作成日: 2024/12/19 更新日:2024/12/19
家政学部とは?何を学ぶのかや卒業後の進路まで徹底解説

本記事で学べることは以下の通りです。
- 家政学部で学ぶ事
- 家政学部のある大学について
- 家政学部を卒業後の進路
- 家政学部についての疑問
家政学部とは、文字通り「家庭」や「生活」を科学的に研究する家政学を学ぶ学部です。本記事では、基本的な定義から、扱う学問領域、学べる大学、卒業後の進路や就職先について詳しく解説します。家政学部について学びたい方、キャリア選択の参考にしたい方はぜひ最後までご覧ください。
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年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
- 1 家政学部とはどんな学部なのか?
- 2 専攻することになる家政学とはどんな学問なのか?
- 3 家政学部では何を学ぶのか?学科の特徴や専門科目を解説
- 4 家政学部のある主な大学を紹介
- 5 各大学の家政学部を比較する際のポイント
- 6 取得できる資格や免許について
- 7 卒業後の主な進路と就職先の業界・職種
- 8 家政学部に興味がある人がよく抱く疑問
- 8-1 家政学部は理系なの?文系なの?
- 8-2 家政大学と家政学部のある大学の違いは?
- 8-3 通信過程や短大を選ぶメリットとデメリットとは?
- 8-4 受験対策はどのようにしたら良いの?
- 8-5 複数の学科がある家政学部に出願する場合、どうやって出願する学科を選べばいいですか?
- 8-6 授業や時間割、キャンパスライフはどんな感じ?
- 8-7 家政学部以外で家政学を学べる学部・学科はあるの?
- 8-8 家政学部にはどんな学科があるの?
- 9 この記事のまとめ:家政学部とは
家政学部とはどんな学部なのか?

家政学部は生活全般に関わる幅広い知識を学ぶ学部です。具体的には、食事、衣服、住居、家族関係、子育てなどの日常生活に関連する科目を学びます。また、総合的な視点から生活の質を向上させるための方法を学ぶため、生活科学、心理学、経済学などの知識も必要とされます。
家政学部では、理論的な知識だけでなく実践的なスキルも重視されるため、料理や裁縫、家事全般のスキルを学ぶこともあり、これらの知識とスキルは家庭の中だけでなく、教育、福祉、ビジネスなどの分野で活用することができます。
専攻することになる家政学とはどんな学問なのか?

家政学は家庭生活を科学的に学ぶための学問です。生活の基盤である家庭を中心に、食事、衣服、住宅、家庭教育など、日常生活に関連する様々な要素を総合的に研究します。
また、家政学では、社会全体の視点から家庭生活を捉え、持続可能な社会の構築に家庭が果たす役割を考察します。単に家事を学ぶだけでなく、家庭が社会に与える影響を理解し、より良い生活を実現するための理論と技術を学ぶため、社会科学、自然科学、人間科学の要素を融合した学問とも言えます。
家政学の詳細については以下の記事にて解説していますので、ぜひ、ご覧になってください。
家政学部では何を学ぶのか?学科の特徴や専門科目を解説

家政学部では生活全般に関わる幅広い知識・技術を学びますが、具体的には以下のような科目で専門的な分野を深く掘り下げ、家庭や社会で活かせる知識や技術を習得します。
家政学部の各学科の特徴についてはこの記事の後半にて解説していますので、併せてご覧になってください。
入学後に取り組む事になる研究テーマの一例
家政学部では学生が自身の興味や関心に基づいて幅広い研究テーマを探求する機会が豊富にありますが、その一例として以下のような研究テーマがあります。
研究テーマ | 研究内容 |
食文化と栄養学 | 地域や時代背景に基づく食事の傾向と健康への影響を調査分析 |
生活と住環境の科学 | 住宅の選び方やインテリアに対する考え方が生活にもたらす影響の研究 |
家庭教育と子育て | 子どもの成長と発達に最適な教育環境や手法を探求 |
家計管理と生活設計 | 効率的な家計簿の作成や将来設計を行う方法を研究 |
国際文化比較 | 和洋の文化の違いが生活に与える影響の比較研究 |
これらの研究テーマは、社会の変化に対応しながら新たな知識や技術を習得するための大切なステップとなります。また、これらの研究を通じて、家政学の理論と実践を統合する能力を養うことができます。
入学後に家政学以外で学べる主な学問
家政学は「家庭」や「生活」を総合的に学ぶ学問なので、家政学だけでなく、人間生活に密接に関わる他の様々な学問も幅広く学ぶことができます。
大学のカリキュラムによりますが、具体的には、家計管理との関連で経済学、家庭教育・子育てとの関連で教育学・心理学、データ分析のための情報学・統計学などが挙げられます。
また、これらの学問を学ぶことで、家政学の視点だけでなく、他の学問の視点からも物事を考える力を養うことができますが、これは、幅広い視野を持つことが求められる現代社会において、非常に重要なスキルとなります。
家政学部のある主な大学を紹介

家政学部のある主な大学をいくつかご紹介します。
大学名 | 特徴 |
家政学部では服飾美術、環境共生、造形表現について学べるほか、栄養学部では栄養学について専門的に学べます。栄養科は短期大学部にも設置されているので、そちらを選ぶこともできます。 | |
就職決定率100%、取得可能な資格が12種という数字に表れているように、卒業後の社会での活躍に力を入れているのが特徴です。 | |
生活デザイン学科・管理栄養学科・造形デザイン学科の3学科に分かれており、それぞれの学科で専門的な内容を学ぶことができます。 |
それぞれの大学で特色のあるカリキュラムが組まれていますが、家政学部のある大学については以下の記事に詳しくまとめていますので、ぜひ、参考になさってください。
各大学の家政学部を比較する際のポイント

各大学の家政学部を比較する際には、以下の3つのポイントを考慮すると良いでしょう。
- 特に興味を持つ領域が学べるか
- 卒業後の進路実績
- キャンパスの雰囲気や学生生活のサポート体制
家政学は広範な学問なので、各大学で学べる専門科目は異なります。そのため、教授陣の専門領域や研究テーマ、研究設備の充実度などの研究環境、実習の有無や内容を調査し、しっかりと自分が学びたい分野の学びがカバーされているかを確認しましょう。
また、卒業後の進路実績も就職を左右する大きな要素なので、自分の目指す進路についての具体的なサポートがあるかを含めて確認するようにしましょう。
加えて、充実したキャンパスライフを送れるかも重要なポイントなので、キャンパスの雰囲気や学生生活のサポート体制についても情報を収集しましょう。
取得できる資格や免許について

資格・免許 | 詳細 |
教員免許(家庭科) | 家庭科の教員免許は、家庭科の専門知識と教育法を学び、所定の単位を修得後に取得可能です。大学や短大で教育課程を履修し、教育実習を経て、教職課程を修了する必要があります。 |
色彩検定 | 色彩検定は、色に関する知識と応用力を問う日本の資格試験です。1級からUC級まであり、多方面での色の活用スキルを評価します。合格者はデザイン、ファッション、建築などで役立つ知識を得られます。 |
社会福祉士 | 社会福祉士は、福祉サービスの専門職として相談援助を行う国家資格です。大学や専門課程で所定の科目を履修し、国家試験に合格する必要があります。福祉施設や行政機関での活躍が期待されます。 |
インテリアコーディネーター | インテリアコーディネーターは、空間デザインの専門家として、居住空間や商業施設の内装を提案する資格です。認定試験に合格することで資格が取得でき、インテリアメーカーや設計事務所での活動が期待されます。 |
卒業後の主な進路と就職先の業界・職種
家政学部を卒業すると幅広い分野で活躍できるようになりますが、専攻内容により、以下のような進路に進む場合が多いです。
専攻内容 | 就職先 | 職種 |
食文化と栄養学 | 食品会社 | 食品開発者、栄養士 |
被服学 | アパレル企業 | 衣料品デザイナー |
家庭教育や子育て支援 | 教育機関 | 家庭科教員、保育士、児童福祉施設のスタッフ |
食文化と栄養学を専攻すると、ニーズに合った食品を開発する食品開発者や栄養価を考慮する管理栄養士などのキャリアに繋がります。
被服学を専攻すると、トレンドやTPOに合った衣料品をデザインする衣料品デザイナーなどの道で学んだ知識を活かすことができます。
家庭教育や子育て支援を専攻すると、幼稚園などの教員や保育士、児童福祉施設のスタッフとして現場で子供たちと関わる仕事に就くケースが多いです。
このように、家政学部を卒業すると様々な業界で幅広く活躍できますが、専攻内容によってある程度進路の方向性が決まってくるので、希望するキャリアから逆算して専攻内容を決めるようにしましょう。
家政学部に興味がある人がよく抱く疑問

ここからは、家政学部に興味がある人がよく抱く疑問に対して具体的に回答していきます。
家政学部は理系なの?文系なの?
家政学部は文系と理系の両方の要素を併せ持つ学部です。家政学は家庭生活を科学的に理解して改善するための学問であり、調理学、栄養学、衣服学、住居学など、日常生活に関わる多岐にわたる分野が含まれます。
これらの分野を研究するには、栄養素の化学的な理解や繊維の物理学的な理解といった理系的な視点からのアプローチと、家庭教育や家庭経済などの社会科学的な理解といった文系的な視点からのアプローチの両方が必要となります。
したがって、家政学は文系と理系の要素を組み合わせた学問であり、両方の視点から家庭生活を理解し、改善するための知識と技術を身につけるための学部であると言えます。
家政大学と家政学部のある大学の違いは?

家政大学は家政学に特化した大学で、家政学だけでなく、栄養学、繊維学、児童学など、幅広い家政に関連する専門知識を深く学べます。
一方、家政学部のある大学では、その大学が設置する他の学部・学科での研究内容も含めた多様な視点からの学びが可能です。
また、家政大学と家政学部のある大学では、取得できる学位についての違いもあります。家政大学は基本的に家政学の学士号を授与しますが、家政学部のある大学では、大学によっては家政学以外の名称の学士号を授与されることがあります。
このように、学びの環境と授与される学位に違いがあるので、それを把握したうえで自分の学びたい内容や将来の目指す進路によって大学を選ぶことが重要です。
通信過程や短大を選ぶメリットとデメリットとは?
通信過程を選ぶと自宅で自分のペースで無理なく学習を進められるので、仕事や家庭と両立しやすいというメリットがありますが、教員との直接の交流が少ないため、質問や相談がしにくいというデメリットもあります。
また、短大を選ぶと、4年制大学に比べて2年早く卒業できるため、早期に就職したり家庭に入ったりすることが可能になるというメリットがありますが、4年制大学に比べて専門知識を深く学びにくいため、卒業後の進学や就職の選択肢が限られる可能性があるというデメリットもあります。
さらに、通信過程・短大ともに、4年生大学と比較して学費が安いことがメリットとしてありますが、その分実習の数や期間に限りがあります。
以上の内容を考慮したうえで、自分に合った学び方を選ぶことが大切です。
受験対策はどのようにしたら良いの?

家政学部の受験対策は、一般選抜を使うのか、総合型選抜や公募推薦を使うのかで変わります。
一般選抜の場合は入試で課される科目で点数を取れるように基礎的な学力を身につけることが重要です。大学により国語や英語などの各科目の配点が異なるため、志望大学で重視されている配点が高い科目については早めに基礎力を高め、得点力を伸ばすようにしましょう。
一方で、総合型選抜や公募推薦を使う場合は自己PRや面接対策として家政学への熱意や将来のビジョンを明確に伝えられるよう準備をすることが大切です。そのため、家政学に関連する書籍を読むなどして入試までに生活環境や食文化について研究しておくと合格可能性を高めることができます。
また、オープンキャンパスや学部説明会に参加することで、理想の学生像や現実的なキャリアが分かるので、そのような情報を得ながら将来のビジョンを明確に伝えられるように準備をするのがおすすめです。
複数の学科がある家政学部に出願する場合、どうやって出願する学科を選べばいいですか?
家政学部には多数の学科が存在しますが、それぞれ専門分野が異なるので、あなたの興味や目指す進路により、どの学科を選ぶべきかが変わってきます。
興味がある分野を専攻して希望のキャリアに近づける学科を選ぶのが理想ですが、学科によっては高倍率であることもあるので、確実に合格を勝ち取りたいのであれば、倍率が低い学科を選ぶという選択肢もあります。
そのため、いくつかの大学を受験する場合は、各大学の家政学部の学科の難易度を考慮し、どの大学でどの学科に出願するかを総合的に判断する必要があります。
このような受験テクニックも合否に大きく影響するので、先生や家族などとよく相談して出願するようにしましょう。
授業や時間割、キャンパスライフはどんな感じ?

家政学部での学習時間は基本的には他の学部と変わらず、1日に90分の授業が4つ設定されている場合が多いです。家政学の基本的な知識を学ぶ一般教育科目と専門科目があり、専門科目では家事労働、栄養学、衣服学などを学びますが、実習も重要視されているため、実際の家事を体験することで理論を実践に活かす機会も多く用意されています。
また、家政学部では独自のイベントやサークル活動が盛んに行われていることが多く、一部の大学では家政学に関連する地域貢献活動も行われています。そのため、家政学を学ぶ友人との交流の機会が多く、賑やかなキャンパスライフになることが多いです。
家政学部以外で家政学を学べる学部・学科はあるの?
家政学部以外で家政学を学べる学部・学科としては、文化学部や教育学部などが挙げられます。これらの学部では、家庭教育論や食文化論など、家政学の一部を学ぶことが可能です。しかし、これらの学部では家政学を専門的に学ぶことは難しいので、家政学全体を学びたい場合は家政学部を選ぶ方が良いでしょう。
また、大学によっては家政学に近い学問を扱っている学科も存在しますので、具体的な学科名やカリキュラムを確認し、自分の興味や将来の目標と照らし合わせてみてください。大学選びは一生の進路を決める大切なステップなので、自分自身の目指すキャリアを明確にし、その目標を達成するために最適な学部・学科を選びましょう。
家政学部にはどんな学科があるの?

家政学部は生活をより良くするための知識と技術を学ぶ学部ですが、具体的には以下のような学科があります。
学科名 | 専攻内容 |
栄養学科 | 食事による健康維持や疾病の予防、適切な栄養摂取の知識を学びます。 |
衣生活学科 | 衣服の選び方や保管方法、衣服による生活改善などを学びます。 |
児童学科 | 子どもの心理や発達、教育方法について学びます。 |
家庭教育学科 | 家庭での子育てや教育、家族関係の調整などについて学びます。 |
福祉学科 | 高齢者や障害者の生活支援、地域福祉の推進について学びます。 |
これらの学科では、家庭の中での生活改善だけでなく、地域社会や職場でも役立つ知識と技術を学べるので、就職にも役立てることができます。
この記事のまとめ:家政学部とは

本記事では、家政学部について詳しく解説しました。
その中でも、家政学部に関する重要なポイントを最後に記載していきます。
- 家政学部は、家庭生活や社会生活に関連する科学を学ぶ学部で、食事、衣服、住居、子どもの育て方など、日常生活に密着した学問を扱います。
- 家政学の研究テーマは多岐にわたり、家政学部では家政学以外の学問も学べます。
- 家政学部は、人間関係を大切にし、他人をサポートすることが好きな人に向いています。
- 家政学部は全国の様々な大学で設置されており、各大学で教育の内容や特色が異なるため、比較検討が必要です。
- 卒業後は、家庭だけでなく、食品業界や衣料業界、教育業界などの幅広い分野で社会全体を支えるプロフェッショナルとして活躍することを目指せます。
この記事を通じて、あなたが家政学部についてより深く理解し、自身の進路選択に活かすことができれば幸いです。
この記事の監修者

竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。