作成日: 2024/10/20 更新日:2024/10/20
総合型選抜(旧AO入試)と公募推薦の違いを詳しく解説
大学受験で年内入試を検討する際、「公募推薦」と「総合型選抜(旧AO入試)」がよく選択肢に挙がります。
しかし、それぞれの違いが分からず迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、総合型選抜と公募推薦の違いについて、「選考内容」「評価基準」「合格率」「出願条件」などの側面から具体的に解説します。
また、受験生が抱きやすい疑問についても丁寧に回答していますので、最後まで読み進め、自分に最適な入試方式を見つける手助けにしてください。
この記事を書いた人
年内入試ナビ編集部
年内入試ナビ編集部は、総合型選抜並びに推薦入試対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部の講師経験者で構成されています。 編集部の各メンバーは社会人のプロ講師という立場で高校生の総合型選抜や公募推薦・指定校推薦対策のサポートを現役で担当しています。 メンバーの一例としては、「大学受験の指導実績が15年越えの講師や総合型選抜・公募推薦対策の専門塾を現役で運営している塾長、教員免許保有者等が在籍。 各教員の指導経験に基づいた実体験の情報をベースに年内入試関連の様々な情報を定期的に配信しています。
目次
- 1 公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)の基本的な違いと特徴
- 2 選考内容における公募推薦と総合型選抜の違いはほとんどない
- 3 評価基準も公募推薦と総合型選抜では似通っている
- 4 合格率における公募推薦と総合型選抜の違い
- 5 出願条件における公募推薦と総合型選抜の違い
- 6 出願における公募推薦と総合型選抜の違い
- 7 出願スケジュールにおける公募推薦と総合型選抜の違い
- 8 提出書類における公募推薦と総合型選抜の違い
- 9 対策方法における公募推薦と総合型選抜の違い
- 10 公募推薦と総合型選抜のメリットとデメリット
- 11 公募推薦と総合型選抜で合格しやすい人の特徴の違い
- 12 受験生が公募推薦と総合型選抜についてよく抱く疑問とその回答
- 12-1 公募推薦と指定校推薦との違いは?
- 12-2 私立大学と国公立大学における推薦入試の取り扱いの違いは?
- 12-3 公募推薦と総合型選抜の出願時の注意点は?
- 12-4 公募推薦と総合型選抜で同じ学部学科を受けることはできるの?
- 13 まとめ:公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)の違い
公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)の基本的な違いと特徴
公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)はどちらも大学受験の年内入試で、多面的な評価が行われるという点で共通しています。
しかし、選考過程や出願条件にいくつかの違いがあります。これらの違いを理解し、自分の強みや志向に合った入試方法を選択することが重要です。
公募推薦とは
公募推薦は学力や人間性、将来のビジョンなどを総合的に評価して入学を許可する入試方式です。公募推薦の主な特徴を以下にまとめましたのでご覧ください。
- 出願には学校長の推薦状が求められます。
- 出願に一定の評定平均(例:3.5以上)などの条件が課されることが多いです。
- 面接や自己PR、志望理由書などを通じて、人間性や将来への意欲も評価されます。
- 合格した場合に入学を確約する専願が求められるケースが多く、合格後の辞退が難しくなっています。
総合型選抜(旧AO入試)とは
総合型選抜は、学力だけではなく、受験生の多様な能力や資質を評価する入試方式です。そして総合型選抜という入試の特徴は以下の通りです。
- 出願条件を満たしていれば高校からの推薦状がなくても自由に出願可能です。
- 面接、小論文、志望理由書、活動記録など多様な選考手段を通じて、受験生の人間性、能力、将来の目標が幅広く評価されます。
- 一部の入試では評定平均が出願条件になったり2次試験で学力が問われたりすることもありますが、公募推薦に比べると学力の比重は軽い傾向にあります。
- 専願でない場合も多く、他大学への併願が可能です。これにより、幅広い選択肢を残しながら受験が進められます。
選考内容における公募推薦と総合型選抜の違いはほとんどない
公募推薦と総合型選抜では、どちらも書類選考、面接、小論文などを通じて、受験生の能力や人間性を評価する入試方式です。
共通する部分が多くなっています。現にどちらも以下のような選考をよく行っています。
- 書類審査(調査書・志望理由書・自己PR書など)
- 面接
- 小論文
評価基準も公募推薦と総合型選抜では似通っている
総合型選抜も公募推薦も合否判定の評価項目は似通っております。現にどちらの入試方式においても、以下のようなポイントが重要視されます。
重視されるポイント | 詳細 |
---|---|
アドミッションポリシーを満たしているか | アドミッションポリシーとは、大学・学部・学科が求める学生像や学部の方針です。 各大学のホームページで公開されているので、受験前に確認しておき、自分がその理念に沿っていることを示す必要があります。 |
大学で学びたいことや将来のビジョンが明確か | 志望理由書や自己推薦書などで、大学で何を学びたいかとその学びを将来どのように活かすかを具体的に記述することが求められます。 |
継続的に学習する姿勢があるか | 受験生の学びへの意欲、入学後も積極的に成長できる姿勢が評価されます。 |
入学後に必要な学力と実践力があるか | 授業についていける基礎学力だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決力など、大学生活での実践力も見られます。 |
合格率における公募推薦と総合型選抜の違い
一般的に、公募推薦の方が総合型選抜より若干倍率が低くなる傾向があります。
なぜなら、公募推薦では出願条件が厳しくなっていることが多いからです。
現に公募推薦では、評定平均や英検などの資格取得が条件になることが多く、出願できる生徒が限られます。
そのため、出願者(受験者)と合格者の関係で計算される実質倍率は、出願者数が総合型選抜よりも絞られることが多いために総合型選抜よりも低くなるケースが多いです。
出願条件における公募推薦と総合型選抜の違い
公募推薦は、総合型選抜(旧AO入試)に比べて出願条件が厳しい傾向にあります。以下のような具体的な条件が課されることが一般的です。
出願時に課される条件 | 各条件の概要説明 |
一定以上の評定平均 | 学業成績の安定を求める大学が多く、特に人気学部では高い評定平均を求められることがあります。 |
一定以上の英語資格の取得 | 出願時の条件に「英検○○級以上」、「TOEIC○○点以上」といった英語資格が定められることがあります。 |
一定の課外活動経験 | 学部・学科で求められる資質に応じた活動経験を重視し、活動実績が条件に含まれることがあります。一方、総合型選抜は、出願条件が比較的柔軟で、多様な受験生に門戸を開いている点が特徴です。 しかし、大学や学部によっては、公募推薦と同様に上記のような条件が求められることもあります。 |
出願における公募推薦と総合型選抜の違い
公募推薦と総合型選抜の出願には大きな違いがあります。
公募推薦の出願条件の特徴
公募推薦は、高校からの推薦が必須となる入試方式です。そのため、出願資格「合格した場合に入学を確約できる者」という条件が付される事が多いです。
合格後はその大学・学部・学科に進学することが求められます。専願形式での出願が主流で、合格後の辞退は基本的に認められません。
総合型選抜の出願条件の特徴
一方で、総合型選抜は高校の推薦が不要な自己推薦型の入試です。
自己推薦による出願が基本のため、学校からの推薦状は不要です。出願条件を満たしていれば自分の意思で自由に応募できます。
総合型選抜の合格者は辞退も可能であることが多いです。
実際に、MARCHや関関同立のような難関私大でも合格後の入学確約を求めないケースがあります。
出願スケジュールにおける公募推薦と総合型選抜の違い
公募推薦は総合型選抜よりも後に実施されることが多いです。
総合型選抜の出願期間は、多くの大学で9月から10月となっています。
また、総合型選抜は年間を通じて複数回の出願が可能な場合もあり、募集枠が分割されているケースもあります。
一方で公募推薦の出願スケジュールは総合型選抜よりも1ヶ月ほど遅れて開始されることが多く、11月ごろに実施されるのが一般的です。
ただし、これらはあくまで一般論であり、実際の出願期間は入試ごとに異なります。事前に募集要項などで確認することがとても大切です。
提出書類における公募推薦と総合型選抜の違い
公募推薦では、以下の3つの書類の提出が求められるのが一般的です。
- 調査書
- 志望理由書
- 学校長の推薦書
一方で総合型選抜では公募推薦とは異なり、学校長の推薦書は不要なことが多いです。
ただしその代わりとして、受験生自身の活動や特性をアピールする自己推薦書、活動記録表、エントリーシートなどの書類が求められることが多いです
対策方法における公募推薦と総合型選抜の違い
どちらの試験でも求められること
公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)では、どちらも志望理由書の完成度を上げる事や面接の対策が重要です。
それにどちらの試験でも活動実績や自己PRの準備、小論文の練習など、多面的な対策が求められます。
そのため、上記の対策は公募推薦であろうと総合型選抜であろうと重要になります。
公募推薦を受けるのであれば特に対策をしたい事
総合型選抜も公募推薦も評定平均を上げておくことは合否判定において有利に働きますが、公募推薦を受けるのであれば評定平均対策は特に必須です。
というのも公募推薦の場合、出願に必要な評定平均が高めに設定されていることが一般的だからです。そのため、苦手科目があると評定平均点が下がるリスクがあるため、バランスの取れた学習が求められます。
定期試験で高得点を狙い、全教科で安定した成績を維持しましょう。また、授業への積極的な参加と課題提出も徹底しましょう。
さらにつけ加えると公募推薦の場合、高校の推薦が不可欠になります。そのため、素行や言動、学校生活への取り組み姿勢も大きなポイントになります。
公募推薦と総合型選抜のメリットとデメリット
公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)にはそれぞれ異なる特性があり、メリットとデメリットを理解した上で自分に合った入試方式を選ぶことが重要です。
公募推薦のメリットとデメリット
公募推薦のメリットとデメリットをこれからご紹介します。
公募推薦のメリット
メリットの種類 | 各メリットの詳細 |
---|---|
倍率が比較的低い | 願条件が厳しいため、志願者数が絞られ、倍率が総合型選抜よりも低くなる傾向があります。 出願条件をクリアできれば合格の可能性が高まります。 |
公募推薦のデメリット
デメリットの種類 | 各デメリットの詳細 |
---|---|
合格後の辞退が難しい場合がほとんど | 公募推薦で合格した場合、その大学に進学することが求められます。 辞退が難しいため、受験先を慎重に選ぶ必要があります。 |
出願条件が厳しい | 公募推薦では、評定平均や資格(例:英検2級以上)の取得など、高い条件が求められることが多いため、出願できるかどうかで選択肢が限られます。 |
総合型選抜のメリットとデメリット
次に総合型選抜のメリットとデメリットについて解説します。
総合型選抜のメリット
メリットの種類 | 各メリットの詳細 |
---|---|
多面的な評価が受けられる | 総合型選抜は学力だけでなく、面接や小論文、課外活動の実績なども評価されるため、評定平均が低い場合でも合格のチャンスがあります。 |
自己PRの機会が多い | 受験生の個性や能力が重視されるため、特定の分野での実績や情熱を持つ学生に有利となることが多いです。 |
受験先の自由度が高い | 多くの総合型選抜では合格後も入学の確約を求められない場合が多いため、受験の選択肢が広がります。 |
総合型選抜のデメリット
デメリットの種類 | 各デメリットの詳細 |
---|---|
競争率が高くなる | 出願条件が比較的緩いため、多くの受験者が受験し、結果として公募推薦と比べると倍率が高くなる傾向があります。 |
対策に時間と労力がかかる | 自己PRを他の受験生と差別化することが求められ、小論文や面接の準備に多くの時間を割く必要が生じることがあります。 |
公募推薦と総合型選抜で合格しやすい人の特徴の違い
公募推薦で合格しやすい人の特徴
次に公募推薦で合格しやすい人の特徴について解説します。
バランスの良い学力を持っている
評定平均が重要な評価基準となるため、複数の教科で均等に高得点を取れている受験生が有利です。
苦手な科目があると全体の評定平均が下がり、不利になることがあるため全教科において満遍なく良い成績を維持することが求められます。
継続的な努力を重ねている
日頃から成績の維持や学校生活での模範的な行動が評価対象になります。定期テストや提出物をきちんとこなす姿勢が大切です。
推薦状が得られる信頼関係を築いている
公募推薦には高校からの推薦が必要なため、日常の授業や学校行事での積極的な参加が不可欠です。教員からの信頼を得ておくことが出願のカギとなります。
総合型選抜(旧AO入試)で合格しやすい人の特徴
次に総合型選抜で合格しやすい人の特徴を解説します。
特定分野での強みや実績がある
総合型選抜では、活動実績や特技など受験生独自の強みが評価されます。例えば、部活動でのリーダーシップや大会の実績、ボランティア活動の経験などが強みになります。
自己PRや志望理由を効果的に伝えられる
面接やエントリーシートで、自分の経験や将来の目標について具体的に表現できる力が求められます。自分の適性をしっかりとアピールできることが重要です。
受験生が公募推薦と総合型選抜についてよく抱く疑問とその回答
ここからは、公募推薦や総合型選抜を使って大学受験に臨むことを考えている人がよく抱く疑問に対して回答していきます。
公募推薦と指定校推薦との違いは?
公募推薦では、出願条件を満たしていて高校から推薦の承諾が得られれば好きな大学・学部・学科に出願することができます。
一方、指定校推薦は各大学が学部・学科ごとに特定の高校を指定して推薦枠を割り当てている入試です。
自分が通っている高校に対しての枠の割り当てがない場合、出願をすることができません。また、枠に対して指定校推薦を希望する生徒が多い場合は、学内で選考が行われ、推薦枠に選ばれた生徒のみが出願することができます。
私立大学と国公立大学における推薦入試の取り扱いの違いは?
私立大学と国公立大学では、推薦入試の実施方法や選考基準にいくつかの違いがあります。
私立大学は、公募推薦と指定校推薦の両方を実施することが多く、特定の高校に推薦枠を割り当てる指定校推薦が広く行われています。
その一方で、国公立大学では、指定校推薦は基本的に実施されていませんが公募推薦を導入している大学はあります。
国公立大学では、推薦型の入試でも学力が重要視され、出願要件として高い評定平均や共通テストの結果が求められることが一般的です。
そのため、国公立大学の推薦型選抜は、学力が安定している受験生に向いています。その一方で、私立大学では、推薦入試においても学力の他に活動実績や課外活動が評価されることが多く、多面的な選抜が行われます。
公募推薦と総合型選抜の出願時の注意点は?
公募推薦では、合格した場合、その大学・学部・学科への進学が必須となるケースが一般的です。
そのため、第二志望の大学を公募推薦で受けて合格した場合、第一志望の大学に合格しても進学できない可能性があります。
したがって、公募推薦ではなるべく第一志望の大学・学部・学科を受けることが望ましいです。
一方、総合型選抜では「専願」の縛りがない場合も多く、合格後の辞退が認められることもありますが、大学ごとに異なるため募集要項をよく確認する必要があります。
各大学の入試要項をしっかり読み込み、専願・併願、合格後の進学条件、辞退の可否などの詳細を確認しましょう。
ルールを把握せずに出願すると、想定外の進路制約に直面することもあります。
公募推薦と総合型選抜で同じ学部学科を受けることはできるの?
公募推薦と総合型選抜の両方で同じ学部・学科を受験することは可能です。
受験条件を満たしている場合、どちらにも出願することで、合格の可能性を高められます。
ただし、大学ごとに併願が認められるかどうかは異なるため、各大学の入試要項を必ず確認することが必要です。
公募推薦と総合型選抜では評価基準や選考方法が異なるため、同じ学部・学科を受ける場合でも、各入試形式に合わせた対策が求められます。
どちらも異なる準備が必要なため、両方の対策を同時進行するのは時間と労力がかかります。そのため、事前に準備の計画を立て、無理のないペースで進めましょう。
どちらの方式にも対策する時間がない場合、自身の強みを活かせる形式に絞るのも一つの手です。たとえば、成績が優れている場合は公募推薦を、自己PRが得意であれば総合型選抜を選択するのが効果的であることが多いです。
まとめ:公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)の違い
本記事では公募推薦と総合型選抜(旧AO入試)の違いについて詳しく解説しました。
それぞれの入試制度の特徴を理解し、自分に合った戦略を立てることで、合格の可能性を最大限に高めましょう。
重要なポイントを最後に記載していきます。
- 公募推薦では、通っている高校からの推薦が必要です。
- 総合型選抜では、出願条件を満たせば自由に出願することができます。
- 公募推薦の方が出願条件は厳しいことが多く、倍率が低くなりがちです。
- 公募推薦は合格後の入学辞退ができないことが多いです。
- 総合型選抜は合格後の辞退が認められるケースも多く、出願の自由度が高いです。
この記事を通じて、公募推薦と総合型選抜の違いを理解し、自分に合った選抜方法で志望校合格を目指しましょう。
各入試形式の特徴を把握し、計画的に準備することで、より有利に進めることができます。
あなたの志望校合格に少しでも役立てば幸いです。
この記事を書いた人
竹内 健登
東京大学工学部卒業。総合型選抜並びに公募推薦対策の専門塾「ホワイトアカデミー高等部」の校長。 自身の大学受験は東京大学に加え、倍率35倍の特別選抜入試を使っての東京工業大学にも合格をし、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。 高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると約10年。 ホワイトアカデミー高等部の創業以来、主任講師の一人として100人以上の高校生の総合型選抜や公募推薦をはじめとした特別入試のサポートを担当。 早慶・上智をはじめとした難関大学から中堅私立大学まで幅広い大学に毎年生徒を合格させている。 2023年には、「勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法」という本を日経BPから出版。