Nennai Nyushi Navi Logo image

作成日: 2024/8/29 更新日:2024/8/30

総合型選抜で合否を分ける調査書とは何か?記載される内容や適切な発行依頼時期と共に解説

総合型選抜で合否を分ける調査書とは何か?記載される内容や適切な発行依頼時期と共に解説
  • 「調査書とは何なのか教えてほしい」
  • 「調査書に載っている内容はどのように総合型選抜で活用されるの?」
  • 「調査書の内容が不利な場合の対処法を教えてほしい」

総合型選抜では調査書が合否を決めるにあたって重要な役割を果たします。そこで、今回は、総合型選抜の出願時の書類の1つとして課される調査書に関して以下の点を中心に解説します。

  • どんな書類なのか
  • 何が書いてあるのか
  • 記載内容の中で何が総合型選抜の合否に影響するのか

上記に加えて、調査書の内容が不利な場合の対処法調査書に関するよくある質問とその回答も載せています。

是非この記事を最後まで読んで総合型選抜入試における調査書関連の情報を得てください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

そもそも調査書とは何か

総合型選抜で出願時に求められる調査書とは

調査書とは、高校が発行する書類の1種です。

具体的には、生徒一人ひとりの学業成績や学校生活における活動状況などをまとめたものです。

調査書は大学入試や就職活動の際に大学や企業に提出されるもので、生徒の学力や人間性を客観的に評価するために使われます。

書類の中に何が書いてあるのか

書類の中に記載される重内項目を大公開

調査書には以下のことが書いてあります。

  • 基本情報
  • 学業成績​
  • 出欠の記録
  • 総合的な学習の時間の内容・評価
  • 特別活動の記録
  • 指導上参考となる諸事項

それぞれについてこれから解説します。

基本情報

基本情報とは、生徒の氏名、性別、生年月日、住所、在籍期間などの基本的な情報のことです。

基本情報は総合型選抜の合否に影響しません。

学業成績

学業成績

学業成績とは、これまでの各科目の成績、評定平均、履修科目一覧などのことです。

「各教科・科目等の学習の記録」

各教科と学年別・科目ごとの5段階の成績と修得単位数が記されています。

「各教科の学習成績の状況」

評定平均が記されています。

「学習成績概評」

高校3年間の成績をA~Eの5段階で表したものが記されています。

評定平均と学習成績概評との関係は以下の通りです。

評定平均
学習成績概評
5.0 ~ 4.3
A
4.2 ~ 3.5
B
3.4 ~ 2.7
C
2.6 ~ 1.9
D
1.8 ~ 1.0
E

総合型選抜では評定平均が出願資格の有無や書類審査での基礎学力の有無の判断に用いられることが多いです。

また、総合型選抜の一部の入試には特定の科目を履修していないと出願できません。

出欠の記録

出欠の記録とは、欠席日数や遅刻・早退の回数などです。

出欠の記録は生活態度や真面目さを示す要素として書類審査や合否判定の際に用いられます。

参考記事:総合型選抜・公募推薦の合否と欠席・遅刻日数の関係

総合的な学習の時間の内容・評価

「総合的な学習の時間」の内容を大公開

「総合的な学習の時間」においてどのような学びを行い、それに対してどのような評価がなされたかを記録する欄です。

ここに志望学部・学科での学びに関する取り組みが書いてあればあなたが早くからその学部・学科を志望していたと判断される可能性があります。

そうすると、あなたの一貫性が高く評価されるかもしれません。

特別活動の記録

ここには生徒会役員・委員会の委員・実行委員などの学校行事で果たした役割といった学校生活のなかで行った特別活動の内容が書かれます。

総合型選抜では主体性や積極性を判断する重要な項目となります。

指導上参考となる諸事項

調査書に書かれる指導上参考となる諸事項

ここには以下のようなことが書いてあります。

  • 部活動
  • ボランティア活動
  • 海外留学
  • 取得資格・検定
  • 表彰・顕彰
  • 各教科・科目及び総合的な学習における特徴等
  • 行動の特徴、特技
  • その他本人の特徴・個性を表す特記事項

「指導上参考となる諸事項」は2021年に拡充され、このように多種多様な内容を含むようになりました。

自己PRの内容と「指導上参考となる諸事項」の欄に書いてある内容に矛盾が生じることがないよう気をつけましょう。

参考記事:合格に繋がる効果的な自己アピールの方法

調査書が総合型選抜において重要な理由

総合型選抜において調査書が重視される理由

調査書は、総合型選抜の書類選考において極めて重要な役割を果たします。

調査書には各受験生の多面的な能力や人間性が記載される

大前提として総合型選抜では学力試験だけでなく、生徒の人間性や多面的な能力が評価されるため、調査書の内容が合否に直結することが多いです。

というのも、調査書には、学業成績だけでなく出席状況、部活動やボランティア活動の記録、教師の指導コメントなどが詳細に記載されており、これらが総合的に評価されるためです。

そのため、大学側は、調査書の内容を通じて生徒の努力や自主性、協調性を把握し、大学の求める学生像に合致しているかを判断します。

調査書に記載される成績や活動はアピールの際にも重要になる

調査書に記載された活動や成績は、面接や小論文でのアピールにも一貫性を持たせるために重要です。

例えば、文学部の歴史学科志望で、「歴史を学びたい」と面接で主張をしても高校時代に歴史と関係のある探究活動をやっていなかったり、歴史の成績が悪いと歴史を学ぶ事への本気度は高く映りません。

一方で、歴史の評定が非常に高く、歴史に関する探究活動や歴史への関心度の高さが伝わる活動実績があれば、歴史を学ぶ事への興味・関心の高さが伝わります。


以上のように調査書の記載内容は総合型選抜において、生徒の総合力を示す重要な証拠となり、合格を勝ち取るための鍵となるのです。

総合型選抜において調査書で特に重視されるポイント

書類に記載される項目の中で特に重要な項目

総合型選抜において調査書で特に重視されるポイントは以下のとおりです。

  • 評定平均
  • 資格・検定
  • 出席状況
  • 課外活動・特別活動
  • 指導上の記録や教師のコメント

それぞれのポイントについて解説します。

評定平均

評定平均は各科目の評定を平均した数値で、生徒の基礎学力の有無を示す重要な指標です。

各科目の評定は定期テスト成績や提出物の提出状況、授業態度等で決定されます。

つまり、あなたの日々の学習状況や学習態度で左右されます。

高校1年生の評定から反映されますので、入学後早めに評定平均向上のための取り組みを開始するべきです。

評定平均の計算方法

評定平均を計算する方法を紹介します。

  • 各科目の評定(通常は5段階評価)の合計値を求めます。
  • その合計値を科目数で割ることで、評定平均が算出されます。

計算例を紹介します。

例えば5科目の評定が「4、3、5、4、5」だった場合の合計は、
「4+3+5+4+5=21」です。

これを5科目で割ると、評定平均は「21÷5=4.2」となります。

この数値が高いほど基礎学力があると判断され、総合型選抜での評価が高まります。

資格・検定

保有している資格と検定

総合型選抜入試では、取得している資格・検定も重要な評価項目となります。

特に、英語力を示す資格や検定の重要さは年々高まっており、英検などの資格がないと出願できない場合もあります。

また、志望する学部・学科に関連する資格・検定を取得していることで、その分野への意欲や一定の知識・スキルを証明することができます。

出席状況

総合型選抜入試において、出席状況は生徒の責任感や継続力を示す重要な評価項目となります。

欠席や遅刻が少ないことは安定した学習態度や自己管理能力の証明となり、大学側に好印象を与えます。

安定した出席状況は、大学においても継続して努力できる可能性が高いことを示す一つの指標となります。 

課外活動・特別活動

課外活動と特別活動

総合型選抜入試において、課外活動や特別活動は学業成績だけでは見えない生徒の個性や意欲を示す重要な評価項目です。

例えば部活動、ボランティア、文化祭や体育祭の実行委員などの活動に積極的に取り組んだ実績から協調性やリーダーシップ、社会性などがあると評価されます。

また、志望する学部・学科に関連する活動経験がある場合はその分野への熱意や理解がアピールでき、大学側に強く印象づけることができます。

課外活動や特別活動は総合型選抜での自己PRの一部として、他の応募者との差別化を図るための重要な要素となります。

調査書の内容が不利な場合の対処法

調査書の内容がいまいちな中で総合型選抜で逆転合格する方法

調査書の内容が不利でも、合格のチャンスを高めるためにできる対策はいくつかあります。

以下の方法を活用することで、調査書の弱点を補い、大学に良い印象を与えることができます。 

  • 志望理由書や自己推薦書の充実
  • 小論文の徹底的な対策
  • 面接練習に力を入れる
  • 活動実績を積み上げる
  • 探究活動で差別化する

それぞれについて解説します。

志望理由書や自己推薦書の充実

志望理由書や自己推薦書は、合否を左右する重要な書類です。

具体的なエピソードや将来の目標を明確に記述し、あなたの強みと志望動機をアピールすることで、他の受験生との差別化を図りましょう。

充実した内容が大学側に強い印象を与えます。 

小論文の徹底的な対策

小論文の徹底的な対策

小論文は、受験生の思考力や表現力を示す重要な評価ポイントです。

過去問を繰り返し解いて実践力を養うことで、論理的で説得力のある文章を書くスキルを磨きましょう。

徹底した対策により、大学側にアピールが可能になります。 

面接練習に力を入れる

面接は、自分の魅力を直接アピールできる貴重な機会です。加えて面接は何度も練習をすれば、人前で話すのが得意ではない人でも苦手意識を減らすこともできます。

そのため、模擬面接を活用し、志望動機や強みを的確に伝える練習を重ねましょう。

そもそも模擬面接とは

模擬面接とは、実際の面接を想定して行う練習のことです。

面接本番と同じ環境を再現し、志望理由や自己PR、将来の目標などの質問に答える練習を行います。

このシミュレーションを通じて緊張感に慣れ、自分の考えを的確に伝えるスキルを向上させることが目的です。

模擬面接を受けるメリットとは?

模擬面接では、友人や家族、学校や塾の先生に面接官役を頼むことが多く、録画して自分の話し方や態度を振り返ることで、改善点を見つけることができます。

また、フィードバックを受けることで、自分では気づかない弱点を発見し、修正することが可能です。

模擬面接は本番に備えるための重要な準備プロセスであり、何度も行うことで面接当日に自信を持って臨むことができるようになります。

活動実績を積み上げる

活動実績を積み重ねる

総合型選抜では、活動実績が受験生の個性や意欲をアピールする重要なポイントとなります。

大学や学部が求める人物像に合致する活動実績を積み上げることで、合格の可能性が高まります。

例えば、部活動での役割や文化祭の企画運営は文系・理系問わず一般的に評価されやすい活動です。

部活動でのキャプテンやリーダーとしての経験は、リーダーシップやチームワークを示す要素として重要視されます。

また、文化祭の実行委員としてイベントを成功に導いた経験は、企画力や責任感をアピールするのに有効です。

さらに、ボランティア活動などの課外活動も社会性や自己管理能力を示す活動として評価されます。

特に、長期間にわたって継続して行っている活動は大学側に対して真面目さや持続力を伝えることができます。

これらの活動実績を積み上げることで、出願書類や面接で自分の強みや成長を具体的にアピールでき、他の受験生との差別化を図ることができます。

活動実績を通じて、大学に対して自分がどのような貢献ができるかを伝えることが、総合型選抜での成功につながります。

入学後に学ぶ事になる学問と関連した探究活動を行う

総合型選抜で他の受験生と差別化を図るには、独自の探究活動が重要です。

探究活動は、単に関連書籍を読むだけでなく、得た知識を基に新たな視点や仮説を立て、それを検証する過程が含まれる必要があります。

例えば、特定のテーマに関する自主研究やフィールドワークが効果的です。

興味のある分野でデータを集め、自分なりの分析を行うことで、深い理解と主体的な学びを示すことができます。

これにより、単なる知識の習得を超えた、実践的な問題解決能力をアピールできます。

他にも、関連分野の専門家にインタビューを行い、実際の現場の声を反映させたレポートを作成することも、探究活動の一環として高く評価されます。

これにより、現場のリアルな課題に対する理解を深め、大学での学びにつなげる意欲を示すことができます。

こうした探究活動を行うことで、単なる知識の習得にとどまらず、独自の視点や問題解決力を育て、大学に対して自分がどのような価値を提供できるかを具体的にアピールすることが可能になります。

よくある質問とその質問への回答

調査書に関するよくある質問とその回答

総合型選抜入試において、調査書に関するよくある質問とそれに対する回答を紹介します。まずはじめに今回ご回答する質問をまとめましたのでご覧ください。

  • 調査書はいつまでに提出すれば良いですか?
  • 調査書はいつまでに発行を依頼するべきですか?​
  • 調査書はどうすれば発行してもらえるのですか?
  • 調査書にはいつまでの成績が載りますか?
  • 調査書だけで不合格になることはありますか?
  • 一般入試の場合、調査書は必要ないのですか?
  • 複数の大学に出願する場合は何枚必要なの?

それぞれについてお答えしていきます。


調査書はいつまでに提出すれば良いですか?

調査書は、出願書類の一部として指定された出願締め切り日までに提出する必要があります。

締切日は大学や選抜方式によって異なるため、志望校の募集要項を確認し、余裕を持って準備しましょう。

学校や提出方法によっては提出に時間がかかることもあるため、早めの準備を心がけることが大切です。 

調査書はいつまでに発行を依頼するべきですか?

理想的な発行時期はいつか?

調査書の発行手続きに時間がかかる場合があるため、少なくとも出願締め切りの1ヶ月前までには依頼することをおすすめします。

特に、発行依頼が集中する時期に依頼する場合や提出先が複数ある場合は早めの依頼が重要です。

また、発行後に出願準備の時間を確保するためにも、余裕を持って準備を進めると安心です。

調査書はどうすれば発行してもらえるのですか?

調査書の発行を依頼するには、まず学校の進路指導室や担任の先生に申し出る必要があります。

多くの学校では、所定の申請書を提出して手続きを行います。

申請時には、どの大学・学部に提出するかと出願締切日を正確に伝えることが重要です。

また、発行には時間がかかることがあるため、早めの依頼を心がけましょう。

学校によっては発行手数料が必要な場合もあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

いつまでの成績が載せられる?

調査書の対象になる成績の時期について

調査書には、通常高校3年生の1学期または前期までの成績が記載されます。

これは出願時期によって異なり、秋に出願する場合は3年生の1学期まで、冬以降に出願する場合は3年生の2学期の成績も反映されることが一般的です。

具体的には志望校の募集要項を確認し、どの時点までの成績が記載されるかを確認しておくことが重要です。 

調査書だけで不合格になることはありますか?

調査書だけで不合格になることは稀ですが、可能性はゼロではありません。

特に、総合型選抜や推薦入試では調査書が重要な評価基準の一つとなるため、学業成績や出席状況、活動実績が大きく影響します。

調査書の内容が志望校の求める基準に達していない場合、不利になることがあります。

ただし、調査書の内容が不十分でも、他の要素(小論文、面接、自己推薦書など)でしっかりとアピールすれば合格の可能性は十分にあります。

調査書の内容に不安がある場合は、他の要素で自分の強みをしっかりと伝えることが重要です。

一般入試の場合、調査書は必要ないのですか?

一般入試でも調査書は多くの大学で必要です。

一般入試でも、ほとんどの大学で調査書の提出が求められます。

ただし、一般入試では調査書の評価が合否に与える影響は総合型選抜や推薦入試に比べて少ない傾向があります。

一般入試では学力試験の結果が評価基準となりますが、調査書も補足的な資料として利用されることがあり、特に同点の受験生がいる場合などに参考にされることがあります。

したがって、一般入試でも調査書を準備することが重要です。

募集要項で必要かどうかを必ず確認し、提出が求められる場合は、学校に発行を依頼しましょう。

複数の大学に出願する場合は何枚必要なの?

複数の大学や同一大学の複数学部に出願する場合、それぞれの出願先に調査書を提出する必要があります。

つまり、出願する大学や学部の数だけ調査書が必要です。

例えば、3つの大学や学部に出願する場合、3枚の調査書が必要となります。

発行依頼をする際には、必要な枚数をしっかりと確認し、学校に依頼する際に伝えるようにしましょう。

発行に時間がかかる場合もあるため、余裕を持って手続きを進めることが大切です。

今回の内容のまとめ

今回の内容のまとめ

この記事の最後に、この記事でこれまでお伝えした調査書についての説明をまとめます。

  • 調査書とは高校が発行する書類で、生徒の学業成績や活動状況をまとめたもの。
  • 調査書には学業成績、出欠の記録、特別活動、指導上の諸事項などが記載されている。​
  • 総合型選抜では評定平均、資格・検定、出席状況、課外活動、教師のコメントなどが特に評価される。
  • 調査書が不利な場合は志望理由書や自己推薦書を充実させ、小論文や面接で強みをアピールし、活動実績や探究活動で差別化を図ることが必要。
  • 調査書の提出締め切りや発行手続きについて事前に確認し、余裕を持って準備する。

この記事で解説した調査書に関する知識を活かして総合型選抜の対策を進めてください。

最後までお読みくださりありがとうございました。

この記事を書いた人

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。