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作成日: 2024/10/18 更新日:2024/10/19

総合型選抜(旧AO入試)の口頭試問とは?対策や面接との違いも解説

総合型選抜(旧AO入試)の口頭試問とは?対策や面接との違いも解説

総合型選抜は、大学や学部・学科のアドミッション・ポリシーを満たしている人物を受け入れるための入試制度です。

その中で「口頭試問」は、受験生の思考力や表現力、そしてその人の個性を深く理解するために行われる重要な評価方法です。

本記事では、以下のことについて解説します。

  • 総合型選抜で課される口頭試問とは何か
  • 口頭試問と面接の違い
  • 総合型選抜の口頭試問における評価基準
  • 総合型選抜の口頭試問における具体的な対策方法

加えて、総合型選抜の口頭試問の実例やよくある質問とその回答も紹介しています。

口頭試問を課す総合型選抜入試に臨む受験生の皆さんのお役に立てる内容となっておりますので、是非最後までご覧ください。

この記事を書いた人

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部

年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。

目次


総合型選抜(旧AO入試)における口頭試問とは何か?

総合型選抜における口頭試問とは何か

総合型選抜の口頭試問は大学が受験生の学力や意欲、コミュニケーション能力を総合的に評価するためのプロセスです。

口頭試問では試験官が専門的な質問や課題を提示し、受験生の回答や対応を観察します。

口頭試問は単なる知識の確認にとどまらず、思考力、表現力、問題解決能力といった幅広い能力を評価する場です。

そのため、事前の準備が非常に重要であり、過去の出題例や予想される質問への対策が欠かせません。

意外と知らない面接との違い

面接と口頭試問の違い

面接は受験生の人柄、志望動機、適性などを総合的に評価する場であり、質問に対して回答する形式が一般的です。

一方、口頭試問はより学術的な評価が行われ、受験生の知識や思考過程、問題解決能力が直接的に問われます。

口頭試問では、テーマに基づいて自身の考えを論理的に組み立てて述べることが求められ、その場での対応力や発想力も試されます。

そのため、口頭試問は一般的な面接に比べてアカデミックな色合いが強いのが特徴です。

参考記事:総合型選抜の面接でよく聞かれる事を対策のコツと共に解説

総合型選抜(旧AO入試)における口頭試問の重要性と評価基準

総合型選抜における口頭試問の重要性と評価基準

口頭試問の重要性は、受験生が単なる学力を超えて、独自の視点や柔軟な思考力を持っているかどうかを見極める点にあります。

評価基準としては、論理的思考力、説得力、表現力、そしてテーマに対する独自の視点が重視されます。

いずれも、回答の正確さに加え、そのプロセスや質問に対する反応、思考の展開方法を総合的に評価されます。また、自己表現の一貫性や、困難な質問に対する冷静な対処力も評価ポイントとなります。

評価ポイント

主な評価のポイントのまとめ

口頭試問の評価ポイントには以下の項目が含まれます。

評価ポイント
各評価ポイントの詳細
知識の応用力
学んだ内容を実際の問題に応用できるか。
論理的思考力
問われた内容に対し、筋道立てて説明できるか。
問題解決能力
未知の問題にどのようにアプローチし、解決策を見つけるか。
コミュニケーション能力
試験官との対話を通して、自分の考えを明確に伝えられるか。
自己表現力
自分の意見や考えを、自信を持って表現できるか。

 これらの評価ポイントをクリアすることで、口頭試問で高評価を得ることができます。

絶対に実践をしておきたい基本的な対策方法

基本的な対策方法

口頭試問対策の第一歩は、専門知識と論理的思考力を養うことです。

日頃から志望する学部・学科の専門知識について学び、それに関連する多様なテーマに対して自分の意見を持つ習慣を身につけましょう。

過去の設問設問例を元に模擬試問を行うのが有効

過去の試問例を参考にして模擬試問を行い、実際の試問に近い環境で練習することが効果的です。

模擬試問では、考えを整理し、限られた時間内でわかりやすく伝える力を鍛えることが大切です。

さらに、時事問題や社会問題にも関心を持ち、最新の話題についても自分の意見を述べられるようにしておくと良いでしょう。

志望大学・学部の傾向を分析した上で事前に対策をする

総合型選抜の口頭試問は、大学や学部ごとに異なる特徴があります。

例えば、一般教養や時事問題に関する質問が多く出題される場合や、専門的な知識や論理的思考力が問われる問題が多い場合もあります。

そのため、過去問の分析を通じて各大学や学部がどのような学生を求めているのかを理解し、それに合わせて対策を進めることが重要です。

具体的な対策方法としては、予想される質問に対する回答を事前に準備し、練習を重ねることが有効です。

過去の合格者の体験談や大学が公開している情報を活用するほか、家族や高校の先生に協力してもらって模擬試問を実施することも効果的です。

これらの基本的な対策をしっかりと行い、具体的な準備を進めることで、総合型選抜の口頭試問で成功を収めることができます。

総合型選抜(旧AO入試)で口頭試問が課される大学の一例

過去に出題された口頭試問の問題例

総合型選抜(旧AO入試)の口頭試問の例として、武蔵野大学、弘前大学、宮城大学の3つのケースを紹介します。

総合型選抜(旧AO入試)の口頭試問の出題例①武蔵野大学

武蔵野大学の出題例

武蔵野大学の令和7年度の総合型選抜(旧AO入試)における口頭試問では、次のような内容が出題されます。


学科

口頭試問内容

日本文学文化学科

現代文、あるいは古文を音読してもらったうえで、文章の内容に関連して、いくつかの基本的な質問をします。

グローバルコミュニケーション学科

日本人受験者:面接の際に簡単な英文を音読してもらい、内容に関する質問をします。
留学生受験者:面接の際に簡単な英文と日本文を音読してもらい、内容に関する質問をします。

日本語コミュニケーション学科

100語程度の英文を音読してもらい内容に関する質問をします。併せてコミュニケーションの力も見ます。

グローバルビジネス学科

面接を英語で実施します。

法律学科

簡単な英文を音読したうえで、英文和訳を行ってもらいます。

政治学科

教科書の「政治・経済」のうち国内・国際の政治についてと、時事問題について簡単な質問をします。

経済学科

社会や経済や歴史について基本的な質問をします。

経営学科

大学卒業後にあなたが携わりたいと思うビジネスを1つ選んでください。そのビジネスについて以下の質問をします。

  1. そのビジネスに携わりたいと思う理由について。
  2. 自分が目指すキャリアの実現に向けて武蔵野大学経営学科での学びをどう活かしていくかについて。

会計ガバナンス学科

簿記・会計に必要な基礎的な計算問題や、経営や経済に関する基礎的な質問をします。紙・筆記用具・電卓は使用可能です。ただし、簿記経験者については簿記や会計に関する基礎的な質問をします。

アントレプレナーシップ学科

経済・ビジネスおよび社会問題・SDGSに関するテーマについて、基本的な質問をします。

データサイエンス学科

情報(「情報Ⅰ」または「情報Ⅱ」)に関する基礎的な質問をします。

人間科学科

英語もしくは日本語で書かれた文章を音読したうえで、その文章に関する簡単な質問に答えてもらいます。

社会福祉学科

日本における現代の社会福祉に関する課題について基礎的な質問をします。

ウェルビーイング学科

自然科学、人文・社会学、生物学などのウェルビーイングに関連する図表等の資料内容について、質問します。

サステナビリティ学科

サステナブルな社会をつくるうえでの課題と対策に関する基本的な質問をします。

数理工学科

数学 I, II, A, B(数列のみ), C(ベクトルのみ)の範囲の質問をします。

建築デザイン学科

建築や都市について基本的な質問をします。

教育学科

国語科、数学科、地理歴史科、理科、英語科に関する基礎的な質問をします。

幼児教育学科

あなたが関心のある、子どもに関することについて質疑応答を行います。

薬学科

薬学部を志すにあたっての総合的な質問および志願者の論理的思考能力または社会への関心度を問う口頭試問をします。

看護学科

自然科学および人文・社会学など看護に関連する図表等の資料内容について、質問します。

出典:令和7年度武蔵野大学面接を伴う入学者選抜における口頭試問内容について

武蔵野大学の口頭試問では、受験生の考えや意見を明確に述べる能力、論理的思考力、コミュニケーション能力が重視されます。

学科によっては、受験生の学問に対する興味や情熱、そして将来の目標に対する意識を問われることもあります。

そのため、事前に大学の特色や教育方針を十分に理解し、自分の目標がどのように大学の方針と一致しているのかを明確に整理しておくことが重要です。

これにより、口頭試問で自分の意欲や目標を具体的に伝えることができ、高評価につながります。

総合型選抜(旧AO入試)の出題例②弘前大学

弘前大学の令和7年度の総合型選抜(旧AO入試)における口頭試問では、次のような内容が出題されます。


学部・コース

専修

口頭試問内容

教育学部

学校教育教員養成課程 

初等中等教育専攻 

中学校コース

音楽専修

演奏楽曲に関する知識について口頭試問

美術専修

日本及び諸外国の美術や文化に関する知識等についての口頭試問

保健体育専修

体育(体育理論を含む),保健に関する知識等についての口頭試問

農学生命科学部

生物学科・分子生命科学科

 「生物基礎」及び「化学基礎」の内容を問う口頭試問を実施することにより,大学で学ぶために必要な基礎学力を確認する。

食料資源学科

口頭試問の開始時に,志願者は「生物基礎」または「化学基礎」のどちらか 1 科目を選択する。選択した科目の内容を問う口頭試問を実施することにより,大学で学ぶために必要な基礎学力を確認する。

国際園芸農学科

口頭試問の開始時に,志願者は「国際園芸農学科と関連性が高く,自身が興味・関心の高い科目」を 1 つあげる。その科目の内容を問う口頭試問を実施することにより,大学で学ぶために必要な基礎学力を確認する。

地域環境工学科

口頭試問の開始時に,志願者は「地域環境工学科と関連性が高く,自身が興味・関心の高い科目」を 1 つあげる。その科目の内容を問う口頭試問を実施することにより,大学で学ぶために必要な基礎学力を確認する。

出典:弘前大学令和7年度入学者選抜要項

受験生の基礎学力が総合的に評価されますので、過去問を参考にしながら口頭試問対策をすることが効果的です。

総合型選抜(旧AO入試)の出題例③宮城大学

宮城大学で過去に行われた口述試験

宮城大学では、総合型選抜(旧AO入試)における口頭試問のサンプル問題を公表しています。

いずれも基礎学力があれば解ける問題です。

これらの問題を確実に解けるように準備を行い、自信を持って口頭試問に臨むことが合格への近道となります。

総合型選抜の口頭試問に関するよくある質問とその回答

よくある質問とその回答

総合型選抜の口頭試問に関して、受験生からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

総合型選抜の口頭試問で頻出の質問例とその対策方法は?

総合型選抜の口頭試問で頻出の質問例とその対策方法についてご紹介します。

頻出の質問例

対策方法

音読後に文章の内容に関連した質問

流暢に音読できるように練習をし、音読しながら文意を把握できるようにする。

時事問題や社会問題に関する質問

ニュースや新聞を日常的にチェックし、自分の意見を論理的に説明できるようにする。

専門分野の知識に関する質問

普段から学習を繰り返し、知識の抜け漏れがないようにする。

繰り返し模擬試問を行い、自信を持って答えられるようにすることが大切です。

総合型選抜の口頭試問での時事問題への対応方法は?

時事問題に対する対策方法

時事問題への対応には、日常的にニュースや新聞を読む習慣をつけることが有効です。

特に受験する大学や志望学部に関連するトピックに注目しましょう。

直近のニュースに対する自分の意見を論理的に述べる練習をすることや、ディスカッションを通じて異なる視点からの意見を聞くことも効果的です。

オープンキャンパスなどで出題傾向を把握し、具体的な対策を立てましょう。

参考記事:総合型選抜で重要なオープンキャンパスに関する特集ページ

法学部や理学部数学科などの学部特有の口頭試問の特徴と対策方法は?

法学部では法的思考力や問題解決能力が試され、具体的な事例に対する法的な見解や解決策を問われます。
基礎的な法学知識を身につけ、実際の判例を用いた模擬練習が効果的です。

理学部・数学科では数学的な問題解決能力が重視されるため、基礎から応用までの幅広い数学の問題に取り組むことが重要です。

模擬試問での実戦練習も欠かせません。これらの各学部で求められる知識や考え方を理解し、それに応じた対策を行うことで、総合型選抜の口頭試問での成功率を高めることができます。

総合型選抜の口頭試問で印象を良くするためのテクニックは?

面接官に良い印象を与えるポイント

印象を良くするためには、事前準備をしっかりと行い、自信を持って臨むことが大切です。

試問官とのアイコンタクトを忘れず、リラックスした姿勢で笑顔を保ち、冷静に端的な回答を心掛けましょう。
誠実かつ丁寧な受け答えが印象を良くします。

総合型選抜の口頭試問でよくあるミスとその回避法は?

緊張から回答内容が飛んでしまう、質問に対して的外れな回答をしてしまうなどのミスがよく見られます。

これらのミスを回避するためには、深呼吸して緊張を和らげることや、模擬試問でフィードバックを受けることが有効です。

事前の準備と練習で、自信を持って試問に臨みましょう。

これらの対策を講じることで、総合型選抜の口頭試問での成功に近づくことができるでしょう。

総合型選抜の口頭試問で失敗しないための当日の注意点とマナーは?

総合型選抜で実施される口頭試問における当日の注意点とマナーについて

当日は時間に余裕を持って会場に到着し、服装や持ち物を事前に確認して忘れ物がないように準備しましょう。

礼儀正しい態度で臨み、口頭試問後にはお礼を伝えることで好印象を与えることができます。

これらの注意点とマナーを守ることで、総合型選抜の口頭試問で良い印象を残すことができます。

口頭試問で答えられなかったら総合型選抜に落ちるの?

口頭試問で答えられなかったとしても、それが即不合格に繋がるわけではありません。

総合型選抜は総合的な評価が行われるため、他の評価ポイントで挽回することが可能です。

焦らず、他の質問にはしっかりと答えるようにしましょう。

口頭試問で質問に答えられなかった場合の対応策は?「知らない」「分からない」はありなの?

質問に答えられない時の正しい受け答えと分からないと答えることの良しあし

答えに詰まった場合は、焦らずに深呼吸をし、冷静に対応することが重要です。

「分からない」と正直に答えることも可能ですが、その後に自分なりの考えやアプローチを示すと良い印象を与えます。

問題解決への意欲や学習姿勢を伝えることが大切です。

口頭試問後の振り返りと改善の方法は?

試問後には、自分の回答を振り返り、どの質問が難しかったかを整理しましょう。

不十分だった回答の理由を分析し、改善策を明確にします。

模擬試問やフィードバックを活用して、次回に向けた対策を重ねましょう。

今回の内容のまとめ

今回の内容のまとめ

本記事では、総合型選抜の口頭試問について詳しく解説しました。記事の最後に、今回の内容のポイントをまとめます。

  • 総合型選抜の口頭試問は、受験生の思考力や表現力を深く評価する場であり、面接とは異なるアカデミックな要素が強い試験形式です。
  • 口頭試問の対策には、日頃から専門知識の習得と論理的思考力の養成が必要であり、過去問を活用した模擬試問の実践も効果的です。
  • 評価基準には、知識の応用力、論理的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力が含まれ、それらをバランス良くアピールすることが重要です。
  • 面接や口頭試問の準備としては、自己分析や大学のアドミッション・ポリシーの理解、具体的なエピソードの準備がポイントとなります。
  • 当日はリラックスしつつも、礼儀正しい態度で臨むことが好印象を与え、合格への一歩となります。

この記事を通じて総合型選抜の口頭試問について理解を深めたことが志望校合格の一助となれば幸いです。

参考記事:総合型選抜における面談と面接の違いとは?

この記事を書いた人

竹内 健登

竹内 健登

東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。