年内入試ナビ

作成日: 2024/12/27 更新日:2024/12/27

理学療法士になるには?仕事内容から資格の取り方、学校選びまで解説

理学療法士になるには?仕事内容から資格の取り方、学校選びまで解説

「理学療法士になるにはどうしたらいいの?」

「理学療法士になるにはどんな大学に行けばいいの?」

「理学療法士に必要な資格の取り方は?」

理学療法士という職業に興味を持った方で、このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

本記事では、そのような理学療法士のことを詳しく知りたい方に向けて、理学療法士の仕事内容から必要な資格、最適な進路選択まで徹底解説しています。

記事の最後には、理学療法士に関するよくある疑問にもお答えしています。

理学療法士に興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

理学療法士とはどんな職業?

理学療法士とはどんな職業

理学療法士とは、怪我や病気などで身体に障害や機能の低下がある人々に対して、運動療法や物理療法(温熱、電気、光線など)を用いて機能回復や維持をサポートする「リハビリテーション」の専門職です。

理学療法の直接的な目的は、「運動機能の回復」です。そして、運動機能の回復を通じて、日常生活動作(ADL)の改善を行うことで、生活の質(QOL)の向上を目指します。

運動機能が低下してしまうと、外出ができなかったり、食事が取れなかったりと、日常生活のさまざまな場面で不都合が生じます。

そのため、理学療法士は理学療法を通じて人々の運動機能、つまり生活の質を支えているのです。

では、その具体的な仕事内容と活躍する場所を見ていきましょう。

​​理学療法士の仕事内容

具体的な理学療法士の仕事内容は以下となります。

役割・業務内容
詳細
運動機能の回復・維持・予防
・病気や怪我などで低下した筋力や関節の動きを改善するための運動指導を行う
・歩行訓練などの日常生活動作の練習を行う
痛みの軽減や動作改善
電気治療や温熱療法、マッサージなどを通じて、痛みや違和感を改善する
運動機能低下の予防訓練
高齢者やスポーツ選手などに対する怪我予防のためのトレーニングや生活習慣病の予防のための健康指導を行う
生活支援
患者さんの福祉用具(杖や車椅子など)の使い方の指導や家庭内での動作改善のアドバイスを行う

このような役割・業務を通して、人々の運動機能回復に努めます。

理学療法士の活躍の場

理学療法士が活躍する場所は以下の通りです。

場所
詳細
医療施設
病院や診療所などの医療施設において、患者の回復プロセスを専門的に支援し、多様な疾患に対応する。
介護施設
高齢者の生活の質を向上させるためのリハビリや福祉用具のアドバイスなどを行う。
高齢者の自宅へ訪問し、在宅での支援することもある。
スポーツ現場
スポーツ選手のパフォーマンス向上と怪我の予防・回復を促す専門的なリハビリテーションを行う。
企業の健康管理部門
従業員の健康促進と職場での怪我の予防に向けたプログラムを開発・実施する。
教育・研究機関
理学療法の知識や技術の研究や新しい治療法の開発、次世代の理学療法士育成に携わる。
独立開業
個人またはグループでリハビリテーションクリニックを開業し、理学療法を提供する。

このように、理学療法士が活躍する場所は、高齢者の多いところだけでなく、スポーツ現場や教育現場、さらには会社にまで広がっています。

理学療法士になるには何が必要?

理学療法士になるには何が必要か

理学療法士になるためには、以下の手順が必要です。

  1. 養成校を卒業する
  2. 国家資格を取得する

それぞれ解説します。

​​養成校を卒業する

理学療法士になるためには、まずは養成校を卒業する必要があります。

なぜなら、理学療法士の国家試験を受験するためには、文部科学大臣・厚生労働大臣または都道府県知事が指定した理学療法施設において、3年以上の知識および技術の習得が必要だからです。

つまり、この養成校のカリキュラムを修了することで、理学療法士国家試験の受験資格を得ることができます。

そして養成校は、主に4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制・4年制)の3つに分けられます。

そのため、高校卒業後、まずはこれらの養成校に入学し、3年以上学ぶことが必要です。

養成校選びのポイントについては、後ほど詳しく解説します。

国家資格を取得する​

次に、理学療法士の国家試験に合格し、国家資格を取得することが求められます。

国家試験は一年に一度実施されます。

試験内容は、一般問題と実地問題の2つです。重度視力障害者の方は、実地問題に代えて口述試験および実技試験が課されます。

理学療法士国家試験の難易度や詳細、対策方法については、後ほど改めて解説します。

この国家試験に合格することで、初めて理学療法士としての実務に就くことが可能となります。

高校卒業後の進路は?大学?専門学校?

高校卒業後の進路は大学か専門学校か

養成校選びについて解説します。養成校は既述のとおり、大学、短期大学、専門学校の大きく3つに分けることができます。

それぞれの特徴やメリットデメリット、向いている人の特徴についてまとめると以下の通りです。

項目
大学
短期大学
専門学校
特徴
・学問・研究を目的としている
・教員は研究者である
・幅広い教養科目が履修できる
・教養科目が履修できるが、大学より少ない
・大学よりも実習科目が多く実学的
・職業に直結する知識や技術の習得を目的としている
・実習が充実している
・専任教員は5年以上の実務経験がある  
メリット
・専門科目以外の幅広い知識を学ぶことができる
・研究活動をおこうなうことができる
・部活動やサークルなどが盛んである
・一般教養科目も学びながら専門的な知識や技術が習得できる
・大学よりも早く卒業できる
・実習が多く、実務に直結する教育が受けられる
・資格取得などのサポートが手厚い
デメリット
・比較的学費が高くなる
・資格取得などのサポートが薄い場合がある
・履修できる教養科目が少ない
・カリキュラムが詰まっており忙しい
・将来の選択肢が限られる
・初任給が大卒者よりも低くなる
向いている人
・理学療法士以外の選択肢も考えたい人
・研究に携わりたい人
・実習を重視しながらも、幅広い科目を学びたい人
・実習を多く受けたい人
・目標が明確な人

​​このように、各養成校には特徴があり、それぞれ向いている人も異なります。

あなたの考え方に合わせて、養成校の選択を行いましょう。

学校選びのポイント

学校選びのポイント

自身が向いている養成校が大学なのか、専門学校なのかがわかったら、実際に進学する学校を考える必要があります。

その際に学校を比較するポイントは以下の通りです。

チェック項目
詳細
教育カリキュラム
・どのような科目があり、学びたい分野を基礎から学ぶことができるか
・どのような研究を行なっているのか
実習の充実度
・実際の現場での経験を積むことができる実習の機会が多いか
・実習先にはどのような場所があるのか
教員
・どのような研究または実務経験を持つ教員から学べるのか
資格取得支援と合格率
・国家試験合格のための支援制度はどのようなものか
・試験合格率は高いか
学費
・トータルの学費がいくらであるのか
(授業料以外にかかるお金を含む)
立地
・通学時間はどの程度か
・周辺にどのような施設があるのか
・実習先はどこであるのか

これらの項目を確認し、自身にとって最適な学びが得られるかどうかを見極めましょう。

特に、理学療法士になるには、資格取得は必須です。

そのため、資格取得のための支援制度や合格率は極めて重要な項目です。

理学療法士の国家試験とは?

理学療法士の国家試験とは

では、理学療法士の国家試験とはどのようなものでしょうか。

理学療法士の国家試験は、毎年1回、2月に行われます。

試験の難易度・合格率、試験内容と対策方法について解説します。

資格の難易度・合格率

第59回(2023年度)の理学療法士国家試験の合格率は以下の通りです。


受験者数
合格者数
合格率
全体
12,629人
11,266人
89.2%
新卒
11,408人
10,858人
95.2%

参照元:第59回 理学療法士国家試験 結果

新卒者の合格率は94.9%と高く、難易度はそこまで高くないといえます。

しかし、これは大学や専門学校などでしっかりと対策を行なった結果です。

そのため、適切な対策を行い試験に臨むことが重要です。

合格基準

理学療法士国家試験の合格基準

理学療法士国家試験の合格基準は以下の通りです。

​ 1. 一般問題を1問1点(159点満点)、実地問題を1問3点(120点満点)とし、次の全てを満たした者を合格とする。

・総得点 168点以上 / 279点
・実地問題 43点以上 / 120点


 2. 重度視力障害者については、一般問題を1問1点(159点満点)、口述試験及び実技試験を120点満点とし、次の全てを満たした者を合格とする。
・総得点 168点以上 / 279点
・実地問題 43点以上 / 120点

引用元:理学療法士国家試験合格発表について

​​試験内容と対策方法

筆記試験では、解剖学や生理学、運動学などの専門基礎分野から、臨床実習を含む専門分野(理学療法)までと理学療法士として必要な知識が幅広く問われます。

実地問題では、その中でもより臨床に近い内容が出題されるため、配点も高くなっています。

この試験を突破するための対策方法について解説します。

基礎科目の定期的な復習

一般問題では解剖学、生理学、病理学といった基礎科目が出題され、医療の専門職として必要な知識が問われます。

これらの基礎科目は、1年次や2年次で学習することになります。

そのため、3年生や4年生で実際に受験する際に、慌てないように、定期的な復習を行い、知識の定着を図ることが重要です。

実習の充実

実地問題においては、理学療法に関わる評価技術や治療技術に特化した知識の習得が求められます。

そのため実際の臨床現場で遭遇する様々な症例などにに対応できるよう、理論だけでなく実践的な知識が必要です。

このような実践的な知識を身につけるためには、実習をいかに充実させるかが重要です。

常に能動的に参加し、さまざまな事例・症例に対応できる知識を習得しましょう。

過去問演習

試験対策において最も重要なのは、過去問演習です。

過去問を繰り返し解くことで、出題傾向などを把握できるだけでなく、自分の苦手な分野を明らかにすることができます。

過去問を何度も何度も解き直し、苦手分野を全て無くせるようにしておきましょう。

理学療法士に向いている人の特徴

理学療法士に向いている人の特徴

理学療法士に向いている人には以下のような特徴があります。

  • コミュニケーション能力が高い
  • 共感性が高く思いやりがある
  • 忍耐力があり我慢強い
  • 明るく前向きである
  • 観察力に優れている
  • 心身ともに健康で体力がある

それぞれ解説します。

​​コミュニケーション能力が高い

​理学療法士にはコミュニケーション能力の高さが求められます。

なぜなら、リハビリや治療においては患者さんとの信頼関係が重要だからです。

痛みや苦しみに負けないようなかけ声や、患者さんが抱えている問題を聞き出すことなどが必要です。

知識や技術があるだけではなく、それらを活用するための土台が、コミュニケーション能力です。

​​共感性が高く思いやりがある

共感性が高く思いやりがある

共感性が高く思いやりがある方は理学療法士に向いています。

なぜなら、怪我や病気で苦しんでいる患者さんを支えるためには、思いやる気持ちが必須だからです。

患者さんには、うまく体が動かせなくて苦しむ方や苛立つ方もいます。

そのような方々をさせるためには、その苦しみに共感し、励ますための思いやりが必要です。

​​忍耐力があり我慢強い

​理学療法士には我慢強さも求められます。

なぜなら、治療やリハビリは一朝一夕で行えないからです。

なかなか改善しない場合であっても、焦らずに我慢強く、患者さんと向き合うことが必要です。

​​明るく前向きである

明るく前向きである

​明るく前向きであることも、理学療法士には重要です。

なぜなら、理学療法士が明るく前向きであることで、患者さんを励ますことができるからです。

リハビリは楽しいものばかりでなく、苦しいものや辛いものも多いです。

患者さんがモチベーション高く、リハビリに取り組むためには、理学療法士が前向きであることが求められます。

​​観察力に優れている

​理学療法士には、観察力の高さも求められます。

なぜなら、観察力が高いことで、患者さんの些細な変化や異変に気づくことができるからです。

治療方法やリハビリ方法は、患者さんの状況や症状によって異なります。

また、病気や怪我などは突然悪化することも多い一方で、患者さん本人は気づかないことも多いです。

そのため、患者さんの小さな異変を見逃さない観察力が求められます。

​​心身ともに健康で体力がある

心身ともに健康で体力がある

何よりも、自身が心身ともに健康であることが重要です。

患者さんは、身体機能に問題を抱えているため、それを支える理学療法士の仕事は体力が求められます。

また、リハビリや治療においては、精神的なサポートも必要です。

そのため、自身が心身ともに健康であることで、初めて他人の健康を支援することができるといえます。

理学療法士を目指す人がよく抱く疑問とその回答

理学療法士に関するよくある質問

理学療法士を目指す人はどんなことを疑問に思うのでしょうか。

よく抱く疑問に回答します。

理学療法士の仕事のやりがいは?

理学療法士としての仕事のやりがいは、3つあります。

1つ目は、目に見える成果が得られることです。

あなたの治療により、日々患者さんの運動機能が回復していき、患者さんが明るくなる様子を見ることができます。

自分の仕事の成果が目に見えることで、やりがいを感じることができます。

2つ目は、患者さんと共に辛いことを乗り越えることです。

怪我や病気などで思うように体が動かせなかった方が、あなたの治療により回復し、以前のように体が動かせるようになります。

その過程では、思うように回復しないなど、精神的にも身体的にも苦しいこともあるでしょう。

そのような苦難を、共に乗り越えることは、理学療法士としての大きなやりがいです。

3つ目は、感謝される機会が多いことです。

あなたの治療により、患者さんの症状を目に見えて改善し、共に苦難を乗り越えた先には感謝の言葉が待っています。

「ありがとう」と直接言われる仕事は実はあまり多くありません。

感謝の言葉を多くもらえることは、何よりのやりがいであるといえます。

仕事は体力的にきつい?

理学療法士は体力的にきついか

患者さんの介助や移動を行うため、ある程度の体力は必要です。

しかし、近年はリハビリテーション機器の導入が進み、体力的負担が軽減されている傾向があります。

それでも、身体機能に障害のある患者さんと関わる上で、体力的な負担が避けられないことは事実です。

理学療法士の将来性はある?

高齢化社会の進展により、理学療法士の需要は今後も高まっていくと予想されます。

また、理学療法士などは、生成AIなどで取って代わることのできない仕事の一つです。

よって、理学療法士の将来性は十分であるといえます。

この記事のまとめ

この記事のまとめ

この記事では理学療法士になるにはどうしたらいいのかという部分から、仕事内容や進路、学校選びのポイント、国家試験について解説しました。

その中でも、重要なポイントを最後に記載していきます。

  • 理学療法士とは、人々が健康と活力を保つために、身体機能の回復や改善を促進する専門家である
  • 理学療法士になるには養成校を卒業し、国家試験に合格する必要がある
  • 養成校には大学・短大・専門学校があり、それぞれの特徴を理解して進路を選ぶ
  • 学校選びのポイントは、教育カリキュラム、実習の充実度、教員、資格取得支援と合格率、学費、立地である
  • 理学療法士の国家試験に合格するためには、日々の授業の復習と過去問演習が重要である
  • 理学療法士に向いている人の特徴は、心身ともに健康であり、明るく共感性がありコミュニケーション能力が高く、我慢強く、観察力があることである。

理学療法士は人々の健康のために貢献でき、やりがいを感じられるすばらしい職業です。

ぜひこの記事で紹介した内容を参考にして、理学療法士の一歩を踏み出してみましょう。

この記事の監修者

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。


Recommend

今のあなたが狙える大学


Recommend

少し頑張れば目指せる大学