関心があるか
  • 自分の将来像に合致する学問が学べるか
  • 資格取得サポートの有無や充実度
  • 附属病院の有無
  • 授業料や奨学金制度に納得できるか
  • キャンパスの立地

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

医療技術に関心があるか

まずは自身が医療技術に対して関心があるかどうかを見極めることが必要です。

医療技術学は、医療現場で活躍する専門技術者を育成する学問です。

命に関わる仕事を学ぶ医療技術学では、医療技術に対する理解と興味、深めていく意欲が必要となるでしょう。

将来像に合致する学問が学べるか

学問が学べるか

将来像に合致する学問が学べるかも、医療技術学を選択するポイントです。

たとえば、特定の医療技術者としてのキャリアを目指しているなら、その分野で必要となる知識や技術を学べる大学を選ぶべきです。

医療技術の領域は、広範で下記3つの大きな分野があります。

分野
学べる内容
主な就職先
情報管理
​医療情報システムの設計・運用
データ管理
セキュリティ対策
電子カルテシステムの導入と管理
​病院のIT部門
医療情報システム企業
政府機関
専門技術者養成
​臨床検査技術
放射線技術
臨床工学
救急救命技術
リハビリテーション技術など
​病院
クリニック
検査センター
リハビリテーション施設
高度医療技術
最新医療機器の操作
先進的な治療法の研究・開発
医療ロボティクス、バイオテクノロジー
医療機器メーカー
研究機関
大学
バイオテクノロジー企業

上記の分野ごとに、学べる内容や卒業後の就職先といった具体的な情報を把握しておくことで、自分の将来像に最も適した大学選びが可能です。

大学のカリキュラムは一定ではなく、時代とともに変わるため、最新の情報をチェックすることも大切です。

資格取得サポートの有無や充実度

​医療技術学で学んだ知識を仕事に活かすためには、資格取得が必要な場合がほとんどです。

医療は患者の健康や、場合によっては生命に直結する仕事であるため、医療に従事するためには知識と技術があることを証明する必要があるためです。

医療技術学を学べる大学に、それらの資格取得をサポートする体制や、サポートがどれくらい充実しているかを確認しましょう。

附属病院の有無

附属病院の有無

附属病院の有無は、在学中の研修機会の充実と、卒業後の進路に関わります。

附属病院がある場合、大学と病院の連携がとれるので、研修の機会が多くあることが予想されます。

また、卒業後にそのまま附属病院に就職するチャンスも増えるでしょう。

在学中の研修機会と、卒業後の進路という2点から、附属病院の有無は重要なポイントです。

授業料や奨学金制度に納得できるか

大学の授業料は、一般的に私立大学が国立大学や公立大学よりも高額となっています。

その分、豊富な奨学金制度や経済的な援助が用意されていることも少なくありません。

そのため、高額な授業料が負担となる場合でも、奨学金制度を活用することで、問題を解決できる可能性があります。

キャンパスの立地

キャンパスの立地

キャンパスが自宅から通える範囲にあるのか確認する必要があります。

自宅から距離が離れるほど通学時間と通学費用が大きくなるからです。

通えない場合は、寮に入るか部屋を借りる必要があります。

この場合も毎月の費用負担が増すことになります。

必ずご両親と相談した上で適切な大学を選ぶようにしましょう。

各大学のホームページやパンフレットなどで詳細な情報を確認し、自分自身の経済状況と照らし合わせてみてください。

また、奨学金制度には返済が必要なものと、給付型のものがあるため、それぞれの特徴を理解し、自分にとって最適な選択をすることが重要です。

医療技術学を学べる大学

医療技術学を学べる大学

医療技術学を学べる大学や学部は数多くありますが、ここでは「医療技術学部」を設けている大学を3つ紹介します。

  • 帝京大学 医療技術学部
  • 新潟医療福祉大学 医療技術学部
  • 群馬医療福祉大学 医療技術学部

​帝京大学 医療技術学部

視能矯正学科、看護学科など、8つの学科を設け、医療のスペシャリストを養成する大学です。

基礎的な医療技術や医療機器技術は学びつつ、希望する進路に合わせて職業に特化したカリキュラムを選択することができます。

同じキャンパスに医学部、薬学部、医療技術学部の3学部が集結しており、学部を超えた学びを受けられることも特徴です。

参考:帝京大学 医療技術学部

新潟医療福祉大学 医療技術学部

新潟医療福祉大学 医療技術学部

新潟医療福祉大学医療技術学部には4つの学科があります。

それぞれの学科で目指すべき資格や職業が明確になっており、卒業後のキャリアも描きやすい大学です。

新潟医療福祉大学が公表している学科と、目指すべき資格や職業は、以下の通りです。

新潟医療福祉大学 医療技術学部に設置してある学科
学科で目指すべき資格や職業
臨床技術学科
臨床工学技士
臨床検査技師
ME技術実力試験
バイオ技術者中級
心電図検定2級・3級
視機能科学科
視能訓練士
眼鏡作製技能士
同行援護従業者(視覚障害)
救急救命学科
救急救命士
防災士
第一種衛生管理者
診療放射線学科
診療放射線技師
第1種・第2種 放射線取扱主任者
エックス線作業主任者
ガンマ線透過写真撮影作業主任者
作業環境測定士

参考:新潟医療福祉大学 医療技術学科

​群馬医療福祉大学 医療技術学部

​群馬医療福祉大学医療技術学部は、2021年に新設された学部です。

医療技術学科のみが設置されており、同学科の中で下記のふたつの専攻にわかれます。

群馬医療福祉大学
医療技術学部医療技術学科の専攻コース
専攻で目指す主な職業
臨床検査学専攻
臨床検査技師
研究員
大学教員
臨床研究コーディネーター
臨床工学専攻
臨床工学技士
医療機器技術者
研究員
大学教員

近年新設された学部のため、最新の医療機器を使用したカリキュラムを受講できるのがメリットです。

参考:群馬医療福祉大学

学びを活かせる職業・就職先や進路一覧

進路、就職先

医療技術学の学びを活かせる職業や就職先を解説します。

医療・介護機関以外にもあるので、参考にしてください。

医療技術学の学びを活かせる職業

  • 臨床検査技師
  • 診療放射線技師
  • 理学療法士

臨床検査技師

臨床検査技師とは、医療分野で非常に重要な役割を果たす専門職です。

主な業務内容は、患者から採取した血液や尿などの体液を分析し、その結果を医師に提供することです。

これにより、医師は患者の病状を正確に把握し、適切な治療法を選択できます。

臨床検査技師として働くためには、国家試験に合格し、国家資格を取得する必要があります。

医療技術学部を卒業すると、この国家試験の受験資格が得られます。そのための基礎知識や技術、倫理観を身につけるため、医療技術学部での学習が非常に重要です。

診療放射線技師

診療放射線技師

診療放射線技師とは、医療現場で放射線を利用した検査や治療を行う専門職です。

医療技術学部で学んだ知識を活かし、X線、CT、MRIなどの画像診断装置を操作し、医師が病気の診断を行うための明確な画像を提供します。

放射線治療においては、医師の指示のもと、がん細胞を破壊するための放射線を正確に照射する役割を果たします。

診療放射線技師として働くためには、国家試験に合格し、国から診療放射線技師の免許を取得する必要があります。

医療技術学部では、放射線の物理学や生物学、放射線診断学、放射線治療学といった専門知識を基礎から学べます。

さらに、臨床実習を通じて、現場での具体的な業務の流れや患者とのコミュニケーション方法も学べるでしょう。

医療技術学部を卒業することで、診療放射線技師の国家試験を受験する資格が得られます。

理学療法士

理学療法士という職業は、身体に障害を持つ人々の機能改善や生活習慣の再構築をサポートする役割を担っています。

理学療法士の目標は、患者が日常生活を自立して過ごすことができるように、身体機能を最大限に引き出すことです。

そのために、運動療法やリハビリテーションプログラムを作成し、実行します。

また、理学療法士は患者一人ひとりの生活状況やニーズに合わせたリハビリテーションを提供するため、コミュニケーション能力や問題解決能力も必要です。

医療技術学部ではこれらの知識とスキルを身につけられるため、理学療法士を目指す学生にとって有益な学びの場となります。

医療技術学部を卒業することで、理学療法士の国家試験を受験する資格が得られます。

理学療法士は病院やリハビリテーションセンターだけでなく、介護施設や特別支援学校、企業の健康管理部門など、幅広いフィールドで活躍することが可能です。

医療技術学の学びを活かせる就職先

  • ​国立病院
  • 大学病院
  • 総合病院
  • 診療所・クリニック
  • 検査センター
  • 検診センター
  • 治験施設支援機関

国立病院

国立病院では、独自の研究開発や医療技術の進化により、特化した疾患の治療や難治性疾患の治療に取り組んでいます。

また、国立病院は教育病院でもあり、医師や医療技術者の養成にも重要な役割を果たしています。

医療技術学部の卒業生は、国立病院で以下のような職種に就く可能性があります。

職種
役割
​臨床検査技師
患者の血液や尿などのサンプルを分析し、診断や治療に必要なデータを提供します。
診療放射線技師
X線やCT、MRIなどの画像診断装置を操作し、病気の診断に必要な画像を提供します。
理学療法士
​患者のリハビリテーションプログラムを作成・実行し、身体機能の回復をサポートします。
臨床工学技士
医療機器の操作や管理、メンテナンスを行い、機器の適切な運用を支援します。
救急救命士
救急医療の現場で患者の緊急処置を行い、病院搬送後の医療チームに引き継ぎます。

また、国立病院で働くことは、病院内での専門的なスキルを磨くだけでなく、国全体の医療政策に関わる経験も得ることに繋がります。

これは、自分のキャリアを広げ、より高いレベルの医療技術者を目指すための貴重な機会となるでしょう。

大学病院

大学病院

大学病院とは、医療、研究、教育の三つの役割を果たす施設です。

医療技術学部では、最新の医療技術や検査技術を学べますが、それらの技術を最前線で活用しているのが大学病院です。

そのため、医療技術学部の卒業生は大学病院で自分が学んだ知識や技術を存分に活かせます。

しかし、大学病院で働くためには、他の医療機関と比較して高い専門性が欠かせません。

医療技術学部を卒業した後も、常に最新の医療知識を学び続け、自己研鑽する姿勢が必要です。

総合病院

総合病院とは、多岐にわたる診療科が揃っており、一般診療から専門的な治療まで対応できる医療機関です。

内科、外科、眼科、耳鼻咽喉科など、さまざまな科が存在し、医療技術学部の卒業生にとっては幅広い専門性を活かせる職場です。

救急医療にも対応しており、急な病気やケガにも対応できる体制を整えているのも特徴です。

医療技術学部を学ぶことで総合病院では、以下のような職種に就く可能性が高まります。

職種
役割
臨床検査技師
患者の血液や尿などのサンプルを分析し、診断や治療に必要なデータを提供します。
診療放射線技師
X線やCT、MRIなどの画像診断装置を操作し、病気の診断に必要な画像を提供します。
理学療法士
患者のリハビリテーションプログラムを作成・実行し、身体機能の回復をサポートします。
臨床工学技士
医療機器の操作や管理、メンテナンスを行い、機器の適切な運用を支援します。
救急救命士
救急医療の現場で患者の緊急処置を行い、病院搬送後の医療チームに引き継ぎます。

総合病院では、医師や看護師、薬剤師など他の医療スタッフと連携し、チーム医療を実践する機会も多くあります。

医療技術者としてのコミュニケーション能力やチームワークのスキルを磨く絶好の機会と言えるでしょう。

また、新しい医療技術の導入や医療情報の管理、患者へのサービスの提供など、医療技術学部で学んだ知識を活かす場面が多くあります。

これらの経験は、今後のキャリア形成に必ず役立つでしょう。

診療所・クリニック

診療所・クリニック

診療所やクリニックは、病院と比べて規模が小さく、専門性の高い医療サービスを提供する場所として知られています。

診療所とクリニックでは、専門的な医療技術を活かす機会が多く、患者とのコミュニケーションも密になります。

診療所やクリニックでの経験は、医療技術者としてのスキルを深めるだけでなく、患者と直接関わることで得られる充実感や達成感も大きな魅力です。

そのため、人間関係を大切にしながら、技術的なスキルを活かしたい人には適した職場と言えます。

検査センター

検査センターは、医療技術学部の卒業生にとって活動の場となるひとつの分野です。

これらのセンターは、患者から採取した血液や体液などのサンプルを分析し、病状や健康状態を診断する役割を果たします。

ここでは、下記のように多岐に渡る検査がおこなわれています。

代表的な検査
検査内容
血液検査
​血液の成分を分析し、貧血、感染症、血液疾患などの診断を行います。
尿検査
​尿の成分を調べ、腎臓や膀胱の健康状態、糖尿病の有無などを診断します。
生化学的検査
​血液や尿中の化学物質を測定し、肝臓や腎臓の機能、代謝状態などを評価します。
細菌検査
​サンプル中の細菌を検出・同定し、感染症の原因菌を特定します。
免疫学的検査
抗体や抗原の存在を調べ、感染症や免疫疾患の診断、アレルギーの有無を確認します。

また、新たな検査法の開発や既存の検査法の改良にも関わるケースもあるでしょう。

新たな検査法の開発や既存方法の改良では、医療技術学部で学んだ生化学や生物学、医学などの幅広い知識が求められます。

検査センターでの就職は、専門的な知識を活かしながら、医療の最前線で活躍したい方に適しています。

健診センター

健診センター

健診センターは、一般的に社会人の健康管理を目的として設置されている施設です。

定期的な健康診断や人間ドック、特定健診などを行い、早期に病気を発見し、その予防に努めることが主な仕事となります。

検診センターの具体的な検査では、下記の結果をもとに予防医学の観点から的確なアドバイスを提供します。

代表的な検査
検査内容
血液検査
​血液の成分を分析し、貧血、感染症、血液疾患などの診断を行います。
尿検査
​尿の成分を調べ、腎臓や膀胱の健康状態、糖尿病の有無などを診断します。
レントゲン検査
​X線を用いて、胸部や骨などの内部構造を画像化し、異常の有無を確認します。
心電図検査
​心臓の電気的活動を記録し、不整脈や心筋の異常を検出します。
超音波検査
超音波を使用して、内臓や血管の状態を画像化し、異常の有無を確認します。

さらに、健診センターでは最新の医療機器を使用するときもあり、医療技術の進歩に直接関与できる面白さもあります。

とくに、医療技術学部で最新の医療技術を学んでいる学生にとっては、その知識を活かしやすい環境と言えるでしょう。

専門知識を活かしながら、日々の業務を通じて成長し、医療技術の進歩に貢献できる仕事を探している学生にとって、ぜひ検討すべき場所のひとつです。

医療技術学をさらに学ぶ進路

  • 研究機関
  • ​大学院

治験施設支援機関(SMO)のスタッフ

治験施設支援機関(SMO)は、医療技術学部の卒業生が活躍できるひとつのフィールドです。

SMOとは、Site Management Organizationの略で、新薬の臨床試験を支援する専門機関です。

彼らの主な役割は、治験をおこなう医療機関や医師の負担を軽減しながら、治験の品質を確保する点があげられます。

治験施設支援機関の具体的な業務としては、下記の書類作成などを実施します。

業務内容
詳細
治験プロトコルの作成
治験の実施計画書を作成し、治験の目的や方法、評価基準を明確にします。
治験データの管理
治験で収集されたデータを整理し、データの正確性と完全性を確保します。
治験の進行管理
治験のスケジュールを管理し、計画通りに進行するよう調整します。
治験関連書類の作成
治験に必要な書類や報告書を作成し、規制当局や関係者に提出します。

大学院進学

大学院に進学し、より高度な研究をしたり教育を受けたりする道もあります。

大学院に進学すれば、医療技術学についてより深く学び、専門的な知識や技術を習得できます。

また、研究者や教員を目指す方にとっては、大学院進学は必須となるケースも多いようです。

まとめ

まとめ

医療技術学とは、医療の現場で活躍するための専門的な知識と技術を学ぶ学問です。

情報管理分野から専門技術者養成分野、高度医療技術分野まで、幅広い領域を学習します。

その中でも、医療技術学部に関する重要なポイントを最後にまとめていきます。

  • 医療技術学とは、医療現場で必要とされる技術や知識を学び、実践するための学問。
  • 医療技術学を学べる大学を選ぶポイントは、「医療技術に関心があるか」「将来像に合致する学問が学べるか」「授業料や奨学金制度に納得できるか」が重要。
  • 医療技術学を大学で学びう、卒業後は国立・総合病院や放射線技師、クリニックなどの進路先が選択可能。

医療技術学は、医療現場で直接人々の健康を支えるための知識と技術を学ぶ学問であり、その学びは社会貢献に直結します。

医療を通じて人々の生活を豊かにしたいと考えている学生にとっては、医療技術学部が向いているでしょう。

医療技術学に興味・関心がある学生は、ぜひ本記事を参考にしてください。

この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


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